大野リリース作品リスト

ストリーミングページ

« サブスクとライセンシングによる印税ー何度でもいいます。日本の業界はタイアップをいい加減やめましょう! | トップページ | AIとエンタテインメント産業,そしてこれからの生き方についての所感と考察 »

2023年6月11日 (日)

日本のエンタテインメントの「鎖国状態」から開国してグローバルスタンダードなエンタテインメント界に脱皮するために

さてカンヌ国際映画祭も終わり、コロナも明けてようやく映画や音楽もエンタテインメント業界が復活に向けて動くか、と思いきや音楽業界も映画業界も正直いって今ひとつ元気がない。これは芸能人のスキャンダルというのもあるが、私がみたところ日本の映画業界も音楽業界もポストコロナに対する姿勢、戦略というのが全く見えていない点にある。

ちょっと前までこの言葉を使うと業界のメジャー筋から反発されていたが(もっと昔なら下手すりゃ追放されていた)もう今の段階では大っぴらに書いちゃっていいだろう。(当ブログではだいぶ前から書いてはいるが..(^^:) 日本のエンタテインメント業界ー映画も音楽も世界的にみてガラパゴスな体制を作っているのは既に多くの人が指摘しているところである。

ガラパゴスというのは単に他の国と体制というかシステムが違うだけでなくいわば「文化的な鎖国」を行っている点である。日本国内で作られる音楽も映画も大多数は世界に向けて発信することが極めて少ないのが現状で、大多数の人が日本国内しかいまだに見ていない、というのが現状。その関係でカンヌを始めアメリカ映画アカデミーの情報などは殆ど入ってこないし、いわゆる日本の芸能マスコミなどは殆ど報道していない、というのが現実だ。

日本人が知らない「カンヌ国際映画祭」の内情と特異性 ハリウッドとの違いは?
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/323936?

その結果毎年のようにカンヌに出品している是枝監督等は日本では正直「異端」扱いされたりしている。

しかし私が毎回主張している芸術の制作現場のグローバルスタンダード化は遅まきながらスタートしている。

いわゆる昔ながらの芸能界のしきたりにこだわる人から見れば、日本の芸能界を「グローバルスタンダード化する」というと芸能界のトップにケンカを売ることと同じことになるらしい。

だがいつまでも旧態依然の考えにこだわっていると、いつまでたっても日本は世界から置いて行かれてしまう存在になってしまう・

そんなこともあって昨年文化庁が「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けた ガイドライン」を発表し、海外では当たり前の制作に入るときにきちんと契約をまず締結すること。今までのような馴れ合いで製作開始するのではなく、契約締結後初めて制作に取り掛かるように呼び掛けている

■文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/bunka_geijyutu_bunya/pdf/93742601_01.pdf

また映画製作現場がパワハラやセクハラだけでなく、ブラックな現場であることが当たり前だったことを修正すべく、こちらは経済産業省による答申が発表された。

■映画制作現場の適正化に関する調査 報告書
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/downloadfiles/report/eigaseisakugenbareport2022.pdf

これら一連の動きを業界では「芸適」と略しているが、日本の業界筋は映画、音楽、いや芸能界全般が「変化」を忌み嫌う傾向が強い。実際文化庁の契約のガイドラインについて、役者やアーチスト側で二の足を踏んでいるケースが多いようだし、何よりも経産省の出した「映画制作現場の適正化=13時間労働をMAXとする」という方針に映画会社のクルーのベテラン、トップの人たちが激しく反発している。

実はこれに関しては東京バイスのような海外と日本のクルーが共同で作業する現場で日本側とアメリカ側のクルーで激しい対立がおきているという現実もあり、アメリカの12時間の労働MAXの方針にクルーのベテランのお爺さん連中が激しく抵抗しているからで、人間は長い間の慣習を変えるということが死ぬほど辛いと感じる人たちがいるようである。

一方でテレビ関係に近い人、いわゆる大手映画会社関係は相変わらず旧態依然とした国内中心の考え方だが、海外との合作映画、海外映画関係者とのコラボレーションを中心に動いている日本の映画関係者も増えているのを感じる。やはり映画制作はもはやボーダーレスの時代であり、そうした世界の流れをきちんと把握していれば従来の「日本国内しか見ない」映画マーケット観には決してならないはずである。

だがこれはようやく日本の政策現場が「グローバルスタンダード」(これでも海外よりは働く時間が長い)がようやく始まったというのが現状で、ある人の話だと日本の現場が完全に「グローバルスタンダード」になるまで10年はかかる、という人もいる。

実際幕末から明治までペリー来航から明治維新が実行されるまでに20年近くかかったことを考えると、日本人の意識改革を含めそのくらいかかるのかもしれないが、20年は世界は待ってくれないので、やはりまず10年で可能な限り世界水準で「普通のエンタテインメント産業」になるように努力すべきだろう。

 

 

 

6月 11, 2023 文化・芸術映画テレビ18- |

コメント

大野恭史さまの長く背景がよく判る文章に、私もこのままでは、いけないとおもいました。少なくとも、日本映画を海外の人たちに観てもらうには最長で10年以内にしたいです。私も思いも新たに真摯に取り組みたいと思いました。感謝します。🙏✴️✨🌸😊💞

投稿: 長峯えり子 | 2023/06/11 18:35:22

コメントを書く