今更ながらー映画「国宝」レビュー
公開が始まったのは6月ですからもう既に三カ月近いロングランです。一応映画業界に関わっている者としてこれは見ないわけにいかないので正直今更ですが見てきました。

まあ実写映画で興行成績ダントツというのもわかりますね。会場は満席でした。吉沢亮、横浜流星ともに歌舞伎の稽古を死ぬほどやったのがわかりますね。歌舞伎俳優からも高く評価されており楽屋でも話題にのぼり多くの歌舞伎俳優が映画館に出かけたということからも、内容が充実していたことがわかり、これは称賛に価すると思います。
映画はヤクザの家に生まれながら両親を殺され、縁が合って上方歌舞伎の家に引き取られた主人公、立花喜久雄(花井東一郎=吉沢亮)が引き取られた家の長男の大垣俊介(花井半弥=横浜流星)が少年の頃からお互い切磋琢磨し、時には衝突し時には励まし合って成長していく様を描いてます。年代も1964年から2014年の50年を描く壮大な物語で主人公が人間国宝になるまでを描きます。ストーリーの細かい筋はネタバレになりますので省きます。
見ていて実感したのは東宝は興行成績だけでなく映画の制作体制でも頭1つ他社より抜け出した感じですね。これ梨園の話なのになぜ松竹でなく東宝なのか。それは制作クルーを見れば撮監にパルムドール受賞経験者のソフィアン・エル・ファニを選ぶ等、インターナショナルなクルーを揃えている点、「東京バイス」でカメラ一台の置き方で日本とハリウッド側が激しく対立した時代とは隔世の感があり、制作のグローバルスタンダード化が進んでいる感じですね。それでも制作予算12億は日本では大作になりますが、国際水準では低予算の映画になります
昔ながらの日本映画の「形通りの」絵しか撮れないところでは到底この映画を作ることができないでしょう。つまり端的にいえば東宝は全社的にそうではないかもしれないですが、「ガラパゴス」な体制を脱却して製作することができる部署があるという点で、他社とは頭一つ抜き出ている印象があります。歌舞伎役者の多くはこの映画見て本当は自分も出たかったと思ったんじゃないでしょうかね?
評価も上々で第78回カンヌ国際映画祭の「監督週間」部門で世界初上映された後、上海国際映画祭のインターナショナル・パノラマ部門のカンヌ・エクスプレス、ニュージーランド国際映画祭Visions部門、トロント映画祭スペシャルプレゼンテーション部門にも出品・上映、そして先日第98回米アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本代表に選出されました。「ドライブマイカー」以来の快挙が達成されますかどうか
米アカデミー賞 「国宝」が来年の国際長編映画賞の日本代表に
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250828/k10014905951000.html
あと自分のフィールドである音楽もよかったですね、失礼ながらあまりお名前を存じ上げない方だったんですが、同じ音楽やっている立場からすると、なかなか「ニクイ」音楽の作り方をしますね。私自身の作曲家として闘争心を搔き立てられた音楽です。これから数年にかけて、かなり多くの映画やドラマの音楽をやることになりそうなので、これに負けない音楽をつくる所存ではあります。
こうして改めてみますと日本のメジャー会社でグローバル対応しているのは東宝さんだけなんでしょうか?ますます東宝と他社との差が開くように思えて、これはあまり望ましいことではないように思います。確かに日本特有の「ガラパゴス路線」にこだわる向きがまだ根強く存在している、ということなんでしょうが、何度も言いますが「ガラパゴス路線にこだわる」と滅びの道しか残されないような気がします。東映さん、松竹さんも手遅れになる前に本格的グローバル路線に切り替えられることを強くお勧めする次第です。














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