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2023年3月23日 (木)

日本のWBC制覇は選手が力的に世界レベルーグローバルスタンダードーによるスキルやトレーニング向上の成果。エンタテインメント界もやる気になればできる

昨日のWBC(World Baseball Classic)のサムライジャパンの優勝は素晴らしかった。MLBを始めとする野球好きの私にとっても忘れられない大会になった。

まずは選手の皆さん。おめでとうございます!そして感動をありがとう!お疲れ様でした。と申し上げます。

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これは昨今の停滞した日本、あらゆる面で後進国に転落してしまった日本に大きな希望を与えるものであり、この国も日本人今後の取り組みの仕方によってはこの日本という国の再生も決して不可能ではないことを証明してくれたものと感じている。

今回のサムライジャパンの優勝は2009年の優勝より遥かに価値のあるものと感じている。なぜなら

1) 2009年当時のUSAチームを始めメジャーリーガーの参加は少なかったが、今回のUSAチームを始め強豪チームは全員メジャーリーガーであり各国の最高の選手が終結したチーム同士だったこと

2) 大谷選手を始め日本人選手の体力、パワー、野球のスキルが2009年当時と比べて飛躍的に向上したこと

今回決勝戦を見ても驚いたのは日本選手が並み居るメジャーリーガーと比べてもパワーでもスピードでも全く遜色なく戦ったことである。それゆえUSAチームと日本チームが力と力の対決が見られたことだ。

極めつけはこれだろう。

FOXのアナウンサーも"The Best against the Best" と評したこの対決。世界最高のプレーヤー同士の対決をWBCのクライマックスで見られるとは、まるで誰かが映画の脚本を書いたのではないかと思うくらいだ。

だが大谷選手だけではない。今回のサムライジャパンは史上最強といわれるだけあって、世界中を驚かせた選手が多かった

投げた球の殆どが160キロを超えた佐々木朗希投手(千葉ロッテ)は既に注目されていたが, 弱冠20歳ながら150キロ後半を投げた髙橋宏斗投手(中日), などはメジャーリーグの全球団のスカウトを騒がせるに十分だった。そして不調ではあったが史上最年少の三冠王や村上宗隆選手(ヤクルト) , 岡本和真(巨人) も注目されている。

これはひとことでいって日本のプロ野球選手が一人ひとり個人のレベルが底上げし、世界レベルのアスリートに育てることに成功したことに他ならない。パワー、スピード、スキルいずれも「グローバルスタンダード」になりメジャーリーグと何ら遜色のない選手が多く育ったためだと思われる

これはちょっと前だったら考えられなかったことだ。日本人は欧米人に体力ではかなわない。パワーとスピードでは負けるに決まっているというのが半ば常識に近かったからである。

なぜそれができたか?

それは日本人メジャーリーガーが次々と出てきたことが原因と思われる。1990年半ばの野茂英雄投手がパンドラの箱を開け、イチロー選手の大活躍で、後に続けとばかりに「世界に挑戦する」選手が次々と出てきたこと。松井秀喜選手、そして忘れられがちだが先発投手としてノーヒットノーランを達成した岩隈久志投手を始め日本人選手がメジャーリーグに挑戦することが珍しくなくなった。そしてその流れが二刀流の大谷翔平選手のエンゼルス入団につながる。

ここで重要なことは日本人が一流のメジャーリーグの選手になることで、調整方法、トレーニング方法といった情報もメジャーリーガーでない日本人選手の間に拡散共有されたことである。それが今までの日本の選手の練習方法で時代遅れだったものを修正し、最近は高校野球にまでそれが浸透していった点である。以前はプロとアマチュアはお互い壁を作り、プロの選手のアマチュア指導が禁止されていた、という信じられない規定があったが、それらは撤廃されていった。そしてパイレーツにも所属した桑田真澄元選手のようにアマチュア球団の指導をすることが多くなった結果、そしてかつての巨人の星よろしく、根性主義、精神主義に固執する指導者は時代錯誤の指導者として忌避されるようになり、アマチュアでも世界レベルの指導方法が浸透していくようになった。

 それが野球の選手育成の「グローバルスタンダード」化を生み、世界レベルの選手を次々と創出することになった。それらすべてが今回のWBCの14年ぶりの制覇につながったといえるだろう

 だが問題がないわけではない。それは日本の球団オーナーや経営者がまだ「昭和脳」の人物が多い点にある。

思い起こせば野茂投手がドジャースに挑戦するときの世間の反応は冷たかった。スポーツ新聞は競って野茂投手に対する批判的な論調を展開し現場で野茂投手と衝突することも珍しくなかった。今でもそういう傾向がなくなったとはいえないが、日本のサラリーマン層は野球選手を自分と同じサラリーマンと同一視する傾向があり、年俸での契約更改時にはたいてい世間は「社員が社長に楯突いている」といった感じでみていた。最近は以前ほどではなくなったが、まだそういうものの見方がなくなったとはいえない。野球選手は自分の運動能力、アスリートの才能を球団に売るフリーランスであり、だからこそフリーエージェントの権利は選手の寧ろ人権として当然保有すべきものなのである。

あと以前ほどではなくなったが、球団側の「既得権益」に固執する体質も根強い。メジャーリーグのインターナショナルドラフトへの参加も拒否したまま、フリーエージェントの権利も10年はメジャーと比べても長い、最近はポステイングシステムという「妥協の産物」も外圧によってしぶしぶ球団側が承認しているが、一方で日本のドラフトにかからずメジャーに挑戦した選手を二度と日本の球団がドラフトや契約をさせないようにする「田沢ルール」なるものを一方的に決めた。

田沢ルールとは https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/202011050001-spnavi

 そもそも才能流出と考えること自体まさに「島国的発想」である。逆に日本は広島カープのようにドミニカの若者の学校を作り優秀な選手を広島がドラフトする例があり、それを「才能流出させている」と非難する言質など聞いたことがない。要は自分たちの「既得権益」を守るためのケツの穴の小さい行動である。これこそ「昭和脳」の発想であり時代遅れ、どころか「時代錯誤」といっていいルールである。

そして数年前公取(公正取引委員会)から「田沢ルール」は独禁法に抵触するとの指摘がなされ、廃止された。当然のことである。

だが「田沢ルール」廃止に対する異論は球団トップの間で根強い。残念ながら野球の現場では「グローバルスタンダード」が進んでいるが経営のトップにはまだ「昭和脳」が支配している。これが日本再生の大きな障害になっている。

そして全く同じことが映画や音楽のエンタテイメント業界についてもいえるのである。

実際日本の芸能界を「グローバルスタンダード化する」というと芸能界のトップにケンカを売ることと同じことになるらしい。

実際音事協の標準の契約書は公取によって「違法の可能性がある」と指摘されている。彼らが死ぬほど恐れているのはアーチストがその契約書の違法性を裁判に持ち込むことで、そのことにより「音事協の契約書は違法性がある」という判例ができてしまえば音事協そのものが崩壊する可能性があるからである。

 だがそろそろ自らの既得権益を守ることをトッププライオリテイにするのではなく、真にアーチストのためにいいことはなにか、日本の映画や音楽、そして文化のためになることはなにか?それを真剣に考える時期に来ているのでは、と思う。WBCではサムライジャパンが優勝し「グローバルスタンダード」による世界レベルのチームとなった。だが日本の映画と音楽はアニメを除き、世界から大きく後れをとり、世界に無視すらされている。

 俳優もミュージシャンも狭い日本の芸能界ではなく、世界のショウビズに名乗りを上げることがどんどん起きないと全体のレベルの底上げにはならない。渡辺謙、真田広之を始めハリウッド映画に頻繁に出る俳優はいるが現行ではまだまだ少ない。

 日本のエンタテインメントが世界レベルになるには、サムライジャパンが大いに参考になるのではないか、と考えている。サムライジャパンのWBC制覇はそれに対する希望を与えてくれたといえる

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3月 23, 2023 スポーツ日記22ー思索,考察 |

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