のんちゃんは日本の「芸能界」に風穴を開ける?100年に一度の大変化の時代、日本はいつまでもガラパゴスではいられない
今日は申し訳ないが日本の芸能界、とりわけ音〇協関係者が見たら不快に感じるかもしれない。
だが日本にいると実感しないかもしれないが、今映画も音楽、その他のコンテンツも100年に一度という変化が起きている。そしてそれに伴い今までの日本の体制ー諸外国と根本的な部分が違うため「ガラパゴス」といわれるーも変化を余儀なくされていく。
きっかけは「のん」の記事から始める
■のん、来年で30歳に…「どんな20代でしたか」と尋ねて返ってきた“驚きのひと言”
https://bunshun.jp/articles/-/58112?
上記の記事は音〇協に憚ってかこの件についての言及が全くない。しかしのんさんの20代は苦労と闘いの連続だったはずだ。
元の事務所から「本名」で活動することを阻まれ、活動も元の事務所からかなり圧力をかけられながらも、音〇協の圧力の及ばない主にアジアでのCM等の仕事、そして「この世界の片隅に」を始めとするインデペンデント映画(当時はね、今はメジャーになったけど)から活路を見出した。地上波テレビは一時完全に「追放」に近い状態だったが、海外ーとりわけアジアで彼女は高い評価を得ていった。その結果芸能マスコミは同じく音〇協の圧力で未だ発表していないけど、おそらく日本の芸能人では一番の収入を得ているはず。(億単位にはなってるはず)
今のんさんは「芸能事務所」ではなくエージェントがギャラその他の交渉をしている。事務所とエージェントは全く違う
芸能事務所制の特徴を揚げると以下のようになる
1.芸能事務所が「営業」やマネージメントを行う
2.その関係でギャランテイのマージンもかなり大きい(半分かそれ以上)
3.契約者の自由がきかない、事務所の指示通り動き事務所の仕事のみをこなす
4.知財をきちんと管理するところもあるが、そうでないところもある。
5.事務所の社長の権限が強い、事務所に「雇われた」状態
一方エージェントは肖像権、著作権等の知財の弁護士(通称エンタテインメントロイヤーという)が「代理人」として業務の条件の交渉を行う。一見事務所と似ていて非なるものである。
つまり
キャステイング事務所と登録契約*
↓
オーデイション通過、仕事受注の見込み
↓
エージェントが諸条件を交渉(ここで初めてギャラその他が決定されます)
↓
個別案件に関して皆さんが会社と契約
となり、芸能事務所制度と比べると
1.基本アーチスト等がキャステイングデイレクターと連絡
2.ギャランテイのマージンは法定 (10-20%の範囲)
3.エージェントと専任の契約を結ぶこともあるが、基本自由に活動できる
4.知財の専門家がエージェントとなり、肖像権、著作権、その他の権利を守ってくれる。
5.エージェント、キャステイングデイレクターと役者、アーチスト、クリエイターは1対1で同等の立場となる
両者の詳しい差についてはこちらの記事を参照されたい
海外案件、ハリウッド案件に応募する場合ー日本の「事務所制」は世界的にみてガラパゴスなことをご存じでしょうか?
https://note.com/kyojiohno/n/n6280b50d8bf8
一般にエージェント制の方が事務所制より俳優にもアーチストにも条件がいい。一度これをやると日本の芸能事務所制がアホらしくなる。その意味で「のん」が日本の閉塞的な芸能界に風穴を開けたといえる。渡辺謙や浅野忠信等、既にハリウッドデビューしている俳優が多いこともこれを後押ししているのかもしれない。だから殆どの芸能マスコミは伝えてないが(おそらく知っていて伝えてない)のんさんはおそらく日本で一番稼いでいる女優になっているはずである
また相対的に音〇協の力も落ちてきて、かつては某実質国営放送(公共放送といいながら国の政治権力への忖度が目に余るため)の出演にさんざん横やりが入っていたが、今は普通に出演できるようになってきた。某実質国営も少しは改革しようという動きはあるようだ。(あの放送局は部署が違うと実質別の会社のようなところがあるので..) そんな関係で逆境をはねかえしてきた強さも彼女にはある。今や本名の能年玲奈 より「のん」の方がメジャーになってしまった。この勝負、元の事務所の完全な敗北である。
これから映画も音楽も国境を越えた制作が頻繁になっていく。その動きは避けられないし誰にも止めることはできない。何よりもそれに対応していかないと、日本の芸能界ーエンタテインメントビジネスは生き残れないといっていい。そのため音〇協の芸能事務所もその時代に対応できるようにしていかないといけない。対応できたところが生き残れるし旧態依然の体制にこだわったところは滅びるだろう。
エージェント時代でも芸能事務所は生き残ることは可能
芸能事務所に対して厳しい言い方をしてきたが、しかしエージェント制が定着(もっともここまで来るのにすごいハードルがあると思うが..)しても従来の芸能事務所との共存の道はある。考えられる方法として
1、事務所はマネージメント、知財や権利の交渉はエージェントと分ける
一般にエージェントはマネージメントをやらない。CAAのような大手エージェント事務所ではオプションでつけるところがあるが一般にはしない。その一方で日本の事務所はマネージメント能力があるので、役割を分担すれば共存できないことはない。
2事務所内にエージェント体制を作る
一部大手事務所でこの動きがあるようだが、事務所がエンタテインメントロイヤーを雇って事務所内でエージェントを抱え込む方法。
そもそもなぜエージェントが必要かというと海外の大手制作会社、フィルムメーカーと契約する際に知財やアーチストの権利についての膨大な書類(法律用語なので日本語でも英語でも難解)を契約書として交わさなければならない。それは知財に関する法律を熟知した弁護士でないと到底対応できないものだからである。
日本の外ではこれがもはや標準となっている。そしてエンタテインメントビジネスがグローバル化した現在、その体制に対応できるようでないと生き残れない、ということは断言していいと思う。
10月 29, 2022 経済・政治・国際芸能・アイドル | Permalink
コメント
たいへん興味ある内容でした。
音◯協 でなく 音事協 でOKだと思います。
ただ、小さいことを指摘して申し訳ありませんが、能年麗奈ではなくて能年玲奈であります。
投稿: あるファン | 2022/10/31 0:18:42
コメントありがとうございます、
>ただ、小さいことを指摘して申し訳ありませんが、能年麗奈ではなくて能年玲奈であります。
大変失礼いたしました。修正しました。
> 音◯協 でなく 音事協 でOKだと思います。
わかる人はわかるでしょうが、あまり関係者を刺激したくもないのでそのままにしておきます。
記事を読んでいただきありがとうございました。
投稿: Kyoji | 2022/10/31 0:49:28