2017年も終わりに当たり音楽産業の今後に少し変化を感じた今日この頃
今年もあと数日で終わり今朝ほどいろいろと残務の処理も終わり2017年の業務も事実上終了いたしました。
今年も多くの仕事をさせていただきました。とりわけ映画関係とオペレッタを丸々編曲する等いつになく多忙な一年を過ごさせて頂きました。
具体的にあげますと
・長編映画: 「再恋(さいれん)」中田圭監督 来年劇場公開予定* 劇中音楽制作
・中編映画: 「もしもに愛を」 宮本ともこ監督 来年公開予定* 劇中音楽制作
・中編映画: 「弔」 村松健太監督 来年公開予定 劇中音楽制作ならびに挿入歌作詞
作曲
・短編映画: 「別れ詠」(制作中) ショートショートならびにカンヌ出品予定
・上海国際映画祭 劇場内CM 長編+短編 鳴鳳堂 音楽制作
・オペレッタ "Miss シカゴ公爵" 日本初演版編曲
・その他海外版音楽教材制作
音楽家はなかなか仕事が取れないといわれる中、これだけの仕事をさせていただきありがたい次第です。
さて20年も低迷して右肩下がりが続いている音楽の世界ですが、少し変化の兆しが見えているようです
音楽の世界はSNSに対して消極的、場合によっては敵対的とすらいっていい状態でしたがユニバーサルミュージックとFacebookが提携を発表。
Facebook上で再生される音楽ビデオについて、グローバル契約を結んだと発表しました、
■【海外】ユニバーサルミュージックとフェイスブックが提携を発表
https://www.musicman-net.com/business/72129
しかもユニバーサルだけでなくソニーミュージックとワーナーミュージックも交渉中とのこと
、これが進むとSNS自体が実質的にストリーミング媒体となり、SNSでどれだけ多数に音楽を聴かすことができるかというのがポイントとなりSpotifyやApple Musicと同様なストリーミングチャンネルになっていく。おそらくAmazonプレミアムのような有料でストリーミングを行うというものになると思われます
新しいことを進めることを極端なほどに嫌っていた音楽業界にしては画期的な動きといっていいでしょう。少し何かが変わりつつあるのを感じます。
一方ではこんな情報もあります。正式発表ではありませんが、私自身も複数の情報源で確認しましたのでまず間違いはないと考えますが
■Appleが音楽のダウンロード販売を2019年までに終了させてストリーミング配信を本格化との予測
http://gigazine.net/news/20171210-apple-terminate-music-downloads/
つまりこれまでiTunesを通して行ってきた音楽のダウンロード販売を2019年までに終了させ、ストリーミング配信サービス「Apple Music」へ一本化させる動きがあるといわれています。私も複数の情報源からこれを確認いたしました。
ストリーミング配信への移行が始まると、iTunesを通じてダウンロード販売された音楽データは新しくなるApple
Musicのアカウントへと統合されることになる模様。その後、3カ月の無料トライアル期間を経てストリーミング配信へと完全移行され、ユーザーが作成していたプレイリストや、各種設定などはそのまま引き継がれるとのことです。
事実とすれば音楽配信の時代が事実上終了することになり、インターネットでのサービスはストリーミングのみになっていく可能性が高くなってきました。
ところで私は一部のIT系論客のようにストリーミング サブスクリプションが音楽の最終アウトプットの形だとは考えていません。音楽を真に楽しむということを考えるとそれはありえないと考えます、
SpotifyにせよApple Musicにせよ、Amazonにせよ、そしてこれから始まるFacebookのストリーミングにせよ、私はラジオに近いメデイアと考えています、いってみればオンデマンドのラジオという認識の方が正しいと思います。
だいたいネットでITのシステムから音楽の配信やストリーミングを論じる人たちの殆どはたぶん特定のアーチストのファンになったことはないのではないか。と思うことがあります。特定のアーチストのファンになればもっと別の発想が出てくるからです
結局ファンはアーチストの作品に対する「所有欲」というものを必ずもっていますから私はネットでのストリーミングのみで音楽配信もなくなるとなると結局パッケージの時代に戻る可能性が高いと考えます。
勿論全ての人がアーチストの音楽に対して「所有欲」を持つとは考えにくいので、究極的には「流行ものーミーハー的な人」はストリーミングに留まり、アーチストのコアのファンだけアルバム(アナログorCD)を購入するという方向になるのではないかと思います。何でも両極化するというのが最近のネット社会の傾向で私は必ずしもいいとは思っておりませんが、業界的にはそちらの方向に行く可能性が高いです
ではパッケージの話しですが、CDか? というとどうでしょう? 案外アナログレコードに戻るかもしれません、CDもあるでしょうけどね
実際信じられないかもしれませんが実はオープンリール、テープが復活しているのです。かつてのテープレコーダーメーカーも増産を開始しておりティアックは12月20日、ティアックストアにて販売しているオープンリールテープ「RECORDING THE MASTERS」に新製品を投入開始しました。
http://ascii.jp/elem/000/001/606/1606675/
映画の世界でもフィルムが復活しており、クリストファーノーランなどは全てフィルムで作っています。
但しこうした「アナログ回帰」は決して単なる懐古趣味、デジタル絶対主義に対するより戻しというレベルの話しではないと私は考えます。レコードプレーヤーにUSBを接続できるようにデジタルを扱った上でのアナログ使用ということで、当然ながらかつてのようなアナログの使い方では決してないということができます。
それを考えると新しいデジタル技術を消化した上でのアナログを含むパッケージの時代が復活しつつあることを意味しており、その意味では音楽界は長い間のトンネルから抜け出せる可能性もできています、2018年、2019年はその「始まりの年」になるかもしれません。
とはいえ、これは昔の音楽業界に戻る、という意味ではありません。なぜなら音楽業界の低迷が始まった20年前と比べあまりにも市場、ハードウエア、システムの環境が大きく変わってしまっているからです。
そして何度もいうように映画、映像の制作現場のグローバル化、音楽もそれについて行こうとしない限り置いてけぼりを食ってしまいます。昔と同じ発想では生き残ってはいけないと思います。
そういったこともふまえて来年から少し音楽の方も少し面白くなるかもしれません。もっとも日本の音楽業界人は内向きにあまりにも慣れ過ぎており、意識改革をするのが簡単ではないとは思います。
日本人全体が「ムラ社会」的意識を卒業する必要があります。これが一番難しいことかもしれませんが..
2018年も映画人兼音楽人として制作活動を行っていく所存ですが、音楽業界のこうした動きにも注目していきたいと考えております
12月 29, 2017 日記・コラム・つぶやき | Permalink





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