レビュー:なぜゴッホは貧乏でピカソは金持ちだったか?
まず最初に断っておく。この本はアート関係の本ではない。 またアートを始め今問題となっているコンテンツの市場の今後について語ったものでもない。
実は「お金」というものは本当はどういうものかを本質的に論じ、それを過去、から今後のありかた、ソーシャルネットを始めとするこれからの形でどうありかたが変化していくかを論じた本であり、実際ピカソについてはこの本を通じてトータルでも数ページ分しか裂かれていない。したがってピカソとゴッホに関して芸術家の人生の面で何か興味深い比較がかかれているのか、本の題名からその辺りについて期待した自分としては正直期待はずれの面はあった。
本のタイトルにいささか騙された感はあるものの、だからといってつまらない本かというと決してそうではない。なぜならこれほど「お金」というものの本質をある意味哲学的に論じ「価値」と「信用」の積み上げ、という観点で論じた本はないかもしれないからだ。
この本でピカソが出てくるのはピカソはゴッホと違い「お金」の本質、自分の「価値」の本質を実によく理解しており、自分の「名声(価値)」をいかにあげるか、そしてそれをより多くの「お金」に変えられるかを熟知していたという。そのためピカソは芸術表現としても歴史の残る作品を残すと同時に巨万の富も築いていたのである。この本の筆者はピカソのその戦略を例にとって「お金とは」「価値とは」「信用とは」というものを的確に分析し、人は何に対してお金を払うのか、ということを客観的に分析する。ソーシャルネット時代からグローバル、な今後の時代でそのありかたがどう変わるかについて論じている。
その意味では音楽を始めコンテンツの価値(バリュー)と信用(クレジット)を上げるために何をしなければならないか、考える参考にはなるかもしれない。
筆者は元外資系の金融コンサルタント会社に勤務した経験から、会社の過去の実績や会社の従業員が単純な数字で売り買いされている実態に疑問を感じ始めてから。「お金」について考え始めたらしい。結局その風潮はリーマンショックという危機を生み出すことになる。
しかしこの本は私が読む本ではなく、やはり投資関係や経済関係の人の本だろう。その関係の人が読んだ方がより面白く読めるかもしれない。
個人的に思ったのはこういう本はKindleで読んでおけば良かったかな。と後悔している。題名だけで本を買うのはやはり危険かも
でも今回の週末は冷たい雨だったし、まあ読書の週末というのはよい週末の過ごし方である。





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