音楽業界総スカン覚悟でいうがサブスク時代に入りメデイアとの「タイアップ」はやめるべきだ。このシステムでのタイアップは作曲家を殺す
先日こういう記事を当ブログに書いた。
■サブスクプロモ活動の果てーやはりサブスクの今のシステムに改善すべき点が多数あるといわざるを得ない
https://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2022/11/post-a6d36e.html
サブスクのプロモーションを含む全般の記事だったので今一つ私の意図が伝わっていなかったようなので、改めてこちらでも書かせていただく
最近私、もしくは私の会社が映画音楽だけでなくCM音楽の制作も行っていることから音楽関係の事務所から「タイアップお願いできませんか?」という問い合わせが来る。それも結構大手だったりしているので驚いている。

また最近SNSでは映画や映像関係のコミュニテイで「タイアップ募集」の投稿が多い。まあ以前なら音楽関係者が映像関係のコミュニテイに参加すること自体が珍しかったが、最近はバンドやユニットだけでなく作曲家、クリエイターも積極的に参加するようになったようだ。
事実「映画人交流会」でも以前では考えられなかった音楽家関係の参加がものすごく多くなった。またコロナで最近開催されていないが「ゲームアニメ交流会」では大勢のミュージシャンが参加していた。
タイアップを取るのは大変、というのは私もやっていたのでわかるが、しかし希望に水を差すつもりはないが映画やドラマ,CMのタイアップで「売れるようになる」時代などとっくに終わっている。
そして何よりも"CDの時代"ではないのだ。つまり構造的にタイアップを取る=ミリオンセラーになる、なんていう時代はもう終わっているのだ。
そしてサブスクの時代にミリオンセラーは可能か? いやビックアーチストならミリオンセラー=100万回再生は可能だろう。だが100万回再生したところでサブスク時代ではいくらの収入になるのか? ちょっと考えればわかることだ。
Spotifyで一回再生したところで0.3円である。100万回再生したところでせいぜい30万(!!) これじゃ事務所代も出ないだろう。
以前も書いたが各プラットホームの一回の再生の分配額は以下の通り
各ストリーミングサービスの1再生あたりの収益2021年10月(単位:円)
| Amazon Music Free | 0.14 |
| Amazon Music Unlimited | 0.87 |
| Amazon Prime Music | 0.38 |
| Apple Music | 0.81 |
| AWA | 0.82 |
| Deezer | 0.40 |
| dヒッツ powered by レコチョク | 1.24 |
| iTunes Store | 0.10 |
| LINE MUSIC | 0.67 |
| Rakuten Music | 1.87 |
| Spotify | 0.27 |
この傾向は勿論日本だけではない。全世界共通である
私は上記の記事で私はせめて分配額が現状の10倍の分配額があればまだ何とかなるかもしれないが、このレベルでは厳しい、と書いた。前にも書いたがエドシーランとかレデイーガガとかなら放っておいても何億回再生てできるけど、そうでない人はやはりせいぜい頑張って10万―100万再生がせいぜいだ。これではアーチストや作曲家に対して十分な報酬を渡せるレベルではない。昔のCD時代ならCDのセールスによるロイヤルテイや著作権印税でそれらを補うことができたけどストリーミングが主体だと少額過ぎてそれもできない。そのため従来の発想のプロモーションではもはや対応はできないのである。
そこで先日も書いたが、海外では作曲家の収入においてストリーミングではなく別のチャンネルからの収入に主眼を置き始めている。
それがライセンシングである。
ライセンシングとは(使用許可を与える)ことで映画やテレビ、CM等での音源使用料をロイヤルテイとして徴収するしくみで、特にハリウッドの映画やテレビだと下手すりゃ億単位の金になる。私は映画音楽制作の面で海外の映画音楽事務所とつきあいがあるが、もう海外の作曲家もアーチストもサブスク関係の分配額があがらない限り、そのチャンネルの収入よりはライセンシングに主眼を置いた戦略に切り替えている。
日本人、特に日本の音楽業界は顕著だが、「従来からのカタチ」に固執する傾向が強い。
「以前からこういうやり方でやってきたから引き続きこのやりかたでやる」
「以前このやりかたでミリオンセラーで成功したんだ。これからもこのやり方で成功するはずだ」
...... 申し訳ないがあまりにも思考停止の度がすぎる。
欧米はこのライセンシングのやり方で業績も回復しているし、作曲家の生活も改善している。だが日本は残念ながらそれができない。
理由はおわかりだろう。
なぜならタイアップがあるからである。
日本のタイアップは作曲家が日本国内でライセンシング収入を得ることをほぼ不可能にする。JASRACは建前上一つの曲にタイアップを一回のみに限定、としているがタイアップ契約を作るときに権利ががんじがらめになり(それも訳の分からない「代理店」以外の会社があたかもタカリのように集まってくる)そして事実上他のところでライセンシングを行うことを不可能にしてしまう。
特に東京オリンピックで元電通プロデューサーが逮捕されているがこれもオリンピックよろしく自分では何もしないくせにマージンだけわんさか持っていく利権構造がある。はっきりいうが、これはいかにも「昭和」の発想でありストリーミング時代になればこれは作曲家を事実上殺すシステムとなる。
作曲家を殺すだと? 当然だ。ライセンシング収入の道をたたれサブスクによる「雀の涙」の収入しか入らない。これではとてもやっていけない。
ということで以前も書いたが改めて書く業界から非難轟轟、総スカン食らうことを覚悟の上でいわせてもらう。
日本のタイアップを廃止せよ!!!
これだけ以前のビジネスモデルにこだわるのは日本の音楽業界がいまだCDからストリーミングへのパラダイムシフトを公式に受け入れていないからだと思われる。事実誰とは言わないが日本の有名アーチストでいまだサブスクリリースしていないのが少なくない。従来のやりかたに固執し、時間がたてばまた元の「音楽バブル」のような時代が戻ってくる、などという愚かなことを期待しているのではあるまいか?
あえていうが、マシンガンの時代に火縄銃で戦おうとするようなものだ。
認めたくないかもしれないが時代は変わったのだ。カビが生えた昭和の利権構造など捨てて、新たな時代に合ったビジネスモデルの構築を考えようではないか。お隣の韓国はすでにそういう道を歩み始めている。
いい加減日本がコンテンツ製作の面で世界で最も遅れた国であることを認めるべきである。
12月 18, 2022 音楽16-23 | Permalink

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