ヌーのコインロッカー使用禁止ー舞台版鑑賞 レビュー
コロナということもあり、本当に久しぶりにライブで演劇を見に行った。マドリード国際映画祭でグランプリを取った作品の舞台化(というより演劇の方が先行して作られたようだ)
劇団テンアンツの座長の上西雄大が演出、脚本、主演を行った。
いや、本当のこの劇の主役は発達障害でコインロッカーに捨てられたヌーこと那須叶(なすかなえ)という主人公で自分と母をつなぐコインロッカーを守るように毎日その前で絵を描き続けていた。そんな中出所したばかりのチンピラ カーブこと黒迫和眞との出会いからストーリーが展開する。
発達障害のヌーだが絵の才能があり(なんでも実在のモデルがいるらしく劇で出てきた絵はその実在のモデルの山﨑宥氏によるものだという。絵のイメージは私見でいえばパウルクレーを思わせる絵だった。)
この絵をインスタに思いつきでカーブこと黒迫和眞が投稿したことからストーリーが展開する。
ネタばれになるのでこれ以上は書かないが脚本は今世界的な潮流であるダイバーシテイ(実はこれは「和製英語化」していて英語では「ディバーシテイ」が正しい)がテーマで障害者の自立やLGBTの要素もある、(ちなみに宝塚のベルサイユのバラのパロデイ―が出て笑いを誘うが、いささか悪ノリしすぎではと思わないでもないww) 脚本も「笑い」や涙腺を緩ませる場面等、よく練られており、3時間半の舞台だが長さを感じない劇となっている。
そして特筆すべきはヌー役の女優でマドリード国際映画祭で主演女優賞受賞した古川藍と徳竹未夏(公演日ごとに野良犬役と交代でこの2人が演じる)の演技力だろう。障害を持ちながらたくましく生きる主人公を存在感たっぷりに演じる。私が見たのは徳竹未夏バージョンだがそれでも十分に演技を堪能できた。マドリードで受賞した古川バージョンも見たくなる
日本のインデペンデントでも世界でも評価される映画が時たまでるがこの映画もその1つだろう。映画は来年ユーロスペースその他で劇場公開予定。下北沢小劇場では17日まで行われる。ちなみに14日、15日の公演のチケットはまだ余裕があるという。
http://www.honda-geki.com/gekisho/#anchor1
演劇も映画も一見の価値ありの作品である。来年の映画公開も要注目作品である。
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