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2010年12月23日 (木)

クリスマスソングとクリスマスのその他雑学トリビア

はい、明日はクリスマスイブですねえ。 日本ではすっかり彼氏、彼女とのデート+α(!?)の日と化していますが、私も経験がありますが独身の方には厳しい(!?)シーズンかもしれません。

まあ家族がいればいるで、子供のプレゼントで頭を悩ます時期なんでまあ一長一短ですね。不況で会社の業績も良くないのに散財しなければならず頭が痛い(^^::)

せっかくなんでクリスマス、ことにクリスマスソングに関するトリビアについて書きましょう。皆さんどれだけご存じですか?

・教会のクリスマスソングには「讃美歌」と「聖歌」がある。

教会の歌=讃美歌と考える人が多いようですが、実は一般にプロテスタントを中心とする「西方教会」の歌は「讃美歌」、カトリックやギリシャ正教、ロシア正教等の「東方教会」の歌が「聖歌」で両者は同じではありません。「聖歌」はグレゴリオ聖歌に代表するように古代、中世から存在し、「讃美歌」の大半は比較的最近(ルターの宗教改革以降)の作られたもので、我々が良く知っている「きよしこの夜」「もろびとこぞりて」は「讃美歌」になります。但し近年カトリック側もプロテスタント系の曲を多く採用するようになっており、讃美歌の曲集に「聖歌」のタイトルが付けられていたり等、両者の区別に本質的な差異は無い場合も出てきています。各教派の編集の基準も多様化していますので、上記の「讃美歌」「聖歌」として扱っている場合もあります。

・「讃美歌」と「聖歌」にはまだ著作権がある場合がある。

勿論殆どの讃美歌、聖歌は著作権消滅曲ですが、実は日本の場合「訳詞」があり、その「訳詞」の著作権がまだ消滅していない場合があります。ことに日本語の歌詞で歌う曲を扱う時は注意が必要です。消滅曲だからといって安心していると著作権でひっかかる場合もあります。

・「ジングルベル」は本来はクリスマスソングではない

えーっ と思うでしょう?(笑) でもジングルベルのオリジナルの歌詞をよく見てください。実は「クリスマス」という文字はどこにもないんです。一部の日本語の訳詞に意図的に「今日は楽しいクリスマス♪」と入れて無理矢理クリスマスソングにしていますが、オリジナルの歌詞にはそれがありません。元々この歌は「ソリに乗ってる 楽しい♪」という歌で、本来はソリの歌なんですね。ソリに鈴をつけるのは北欧では普通なので、そのソリがサンタクロースを連想させる、ということでいつのまにかクリスマスソングにされてしまったんですね。ですからこの曲、無理矢理クリスマスソングにされてしまった、というのが本当のところです。

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ーさて、ここまではクリスマスキャロルに関してのトリビア、次はクリスマス一般に関するトリビアです

・カトリックには本来クリスマスツリーはない

実はクリスマスツリーの起原は諸説あり、1419年にドイツのフライブルクでパン職人の信心会が聖霊救貧院にツリーを飾った。この記録が、クリスマスツリーをクリスマスに飾る行為が最初とされていますが、一方では宗教改革のルターがドイツの森に無数の精霊が宿るのを見て、それがモミの木で無数に光っているように見えたため、もみの木に飾りをつけたのが始まり、という説もあり、どちらかははっきりわかっていません。

いずれにせよ起原がドイツであることと、宗教改革の動きにそって広まったことから長い間旧教であるカトリックではクリスマスツリーを飾りませんでした。最近でこそカトリック系も飾るようになりましたが、まだスペイン、南イタリア等厳格なカトリック的な風土があるところではクリスマスツリーを飾らない地域もあります。

厳格なカトリック教徒にとってクリスマスは神聖なものであり、厳かな気分で過ごすというのが普通で、日本のように恋人たちのデートやホテルでの宿泊などとんでもない、というのがそういった国の風潮です。

・そして何よりもイエスキリストの本当の誕生日は12月25日ではない(!!)

これは割りと有名な話なのでご存じの方も多いでしょう。実はこの時期になるとキリスト教原理主義者の団体が「聖書がうんたらかんたら」という押し付けがましく、かつうざったいアナウンスを渋谷の交差点で行なったりしていてとても不快な気分にさせられますが、もし彼らがイエスキリストの本当の誕生日が12月25日でない、ということを知らなかったとしたらこれはいかがなものでしょうか?狂信というのは恐ろしいです。しかも最近アメリカでもヨーロッパでも原理主義勢力の影響力が強くなっているというのは懸念すべき事態です。

イエスキリストの誕生日は1月7日という説と4月7日という説もあり正直わかっていません。しかし12月25日というのはヨーロッパの原始宗教であるミトラス教の聖なる日であり、キリスト教はそのミトラス教「融合」する形でヨーロッパ各地に布教されていったという事情もあるようです。そのためいつのまにか12月25日がキリスト教の聖なる日となったようです。

あと意外に知られていませんが、イエスキリストは何とイスラム教においても「聖人」となっています。イスラム教の場合は預言者(ナビー)の1人としてキリストを受け入れているわけですが、元々キリスト教も、イスラム教も。ユダヤ教も「旧約聖書」を出発点とした宗教で源流は同じ宗教なんですね。 だからキリストがイスラム教の中でも聖人であるのは何の不思議もないんですね。なのにあんなに血で血を洗う争いを何世紀を続けているという事実、これは悲しいし、愚かしい話だと思います。

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まあそんなこんなでクリスマスを1人で過ごしたってそんなどうってことないですよ(笑)
もともと日本人は「クリスマス」を口実として騒ぎたいだけの人が多いですから

というわけでみなさん ステキなクリスマスを!!  メリークリスマス!!

 

 

 

12月 23, 2010 音楽04-10 |

2010年12月19日 (日)

小澤征爾、カーネギーホールで奇跡の復活!! スタンデイングオベーション

小澤征爾、カーネギーホールで完全復活! 奇蹟のライヴが早くも1月に緊急リリース!
http://www.cdjournal.com/main/news/ozawa-seiji/35770

まさしく日本の誇る音楽家である。

私事だがまだ父親が健在だった頃、地元のパルテノン多摩大ホールで小沢征爾の新日フィルの演奏を聴きに行ったことがある。クラシック好きだった父親と今となってはいっしょにいった最後のコンサートとなってしまった。もっと良質なクラシック音楽のコンサートにいっしょに行けばよかったと今となっては後悔している。演奏曲目は確かヒンデミートの「画家マティス」があったように記憶しているがあとのプログラムは覚えていない。しかし十分に楽しめた演奏会だった。とかく「教科書通り」にしか演奏しない音楽家が多いクラシックの演奏家の中で、遊び心も加えた小沢の演奏はやはり一味も二味も違った。一流の演奏家というのはやはりそういうものだろう。

今回のカーネギーホールでブラームスの交響曲第一番を選んだというのは何かわかるような気がする。この曲はブラームスの中でも人生の転機となった作品で、「交響曲」に対する思い入れが人一倍強かったブラームスが満足しうるクオリテイの作品にするまで七転八倒した心境が現れている作品である。最後はベートーベンの「歓喜の歌」を思わせるテーマ曲で自分の中の大きな壁を越えることができた喜びを表現している。(そのためこの曲はベートーベンの第十番交響曲とも呼ばれるーいい意味でも悪い意味でも、だが)

癌という病気を克服という「壁」を乗り越えこれから新たな人生を力強く歩んでいく、という小沢征爾の決意の表れだと捉えたい。おそらくその思いもあって病みあがりにも関わらず力強い演奏だったことは想像に難くない。この演奏は是非聴いて見たい。

カーネギーホールは観客総立ちのスタンデイングオベーションだったという。自分に力を与えてくれる演奏かもしれない。

 

 

 

12月 19, 2010 音楽04-10 |

2010年12月 9日 (木)

ジョンレノン没後30年に思う

さて、今さら云うまでもなく30年前の1980年12月8日 ジョンレノンが凶弾に倒れた。日本時間で午後一時に当たる。昨日は恒例に武道館でオノヨーコ氏がライブをやっていたが、20世紀が生んだ偉大な音楽家の1人の音楽も頻繁にラジオ等でオンエアされている。

イマジンの例を出すまでもなく、自らの生命を賭して音楽を通して平和と愛を歌った彼だがあれから30年、世界は良くなっただろうか? 「良くなった」と答える人はたぶん少ないだろう。

ジョンレノン「不穏分子」としてCIAに日常的に監視されていたのは有名な話だが、あれから湾岸戦争、アフガニスタン、イラク戦争と世界から戦火が絶える事がない。そもそもアメリカを実質的に支配しているのは軍産複合体であり、それは大統領ですら逆らえないシステムになっている。つまりアメリカは表向きは民主制をとっているが実質的には軍事政権といってもいいくらい軍産複合体の支配は凄まじい。そしてそれに逆らえばケネデイのような末路が待っている。アメリカにはかつて20年の暗殺のジンクスーテカムセの呪い(テカムセののろい、Tecumseh's curse)というものがあり、第9代ウィリアム・H・ハリソンの肺炎による死去からロナルドレーガンの暗殺未遂まで続いた。なぜかブッシュのバカ息子に対しては何も起きなかったがこれは軍産複合体に守られてきたからだろうか? いずれにせよアメリカ主導の戦争はジョンレノンの時代から収まるどころか拡大する一方である。そして最近の北朝鮮や中国に絡む一連のできごとも同様だ。寧ろ我々日本は世界でも最も危険な地域に位置しているといってもいいかもしれない。

そして音楽産業、音楽文化の状態ーこれはかつてないほどの危機的な状況であることはこのブログでも何回も述べてきたので今さらいうまでもない。その危機の原因は音楽産業側が原因になっている面も多分にあるが、音楽をタダで勝手にコピーするのが当然の権利といわんばかりの輩がネットに多いという厳然たる事実も問題だ。こういう連中は音楽文化を尊重し、アーチストに敬意を表する態度が微塵も見られない。

インターネットは確かに便利なツールであるが、一方では中川さんがいうとおりバカと暇人や一部のIT起業家ITギーグが実質的にネットの言説、論壇を支配しているというマイナスの局面もある。(そして残念ながらこの傾向は強くなることはあっても、弱くなることはたぶんない) そして今までリアルの世界では接蝕しないで済んだバカと暇人一般の社会常識が通用しない輩社会性0の人間等と遭遇してしまい、「荒らし」等の面倒臭いことに時間を取らざるを得なくなってしまうことも度々あった。こういう連中にかける時間は時間の無駄であり極めて非生産的な時間である。最近はネットの便利な面よりこういった負の部分の要素が目立つ。特にここ一年くらいは

ジョンレノンイマジンの世界を単なる「理想主義」と片付けるのは簡単だ。だが我々は時代をよくしようという志を捨ててはならない。おそらくジョンが今の社会の現状を見たら頭を抱えてしまうだろうが、この現状から少しでもよい方向に持っていく努力を放棄したら人類には未来も希望もなくなってしまうからである。

 

 

 

 

12月 9, 2010 音楽04-10 |

2010年12月 1日 (水)

KAT-TUNのボーカロイド曲盗作騒動に見る制作体制の御粗末ぶり

KAT-TUNのオリコン1位の新曲がボーカロイド曲を盗作疑惑? 作者「うわっ…そっくりだ。ショックすぎる…」

http://getnews.jp/archives/87223

さて、有名曲の盗作騒動、というのは今に始まったことではない。しかし今までの多くは「メロデイのどこの部分とどこの部分が似ている」という程度のものであり、人の主観によって「何となく似ている、といえなくもない」というレベルだった。それで古くは服部克久氏と小林亜星氏の訴訟等もあった。(もっともこの泥仕合はJASRAC内部や作曲家団体の勢力争いという日本の音楽界のドロドロとした部分もからんでいたのは事実だーだから私は「作曲家協会」とか「作曲家評議会」とかの面倒くさいものには参加していない)

また「パクリ」という言葉がある。これはあるメロデイの「おいしいところ」を取り他のメロデイの「おいしいところ」と組み合わせる、ということでこれは正直よく行なわれている。賛否両論がある手法だが、この「コラージュ力」にはそれなりの創意工夫もある場合がある。名前はいえないがある大御所的作曲家は「自分の曲は「パクリ」の芸術だ」といってはばからない人もいる。

しかし次の例はそのいずれにもあてはまらない。正直ここまでひどい例は私もちょっと記憶がない。

まず、「盗作された」と主張している巡音ルカオリジナル DYEをお聴きいただこう

 

次にKAT-TUN NEVER x OVER ~「-」 IS YOUR PART~

わざわざ説明の必要はないと思う。

勿論実際巡音ルカオリジナル DYEの作者が告訴しないと「盗作」と法的には認定されない。またそのため作者は膨大な資料も用意しなくてはならないというハードルはあるが、それにしても制作の担当者がイントロまでほぼ同じ曲が存在している点を把握していないだけでそれはおおいに問題である。要はデイレクター連中が全然音楽を聴いていない、制作作業も他人任せ、という最近の業界の体質がこれを生んだ。

実はKAT-TUNのようなアーチストの曲は殆ど無数の作曲家のコンペから成り立っている。だいたいのケースは数百曲くらい集めるが、だいたいそんなに集めてまともに曲を聴いているか疑問だし、どういう基準で選んでいるのかもいつも不明確である。私は先日ある都合でやむを得ずコンペに曲を提出したが普通は原則としてコンペには参加しない。これはゴーストを強要される、という現実もあるし、何よりもそれを作るために作業的に無駄になる可能性の方が高い。

まあ普段はサラリーマンやっていて自分の曲が有名アーチストに採用されてヒットする、などという夢を追いかけたい人はそれでいいけど、我々みたいに仕事でやっている人間はそんなことをやっていた効率が悪すぎてとてもやっていけない。(なかには最初から「採用者」がいないコンペすら存在する)

何よりもこちらの曲を本当にきちんと聴いているか疑問だし、最後はスタッフ連中の単なる趣味で終わるケースの方が多い。何となく自分の曲が「弄ばれている」感じがするから私はコンペに参加しないのだ。今回はうちのアーチストのプロモーションの目的のためにあえて参加したが、結果は期待していないし、こういう特別な事情がない限り二度とやらない。

いずれにせよ何度も云うがここまでひどい例は私もちょっと記憶がない。「メジャー」の制作体勢の質はここまで落ちたか、といわざるを得ない。今「メジャー」の世界から優秀な人材、プロがどんどんいなくなっている。そのうちその辺りのシロウトよりひどくなるかもしれない。

 

 

12月 1, 2010 音楽04-10 |

2010年11月24日 (水)

訃報 深町純さん

作曲家でキーボーディストの深町純さんが11月22日に都内の自宅にて、大動脈解離による心嚢血腫のため64歳で逝去されました。

http://natalie.mu/music/news/41010

日本におけるシンセサイザーミュージックの先駆者的存在であり、大変尊敬していたキーボーディストでした。

ちなみにキリスト教徒だったんですね。
心からご冥福をお祈り申しあげます.。

 

 

 

11月 24, 2010 音楽04-10 |

2010年11月23日 (火)

歴史に残った音楽はいずれも芸術的にすばらしいだけでなく、大衆にも受けていた

私は以前芸術性と商業性(大衆性)の融合した音楽 という記事をこのブログに書いたがここで、改めて皆さんに聞いて見たいことがあります。次に主張をどう思われますか?

芸術的にすばらしい音楽は大衆がついていけないために商業的、興業的に成功したものはない。

特にクラシック音楽に関してはそのように考えている人が多いのではないでしょうか?

実はこれ、大きな間違いなのです。

モーツアルトは作品が認められず極貧のうちに死んだ、とかシューベルトは生前作品が殆ど演奏されることもなく悲惨な死を遂げた、とか

音大系の音楽史の先生が世間にばらまいた情報ですが、実は最近の研究でモーツアルトは実は大変な高給取りであったことがわかっています。

「近年の研究は、モーツアルトがウィーン時代をつうじて、かなりの高額所得者だったことを明らかにしている。ここではブラウンベーレンス(1986)が計
算した、各年の推定年収を挙げておこう。1781年<962フロリン>(962万円)、1782年<1526フロリン>、1783年<2250フロリ
ン>、1784年<1650フロリン>、1785年<1279フロリン>、1786年<756フロリン>、1787年<3216フロリン>、1788年
<1025フロリン>、1789年<2535フロリン>、1790年<1856フロリン>、1791年<3725フロリン>」(西川尚生「モーツアルト」音楽之友社・191頁)。

1フロリンは約1万円。35歳で病死した1791年でさえ<3925万円(!!)>というから物凄い。患者を2000人収容できるウィーン総合病院の院長の年俸は3000フロリンだった。モーツアルトはその上を行く高額所得者だったわけです。モーツアルトが極貧というイメージにこだわる人たちはモーツアルトの借金の記録が多いためで、この目的が何の借金だったのかについて論争があるのですが、近年の研究ではおそらく「オペラ」を上演する資金であった可能性が高いといわれています。

オペラというのはご存じのとおり金がかかります。映画を作るのと同じです。同じ総合芸術であるためと、晩年オーストリアがトルコとの戦争の戦費調達の関係でオペラ上演の資金が足りなかった、と考えればこの借金もつじつまが合います。

ベートーベンの作曲料は現在の金額で億単位のギャラをもらっていたこともわかっており、ワグナーにいたっては楽劇のために自らの給料も合わせて国家予算を破綻させるほどのものでした。つまり有名作曲家=極貧、というのは幻想に過ぎないということができます。

さて、話をポピュラーに戻しましょう。クラシック系の人たちはつい最近までポピュラー音楽=商業音楽、と決め付ける傾向がありましたが、(そういう面はない、とはいいませんけどね) 今我々がジャズスタンダードと呼んでいるものはかつてはアンダーグラウンドのクラブの音楽でした(映画;コットンクラブ参照) そして60-70年代のロックもアンダーグラウンドから時代を動かす音楽として強大なムーブメントを起したのは今ここで述べるまでもありません。そうした音楽はいまや「クラシックロック」といわれるようになりましたが、芸術性も高かった点と勿論興業的に大成功しました。

つまり歴史に残った音楽の殆どは芸術表現だけでなく、興業的(商業的)にも成功した音楽だったのです。

勿論作曲家の死後に作品の評価が上がったとか、時間によって作品の評価が変わった、という点があります。また少ないですが確かに20世紀の音楽で今我々が芸術表現として高く評価しているもので興業的に成功しなかったものもあります。そうした一例から「芸術性の高いクリエーター=貧乏」などというイメージが何となく一人歩きしていった、そんな気がします。

そうしていつの頃からか、芸術的価値の高さ、と商業的価値の高さ(=売れる音楽)というのが全く別の世界であるかのように考えられるようになってしまい、それが洋の東西を問わず現在の流れになっています。

私はこうした考えが今の音楽業界を衰退させた、と考えています。

これを打破するのは簡単ではありませんが、今考えている作品の中で少しでもそういう流れに戻せればとも思っています。

 

 

 

 

11月 23, 2010 音楽04-10 |

2010年10月14日 (木)

音楽屋はいまや1人何役が当たり前

最近、これから映画、劇伴関係の仕事を強化しようと考えている関係で映画館系、映像関係の人たちとのつきあいが増えている。今後もふえていくだろう。

さて、昨日も話したように現在大マジでCGの短編アニメ部門でのオスカーを狙うべく"Legend(伝説)"という作品を計画し、先日受賞した"Yama-Oni"はそのパイロット版(デモ版)でもあるわけですが、それですら脚本、CG映像制作、そして音楽(私ですが)の3人での作品になる。実際に本作品となるとCG映像は今回のパイロット版とは比較にならないほどの手間がかかるわけで、たぶんCG担当の中村さんにはかなりの人間のアシスタントがつけないどできないことになる。

また普通の実写映画はカメラさんはカメラ、照明さんは照明、メークさん、スタイリストさん当等と役割が決まっている、つまり映像とは絶対に1人では作れないものなのだ。よって分業制が成り立つしこれは絶対にくずれない。

これに比べると音楽は違う。特にDTM DAWの普及でクリエーターがサウンドエンジニアもプロデユーサーも兼ねることは珍しくない。サウンドエンジニアなど、最近はミキサーや録音機器の使い方だけでなく、デイレクションも兼ねられないとギャラが低く抑えられてしまう。そのためもう1人何役はもはや音楽の世界では当たり前になりつつある。自分なんかもう何役こなしているかわからないくらいだ。

特にこれからさらにコスト要求が厳しくなっていくから、もう作曲だけしかできない、エンジニア(オペレート)しかできない、というのは仕事を続けるのにしんどくなると思う。

大昔の作曲家は譜面さえ書ければよかった。しかし今譜面だけ書けたって何にもなりゃしない。サウンドも作ってプレゼンまでできないといけないし、当然録音技術等もある程度の知識が必要とされる。実際これから9割の仕事は自宅でのpro toolsの作業だろう。今ですら大半の仕事がそうだが,,

私などは上記+奥津恵のプロデユースマネージメントまでやっているんだから本当に何役こなしているのか、自分が本当に何屋なのか本当にわからない。いや、もうわからなくていいのかもしれない。

 

 

 

 

10月 14, 2010 音楽04-10 |

2010年9月29日 (水)

芸術性と商業性(大衆性)の融合した音楽

最近思うのだが、もともと私が音楽の道を志したのは「高い芸術性を持った音楽を創りたい」という思いからだった。勿論「音楽でもうけたい」などと考えなかったわけではないが、今でも自分の中にはそういったことを志向したい、というおもいがある。

しかし今自分がやっている仕事の内容を見ると愕然とする。

今音楽業界で「高い芸術性の音楽を」などといったら嘲笑と罵倒が待っている。そして音楽をあたかも百均で売る消耗品のように作り発売する。それが今の音楽業界の状況を作ってしまったといえる。

一般的にはこういうイメージはないが歴史に残る音楽の多くは実は「芸術性「商業性」の両面で成功している音楽である。モーツアルトは極貧の中で死んだというイメージが強いが実はかなりの年収を得ていたことが最近の資料でわかっているし、ベートーベンなどは現在の金額で億近い年収があったといわれる。例外といえるのはシューベルトだがそのシューベルトですら売春宿の常連だったというから、それなりに収入は得ていたわけだ。音大系の評論家は歴史に残る作曲家をどうしても極貧というイメージにしたいようだが、現実は違う。

今我々がスタンダードという名前の古典にしているジャズスタンダードナンバーにしても、60年代ー70年代ロックにしても興業的に成功したが「芸術性でも歴史に残る音楽であることはここでいうまでもない。

やはりいいものは当時から受け入れられそして現代にまで引き継がれている。勿論中には作曲家の死後に評価を受けたり、評価が変わったりというケースもある。しかしいずれも「芸術性「商業性(あるいは大衆性)」が融合した音楽であることは事実である。

これは日本に限ったことではないかもしれないが、そうした「芸術性「商業性」の両方の要素を入れることを忘れてしまったのが現在の音楽そのものの衰退の状況を生んでしまったのではあるまいか。

理想論と笑いたければ笑うがいい。だが私は自分の作品に「芸術性「商業性」の双方の要素が入っている音楽を創ろうと思う。それが音楽業界の再生につながるように思うからである。

 

 

 

9月 29, 2010 音楽04-10 |

2010年9月27日 (月)

向谷 実+中西圭三 の「音楽産地直送」

向谷実さんと中西圭三さんがUstreamで音楽制作の現場を公開し、リアルタイムでで楽曲を完成させていく姿をインターネットで配信する「音楽産地直送」の試みをするという。

TwitterとUstreamで曲が誕生、向谷 実氏が試みた「音楽産地直送」とは

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20100614/1032100/

 

音楽制作の現場をUstreamを通じて可視化することによって以下のことを行なうという。

      1. 向谷氏自らがUstreamを配信し、Twitterを通じて視聴者とともに放送を作っていく
      1. 中西氏をはじめ、プロジェクトに賛同したアーティストが続々と参加
      1. 打ち合わせなしの作曲現場をリアルタイムでUstream配信
      1. できあがった曲をMP3ファイルで無料配布し、視聴者から歌詞を公募
      1. リアルタイムで歌詞を修正。視聴者からのアイデアがそのまま生かされる。向谷氏いわく「見ている人全員がプロデューサー」
      1. ネット経由の同時演奏ソフト「NETDUETTO」(開発中)を使い、ギタリストの斉藤英夫氏がギターパートに参加
      1. 作成したデモテープをMP3ファイルとして無料配布
      1. アーティストが参加する本格的なスタジオ収録を実施
      1. セッティングからトラックダウンまで、スタジオ収録の3日間を丸ごとUstream配信
      1. パートごとにUstream配信。8つのチャンネルで同時中継するマルチUstreamストリームを実施
      1. Ustreamに詳しいゆすとら氏がマルチストリーム視聴のための専用Webサイトを開設
      1. 完成した楽曲はiTunesなどで直接販売され、シングルチャートの上位にランクイン
      1. JASRACなどの著作権管理団体を通さず自主配信。DRMをかけずに配信する
    1. ボーカルやギターなどが独立したトラックを別ファイルにしたパッケージを販売

このことに関して向谷さんがネット放送で詳細に述べています。詳細はAppleclipをご覧下さい。podcastingもできます。

http://campaign.otsuka-shokai.co.jp/appleclip/ac/no80.html

 

さて以前奥田民生がレコーデイング(宅録)を「公開する」コンサートを開くという記事を書いたが向谷さんはそれをUstreamで公開するということらしい。また随時twitterで進行状況もアップするらしい。

まあ前の記事でも書いたが、我々はレコーデイングの現場の人間なのでいうがレコーデイング作業というのはものすごく地味な作業である。知らない人が見れば時々「訳のわからない」作業に見えるだろうと思う。

ただこういうことで音楽制作の現場というものが一般の人に理解してもらえる、というのはいいことだと思う。これによって音楽というものは簡単にできるもんではない、ということが一般の人にわかってもらえればいい。
それでアーチストの権利というものを大事にしたい、という風に考えてもらうきっかけになれば、と思う。

さて、実は来月この件も踏まえて上記のネットラジオAppleclipの主宰者である佐藤さん主催の勉強会があるが、4年前に私が参加した「マーケテイング庵」というコミュニテイのイベントである。来月末になると思うがこれに関してまた報告しようと考えています。

 

 

 

 

 

 

9月 27, 2010 音楽04-10 |

2010年9月11日 (土)

訃報 谷啓さん

クレージーキャッツのメンバーでミュージシャン、俳優、コメデイアンとして活躍してきた谷啓さんが脳挫傷のため死去 78歳

訃報:谷啓さん死去78歳「クレージーキャッツ」メンバー

http://mainichi.jp/select/today/news/20100912k0000m040004000c.html?link_id=RAD01

「ガチョーン」というギャグのイメージが強いために意外に知られていないが少なくとも戦後のジャズシーンでは金管(トロンボーン、トランペット、コルネット)を吹かせたらおそらく日本で第一人者といっていい存在だった。

最近でも日本のトッププレーヤーに引けを取らない腕前だったと思う。

俳優としてもいい味出していたが、影で日本の金管奏者のレベルアップに多大に貢献してきた方である。

心からご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

 

9月 11, 2010 音楽04-10 |

2010年8月 8日 (日)

ステイービーワンダー

すでに報道されていますように、千葉マリンスタジアムで行なわれているサマーソニック出演のためステイービーワンダーが息子のムンタズを伴って来日しています。

S・ワンダー、息子と来日!サマソニ出演

http://www.sanspo.com/geino/news/100806/gnj1008060503008-n1.htm

このサマソニ 当ブログをよく読んでいただいている方はご存じのとおり弊社の「奥津恵」をMY Space 経由で投票で出演できるように皆さんにお願いした経緯がありますが、やはり組織票を膨大に持っているバンドが圧倒的に強く今年も「玉砕」してしまいました。(涙) 個人的には音楽の質よりも組織票が優先するというのは何か納得できないんですが、まあそれだけまだ力がない、ということでしょう。もしかしたらステイービーワンダーと同じステージに立っていたかもしれないのに..

それはさておき、ステイービーワンダーのような音楽のスーパースターが日本に来るというのはすばらしいことですし、音楽の体験がない若い人たちにも是非聞いて欲しいとは思いますが、来日の本当の目的はベストアルバム「ラヴ、ハーモニー&エタニティ」(Love and Harmony and Eternity) のプロモーションだそうです。

実はステイービー自身はこういうと嫌がるかもしれませんが、私はいまだにステイービーワンダーの最高傑作は「迷信」(Superstitious) だと思っています。

まだシーケンサーというものが珍しい時代に書かれた1972年の作、クラビネットシンセをシーケンサーで動かしたという当時の技術では最高水準のレコーデイング技術が駆使されています。そのせいか今聴いても全然古く感じません。寧ろ新鮮な感じすらします。

とかく「今風の音」とか流行り廃りの音作りにいきがちなんですが、40年近く前に作られた曲が今も古く感じない、というのはすごいことだと思います。いまでもあのキーボードのリフを聞いただけでノリますね。こういうのを本当に名曲といいます。

願わくはステイービーの曲をもっと若い人たちに聞いてその価値を理解して欲しいと思います。特に音楽なんてタダでしょう、なんていう人たちに

 

 



 

 

8月 8, 2010 音楽04-10 |

2010年8月 3日 (火)

音楽業界を去った人からのコメントをいただきました。

もう4年前に書いた記事なんですがいまだに当ブログの記事で一番のアクセスを稼いでいる記事

コラム「音楽業界の現状と将来、そしてある取るに足りない者からの業界への提言」(長文注意)
https://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2006/07/post_1324.html
現在は http://www.kyojiohno.com/column_archive1.htm に移動

この記事に関して元音楽業界人だった方からコメントをいただきました。コメントはご本人の了解の上、上記の記事に公開いたしました。実は当ブログは幸いなことに炎上はしていませんが、コメント覧で執拗なスパム攻撃にさらされたことが何回かあり、そのため現在多くの記事でコメントを書くことができないようになっています。しかし今回のように直接メールをいただければ内容のあるものであれば公開したいと思っております。

さて上記の記事は大変コメントが多いので、見てもわかりにくいでしょうからこの記事で改めて公開します。ハンドル名「コロン」さんとして公開しております。長文ですが全文公開しています。

初めまして。コラム「音楽業界の現状と将来・・」を読ませて頂きメッセージをお送ることに致しました。多少長いのですが何卒ご容赦下さい。

コラムは面白い視点で書かれていたと存じます。

私も20年間程音楽業界におり、2002年に業界を去り、現在は衛星放送関係で韓国ドラマを扱う仕事をしております。

ここ15年のCD市場の低迷は元業界人として憂いの現象でございます。それ故現役の業界人がどのように考えているのかは非常に興味深い所でした。

特に大野さんが指摘していいた「アーチストも含め全員がスタッフである」という提議はその通りだと思います。

音楽ビジネスの様態が様変わりし、嘗てのようにアーチストが自身のビジョンだけを全面に押し出してやって行ける時代ではなくなったのだということだと解釈致しました。つまりアーチストは以前よりも周囲との連携性に格段の配慮がないと、自滅するだけでなく、チームの存亡を危うくしかねないという意味です。

アーチストの中には“そういうのはアーチストのやることじゃない!”という人もいるかもしれませんが、そうであれば彼らは他人を巻き込まず、趣味で音楽をやるべきだとも言えます。

音楽ビジネスをする上で、アーチストは、ビジネスチームの一員としての自覚を持ち、もはや上位概念に君臨する訳ではないということだとも言えます。

現代の音楽ビジネスは、音楽制作、宣伝、販促、興行においてチームによる緻密な連携体制を求められる時代なのでしょう。

アーチスト、スタッフ双方の連携と自覚が嘗て無いほど重要であるとも言えます。私の時代、アーチストは神であり、彼らのクリエイティブに触れる事は一部の人間を除いて論外でしたが、もはやそうも言っていられない時代のようです。本当にそれが良いかは議論が分かれる所でしょうが・・。

さて、昨今のレコード業界はテレビ業界と似ていて、市場のない所にモノを(テレビ局なら見ない番組を作って)投下しているように思えます。

こうした行為の累積で次世代の市場を育てるために必要な文化的積み上げを蔑ろにしていたため、ユーザーからそっぽを向かれているのが現在なのだと思います。

特にレコード会社の方々は、相変わらず夜な夜なアーチストたちと無駄な飲み食い行為を続けているようで、それを仕事の1つだとうそぶいております。実際嘗ての私もそうした経験がある訳ですが、冷静に考えてみると、飲ませて食わせる事でアーチストを多少管理しやすくするため以外に役立った事はほとんどありませんでした。酔っ払った席で出くるアイデアは、翌日になって考えると殆どが使えませんでしたし・・。

結局こうした無駄も必要経費なんだと見なされた古い体質が、現在のレコード業界低迷の遠因になのかもしれません。アーチストたちも、その飲み食いの経費を結局は自分達の活動等で償却しなければならない義務を負っているという現実にそろそろ気がつくべきでしょう。

いずれにしても「タダ」というものはないという当たり前の事実は普遍なのですから。余分な飲み食いに使うならクリエイティブに予算を割くべきなのは言うまでもありません。現在ではアーチストの不確実なクリエイティブに大量な資金投資出来る時代でもありません。

アーチストはクリエイティブのためなら何でも犠牲に出来ると考えているフシがありますが、それを可能にするためには実績が伴わなくてはなりません。

鶏と卵の世界で難しいですが、当初においてある程度の制約がつくのは致し方ないでしょう。

大野さんのコラムに「昨今のメーカーには、ディレクターが音楽を知らなくても良い風潮がある」ということですが、こうした音楽産業内の「劣化」が累積して現在のユーザーに悪影響を与えているのだと思います。

昨今のユーザーは、昔よりもかなり情報をもっており、メーカーの販売戦略を見ぬいているため、小賢しいやり方は通用しなくなっておりますし、音楽面についても同様です。

また経産省の音楽ビジネスに関するレポートを読んでも、レコード会社は現状のビジネスモデルの延長線上にしか未来を見ていないようでもあります。

昨今のK-POPアーチストの台頭を見ても、既に日本のアーチストはこうしたアジア勢との競争を余儀なくされており、既にそうした面においても体制を整えないとならない時代が来ている事にどの位のJ-POP関係者が気づいているのかは疑問であります。

音楽が無くなる事はないですし、音楽ビジネスも無くなる事はないと思っておりますが、未来に向かって音楽ビジネスを継続させるためには、過去の経験則を捨てる位の覚悟が業界各位に求められそうです。

しかしその要点はシンプルで「お代を頂戴するためにはそれだけの芸が必要」ということでしょう。
勝手な事ばかり書き申し訳ございませんでした。それでは失礼致します。

あとでこのコメントの書かれた方とコンタクトを取りましたが、かつては超有名アーチストの関係の仕事をされており、業界の第一線で活躍された方であることがわかりました。このようにかつてはプロデユーサーとして、デイレクターとして極めて優秀な方が今は殆どが業界の外に出て行ってしまった。従って業界のノウハウや音楽業界人としての心得といった部分を伝える人材が殆ど残っておらず、それが業界の衰退にますます拍車をかけているという実態があります。

この記事を書いた4年前での音楽業界関係の反応は私の周囲を除いては殆どが否定的な反応でなかには脅迫めいたメールも何通かもらいました。結局業界の主だった面々から殆ど聞く耳をもたれることなく進み、必然的にこの記事を書いた4年前よりかなりひどい状態になりました。それはわざわざ私がここで述べる必要などもはやないと思います。

このコメントを書いた「コロン」さんは「体質的に改善が難しい業界なので沈没するまで(何の改革も)実行出来ないと思われます。と諦めムードにおっしゃっていましたが、残念ながら私も同感せざるを得ません。もうここまで来たらもう業界は崩壊するでしょうし、その方がかえっていいかもしれないとすら思っています。

最後に「コロン」さんは私の意見に同意された上で以下のようなことをおっしゃっておられました。

私もある意味で音楽業界は一度整理された方が良いと思ってます。現場の方々には大変な事態なのでしょうが、旧来のやり方を見直す良いチャンスでしょう。これはアーティスト、スタッフ双方に言える事です。それによる副作用で多様性や突然変異の才能を失う可能性も高いですが、それでも出てくる人は出てくるでしょう。売れないからダメな音楽はないのですが、生業にするなら売るためも施策を徹底して行う必要があるというシンプルな原理をもう一度考えるべき時期なのでしょう。

私は業界で「優秀だ」と思っていた音楽プロデユーサーの殆どが今は業界を去っています。この「コロン」さんのような方が業界を去った、去らざるを得なかったのは音楽業界にとって損失であり、結果的に業界が自分で自分の首を絞めることになってしまったでしょう。

今年はまだまだカタストロフィックなことが起きるでしょう。とにかくもう腹はくくったほうがいいと思います。

 

 

 

 

 

 

8月 3, 2010 音楽04-10 |

2010年7月11日 (日)

武満徹は現代音楽の作曲家というよりは本質的には映像音楽の作曲家ではないだろうか

さて、今地上波の番組はどの局も参議院選挙の選挙結果、勿論これはそれなりに大事ですが、全ての局が同じ番組だとさすがにげんなりしますね。
まあどうやら衆議院、参議院のねじれ現象は寧ろ拡大する見通しのようですね。個人的には庄野真代さんにはがんばっていただきたいですが....

さて、さすがにずーっと選挙番組ばかり見ていると飽きてきましたので珍しくN響アワーで武満徹の特集をやっていたので見てしまいました。

私は以前「現代音楽」に関わっていた時代が少しあったのですが、そのきっかけを作ったのはこの武満徹さんの音楽でした。はじめて武満の音楽を聴いたのはNHKスペシャルの「未来への遺産」という番組で武満さんが音楽を担当していたんですが、その音楽が今まで聴いたことのない音楽に感じました。響きが古代の雅楽のようでもあり、中近東の音楽のようでもあり、西洋音楽のようでもある。本当に「どこの国の音楽かわからない、今まで聴いたこともない音楽」だったのです。それをきっかけにノベンバーステップスカトレーンといった作品だけでなく、「怪談」(小林正樹監督)や「心中天網島」(篠田正浩監督)などの映画音楽にも惹かれていきました。

この「未来への遺産」は武満さんの作品ではマイナーな作品というか、あまり語られることがないんですが、この作品のおかげで現代音楽からミニマリズムジョンケージブライアンイーノという方向に「道をはずした」わけです。(笑)

まあプロになってから、商業音楽とかやっていてからあまりこうした種類の音楽の影響が影を潜めていましたが、決してこの方向から足を洗ったわけではありません。そんなわけでいつのまにか聞き入ってしまいました。

僕はポピュラー肌の人間だけど武満の音楽は映像や映画音楽から入っていきましたので、結構影響は受けました。映画音楽もやっているので武満の音楽にはかなり参考になります。武満さんの音楽の最大の特徴は弦楽器独特の包み込みようなハーモニー(これをテクスチュアと呼びます)で、これがなんともいえない雰囲気を作りあげます。

武満徹というのは作曲家でありながら殆ど演奏技術を持ち合わせていない人でした。音楽教育自体も殆どまともに受けていません。なのにこれほど複雑でアトナールでありながらどこか調性を感じさせる音のテクスチュア、これは何なんだろう?、と思います。

作品は殆ど基本的にはクラシックベースの「現代音楽」なんですけど、ジャズやポップスもそれなりに研究していたようです。
それが他の
「現代音楽」 の作曲家と違うところ。だから音楽は決して親しみやすいとはいえませんが、どこか心地よい響きに聞こえるから不思議ですね。

武満さんの映画音楽、劇伴音楽は単なるBGMに終わっていることは殆どありません。音楽も映像の中で「登場人物」のような役割を果たしています。武満さんの音楽がないとその映画、映像が生きません。しかし決して出しゃばっているわけではありません。

要は武満徹という人は結果的に「現代音楽」の作曲家といわれるけど基本的には映像音楽の作曲家ではないかと思います。僕もVPのような商業音楽からCM,劇伴とやっていた関係でどこか自分でも入って行きやすい部分があるのかもしれません。他の「現代音楽」の作曲家にはなかなかこういうのを感じません。

日本人が世界に誇れる数少ない作曲家の1人ということができます。特に映画音楽では伊福部昭先生とならぶ存在といっていいです。確かに中にはちょっと古い感じのする曲もありますが、映像音楽という観点ではやはり私にとっての「教科書」になりますね。

 

 

 

 

7月 11, 2010 音楽04-10 |

2010年6月 7日 (月)

渋谷系(!?)の終焉ーHMV渋谷店8月閉店

“渋谷系”の聖地、「HMV渋谷」が8月中旬で閉店

http://life.oricon.co.jp/76976/

「タイトル」ではこう書いたが(!?)の文字がついているのは、そもそも「渋谷系」なんて言葉もレコード会社が勝手にキャッチフレーズとして出していただけであって、その定義は非常に曖昧なためである。一応ヒップホップベース系だという人もいるが、小山田さんの「フリッパーズギター」などはアコーステ
イックだったりもするので、それは正しくない。結論からいって別に特定の音楽スタイルをさしていたわけではない。何となくイメージ(一応「おしゃれ」?)のみでそういっていたに
過ぎない。

そしてそもそもその「渋谷系」というものもここ数年は殆ど「死に体」である。

なぜみんなCDショップに行かなくなったか?

答えは簡単だ。行っても楽しくないからである。HMV渋谷J-WAVEのサテライトスタジオもあったので、まだアーチストとかに出会えるという
意味では他のCDショップよりはマシかもしれないが、品揃えをよく見ると近くのTowerとか、あるいは他のCDショップと殆ど変わらない。

コーナーに展示されているアーチストのCDも他のCDショップがコーナーに置いてある物と同じ。行っても何の新鮮味もない。捜しているCDを問い合わせても店員の応対もつっけんどん、ロクに調べもせず「わかりません」「ありません」なんていう答えが返ってくることが多い。

時々「てめえ、やる気あんのかよ」といいたくなる時も少なくない。

こんなことをいうと「昔がよかった論者」とか「オヤジのぼやき」とかいう人がいるだろうが、昔「レコード店」というのは新しい音楽を「発見する」 場所だった。新宿の「デイスクユニオン」では店長おススメのレコードを自らかけてくれて新たな音楽の発見にワクワクする経験があった。しかしいつの頃からか、こういう経験をする場所は殆どなくなってしまった。

音楽に関する新鮮な体験を提供できない、どこにいっても同じ品そろえ、店内で流れている音楽も同じようなもの、店員も何かやる気がない、-こんな
感じだからどこのCDショップも今閑古鳥が鳴いている。こんな店に行って楽しいはずなんかない。


何度もいうが今年は音楽業界が壊滅的な状況になるだろう、と予測している。レコードメーカーとCDショップという「運命共同体」が崩壊、さらにすでに頼みの綱であった配信ですら成熟すらしないで衰退し始めている。こんな中でのサバイバルが起きるだろう。

HMVはTSUTAYAに既に買収されたが、はっきりいってTSUTAYAとて安泰ではない。何といっても利益の元であるメーカーの販促費がもう
出ないのだから...


CDショップが今まで通りの営業方針にこだわる限りこの傾向は続く。どうせこのまま何もしなくても滅亡するのなら、いっそのこと一か八かで思い切って発想を変えた戦略を打ち出してみてはどうだろうか? このまま何もしないで沈没するのを待つか。それとも起死回生を狙った「何か」をするか? 私なら後者を選ぶ

そういう前向きの発想ができる人間は業界にもういないのだろうか?

 

 

 

 

6月 7, 2010 音楽04-10 | | コメント (0)

2010年5月17日 (月)

20代の男女における「歌詞」の意識の差

私の友人で大学の准教授をしている方がとても興味深いアンケートを集計しましたのでこちらでお知らせします。テーマは「歌詞について」で以下の2つの質問に関してのアンケートを20代の男女に対して行なったものです。

『問1』 歌詞を意識的に聞くことはありますか?

『問2』 選曲の際に歌詞の内容を基準にすることはありますか?

結果は以下のとおりです。

 

Lyriconquestion_4

 

データの発表ページ
http://itolab.ito.is.ocha.ac.jp/~itot/log.html

以前から女性は男性よりも歌詞を重要視するということは前々からいわれていたけどそれを実証するデータが出たように思いますね。 私などはクラシック、やジャズ、プログレッシヴロックなどを中心に聴いてきた世代なのでやはり、歌詞よりはサウンドそのものを重視する傾向があります。決して歌詞を重視していないわけではないんですが、やはり音楽を選ぶときにはまず音創り、サウンドやメロデイー(フレーズ or リフ)で選びますね。

ちなみに私も時々作詞をすることがありますが、いわゆる女性が女性の気持ちを歌った歌詞とか、そういう「体験を同化」させるタイプの詞というのは苦手で、どちらかというと「言葉遊び的」な歌詞が好きですね。作詞家でいうと森雪之承さんみたいなタイプですかね。究極の形だと谷川俊太郎さんの「ことばあそびうた」が好きです。

まあこのアンケートは「博士前期2年の学生の研究で、

歌詞の内容を考慮して楽曲を可視化する
というテーマの一環で実施したアンケート」
で本研究にする前段階ですが、伊藤准教授もここで書いているようにデータが20代と偏っているために30代以降を入れるとどうなるのか、というのも興味がありますし、私的にはもっと掘り下げて「なぜ男女で歌詞に対しての意識にこれだけの差が出てくるのか」という面まで研究していただけるととても面白いと思います。

いずれにせよ我々音楽で仕事をしている人間にとっては非常に興味ある研究データといっていいと思います。この研究の続きの発表があることに期待します。

 

 

 

 

5月 17, 2010 音楽04-10 |

2010年4月19日 (月)

新星堂もついに大幅リストラー社員4割の退職募集、給与3割カット 

社員4割の退職募集、給与3割カット CD販売の新星堂
http://www.asahi.com/business/update/0416/TKY201004160537.html

もう土曜日の記事だが、先日のHMVのTsutayaの買収のニュースは記憶に新しいが、ついに国内で最も多くの店舗数を展開している新星堂も大幅リストラを発表。全社員の4割に当たる185人の希望退職を募集すると発表した。残る社員についても月額基本給の平均3割カット。経営責任を明確にするため砂田浩孝社長の月額報酬を65%カットするなど、役員報酬も減額する。

昨今のデータから見て音楽配信が出たからCDが売れなくなった、というのはどうも違う可能性がある。昨年までのデータを見ると一見そのように見えるが実態はどうも違う。だからここではあえてそういう話にしない。なぜならCDも販売減だが同時に音楽配信も頭打ち。

おそらく今年はこういうニュースが増えると思うが、だが一方ではAmazonの売上が伸びていることを考えると必ずしも「音楽」の需要が落ちているとは決して思わない。

やはり昨日の記事でも書いたように「売れセン」のものだけを置いてどこのCD店も「同じような」商品しかそろえていない、CDショップに行っても楽しくないということが大きいのではないだろうか? 

それにCDショップ側も今まだメジャーメーカーの販促費でかなりの利益を出してきたという体質もある。しかしもうメジャーメーカー、販促費すら満足に出せなくなっている状況である。それをあてにしていたレコード店には壊滅的な打撃を与えるだろう。

今年の音楽業界のカタストロフィ、まだまだ始まったばかりである。

 

 

 

 

 

4月 19, 2010 音楽04-10 |

2010年4月 6日 (火)

とんでもない昔の仕事で私の名前がwikiに載っていた。

実は最近気づいたんだけど私の昔の仕事で私の名前がwikipedia.に載っていることがわかった。年がわかっちゃうけどもう四半世紀の前の仕事。当時
はある制作会社のサウンドクリエーターとして働いていた。

その仕事は「富士急ハイランド」のホラー館である"ショック119" そして一年後には"スリラー館”の仕事も行なった。

当時はまだペーペーといってよく、ちょうど当時の東芝EMIからあるバンドのキーボードとしてメジャーデビューするかどうかの矢先だった。メチャクチャ忙しかったのだが、そんな中での仕事。どうせやるのならとにかく「メチャクチャ恐い音を創ろう」ということでさまざまな実験的なサウンドに取り組んだ。「癒し系」というイメージが強い私だが実はこういうホラー系のサウンドを作るのも結構得意だったりしている。(実はかなりこういう音創るのが好きだったりする(^^))

別に不思議なことではない。要はホラーは癒しの逆をやればいいだけのことである。だから「癒しサウンド」が得意な私がホラーサウンドが得意というのは寧ろ自然なことだろうと思う。

実は富士急ハイランドは割りと縁がある。10年前に行なった「戦慄の閉鎖病棟」のショートフィルムと館内の展示映像の音楽も富士急ハイランドの仕事だった。しかし"ショック119"は今でもファンの方の中では「メチャクチャ恐かった」お化け屋敷として記憶されているらしい。結構スプラッター系で救急隊員が電気のこぎりで襲いかかる、といった内容だったように記憶している。

詳しくは富士急ハイランドの「過去の施設」の中のショック119の項をご覧下さい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E6%80%A5%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89

  

* 恐怖のスリラー館(1986年 - 1995年?月)

   
2人乗りの車椅子を模った乗り物で館内を巡るスリラーハウス。ショック110とショック119の二種類がある。外観は宝箱に剣が突き刺さった形であった。
ショック119では交通事故の恐怖を、ショック119では恐怖の人体実験の様子を体験できた。ショック119のBGMは作曲家の大野恭史氏が作成した。

それにしても私ごときの四半世紀も前の仕事を一体誰が覚えていてくれたんだろう?

http://www.hybridmusic.jp/sounddesign.htm

 

 

 

 

4月 6, 2010 音楽04-10 | | コメント (0)

2010年2月27日 (土)

地元のコミュニテイFM(FM多摩G-wind)が3月末日で閉局

私の住んでいる多摩市にはコミュニテイFMであるFM多摩G-Windがあります。
http://www.fmtama.co.jp/

東京都下では最初にできたコミュニテイFMで私の記憶が確かなら首都圏でもFM湘南に続いて二番目にできたコミュニテイFM 、まあコミュニテイFMの中では老舗といっていいでしょう。(といっても開局は平成七年ですから十五年弱ですけどね) 先日そのFM多摩G-Windが2010年3月末日を持って閉局することが発表されました。

このFM多摩G-Windは多摩市だけでなく、日野市、稲城市、国立市、府中市の全域をカバーし八王子市の市街地部分もカバーする等コミュニテイFMとしてはかなり電波受診域も広く(潜在視聴者は100万人を超えます)、3つの自治体と防災協定も結んでいました。もともとコミュニテイFMは阪神大震災の折に地元密着のラジオが大きな役割を果たしたことと、FM放送電波に関する規制緩和から全国に次々と誕生したのですが、殆どが第三セクターです。

しかし昨今の不況による広告費の売上減、さらに自治体の財政事情の悪化などが背景にあるようです。FM多摩G-Windの場合放送設備の老朽化によるトラブルも発生しており、設備の更新を自治体の申請しても自治体の支援が得られなかった、ということが大きな背景にあります。

FM多摩の解散理由書
http://www.fmtama.co.jp/look/info/riyusho.htm

実はもっと裏事情をいいますと、多摩市の市議会も民主党が多数をとっていますがそれに伴い市の財政支出に関する「仕分け(この言葉一時流行りましたが覚えてますか?)」が行なわれそれに伴いFM多摩G-Windに対する支援が大幅に減額された背景があります。防災協定の予算が精一杯のようでとても機材入れ替えの予算の支援など頼める状況ではなかったんですね。

それにもまして最も大きな問題はコミュニテイFM聴取率です。何度もこのデータを引用しますが2008年の10月度のビデオリサーチによるラジオ聴取率を見ると殆どのコミュニテイFMの聴取率0.1%に過ぎないのです実際いまだに地元に住んでいる人でFM多摩G-WindというコミュニテイFMがあったことを知らない人がまだかなりの数いると思います。
私もコミュニテイFMの番組を制作した経験がありますが、実際聴いている人がどれだけいるのか疑問でした。なぜなら全く視聴者からの反応を感じなかったからです。それに引き換え今運営しているネットラジオ「癒しの音楽チャンネル」の方がまだ多くはないですがリアクションを感じますね。今日現在4万6千人podcast登録者ネットラジオですがプロモーション能力は充分ではないにせよ、少なくとも大半のコミュニテイFMよりは多くの人に聞かれているのではないか、と感じます。

まあそれでも音楽業界人の大半はネットラジオというと馬鹿にしますけどね。ネットラジオよりコミュニテイFMの方が有効なプロモーションだと本気で思っている人が殆どです。無知というのは恐ろしいです。

FM多摩G-WindコミュニテイFMの中では大きい方だといっていいと思います。それが3月末日をもって閉局に追い込まれました。残念ながら今後こういうケースは増えてくると思っています。全国235局にコミュニテイFMが今ありますがここ数年以内に半分以下になるという予測もあります。リーマンショック以来の広告収入の落ち込み、自治体の支援力の低下がコミュニテイFMの経営を脅かしているといっていいようです

 

 

 

2月 27, 2010 音楽04-10 | | コメント (0)

2010年2月16日 (火)

アビイ・ロード・スタジオ売却ー海外音楽業界も苦しい

アビイ・ロード・スタジオ売却へ=ビートルズゆかり-英紙

http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=int_30&k=2010021600744

Abbey Roadビートルズの数々の名曲のレコーデイングしたところで有名だし、それ以外にも多くの歴史を作ったバンドがここでレコーデイングを行なった。かつての名プロデューサーのステイーブマーチンの本拠地だったところである。

その数々の歴史を作ったスタジオ、音楽史の中では「史跡」といってもいいところを売却しなければならないほどEMIの経営状態は悪い。実は日本のレコード産業よりも欧米のレコード産業の方が深刻な状況である。日本もひどい状態といわれている割には会社組織は一応まだ残っているが、欧米はEMIもワーナーも会社の存続が危ぶまれるほどひどい状態だ。さらに仮にAbbey Road売却による利益を得てもはっきりいって一時しのぎに過ぎない。

日本も着うた等の不正コピーが有料配信数を大きく上まっているが、海外はパソコン環境上での不正コピーがすさまじい。はっきりいって日本などまだいいほうである。

これは笑えないジョークだが

 グローバリズムで全世界が「アメリカ化」したが、権利や著作権に限って云えば全世界が「中国化」している。

デジタルは誰でも簡単にコピーができる。だからこそコンプライアンスが重要なのだが、勝手にコピー、不正にコピーをするのを当然の権利であるかのように考える風潮が権利ビジネスを蝕んでいるのは間違いない。

それによって音楽の「史跡」がどんどんなくなってしまうとしたら、これは音楽文化にとって非常に不幸なことである。

 

 

 

 

2月 16, 2010 音楽04-10 | | コメント (0)

2010年2月12日 (金)

奥田民生がレコーデイング(宅録)を「公開する」コンサート(!?)を開催

奥田民生が宅録風景を公開!異例ツアー開催決定
http://fmvs.jp/news/music/log/eid3219.html

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0207&f=entertainment_0207_004.shtml

奥田民生さん(44)が3月からスタートする全国ツアーで、新曲の制作、演奏、録音をライブ会場で行い、出来上がった楽曲を即販売するという異例のレコーディングライブを行うことを発表した。奥田さんの日ごろの自宅レコーディング風景が見られる濃厚な3時間となりそうだ。

 ツアーは、3月15日・DUO MUSIC EXCHANGE(東京)から始まり、全国9公演を行う予定。所属レーベルから寄せられたツアー日程を記した発表文では「開催日」を「録音日」、「ライブ会場」を「録音場所」と改めているところもユニークだ。


 ライブでは、通常のコンサートと異なり、奥田さんが普段レコーディングを行っているという自宅スタジオの雰囲気に包まれそうだ。演奏演目は1日1曲となるが、その場で新曲を制作し、ドラム、ベース、ギターから歌・コーラスに至るまで全てのパートを手掛ける。ゼロからスタートして1曲が完成するまで、全ての工程を現在進行形でオーディエンスに提供するというわけだ。当日出来上がった楽曲は、準備が整い次第、デジタル配信限定で発売される。

<後略>  

奥田民生が自分でレコーデイングする風景を「公開する」というツアーをやるという

断っておくが「レコーデイング」「コンサート」は一見同じに思う人もいるかもしれないが全く違う行為である。宅録、DTMによる作業は特にそうだ。

我々はレコーデイングというものがどういう作業かわかっているのでいうが、本当に両者は根本的に違う作業である。はっきりいってレコーデイング作業というのはものすごく地味な作業である。

だから知らない人もいるだろうからいうけど、これをツアーにするからといってコンサートのような盛り上がりを期待したら全く拍子抜けになるだろう。特に宅録でリズムセクションだけを録音している場合はタイコ等のリズムセクションしか聞こえないから、一般の人には「訳のわからない」作業に見えるかもしれない。

だが、それでもこれによって音楽というものは簡単にできるもんではない、ということが一般の人にわかってもらえればいい。
それでアーチストの権利というものを大事にしたい、という風に考えてもらうきっかけになれば、と思う。

何かアーチストの権利、著作権の権利を守れ、というのをあたかも既得権益を守るかのように勘違いする人間が後を絶たない。音楽や映像は「簡単にできるもの」と考えているとしか思えない人も多い。

そういう人に見て欲しいツアーかもしれない。

 

 

 

 

 

2月 12, 2010 音楽04-10 | | コメント (0)

2010年2月 8日 (月)

The Who @ Super Bowl XLIV

今年のスーパーボールのハーフタイムショー

久々にダルトリータウンゼントを映像で見ることができたのはよかったけど

現地からの中継がなぜか映像と音楽がずれていて頭に来た。

音楽より映像の方が遅れていて、せっかく派手なステージ演出だったのに見ていてだんだん気持ち悪くなった。

何これ?

ゲーム中は普通に放送しているのに、

このスーパーボールはイギリスにも放送されているが、たぶん苦情が殺到しているだろう。

音楽の伝送過程の遅延はそれほどでもなく、映像の方がすごいのだろうがちょっとひどい

(逆ならわかるのだが...)

最後のWon't get fooled again の時はもうメチャクチャ  あークソー

あと、これは予想だが会場の音響、かなり音が回ってメチャクチャだっただろうな、という予想がある。だいたい出だしのところはドラムのビートが減
衰しないデイレイを聴いているようで気持ち悪かった、

タウンゼントの老けぶりが目立っただけのハーフタイムショー

散々だった(涙)

ちなみに試合自体はいい試合をしている。第三クオーター終了時点でコルツが17-16でリード。まだまだわからない。

 

 

 

 

 

最終的にはセインツが第四クオーターで逆転勝ち。
それにしても後半いきなりオンサイドキック、なんて聞いたことがない。
奇策といっていいだろう

2月 8, 2010 音楽04-10 | | コメント (0)

2010年2月 1日 (月)

第五十二回グラミー賞(2010年)について

たとえ仕事が忙しくてもこれだけは可能な限り見ることにしている。別にグローバリズムを持ち出すつもりはないけど(ていうか安易にグローバリズムとか持ち出す連中は嫌いだが)、インターネットで世界じゅう繋がっているというのに日本国内だけのマーケットしか見ようとしない日本の音楽業界も問題だと思うので.. 

第五十二回グラミーの主な受賞者は以下の通り。グラミー自体の部門の数はとんでもなくあるので詳細はこちらをご覧下さい。
http://www.grammy.com/nominees

 

最優秀アルバム   :  Taylor Swift   :  Fearless

最優秀レコード     :    Kings of Leon  : Use Somebody

最優秀ソング     :  Single Ladies (Put A Ring On It) :ビヨンセ

最優秀新人アーチスト:  Zac Brown Band

最優秀女性ボーカル :  ビヨンセ

最優秀男性ボーカル :  Jason Mraz

グラミーはご存じの通り音楽のアカデミーメンバー(業界関係者)の投票によって決まるが比較的公正に投票が決まっていると感じるのは投票結果が必ずしもアルバムセールス(あるいは配信セールス)と関係しているわけではないからだ。
音楽業界が不審なのは日本だけでなく全世界的な現象だ。はっきりいって日本の違法ダウンロード状況は欧米のそれに比べればまだいいほうで、日本は着うたの違法ダウンロードが深刻だが(有料配信の数を上回る)、欧米はPCwebの違法ダウンロードが圧倒的にに多い。(これは欧米は日本と比べモバイル環境がBlackberry等で殆どPC環境に近いいう理由もある。) グローバリズムは全世界を「アメリカ化」するという観点があるがこと著作権、版権に関しては全世界が「中国化」しているかもしれないwww。
グラミーのCEOのニールポルトノウ氏はミュージシャンが協力しあって、音楽業界の復活再生を担おうと呼び掛けた。 
http://www.grammy.com/news/neil-portnows-52nd-grammy-telecast-remarks

グラミーはLady Gagaとエルトンジョンの競演から始まり、例によって見事な演出だったがやはり昨年急逝したマイケルジャクソンへのトリビュートは一見の価値がある。またエレキギターのレスポールへのトリビュートではジェフベックが演奏した。ちなみにジェフベックのパフォーマンスのあとにプレゼンターでサンタナが出たのだが、どうせならジェフベックといっしょに演奏してくれればいいのに、と思ったのは私だけだろうか? それにしてもアメリカでも最近ジェフベックを知らない若い子が増えているらしい 

例のポストモダン論者は「共同体」というものが全世界的に崩壊し、本物の音楽を始めとする文化の価値がなくなっていくと主張している。アメリカでも都市部分ではそういった傾向があるが、しかし日本と決定的な違いがあるのは、アメリカの白人層、黒人層ともに生活に音楽が密接に関わっている点である。

日本は沖縄地方を除き明治以来、「日本古来の伝統」というものを実質捨て去っているため生活の中に根ざした文化というものの実態がない。そのため「本物」という概念が元々希薄であるが、アメリカの白人層はカントリー 黒人層はゴスペルというベーシックな文化ファンダメンタルズ、ー私はこれをエッセンスと読んでいるがーがあるため少なくとも日本などと比べれば本物の音楽を始めとする文化の価値は落ちていないという印象がある

グラミーのトリビュートや数々の功労賞(今年はニールヤングももらった)を見ても音楽を単なる消費財ではなく「文化」として尊重しようという姿勢が見られる。日本のレコ大賞関係者を始め日本人全体が忘れてしまっている姿勢だ。

このまま音楽を単なる消費財であるかのようにマスコミも音楽業界も扱い続けているとアメリカの音楽文化は存続していても日本の音楽文化は消滅してしまうかもしれない。 勿論私はそうならないよう誰よりも願っている人間だが...

 

 

 

 

 

2月 1, 2010 音楽04-10 | | コメント (0)

2010年1月22日 (金)

音楽業界の改革の予感?ーCDショップ大賞

昨日は自分のイベントとかがあったのでコメントが遅れてしまいましたが、昨日全国のCDショップの投票によってアーチストを選ぶCDショップ大賞の発表が行なわれました。

http://www.cdshop-kumiai.jp/cdshop-taisho/

詳しい受賞者は上記のリンクを見ていただくとして、今まで既存の「日本レコード大賞」を始めとする賞自体はそれを受賞することによってCDの売上に貢献する、ということはなく逆にある意味で音楽事務所の政治力もからみ「音楽ユーザー」から離れている部分があるのは否めませんでした。このCDショップ大賞は投票の集計結果によって決まるという意味で公正な審査をモットーとしている画期的なもので、それによってCD売上にもよい影響を与える等の期待がもたれています。

まあCDの販売不振の時代になぜCDショップ大賞なのか?という疑問の声や「音楽配信」の時代にパッケージはもはや時代遅れである。といういわゆるIT系の人たちからの声も出ていたようです。しかし私が以前このブログでも書きましたように「配信があれば全てのモノの商品は無用の長物である」という配信を絶対視する人たちはエンタテインメントの現場や産業の本質をあまりにも理解していない見解であると思います。なぜならエンタテインメントはファンあってのビジネスであり、ファンというものは「モノ必ずしもCDとは限りません、Tシャツやその他のノベルテイもあります)を欲しがるものなのです」

実はこのCDショップ大賞の仕掛け人は私がよく知っている音楽制作会社の社長のS氏で、音楽業界をよく変えたいという強い情熱を持っている方です。時々その情熱が強すぎて、なおかつ少々ざっくばらん過ぎる(?)発言の仕方からmixi等のコミュニテイで「バカと暇人」にからまれて炎上状態になることもあるんですが(苦笑) 、その熱意と実行力、勇気には心から敬意を表したいと思います。

ただ残念なのは今回のCDショップ大賞ーこれだけ盛り上がっているにもかかわらず、それによって一番恩恵を受けるはずのCDショップチェーンで広告の面で協賛した会社がただの一社もなかった、というのは気になります。

もうかりそうなものはただ乗っかるだけ、しかし自分からは何もしないしたいした協力もしない、というのはちょっといかがなものでしょうか。S氏が最近機嫌が悪くなる理由はわかりますね。まあ死に体の業界なんてそんなもんかもしれませんが...

それにしてもちょっと前までは業界の惨状を語ることすら業界内ではタブーでした。私などはいまだにこのブログで圧倒的なPVがある「コラム「音楽業界の現状と将来、そしてある取るに足りない者からの業界への提言」(長文注意)」

https://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2006/07/post_1324.html
現在は http://www.kyojiohno.com/column_archive1.htm に移動

 

を書いたときなんか複数の脅迫めいたメールが私の所に来ました。「お前二度と業界で仕事できないぞ!!」 「お前なんかつぶすの訳ねえぞ!1」 etc etc (笑)  この人たちは業界が今のような状態になっても考え方は変わらないでしょうか?

 

そういえば先日ネット雑誌「サイゾー」からこんな記事がアップされました。

 

作詞も作曲も......実は自分で作ってない? Jポップ界の"偽装表示"疑惑

 

http://www.cyzo.com/2010/01/post_3654.html

 

ちょっと前だったら間違いなく音楽事務所につぶされた記事です。こういうことを大っぴらに記事にできるようになっただけでも少しはマシな世の中になってきたのかな、という期待もありますね。はい。実は音楽業界の中ではもう半ば常識です。これについては別の機会に書きます。

 

もはや死に体の音楽業界、今日のCDショップ大賞を始め少しはよい方向に動いてくれるような気がします。

 

 

 

1月 22, 2010 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年12月 5日 (土)

青木まり子さん

70年代フォークが好きなある年齢以上の方はご存じだと思います。かつて「ジャネッツ」「シモンズ」で活躍されたボーカリストの青木まり子さん。とある会でお知り合いになったのですが、昨夜うちの奥津恵を連れて毎週ライブをされている六本木のライブハウスKNOBに伺いました。

ある年齢以上の方なら誰でも知っているナンバーを歌ってくださいましたが、恵は自分が生まれる前の曲であるにもかかわらず結構そのナンバーを知っていました。

Jazz_knob_photo_p_0_3

青木さんはこのKNOBに二十年以上拠点にされて歌っておられましたが、現在青木さんは北山おさむさん(元フォーククルーセーダース)プロデユースの再結成された「五つの赤い風船」のボーカルとしてレコーデイング、ツアーを控えており、それに伴い二ヶ月ほどこのKNOBでのライブができなくなる関係で何とうちの奥津恵にお声をかけていただきました。実は「メデイアコミュニテイ」なる交流会で一度青木さんとごいっしょさせていただき、その時の奥津恵のパフォーマンスを覚えてくださっていました。とてもありがたいことです。

その関係で来年の2月26日にこのKNOBにて奥津恵がライブすることが決定いたしました。このKNOBは青木さんだけでなくマイク真木さん、猫さんなど層々たるメンバーが出演しています。恵では役不足かな、と思わないでもないですがまあがんばりたいと思います。是非皆さんも2010年2月26日(金)たぶん午後7時半頃の開演予定、六本木のKNOBにお越し下さい。

KNOB ホームページ
 http://www.ehills.co.jp/rp/dfw/EHILLS/townguide/livehouse/knob/jazz_knob_info.php

五つの赤い風船公式サイト
http://www.5fusen.com/index.html

青木まり子さん 公式サイト 
http://www.geocities.jp/aoki_mari/

ちなみに青木さんも近々ライブがあるそうです。

Marikosan_liveflyer

12月17日(木) Open : 18:00 Stage 19:30-
Year End in Akasaka LIVE
ノベンバーイレブンス1111
Charge \3675  当日\3900
http://www.risedragon.jp

12月 5, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年11月28日 (土)

ペンギンカフェオーケストラを久々に聴きました

さて、ここ数週間公私ともにいろいろありましてかなりへこんでいましたので気分転換に昔のお気に入りのアルバムを久しぶりに聴きました。私の青春のアルバムです。(^^)

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ミュージックフロムペンギンカフェ(EEGCD27) 1976年

何となく聴きたくなってしまいました。今は亡きサイモン・ジェフェスが率いるペンギンカフェオーケストラの最初のアルバムですが、この曲は自分の人生の中で何回も聴いていて一曲一曲思い出がある曲です。

1976年に作られたアルバムですが今聴いても全く古い感じがしません。それどころか寧ろ新鮮な感じがします。ブライアンイーノのオブスキュア・レーベルより出たものでこの曲の雰囲気が何ともいえず好きですね。久しぶりに聴き入ってしまいました。

クラシックからポップな要素とミニマル、現代音楽とあらゆる音楽のコラージュでできていますが、それらが全く違和感なく共存しているのがいいです。やはり自分の音楽の原点はここにあるのかな?

サイモン・ジェフェスは1997年に脳腫瘍のために亡くなりました。本当に惜しいミュージシャンでした。

久々に聴いて何かエネルギーを与えてくれました。ありがとうペンギンカフェオーケストラ!!

さて、エネルギーをもらったので今年も残り実質的に一ヶ月ありません。業務の状況から基本戦略をかなり根本的に見直さざるを得ない状況になりました。精神的ダメージはまだ残っていますが、まあ0からやりなおすつもりで残り一ヶ月、せめて最後はいいイメージで2009年を終えたいと思っております。 

11月 28, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年11月11日 (水)

修正マスタリング

本日一昨日行なわれたマスタリングの修正を行ないました。

実はうちの会社では「おまかせマスタリング」 (固定料金)というシステムがあり、いわゆるコストダウン対策の1つなのですが、勿論細かいことをこだわるのなら「立会い」がいいに決まっているんですけどね。しかしコストの関係で殆どの人が「おまかせマスタリング」を選びます。

弊社のマスタリングのシステムに興味ある方はこちら

http://homepage1.nifty.com/hyb-music/mastering.htm 

まあ事務所のスタッフなんかは最初我々のやったマスタリングで「別に問題ないのではないか」という声があったんですが、アーチスト側からいろいろいってきたので結局修正ということになりました。

普通、我々がマスタリングする時に最初に考えることは「音の抜け」をよくすることを最優先に考えます。それによって音をよりクリアにし、音楽を引き立てるための作業を行ないます。特に音楽配信が普及しだしてから携帯やパソコンで音楽を聴く機会が増えてきているためにとくに「音の抜け」を重要視するんですね。そのためコンプレッサーやEQなどを通してより音を広げてクリアにする作業を行ないます。

ところが今回のケースはミックスの段階でアーチスト側がもうイメージを固めてしまい、しかも今回が弦楽器奏者ということもあるのでしょうが、コンプレッサーの音に相当違和感を感じてしまったようです。

弦というのはご存じの通り高調波成分があり、時々その成分に過剰なまでに敏感な人がいるようです。今回のケースはまさにそれでどう聞いても歪んでいない音をアーチストは「歪んでいる」と主張していました。

一方で弓が弦をならす時に当然「弓」ノイズが発生しますが、「それが気になる」とも云ってきているのですが、私自身はそれほど気になるほどのレベルとは思えず、まあ生の弦楽器ならこのくらいの弓の音が出るのは普通だと思うのですが、こういうクラシック系の人でもそういう「自然なノイズ」を忌み嫌う人が出てきたんでしょうか?

よくギターのフレットを指が鳴らす音ピアノのダンパーペダルの音「ノイズ」といって騒ぐ人がいますが、シロウトやエレクトリックな楽器しかやらない人ならともかく生の楽器の演奏者までそういうことを言い出すというのはちょっと私には驚きでしたね。以前も書きましたが私はこういうのをジャンクフード文化症候群と読んでいます。詳しくは

■生とリアルの価値が理解できない病気=ジャンクフード文化症候群
https://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2009/02/post-cad5.html

を読んでください。

結局アーチストの希望を優先しようとするためにコンプレッサーやEQを一切通さずに、レベルだけ底上げして揃える、という作業のみにしました。音の抜けを作らずmixiの音をそのままに出したほうが無難だという判断からです。

でも「普通の感覚」だと一昨日やったマスタリングの音の方が広がりがあり気持ちよく聞こえるはず、ですがね。まあ世の中にはいろんな感覚の人がいるもんです。

弊社ハイブリッドミュージックのマスタリング

http://homepage1.nifty.com/hyb-music/mastering.htm 

11月 11, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年11月 9日 (月)

チェロのアルバムのマスタリング

本日だいぶ前からつきあいのある事務所のアーチストのアルバムのマスタリング作業、女性チェリストのアルバムなんですが、この作業に意外にてこずりました。

編成はチェロにバイオリン、ピアノ、キーボード類にオケーショナルにパーカッションが入るというもの、

ご存じのとおりチェロやバイオリンのような弦楽器が高調波成分が多いためイコライジングやリミッター等の扱いには気をつけなければなりません。またレベルの底上げの際は特に注意が必要で気をつけないと音が歪んでしまいます。

実は曲のイメージによってリミッターをかけた方がいい場合とかけない方がいい場合があり、その設定にかなり手間取りました。イメージとおりに音創りができたとおもったら歪みそうだったり、(実際何箇所がそれが出てしまいました)かなり苦労しました。特にチェロ、バイオリンとエレピ(音からしてRhodesではない、たぶんYamahaのエレピ)が入っていた曲はかなり苦労しましたね。エレピもモジュレーションがかかっていたので余計やっかいでした。

実は今回のレコーデイング、かなり楽器に対してマイクをオンにしていたようで、余計に高調波がたくさん入っていた、というのも苦労した原因です。

まあチェロというのは低音から中高音まで非常に表現力のある楽器なので、私はとても好きなんですがそれだけにちょっと音のこだわりも出てしまいました。ちなみに私は時々弦のアレンジをしますが、チェロの中高音部は編曲でかなり多用する方だと思います。

そんなわけで40分弱のアルバムですがマスタリングにほぼ半日かかってしまいました。ちょっとグロッキー 

まあマスタリングスタジオが築地だったので帰りに外市場だったですが閉店間際で残ったお刺身一柵ゲット(^^)

今、家で一杯やりながらこれ書いています。

他にまだいろいろあるけどちょっと疲れたので明日にします。

11月 9, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年11月 3日 (火)

アナログ盤を楽しむ

さて、9月ー10月は業務状況が思わしくなく身体的、肉体的にもかなり疲れていたので日曜日から本日まで実質休養をしています。もう若くないな、と思うのはやはり疲労がなかなか取れないことですね。若い頃はちょっと休めばよかったんですが最近は1-2日では疲れが取れません。困ったもんです。

さて、そういう時は映画やDVDを見たり、音楽を聴いたりするんですが映画は特に頭を使わないで済む映画を見たりします。(アクションものとか、コメデイものとかー最近日本ものですがシテイボーイズにはまってますwww)

しかしやはり最大のやすらぎは好きな音楽をいい音で聴くということでアナログ盤で以下の音楽を聴きました。やはりアナログ盤はいいですね。音のダイナミックレンジも広がりもCDとは比べ物にならない。久々に聞いてそう思いました。確かにCDに慣れているからアナログ針のノイズも耳につくけど音楽の音質はそれを補ってあまりあります。スピーカーはTannoyのDCシリーズです。

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ピンクフロイドおせっかい

私の音楽家としての原点のアルバムです。不滅の名盤といわれる「狂気」よりこちらの方が最初でした。初めて聞いたのは中学生の頃だったかな? はまりましたね。

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Schubert: Unfinished Symphony; Beethoven: Symphony No. 5

こちらはクラシックです。たまに休日にクラシック聴くのもいいもんですね。歴史的な名指揮者ブルーノワルターの名盤と呼ばれているものです。画像を捜すのに苦労しましたが現在はSACDとして発売されています。半世紀前の録音ですが今の下手なクラシックのCDより演奏が生きた表現になっていますね。

デジタルは20KHZで周波数を切っていますが、前にどこかの記事で書いたよう人間の耳の周波数は20Hz-20KHZといわれていますが、実際には人間はこれより遥かに広い周波数の帯域の情報を得ているといわれています。つまり人間の「音の知覚」は必ずしも耳だけではないようなんですね。それが骨なのか、皮膚なのかわかりませんが、野生動物、象などは足の裏から遠くの群れの情報を得ているということがわかっています。

CDが出現して25年余、それでもクラブミュージックシーンではまだアナログ盤が売られていますし、ヒップホップの強烈なビートはCDだけではじゅうぶんに出ないことを多くのDJは知っています。これは決して一握りの人間の思い込みではありません。もし本当に人間が20Hz-20KHZしか認識できず、そうした広い範囲の音成分まで知覚できないのであったらアナログ盤などとっくに消滅しているはずです。そして果たせるかな、今オーデイオの世界でもアナログサウンドは見直されています。

久々にアナログ盤の音を聞いてその思いを新たにしました。(ちなみに上記のワルターのアルバムのSACD盤はどういう音が聴いて見たいですけどね)

CDの16bit 44.1KHZという仕様、デジタル草創期にできた仕様で現代のデジタル技術ではもはや時代遅れなのは明らかです。やはり何らかの形で超高音質なサウンドを消費者に提供する仕様が必要です。くどいようですがmp3の音質は現行のCDより遥かに劣る音質ですので、

すばらしい音の再生環境を家庭内でもう一度作る風潮が復活することを祈ります。今日の私が休日に過ごしたように

11月 3, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年10月22日 (木)

スペインのクリスマスソング

さて、少し暗い話の記事が続きましたので、現在アレンジ作業中の話をしましょう。

さるコンサート用のクリスマスソングのアレンジをしていますが、その中で日本ではおそらく殆ど知られていないスペインのクリスマスソングの曲目がありましたのでここでご紹介いたします。私もこの仕事をやるまでこの曲を知りませんでした。

2曲ありましてVen a Belen (降誕人形の来場) とCampana sobre Campana (鐘の上に鐘)の2曲です。編成はソプラノ、ピアノ、バイオリン、チェロですが、ソプラノパートはシンセになっています。(打ち込んだものです) いずれもスペイン民謡です。


Ven a Belen

Campana_sobre_campana

スペインはカトリックの国ですので、クリスマスでも日本やアメリカなどとは全く雰囲気が違います。皆さんはクリスマスというとリースとかイルミネーションとかをイメージするでしょうが、カトリックの国にはそのいずれもありません。カトリックの人にとってクリスマスは荘厳でしめやかなものなので、派手なクリスマスのイメージに慣らされた日本人の大半はあまりに地味なので拍子抜けするでしょう。まあ日本はクリスマスは宗教的な祭日というよりは単なるお祭りに過ぎないのでしかたないでしょうが...

外国に行くと日本では全く知られていないクリスマスソングがたくさんあるようです。まあいろんな仕事をしているといろんな新鮮なものに出会えますね。

10月 22, 2009 音楽04-10 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月17日 (土)

またビッグネームのミュージシャンが逝く、加藤和彦さん

■加藤和彦さん死去:軽井沢のホテルで首つる 部屋に遺書
 http://mainichi.jp/select/today/news/20091017k0000e040055000c.html

■加藤和彦さん 死去
http://www3.nhk.or.jp/news/t10013181131000.html

■音楽家の加藤和彦さん死亡、自殺か 軽井沢のホテル
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20091017STXKG019517102009.html

嘘であってほしいと思いましたが、知り合いの複数の音楽関係者もこの関係のメールを受け取ったようで、本当に残念なことになってしまいました。日本の音楽界は大変な重鎮を失ってしまいました。

なぜ? 音楽界の苦しい現状に先頭立って立て直して欲しい人が...
自殺なんて

安井かずみさんの後を追っちゃったのかなあ


今年に入り音楽界の重鎮が何人逝っただろう。
サディスティック・ミカ・大好きだったのに...

それにしてもあれだけ頂点を極めた方に自殺を選ばせたのは一体なんだったのでしょうか? 音楽業界の昨今の事情も関係しているのでしょうか?

心からご冥福をお祈り申しあげます。  合掌

10月 17, 2009 音楽04-10 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月12日 (月)

よい音楽はマスメデイア以外で多く見つけられる

さて、連休も終わりました。次の連休は11月23日の勤労感謝の日になりますが、一ヶ月と10日あまりありますね。私の業務もこれから重要な段階に入っていきますが、今ある案件の大半が決まればそれだけで多忙を極めるかもしれません。

連休中は家族関係のことに多くの時間を費やしました。ネットのニュースや記事も時折目を通しました。例えば昨日のサイゾーの記事ですが

■「これでは新人が育たない!」ベスト盤しか売れなくなった音楽業界の悲鳴http://www.cyzo.com/2009/10/post_2935.html

これなんかはこの当ブログ「Kyojiの音楽ひとりごと」にて何回も述べていることなので、今さらコメントする気など起きないのですが、mixi等のニュースの書き込み等を見てちょっと気になる点を感じましたのでその点だけ述べさせていただきます。

要は「買いたくなる音楽がないから当たり前だ」という内容の書き込みが一番多かったのですが、それは一見もっともらしい意見に見えますが、どうも殆どの人が「地上波で露出されている音楽」のみでそのような考えを持っているような印象を受けます。

このブログでも再三再四述べていますが、テレビ(マスメデイア)で露出されている音楽はいわゆる「操作された」メデイア用の音楽、つまり地上波のマスメデイアにとって使いやすい音楽のみが流れているのであって、全部とはいいませんが多くは事務所と放送局との力関係とか、資金が潤沢とかといった事情でマスメデイアに流されている音楽です。つまり全部がそうだとはいいませんが、殆どは「いい音楽」だからマスメデイアに流れているわけではありません。 というかいい音楽というのは今地上波、マスメデイアには殆ど流れないといっていいシステムになっています。

mixi等の書き込みを見ますと、「地上波に流れている音楽が世の中の音楽の全てである」かのように錯覚している方が本当に多いなと感じます。最近ブログとかSNSとかでマスゴミとかマスメデイアを誹謗する表現や、誹謗とまでいかなくても明確な批判をする書き込みが多い割には、まだ情報の基準を地上波のテレビに置いている人がまだ多いという印象を持ちました。私はここに「よい音楽」が広まる点で大きな障害になっている点を感じました。

今の音楽の世界で最大の問題は「よい音楽が音楽を愛する人に届かない」という点だと私は考えます。しかし地上波のテレビにはそうした「よい音楽」は殆どないのです。(全くないとはあえていいませんが..) そこに今の日本の音楽文化の大きな問題があるような気がします。

前にもこのブログで書きましたがいわゆるインデイースといわれている中にかなり「よい音楽」をたくさん見つけることができます。My spaceのアーチストのサイトに行かれるとかなり良質の音楽を公開しているアーチストがたくさんおります。彼らの多くはちょっと前でしたら文句なしにメジャーデビューできた人たちです。ちょっと前の常識ならなぜこれほどの人たちがインデイースなのか、と思う人もいるでしょう。 そう今のメジャーレコードは新人を育てる力などとっくになくしているのです。そういう情報がネットで簡単に手に入るにも関らずそれを捜そうとする人があまりに少ない、というのも問題のような気がします。

こういういいかたをしますと「業界人の傲慢だ」などと取る人がいますが、確かにこういう状況にも関らず業界の改革を拒み続けた人間が業界の多数派であるがためにこういう状況になっているのですが、音楽のこういう危機的な状況はそれだけが原因とも言い切れない面がある点もご理解いただければと思います。

繰り返しますが

地上波のテレビに流れている音楽が世の中の全てではありません。そこに「よい音楽」を見つけられる可能性は殆どありません。しかしネットをよく捜せば「よい音楽」をたくさん見つけることができます。(特にMy spaceにて)

マスメデイア以外で多く見つけらるのです。騙されたと思って一度捜されてみることをお勧めいたします。

 

10月 12, 2009 音楽04-10 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月 7日 (水)

いつのまにか、知らないうちに自分の作品にJASRAC管理番号が...

このブログでは既存の音楽界等の批判をしたり、時には批判の矛先がJASRACにも向いている時がありますが、実は私はJASRACの正会員の資格保持者でした。

それが今から12-13年前と記憶していますがJASRACが会員から会費を徴収することになり、正会員は年間当時は2万4千円(今少し、金額が変わっているかもしれません)徴収されることになってから、正会員の身分を返上し現在はただの信託者という立場になっています。正会員になりますと、JASRACの評議員に対する選挙権、被選挙権を得られるほかJASRACの保養所を始めJASRACの職員と同じ福利厚生も得られる、ということらしいのですが、別に私自身はそれを必要としていなかったし、JASRACの評議員などになりたいとも選びたいとも思わなかったため、そのために決して安くない会費を払う点を躊躇したという背景があります。

だいたいJASRACの総会とかいった事あるけど、殆ど時間の無駄だしある議事に関して、JASRAC会員の派閥からいろいろな「勧誘」がある等、かえってめんどくさいことの方が多いことがわかったという点もあります。JASRACの作曲家、作詞家の間でもかなりドロドロとした部分があるんですね。私はそういうのに関るのは好きじゃないので、その手の人たちからは距離を置いています。

まあクラシック系とか演歌系の人はJASRAC会員という肩書きに結構こだわるみたいです。実際その手の人たちは名刺にそれを刷りますからね。でも私のようにゲームや劇伴、映像の音楽を作っている人間からするとJASRAC会員という肩書きは実は場合によってはかえってジャマになることもあるんです。詳細はここではいえませんが、いろいろと複雑な事情があるんですね。だから私は信託者という立場のみにとどめています。一方では自分の会社で音楽出版の機能もありますので、別にJASRAC会員という肩書きにこだわる理由はないんですね。 

でも会員の名簿の信託者というカテゴリーには私の名前がまだあるはずです。そして昨日私が奥津恵のために書いた曲が知らない間にJASRAC管理曲になっていたことが判明しました。i-tunesの窓口になっているvibirth経由でわかったんですが、今までの経験では普通作品を発表する際には然るべき段階で「作品届け」というものを出してから正式に管理曲、信託曲になるんですが、今回の事態は私が信託者として名前があるために配信等のインタラクテイブやその他のロイヤリテイの収入が発生した時点で、自動的に登録され、JASRACの信託曲になってしまうようです。音楽配信時代になってからそういう点が結構変わっているんですね。不覚にも知りませんでした。

実は私が奥津恵のために書いた曲であえて作品届けを出していないのは理由があります。それはJASRAC信託を拒否しているというよりは、まだ曲のプロモーション方法としてタイアップの余地をまだ残しておきたいという点もあります。なぜなら地上波のタイアップは多くの場合放送局系の出版社がからむからで、うちの会社が作品届けを出してしまったら、その余地は完全に消えてしまうからです。

従来の「古典的」な音楽プロモーションを批判している私ではありますが、しかしそういった方法を完全に排除しているわけではありません。曲のプロモーションに当たっては、自らオプションを削るよりはいかなるプロモーションチャンネルも排除しないという風に柔軟に考えることが必要だからです。

音楽によるネットプロモーションに関してさまざまな試行錯誤を行なっている私ですが決して古典的な音楽業界のプロモーション方法の常套手段までは完全に否定はしていません。問題はそれだけしか考えない、そうした古いビジネスモデル以外一切考えない、という点がもっとも大きな問題なのです。

とはいえJASRAC管理曲と判明した以上はそう長い間宙に浮いた状態にするわけにもいかないので可能な限り早い時期に決断をしなければなりませんが..、

10月 7, 2009 音楽04-10 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月28日 (月)

クリスマス曲アレンジ

発売するCDではなくて、ある演奏会のために9曲のクリスマス曲のアレンジの仕事を着手しました。5曲はいわゆるクリスマスのスタンダードで2曲はクラシック曲、あと2曲はスペインのクリスマスソングで日本では殆ど知られていません。楽譜をもらいましたが、音源がないしテンポ表示もないので、どこかで調べるしかありません。

これらの曲をクラシックのピアノトリオ(ピアノ(Pf)、バイオリン(Vln)、チェロ(Vc) )とソプラノに編曲します。ソプラノの歌は曲によって入ったり入らなかったりします。基本的にはクラシックですが、一応私はポップス肌なんでそういうテイストがアレンジに入ると思います。

ちなみにパブロカザルスの十八番だった「鳥の歌」はバスク地方のクリスマスソングです。日本のクリスマスソングは楽しい、明るい、超ハッピー という感じですが、スペインを始めとするカトリック系の地域のクリスマスソングはどこか物悲しく、静かな曲が多いです。

クリスマスというと騒ぐことしか考えない日本人が多いですが、こういう国ではクリスマスはとても神聖なものです。ちなみにクリスマスツリーはキリスト教のプロテスタントのもので、カトリックの国にはありません。ですからスペインやイタリア等のカトリック系の国にいってもクリスマスツリーを捜すことはできません。(!!)

まあ一応それなりにクラシックの素養を持っているのと、そうはいっても基本的にはポピュラー肌の人間ならでは、のアレンジをしようと思っています。

9月 28, 2009 音楽04-10 |

2009年9月17日 (木)

大野アレンジ新作

さて、今日はお知らせです。
以前「三年越しのプロジェクト」の歌謡曲のアレンジについてお話をしましたが、これがこの作品です。

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吉岡とも子 Gluck  Clovaroot Records  CROT-905

歌謡曲のアルバムですが、歌謡曲の色を極力薄めた感じにはなっています。まあ出来栄えは自分でも割りとよくやったという感触を持っています。特に「陰祭り」という曲は元々原曲は演歌ですがジャズベースのアレンジにして元は演歌とはまずわからないようなアレンジになっています。Once again dreamsは奥津恵もコーラスで参加しました。


愛して欲しい

Once again Dreams

陰祭り

9月 17, 2009 音楽04-10 |

2009年8月14日 (金)

また巨星逝く レス・ポール氏永眠

レス・ポール、永眠
http://www.barks.jp/news/?id=1000051982

偉大なるギタリストであり、エレキギターの父として、近代音楽のレコーディング技術のイノヴェーターとして多大なる影響を与え続けたレス・ポールが、2009年8月13日永眠した。94歳だった。

数年前のモーグ博士といい、また現代の音楽に多大すぎるほどの貢献をされた方がまた逝ってしまいました。ツエッペリン、エアロスミス、エリッククラプトン、どれだけの偉大なアーチストがこの人のギターを愛用したか、現代のロックの歴史そのものを作った人でした。

「明日を見ることができれば良いと思っているよ。それだけだよ、続ける事だね。時間は止まらないし若返らないしね。できる限り自分のやっていることを続ける事だ。」──レス・ポール

90を過ぎても自作のギターでステージに立っていたそうです。たとえどんなに老いてもこうありたいですね。

昨年この人の伝記映画が出たばかりでした。

■『レス・ポールの伝説』 予告編
http://www.barks.jp/watch/?id=1000022864

■『レス・ポールの伝説』公開、生きる伝説をNYで直撃(2008年8月22日)http://www.barks.jp/news/?id=1000042789

心よりご冥福をお祈り申しあげます。

8月 14, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年7月20日 (月)

3年越しのプロジェクト正式終了!!

さて、先々月より着手していたある歌謡曲のアレンジ+マスタリングの案件ですが昨日クライアントより正式に最終のOKが出まして、3年越しのプロジェクトが正式に終了しました。

 

思えば今から3年前に5曲アレンジしてから、長い間ストップして今回新たに3曲追加アレンジ、全8曲のアルバムです。

 

基本的には歌謡曲のアルバムですが、歌謡曲の色を極力薄めた感じにはなっています。まあ出来栄えは自分でも割りとよくやったという感触を持っています。演歌調の曲も原曲は演歌とはまずわからないようなアレンジになっています。アレンジに不可能はない、という前田憲男先生のアレンジ講座をうまく実践できた、と自負しておりますがあとは聴いた人がどう思うかでしょうね

 

とりあえずマスタリングも正式に終わり、ようやく仕事が終わったという感じを持つことができました。やはりこういうのはホッとしますねー。

 

というわけでアレンジやサウンドプロデユースはいつでも承りますので、アレンジャーやサウンドプロデユーサーを捜している方、いつでもご相談下さい。(^^)

 

7月 20, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年7月 7日 (火)

体操の音楽

クライアント名やその他の詳細はここではいえませんが、実は先日よりある制作会社から依頼され「体操」のための音楽を作っています。そうです、ラジオ体操のような体操です。

ある健康関係の企業用VPで体操の映像を入れる時に使う音楽です。内容からして老人介護用の体操でしょう。ある大学の先生が監修しています。

この体操でポイントなのは老人用なのでものすごくゆっくりなのと、その監修の先生いわく8分の6拍子の体操だ、というのですがこの曲、どう聴いても4分の3拍子なんですね。(^^;)

現行は皆さんがよくご存じのラジオ体操第一を「8分の6拍子」(どう聞いても4分の3拍子)にして演奏されたピアノでやっていますが、勿論著作権的にもそのまま使うのは問題だし、第一あの曲を知っている人(たいていの人は知っていると思いますが)はメチャクチャ違和感を感じます。まあだからオリジナル曲を作るということになったんでしょうね。

ご存じの方もいるでしょうが8分の6拍子4分の3拍子は全く違うリズムです。8分の6は4分の3の約数という感じで考えてはいけないんですね。8分の6拍子というのはかなり独特のリズム感のある拍子です。

4分の3拍子 (ワルツ等のリズム)

 Images     Images_2  +   Images_2   が基本 

8分の6拍子

 Images    Images2_2  Images_2    Images2_2  が基本 

 上の図でわかりますように8分の6拍子は単に八分音符が6つあるというだけでなく多くは四分音符と八分音符の組み合わせでリズムを作ることが多いんです。これが倍の8分の12拍子ですとスイングかシャッフルのリズムになります。
 注:スイングやシャッフルは4拍子を3連符にするのが基本ですが、曲によっては8分の6 8分の12にする場合があります。

ですから映像でもらった曲のリズムは明らかに8分の6拍子ではなく4分の3拍子なんですが監修の先生がもう8分の6拍子と思い込んでいるようで、さてどのように説明しようか悩んでいるところです。

ちなみに体操のための音楽を作る、というのは私にとって初めてではありません。今から15-20年前くらいにエアロビクスの音楽を作ったこともありますし、ラジオ体操第一をダンスミュージック風にしたアレンジ、そしてリトミック体操の音楽を書いたこともあります。今回こういうものをやるのは久しぶりですが...

まあいろんな仕事をやるというのは楽しいもんです。

7月 7, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年7月 2日 (木)

メジャーとインデイースの違い

さて、音楽業界の大半を占めるいまだに古い頭の人たちはいまだにメジャーが野球でいえば一軍、インデイースが同じように二軍と思い込んでいる思考停止の人が多いようです。

でも両者の違いはもはや 1. レコ協に加盟しているかどうか、 2.宣伝費をたくさんかけられるかどうか、 の2点しかありません。しかも地上波のテレビの影響力が他のメデイアと比べてもいまだにダントツなのは事実としても、その辺のバラエテイのエンデイングテーマに500-1000万宣伝費を払ったところでもはやリクープするのは不可能に近いです。

またレコード会社のデイレクターが新人アーチストにえらそうに「配信だけならやってもいいよ」なんていっても、それだったら頼む必然性はありません。今i-tunesも着うたもインデイースでも簡単にできてしまいますから、それだけならメジャーから出すメリットなんてありません。流通とてメジャーとインデイースはそれほど大きな違いはありません。

先日My Space関連のイベントでうちの奥津恵を出演させましたが、全員インデイースでしたがレベルは非常に高かったです。ちょっと前なら全員メジャーデビューできたくらいの力を持っていました。 そしてメジャーレコードにはもはやそういう新しいアーチストを育てる力はありません。

そんなわけで私が手がけている奥津恵はハナからメジャーということは考えていませんでした。そして昨日より一般のレコード流通にても手が入るようになりましたMeg_mirai_s
とはいえ、正直予想されましたがそんなにたくさん店頭に出ているわけではありません。皆さんがレコード店に入っても見つからない可能性の方が正直高いです。

そんなことで是非レコード店でお求めの場合は店頭で取り寄せを御願いして下さい。よろしくお願いします。

奥津恵「未来」HYBD-3001 \1500

かつてのリトルラバース2nd Yuiのテーマだった「明日への扉」のリメーク曲が入っています。ちなみに着うたで「明日への扉」はとても人気です。よろしくお願いします。

尚、ローソンでも買えます。

全国のローソンの店頭端末 Loppi でお申し込みいただくか、ローソンネットショッピングのサイト
携帯のショッピングサイト
でお申し込みいただくことで全国のローソンで商品を受け取り支払いができます。

ちなみに音楽配信関係では

・i-tunes      ・Napster    ・MonsterFM

着うた
(docomo au softbank)

Web i-chart(携帯専用)    Giga(携帯専用)

Meg_qr1                      Giga_qr

これを見てお気づきでしょうが、販売チャンネルはメジャーと殆ど変わりません。

あとはいかにメデイアの露出を増やすかだけですね。プロモーションがうまく展開できればメジャーとインデイースが逆転することも不可能ではありません。

皆さんの応援をよろしくお願いします

7月 2, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年6月24日 (水)

3年越しのプロジェクトのTD終了

先ほど先日より行なっていた3年越しのプロジェクトの残りの曲のTDと一部の曲のTD修正が終了しました。
これでクライアントより最終のOKをもらえればようやく終了になります。

今思うとこのプロジェクトのアレンジを着手したのは今から3年半前、一時都合により止まっていましたが、ようやく追加の3曲を含め計8曲のアルバムの編曲が終了しました。

今回はかなりバラエテイに富む編曲になったのではと自負しております。基本ジャンルは歌謡曲といっていいと思いますが、極力歌謡曲的な要素を排除しました。とはいえ、中にはかつての70年代のフォークソングー赤い風船とかハイファイセットとかを彷彿させる曲もありましたがージャズっぽいアレンジ、クラシックっぽいアレンジ、中には60年代のシャンソン(やや寺山修二的なアングラ)ぽいアレンジもあります。

アルバムができあがればこちらでも告知させていただきます。

とりあえずもう修正がないことを祈って今日はもう寝ます(^^)

 

 

 

 

6月 24, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年6月17日 (水)

TD(トラックダウン)

音楽業界用語で私と同じ仕事をしている人で知らない人はいないと思います。

 

マルチトラック(多重録音用に多数のトラックで録音できる)を2チャンネルのミックスにまとめる作業でミックスダウンともいいます

 

その作業をやってきました。8曲のうちの6曲を作業、おかげでワールドカップ最終予選の最終戦は見れませんでした。(負けちゃったんですねーこれではベスト4という目標本当に大丈夫かなと思ってしまいます)

 

その昔は一曲TDするのに一日かかる場合もありましたが、pro toolsになって早くなりましたね。もっとも我々が行く前にかなりの作業をエンジニア側でやった後でしたので...我々は最後の調整に立ち会う程度です。それ以前では確認用にwavファイルをあらかじめやりとりして修正点を事前にメールで連絡します。今回はボーカルが音程も歌唱力も非常に安定しているので、ピッチコン等の作業を殆どやらないで済んだため順調に進みました。(ひどい場合はピッチコン作業だけで一日かかる場合がありますからね)

 

先日の3年越しのプロジェクト、いよいよ残るはあと2曲です。来週もう一度やる機会がありますが、まず問題なくいくでしょう。

 

弊社の音楽制作の実績

 

http://www.hybridmusic.jp/soundproduce.htm

 

 

 

 

 

 

6月 17, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年6月10日 (水)

本日のレコーデイング作業終了

先ほど帰宅しました。

 

録ったのは5曲、ボーカルとコーラスとギター(エレキ&アコーステイック)

 

そのうちの1曲ー今回のアルバムの目玉曲になることもあって力の入れ方も違いましたがいやーとてつもないほどやることがありました。

 

1.メインボーカル
2.コーラス(3人で3声のコーラスー2回ずつダブし)
3アコギ(リズムギター 左右ダブし)
4.エレキ (オーバードライブ2トラック)

 

18トラック使いました。これだけ録るのに正味6時間、殆どぶっ続けでやりました。これでも順調に済んだほうです。特にボーカルの方が安定した歌唱力と音程を保つ能力がありましたので実にスムースにレコーデイングは行なわれました。

 

しかし、久々にトラックをたくさん使うアレンジでしたね、今日録ったトラック以外に作りこんだオケに リズムセクション(ドラム ベース) テインパニ、ストリングス2種類、ピアノ Pad  シンセコーラス ホルン、トロンボーン (他に仮ギター)と締めて30トラック と計48トラック

 

昔、というか今も一応ありますがSonyのマルチトラックのPCM3348というのがありました。その名の通り48トラックあるマルチレコーダーでまさにそのPCM3348を目いっぱい使ったのと同じくらい大規模になりました。私は一度だけフルのオーケストラとバンドを使ったアレンジでSONY33483324の2台を回したことがありますが、まあそこまで行かなかったにせよ限りなくそれに近い状態でした。最近は殆どpro toolsを使うので殆ど使う機会はなくなりましたが、ちょっと前ではSSL(ソリッドステートロジック)の卓とSONY3348がそろっているのが本格プロのレコーデイングスタジオの条件でした。

 

といっても私は一部のアレンジャーのようにマルチ2台回して自慢するような軽薄な人物ではありません、というかSONY3348と3324を毎回回すようなアレンジャーは得てして無駄な音のアレンジをする傾向があるし、コストパフォーマンス的にも決して誉められたやり方ではありません。何となくトラック数が多いアレンジがよいアレンジであるかのような勘違いをする人間が日本には多いですが、それはあまり感心しません。トラック数の多さは問題でなくいかに多彩な音で、なおかつ無駄な音がない編曲、曲のイメージを最も効果的に演出しているアレンジがよいアレンジだと思います。

 

今日録った曲ーこれからTD作業が大変ですがーこの曲を聴いた人がそういった意味でのいいアレンジという印象を持ってもらえればうれしいです。

 

ギターもエレキからアコーステイック(ガット、12弦、エレアコ)とギタリストがいっぱい持ってきてくれたのでかなり多彩な音が録れました。これもよかったです。

 

終わって一安心ですが、やはり自分は基本的にスタジオという場所が好きなんですね。すぐまた別の音楽製作の仕事が来ないかなあー なんて考えてしまいます。

 

 

 

 

6月 10, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年6月 8日 (月)

明日3年越しのプロジェクトのレコーデイング

さて、いわゆる収録というものも含めると私は割りと頻繁にスタジオに入っているほうだと思いますが、前にも書きましたがやはり音楽のレコーデイングとなると前日からテンションが高くなります。

音楽のレコーデイングでは時と場合によって作曲者のみの場合だったり、単なるアレンジャーの立場だったりという場合がありますが、私に限って云えば多くの場合サウンドプロデユーシングの域にまで仕事をします。結局、編曲をするにしてもその曲の最高の形のミックスまで考えながら編曲をしますので、結局一分野だけで私の場合収まらないんですね。これが劇伴の音楽となると完全に音楽の部分は仕切ってしまいます。万が一オーケストラを使おうものなら指揮棒まで振ります。(最近はそういう機会はないですが..)

さて、明日のレコーデイングは着手し始めてから三年越しのプロジェクトになります。長い間いろんな都合で止まっていたんですがようやく今回のアルバムの曲、歌録りまでいける段階になりました。

ちなみに歌手の方は音大出の方で普段はピアノの先生をしながら歌われているベテランの方です。友人のシンガーソングライターのaruhaさんの叔母さんにあたる方です。

今回はいわゆる歌謡曲のジャンルに入る音楽だと思うんですが、アレンジするに当たって可能な限り歌謡曲色をなくすように勤めました。中にはかつての「五つの赤い風船」を思わせる曲があったり、元々は演歌の曲だったりというのがあったんですが、特に演歌の曲はジャズテーストのイメージて再構築したので元々は演歌だったとはわからないほどイメージが変わっていると思います。またある曲は60年代のフランスのシャンソン(ブリジットフォンテーヌのような感じ)的に料理したものもあります。とにかくアレンジャー、サウンドプロデューサーの腕次第で曲というのはどうにでも変わるというのは事実ですね。

以前、前田憲男先生のアレンジ講座という題名でのコンサートを拝聴したことがありますが、前田先生のアレンジのさまざまなテクニックはとても参考になりました。いわく「アレンジに不可能はない」 

まあ前田先生の域に達するのはまだまだですが、その時の成果が少し出せたかな、と勝手に思っております。なんていったらあとで前田先生から怒られるかもしれませんが...(^^;)

6月 8, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年6月 4日 (木)

訃報 黒田恭一さん

クラシックの音楽評論家って結構偏っている人が多いのであまり好きな人は少ないんですが、この人だけは違いました。

今日新聞で知りました。

■音楽評論家、黒田恭一さん死去
http://www.asahi.com/obituaries/update/0603/TKY200906030324.html

クラシックだけでなくロックにも客観的な評価をしていました。
黒田さんのELPの論評は今でも印象に残っています。
ジャンルに関係なくよい音楽をわかりやすく解説した方でした。

心からご冥福をお祈り申しあげます

6月 4, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年5月27日 (水)

pro tools+BFD使用中に「予期しないうちに終了(T_T)」

はい、Macを使っている人はわかりますねー(^^;;)

Pro tools 作業中、これで仕上げという間際に起きてしまいました。
おれの数時間を返してくれー泣き顔あせあせ(飛び散る汗)

幸いオーデイオファイルを録ってあったのでインポートして再度整理、でもこれだけで完全復帰までに一時間かかりましたー

それにしてもドラムのソフトシンセ、BFDって本当にめっちゃメモリー食いますねー 気をつけないとこれで本当に「予期しないうちに」終わってしまいます。 それはBFDを見るとわかりますがドラムの音をマイクのあらゆる角度で録音して1つのドラムの音(スネアならスネア)でもいろんな音質調整が可能ですし、本当に生のドラムを使っている音が再現されます。この辺が並のソフトシンセやサンプラーと違いますね。プリセットの数は私の持っているR8より少ないかもしれませんが、(勿論拡張可能)1つ1つスネアやキック、シンバルの音を本当に見事に空気感覚で再現してくれます。だから人気もあるんでしょうし、メモリーやハードデイスクのメモリーも使うんでしょうね。

今G5デユアルの4GBのメモリー装備ですが、ソフトシンセを使うとそれだけでは足りませんねー  思い切ってメモリースロットいっぱい1Gのメモリーを入れてしまおうか。

ちなみにオーケストラのソフトのViennaもめっちゃ食います。
この2つだけでハードデイスクいっぱいです。(^^;)

深夜に入って起きただけに、泣きが入りましたー テンションがかなり下がりますねー

 

 



 

5月 27, 2009 パソコン・インターネット音楽04-10 | | コメント (0)

2009年5月22日 (金)

やはりコンテンツ制作でも本職は作曲、編曲

5月は私の経営している製作会社が3月決算のため5月は税務署その他に決算書を提出しなければならないし、その他法人会の総会等さまざまなことで忙殺されてしまいます。しかし昨日めでたく決算書提出も終わり、ようやく本来の業務に専念できる状況になりました。

最近は音楽というよりは「音コンテンツ制作」の仕事(主にe-learningの音声コンテンツですが)の方が多かった私ですが、現在久々にアレンジの作業を行なっております。やはり「本職」をやっているほうが気合の入れ方が違いますね。

勿論いわゆる「音コンテンツ制作」の仕事が嫌いというわけではありませんし、こういう時代ですからあまり仕事を選んでられないというのもあります。また昨今のコンテンツに対するハードやIT系の人たちの態度を見るにつけ、コンテンツビジネスの進めかたに関して私も思うところがありますので、決してこちらに対して情熱がないわけではありません。(というか、私がもう1つの会社を作るにはそれなりの考えがあるからですが..) そのあたりの話は別の機会にゆっくりするつもりです。

でも自分が「コンテンツ制作」というものに関ったのは自分がまず音楽の世界で生きてきたということもありますので、やはり自分がもともとやってきた分野というのは自分のホームグラウンドのような気がするのは確かですね。

今取り組んでいるのは実は3年越しのプロジェクトです。ようやく3曲アレンジしてTD,ミックスを行ないます。というわけでこちらにしばらくエネルギーを投入します。

5月 22, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年5月17日 (日)

昨日のperfumeの記事の続きー「パクり」と「影響を受ける」は違う

さて、昨日の記事

■Perfumeはもはや敵なし!? "フォロアー"が次々と自滅している(サイゾー)

http://www.cyzo.com/2009/05/post_2023.html

に関してついつい感情的になってしまいましたが、少し冷静になりましてここでは「パクり」について考えてみたいと思います。

まあポピュラーミュージックにおいて人間が「心地よい」音楽やメロデイーというのは音楽心理学上確かに限られているという面はありますし、特に日本人は「知っている」「聞いた事がある」曲を聴くと何となく「安心する」という傾向が非常に強い国民性でもあるのは事実だと思います。その面で全く「どこかで聞いたことがある」曲を作らないというのもポピュラーミュージックでは難しい点があるのも事実です。その意味では全く「模倣部分」のない音楽って、現状のポピュラリティーでは 存在しないのも事実でしょう。

但し、ここで同じ「模倣」であってもその音楽の本質を取り入れ、それを咀嚼(そしゃく)し自分のものにしていく場合と、単なる「パクリ」-表面的な部分のみを切った貼ったでつなげるという作業では天と地ほどの違いがあることを押さえていかなければなりません。

前者は私は「影響を受ける」という風に捉え、後者はただの真似ーあえていいますがニセモノに過ぎないということになります。さて、音楽の表現上はこの両者は全く別のものだと私は思います。

偉大なアーチストに影響を受けないなどということはよほど独りよがりなものを作らない限りまずありえないですし、(実験音楽ですらそうです)偉大なアーチストより影響を受けるというのは決して恥ずべきことではありません。

問題は今の日本の業界は徹底して前者を廃し、後者のみを受け入れるという体質になってしまっているという点ですね。生きた音楽表現という意味では文句なしに前者の方があるのはいうまでもありません。

Perfumeにしても私のようなYMO世代にとっては懐かしいサウンドではありますが、それでもちゃんとPerfumeらしさが出ています。なぜなら彼女たちとそれをプロデユースした中田ヤスタカ氏はきちんと80年台のテクノ音楽を咀嚼(そしゃく)し、自分たちの音楽表現にしているからだと思います。(だから次の二番煎じプロジェクトでは失敗しているんですが..(汗) そのため誰も真似しても彼女たちを超えられないんですね。

音楽の本質をよく咀嚼(そしゃく)し、それを自分のものにしたことによって「似てしまう」のは模倣ではなく、それはアーチスト性によるものです。単に表面だけマネしてできるもんではありません。

問題はそれを「パクる」ことによって簡単にできると思い込んでしまう体質に問題があるんじゃないでしょうか?

よく音楽業界では「誰々風に作る」ということを「リスペクト」などという言葉を使っています。勿論私のいう「影響を受けた」ポジテイブなものもありますが、多くの場合単に表面的なマネに終わってしまうケースが多いように思います。ですから大半は「リスペクト」といってもまやかしになってしまうことが多いと思います。

影響を受ける」と「パクり」ーこの両者の違いを理解できない人間が多すぎるのが問題だと思います。

5月 17, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年5月16日 (土)

模倣、パクリで失敗

まあこのネット雑誌、いろいろと問題があるのだがこの記事はある程度真実をついている。この件に関しては少々腹立たしく思っているので、少々文章が激しくなります。

■Perfumeはもはや敵なし!? "フォロアー"が次々と自滅している(サイゾー)

http://www.cyzo.com/2009/05/post_2023.html

まずはっきりいいます。 「くだらねえ!!」

と同時に残念ながらこれが業界の実情でもある。

音楽業界が駄目になったのはネットのせいとか、不法コピーのせいとかいっているが、そんなのは表面的な部分しかみていないと思う。

「売れセン」とかいう訳のわからない言葉が生まれたのは90年代初めから、ちょうど音楽バブルまっさかりの頃、今思うとここから全てがおかしくなってきた。

ちなみに最近俺がコンペとか参加しなくなったのは「何かに似せろ」「うまくパくれ」といった風潮があまりにくだらなく感じ、何か自分の音楽の感性がおかしくなっているのを感じたから、

ジャンクミュージックばかり聴いていて音楽の本物の味がわからなくなったらプロという以前に人間としておしまいだ。

これで売れセン、模倣で失敗するというよい前例ができたと願っているけど、売れセンを模倣することしか能のない奴らがこの業界の大半だから、たぶんまだまだ続くだろうな。

聴衆、音楽愛好家を本当にバカにしているのは実は音楽業界の人間かもしれない

奥津恵 - 未来 - EP - 未未 (みち)
大野作品ー奥津恵 - 未未 (みち)


奥津恵 - 未来 - EP - 明日への扉
大野作品ー奥津恵 - 明日への扉)

奥津恵 - 未来 - EP - 古びたもみの木
大野作品ー奥津恵 - 古びたもみの木

5月 16, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年5月 4日 (月)

midi装備のFender Rhodesが出ていたなんて...

昨年のNAMMで何とFender Rhodesの新型が出ていたことが今頃になってわかりました。復活を今まで知らなかったなんて、うー不覚!!

Stevie Wonderが Rhodesのブースにてデモ演奏しています。

昔ながらの木製鍵盤でハンマーアクションで トーンバーを叩いて発音するのに、midi装備でピッチベンドもできるそうです。
シンセのエレピが本物の音だと思っている諸君、これが本当のエレピの音です。全てこれが大元になっているんですよ。

5月 4, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年5月 3日 (日)

追悼!! 忌野清志郎さん

■訃報:忌野清志郎さん58歳=ロック歌手 がん治療続け

http://mainichi.jp/select/today/news/20090503k0000m040102000c.html

日本での数少ない本当の意味の個性的なアーチストが逝ってしまいました。この人の歌い方、キャラクター、存在感、どれをとっても一流です。この人の替わりは誰にも務まりません、

癌との闘病を宣言していましたが、とても残念です。


心よりご冥福をお祈りいたします。

5月 3, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年4月18日 (土)

いい音楽を聴くと幸せな気になりませんか?

私が運営しているネット放送「癒しの音楽チャンネル」にて昨年度のトップページを除く各放送ページのアクセスベスト10のカウントダウンを行ないました。

第十位ー第五位 http://www.iyashi-channnel.com/2009/04/2009200810-0cf6.html

ベスト5 http://www.iyashi-channnel.com/2009/04/200920085-e7c6.html

さすがにベスト10の中の編成に入っている曲を見るとみんなよい音楽が多いですね。クラシック等の一部の曲をのぞけばいわゆる「誰もが知っている曲」とか「よく知られた曲」ではありませんが、どれも人の心をつかむ音楽、心を安らがせる曲ばかり入っていると思います。もしよろしければ上記のリンクをクリックして音楽を聴いてみて下さい。

最近一部の若い人たちの間に地上波のテレビにのっかっていない音楽はよい音楽じゃない、とか(有名じゃない=よくない音楽)などという風に短絡的に考える人たちがいるようですがもっと、そういう目ではなく素直に心を揺さぶる音楽を純粋に感じ取る耳で音楽を聴いて欲しいと私は思います。どこかのドラマとかCMのタイアップで使われている音楽だけがよい音楽ではありません。そのことを「癒しの音楽チャンネル」で放送されている曲を聴いて感じ取っていただければ幸いです。

その中で上記のベスト5の第五位の編成(ネタバレになっていまいますが)「癒し系ポップス2」の中で友人の芽亜利Jさんの曲「最後の電話」などはおススメですね。これは芽亜利Jさんがおっしゃるにはお友達で癌で早世された方との思い出を歌った曲ですが、簡単なピアノの弾き語りの曲ですが充分に心に響かせるものがあります。良い音楽を聴くと幸せな気分になりますが、この曲はそんな気持ちにさせてくれる曲だと思います。

Content 芽亜利Jさん"Be Happy"

芽亜利Jさん公式サイト  http://mearij.velvet.jp/

ママさんシンガーとして主婦をされている傍ら、活発に音楽活動をされていますが

音楽のよさは形式でもそれがメデイアで露出されているシチュエーションでもありません。その音楽を聴いて心が動くかどうか、私はメニューヒンの演奏したバッハのシャコンヌに涙し、バッドパウエルのピアノの演奏に興奮し、イエスのジョンアンダーソンの声を聞いて感激してハイな気分になりました。皆さんは音楽についてそういう経験をもっていらっしゃいますか?

残念ながらこういう言葉を業界の中でいうと「何を青臭いことをいっとるんだ?」とか「何寝言いっとるんだ?」という反応の方が多いでしょうね。音楽は売り物ではあっても愛情を注ぐものではないという雰囲気が業界内で強くあるのが残念ながら事実です。

私は「若い」という年齢ではもうありませんがいっていることは本当に「青臭い」でしょうか?


4月 18, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年3月29日 (日)

オーケストラのライブのアレンジ

年度末ということもあり会社の業務をこなしながら、いよいよ今週の土曜日と迫った「コンサートア・ラ・カルトー宇宙からロックからオペラまで」の準備もしておりました。

今回は3年前のコンサートでの楽譜も使いましたが、いくつか手直しも行ないました。前回は基本的にロックの名曲をいかに「クラシック的」な枠組みにあてはめるか、という考え方で行なっていましたが今回は、前回演奏していない「Smoke on the water」もやります。

この曲では他の曲と違い、「ロック」の中にクラシックオーケストラをはめ込むという他の曲とは全く逆の発想で編曲されています。そのためノリが強烈になります。偶然にも同じ週にデイープパープルが来日しますが、パワーだけは負けないようにやろうと思っております。

尚、残念なお知らせもしなくてはいけません。今回私の編曲によるバッハの「シャコンヌ」もやる予定でしたが、バイオリンのソリストと出演の条件が折り合わず、やむを得ず断念することにいたしました。残念ですがまた別の機会でやれればと思います。皆さんにはご期待にそむくことになったかもしれず、申し訳ございませんでした。しかし他の曲ではそれを補ってあまりある演奏になると思います。

クラシックオーケストラのアレンジとロックバンドのアレンジ、双方による競演は私のアレンジテクニックの総意を結集したものです。お花見の季節ですが是非皆さん、いらしてください

ご興味のある方は是非お誘いあわせの上ご来場下さい。まだチケットあります。
日程   : 2009年 4月4日 (土) 17:00 開場 17:30開演
場所  :代々木オリンピックセンター大ホール
チャージ:¥3000
オーケストラ:アンフィニサロンオーケストラ
会場地図 http://taste.reenta.jp/amusement/00001069_map.html

チケットご予約はこちら
FAXでのご注文も可能です。FAXでのご注文はこちらをクリック
お問い合わせは042-375-3475042-375-3475
ご来場お待ちしております

3月 29, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年3月27日 (金)

ロックの名曲のオーケストラアレンジ

さて、いよいよ4月4日の「オーケストラ:アンフィニサロンオーケストラ」コンサートまであと10日を切りました。ここでロックの名曲をオーケストラに編曲するとどういう感じになるか、わかりやすい例として次の映像を見てください。

ご興味のある方は是非お誘いあわせの上ご来場下さい。まだチケットあります。
日程   : 2009年 4月4日 (土) 17:00 開場 17:30開演
場所  :代々木オリンピックセンター大ホール
チャージ:¥3000
オーケストラ:アンフィニサロンオーケストラ
会場地図 http://taste.reenta.jp/amusement/00001069_map.html

Leaflet_01

コンサート自体は4部構成で

・第一部:ユニバース(17:30-18:10予定)

作曲家の桃井聖司さんと映像作家遠藤湖舟さんとのコラボレーションを藤木明美さんのピアノとアンフイニサロンオーケストラの演奏で幻想的な空間を演出します。

・第二部:ロック(18:20-19:00頃予定)

ここがわたしの担当で、先に申しましたように前回と違いますのは前回がオーケストラのみのインストルメンタルでしたが、今回は一部の曲のヴォーカルも入れようと思います。勿論ドラムスやエレキギターも入ります。

演奏曲目:
Smoke on the water, Angie 天国への階段、
ラヴオブマイライフ 明日への扉(癒しの音楽チャンネルのオープニングテーマです)

演奏者   :大野恭史(Pf) 奥津恵(Vocal)
本庄寛国(Gtr) 川口伸王(Drums)
小山尚希:ベース(ウッド+コントラバス)

※奥津恵の新作ミニアルバム「未来」が先行発売されます

・第三部:ザ・オペラ(19:20-20:00頃予定)

テノールの坂口卓也さんとアンフイニサロンオーケストラがオペラの名曲を歌います。

・第四部:アラ・カルト(20:10-20:50頃予定

メゾソプラノの日向由子さんとソプラノと尾崎知穂さんとアンフイニサロンオーケストラとの競演
上記のように番組のオープニングテーマの「明日への扉」もこのライブで演奏します。番組のリスナーの方も是非お誘いあわせの上ご来場くだされば幸いです。

3月 27, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年3月18日 (水)

マスタリングをMerging Pyramixで行ないました。

ここ数日全く身動きができない状態でしたが、ようやく先ほど納品が終わりました。

さて月曜日は実はマスタリングと音声コンテンツ収録の現場のダブルヘッダーだったんですがマスタリングは新作ミニアルバムのマスタリングでした。こういう時代だからこそ音のクオリテイのこだわりたいと思いシングルビットのマスタリングを行ないました。長年のつきあいのマスタリングエンジニアのS君のスタジオで行ないました。

090316_130901

090316_135501 システムはスイスのMerging社のPyramix(左)でWindowsベースで動きます。マスタリング素材は24bitのaiffで持参し32 bitの音質で編集、今回はにぎやかな曲からものすごく静かな曲までバラエテイに富んでいるので、逆に高音質のマスタリングでないと恐いんですね。 私の知る限りでは今最高音質のマスタリングが行なえると思います。

090316_132001

音の取り込み中、-コンプレッサーやEQを通したあとMergingに入れ込みます。

090316_141301

曲を何曲か入れ込んだ状態です。

以前にも書きましたがデジタルの音の方はどんどんハイスペックになっていくのに今はmp3が主流になりつつあるというのは大きなパラドックスですね。またデジタルというだけでmp3とCDが同じ音と思っている人たちが驚くほど多いのも問題です。実際はmp3ははっきりいってジャンクフードの音のレベルですし、やはりジャンクフードレベルの音ばかり聞いていたら感性も想像力もどんどん退化してしまいます。CDもデジタル技術草創期に作られた規格なので、先日のソニーのBlue Spec CDじゃないですが、一刻も早く高品位なサウンドを一般の人たちが手軽に聞ける環境を再構築してもらいたいと切に願います。

弊社のマスタリングにご興味のある方はこちら

http://homepage1.nifty.com/hyb-music/mastering.htm 

3月 18, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年2月 9日 (月)

グラミー2009 ロバートプラント/アリソン・クラウス 五冠!!

仕事でドタバタしていたので、録画しながら見ていました。

ツエッペリンが好きな私としてはプラントがグラミーをしかも何と五部門も取ったのはうれしいですね。新人賞はAdele,(どう見ても二十歳に見えない、すごい老成している)が取りました。

主な受賞者は以下の通り

・最優秀レコード(Record of the year)  Please Read The Letter
                                          Robert Plant & Alison Krauss

・最優秀アルバム(Album of the year)  Raising Sand
                                         Robert Plant & Alison Krauss

・最優秀ソング(Song of the year)   Viva La Vida
                                        coldplay   

・新人賞 (Best new artist)             Adele       

・最優秀女性ヴォーカル(Best Female Pop Vocal Performance ) Chasing Pavements
                                                                        Adele

・最優秀男性ヴォーカル(Best male Pop Vocal Performance ) Say
                                                                   John Mayer

他にもたくさんありますがキリがないので興味ある人はグラミーのこちらを見てください。(英語ですが.)  http://www.grammy.com/grammy_awards/51st_show/list.aspx

尚、オスカーでもそうだがこういうビッグに音楽イベントだと過去のアーチストの功労者に賞を与える機会をもうけ、音楽文化を大事にするグラミーの姿勢が見えてうれしかったりする。今年はフォートップスが功労賞を受賞、意外だがモータウンであれだけの名曲を生んだこのグループもグラミーはノミネートが一度のみで、受賞が一度もないというのは驚かされる。久々にスモーキーロビンソンがステージで歌っていたが(モータウンの元社長でもある)この人相当な年だと思うのだが元気である。

あとニールダイアモンドも音楽家の仕事の環境(音楽の必要な制作環境)を作るために奔走した功績を認め特別賞が与えられるようだ。実はアメリカやヨーロッパの音楽業界の状況はある意味で日本以上に深刻である。CDコピーで音楽が売れないという話だが、日本などは実はまだいい方で、欧米はある意味もっと深刻である。新人アーチストが活動する機会はどんどん減っており、音楽を満足に作る機会すら与えられないアーチストも多い。ニールダイアモンドはそういう時に自ら自腹を切って立ち上がり音楽家にチャンスを作ろうとしている、と同時に音楽文化のすばらしさを伝えようと活発に音楽イベントも主宰している。グラミーではアメリカ人なら誰でも知っている"Sweet Caroline"(日本人でもメロデイを聞けば一度はどこかで聞いたことがあるはず)を歌っていたが、やはり全盛期と比べるとちょっと声が出ていなかったように思う。まあ仕方ないか。

だがニールダイアモンドの活動を見て考えさせられた。日本でもいわゆるB層を中心に全ての音楽やコンテンツはタダであるべきと考える向きが強い、またクリエーターの作品、そして権利に対して全く敬意というものを感じていない人間が残念ながら少なくないこれは音楽のすばらしさ、音楽で感動した経験がない人間が特に10代-20代に少なくないからであろう。やはり業界のシステム云々よりもそちらの問題が今日の世界的な音楽文化の危機的な状況を生んでいるような気がする。

 私自身は音楽家としてたいした力はないが、音楽のすばらしさ、音楽の感動を作りより多くの人に伝えるにはどうすればよいか、今年のグラミーを見てそれを考えさせられた。

2月 9, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2009年1月 7日 (水)

井上堯之さんが引退

日本を代表する名ギタリストの井上堯之さんが引退されるそうです。

■井上堯之が引退を発表 2月公演払い戻し
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2009/01/07/06.html

あまり邦楽を聴かなかった私でもこのバンドの演奏だけは大好きでした。特に「太陽に吠えろ!」のテーマは今でも私の教科書になっています。

直接の原因ではないようですが、体調も崩されているようです。

それにしても47年間もの長い間、 ずっと、プロとして活躍し、 ギターを弾きつづけて、 精一杯、音楽と向き合ってきた人が、「音楽以外にやることがみつかった」(事務所関係者談)というのはどういうことなんでしょうか? なにを見つけたんでしょうか?

とても気にかかります。 動機も含めてですが、とても知りたい・

とにかく、長い間お疲れ様でした。

1月 7, 2009 音楽04-10 | | コメント (0)

2008年11月21日 (金)

MERGING Pyramix 6.0 マスタリング体験記

Pm20with20tft

本日あるクライアントのCD製作であるクラシック系の音楽のマスタリング作業をMERGING Pyramix 6.0(写真)で行いました。以前もこのブログで紹介させてもらいましたが32bitでPCM44.1kHz~384kHz,DXDおよびDSD(1-bit 2.8MHz) まで対応可能というかなり驚異的なスペックのマスタリング機能で、レコーデイングやシーケンスソフトも内臓しているそうです。今回はクラシック音楽、それもちょっと特殊なジャンルのクラシックなのでクライアント立会いの元、初めてこのMERGING Pyramix 6.0でマスタリング作業を行いました。

このMERGINGという会社はスイスの会社のようで、クラシック音楽やジャズなどのアコーステイックなサウンドを可能な限りのよい音にしたい、という設計思想で作られました。

Ts3h0036

音質は空気感がはっきりしていて非常によく抜けた音を作ることができます。アコーステイックなサウンド、特にクラシックやジャズをやるのに最適だと思います。クライアントもこの音質の充実ぶりにとても満足されていたようでした。編集作業もとてもやりやすい感じで細かい編集もかなりやりやすかったように見えました。

既にV社やS社のメーカーのマスタリングスタジオで導入されているようで、この32ビットのスペックが業界標準になる可能性があります。しかし一昨日のInterBeeの記事にも書いてあるように、スタジオや制作サイドではどんどん高スペックになっていくのに、一般で普及しているi-podではmp3で主に聞かれていることを考えると、すごいパラドックスを感じてしまいますね。本当はスタジオの高品位サウンドをそのまま聴ける何らかのメデイアが現れてくれればいいんですが、SACDもDVD-Audioも失敗したしまったのは、一般のユーザーがきちんとした音を聴ける環境を確保するのが難しくなったからなんでしょう。

しかしだからといってmp3中心、というのはなア、やはり音楽文化が興業的に衰退しているのはそういう面もあるんでしょうかね? 私にいわせればジャンクフードレベルの音質なんですが...

弊社のマスタリングにご興味のある方はこちら

http://homepage1.nifty.com/hyb-music/mastering.htm

11月 21, 2008 音楽04-10 | | コメント (0)

2008年11月 8日 (土)

「わかったつもり症候群」が音楽文化を蝕む

先日私のもう1つのブログKyojiのよろずひとりごとで以下のような記事を書きました。

・情報社会の落とし穴(1) モノを知らない人が増えている
http://d.hatena.ne.jp/KyojiOhno/20081031

・情報社会の落とし穴(2) 受身の姿勢が思考停止
http://d.hatena.ne.jp/KyojiOhno/20081101

・情報社会の落とし穴(3) コミュニケーション不足の構造
http://d.hatena.ne.jp/KyojiOhno/20081102

・情報社会の落とし穴(4) 情報化社会でなぜ想像力がなくなっていくのか
http://d.hatena.ne.jp/KyojiOhno/20081103

・情報化社会の落とし穴に陥らないために
http://d.hatena.ne.jp/KyojiOhno/20081104

ここで私は「わかったつもり症候群という名前で最近の人が断片的な情報のみで「全てをわかったつもり」になりそれが社会のさまざまな面で悪影響を与えている点を述べました。

ここではその「わかったつもり症候群がいかに音楽文化、そして産業に対しても悪影響を与えているかについて述べたいと思います。

上記でポイントになるのは

1.「わかったつもり症候群」による断片的情報のみで判断する傾向。

2.情報に対する受身の姿勢による思考停止

3.家族や周囲の考えの「わかったつもり」から来る社会全体のコミュニケーションの崩壊

これらが現代の日本社会における「想像力のなさ」 や「常識レベルの知識を持たない」人間を増やしていることを書きました。実は音楽でも同じようなことが起きています。

例えばあるブラックミュージックが大好きでミュージシャンを目指している若者との会話

若者A 「自分、ブラックミュージックがめっちゃ好きなんスよ。だからそういう音楽をやっていきたいっスねェ

私「ふーん、じゃあジェームスブラウンやアレサフランクリンのどのアルバムが好き?」

若者A 「誰っスかあ? それ?」

私「.......... (・。・)  アゼン 」

これも上記の「わかったつもり症候群」のケースにあてはまるかもしれません。ブラックミュージックを卑しくもプロとしてやるならブラックミュージックの基礎ぐらいちゃんと勉強しろよ、といいたくなりました。だいたいブラックミュージックが何であんなにパワーがあるかといえば、奴隷としてアメリカ大陸につれられてきて、死ぬほど辛い毎日を過ごした果てでの表現で、ゴスペル、ソウル、R&Bは表面上での形式で基本的な精神はそこにあるんだ、というまずそこを理解しないといけないでしょう。

あるオーデイションの例で山下達郎さんが参加者があまりにも「ゴスペラーズもどき」などの表面的なスタイルのみを踏襲したものばかりで、たまらず「お前ら本物をもう少し勉強しろ!!」と怒鳴ったという話を聞いたことがあります。やはりこれは今の日本の音楽状況を如実にあらわしていると考えていいでしょう。

また私が懇意にさせていただいているある音楽ライターの方が今の音楽家と「わかったつもり」の音楽リスナーに関する状況を詳細にレポートしています。非常に的確に表現していますので本人の承諾を得て引用させていただいています。

尚、誤解を招かないように書きますが、以下の引用はあくまであるコンサートのレポートであり、このライターの観点と私が全面的に同じ意見であるというものではありません。あくまで一例としての引用であることをご留意下さい。

---------------以下 引用---------------------------------------

日本では清志郎やサザンのように、見世物として騒げる「タレント」としてしか、接しようとしない。また、ドラマタイアップする小田・陽水とか。
だから日本のロックの頂点であり、どんな売れてる若手よりも先進的で野性的で激しいロックをプレイする佐野元春のステージは、「知らねー」「興味ねー」「おっさんが昔好きだった人だろ」と、ハナっから無視して聞く耳を持たず、会場を出て、10~20代向けのほかのステージへ行った。

だから主催の鹿野淳や渋谷陽一はブチ切れ、「お前らもうフェスに来るな!」とキャリアを捨てる覚悟で叫んだ。
そこまでしないと、みんなわからないというのが、本当に情けない。
「音楽なんて好きなもの聞けばいいじゃん」「何を聴こうが勝手だろ」と言ってられない状況なのだ。
わかりやすく大雑把に言えば、今の好きな使い捨てルックス重若者専用音楽しか興味を持たない状況は、温暖化で自然破壊され、未来がないのに、「自分がタバコを吸いたくて金を出して買ってるんだから自由だろ」とか「暑いんだからエアコンかけてるだけで、誰にも迷惑かけてないんだから部屋で何をしようが勝手だろ」というのと、同じだ。

みんなが使い捨てルックス重若者専用音楽しか興味を持たないから(何でも聞いてるとかいっても、結局、清志郎やサザンの「タレント」とや、CM・ドラマタイアップする小田・陽水・達郎とかのみ)、本物のベテランが売れなくてレコード会社やメディアから捨てられ、消えていく。


そして、ジャンクフード音楽しか残らなくなる。今でもそうだが、それしか知らない若者は、ジャンクフード音楽を本物と勘違いしている。

天然ものの魚を知らず、養殖ばかり。畑や有機栽培を知らず、ハウスものや加工物ばかり。おばあちゃんの味やしっかり下ごしらえしたものを知らず、インスタントやファミレスばかりで、本物の味を知ってると言い張る。
僕らの世代は、ザリガニやカブトムシを捕まえ、海や川で釣りをして、親と一緒に料理をした。そういった本物を知ったうえで、お菓子やカップラーメンといったジャンクフードも、それはそれとして食べた。

甲斐バンド、TULIP、佐野元春、柳ジョージ、ツイスト、オフコース、渡辺美里、ゴダイゴ、中村あゆみ、山下達郎、松山千春、竹内まりや、アリス、山下久美子、白井貴子、杉真理、さだまさしなどが常にオリコンのシングルやアルバムチャートのベストテンを埋めていた。
そしてユーミンと大滝詠一が大記録を成し遂げた。
日本中が世代を超えて、いいものはいいときちんと評価していた時代彼らは今でも本物であり、互いを尊敬しあい、下の世代のミュージシャンに尊敬されている。
今売れているルックスありきのミュージシャンで、全く音楽性が違うのに、一緒に活動したり尊敬しあってるのはいるだろうか?


残念ながら、学生みたいに狭い世界で似た者同士でつるんでるだけ。そしてベテランに相手にされていない。
今100万枚売れていても、20年後にもいい曲と思えるか?
人前で聞いてて恥ずかしくないか?
下の世代に尊敬されるか?
そもそも第一線で生き残ってるか?
あなたが60~70歳になったとき、胸を張ってこどもや孫に、「いい歌だろ?」「いい歌手だろ?」と言えるか?
それを考えたら、80年代までの音楽と、それ以降の音楽の違いが如実にわかるはず。 <以下略>

誤解をしないでいただきたいのですが、ここでは古い音楽が良くて、今の音楽が駄目とかそういうことがいいたくて引用しているわけではないことをご理解下さい。

ここで最大のポイントは現代の日本人の情報に対するリテラシーの低さが音楽文化の発展の障害になっているのではないか、という問題提起です。具体的にいうと「テレビなどのタイアップを取った音楽=良い音楽、それ以外=取るに足らない音楽」という風潮であります。そして「そのタイアップを取った音楽を知る=世の中の全ての音楽を「わかったつもり」になっている」という思い込みです。

この友人のライターの文章も「ドラマのタイアップ」が演奏された時は盛り上がったけれど、タイアップも何もない佐野元春とか出るとぞろぞろとみんな会場から出てってしまう、「タイアップ音楽=良い音楽」と思い込み、それ以外の音楽についてはその価値を理解しようとすらしない、そういう風潮に怒りを表明した内容でした。

実際今の10代ー20代の子達と話していると本気でそう思っている人たちが多いことを感じます。 つまり「わかったつもり」 と「情報に対して受身」の2点が音楽文化をを蝕んでいるような気がします。

最大の問題は
1.断片的な情報のみで「全てをわかったつもり」になり、それ以外の詳細な情報には目もくれないこと、

2.情報に対して受身になり、その情報に対して考えたり評価したりしないことー思考停止


この2点が音楽文化にとって大きな障害になっているのではないかと強く感じています。

特に「情報に対して受身」の姿勢は日本人は欧米人などと比べとくに強いことが揚げられます。前述の記事にも書きましたがこれは検索エンジンの使い方で日本人と欧米人の間で顕著な違いがあり、欧米の人は自分が探している情報を見つけるまでかなり一生懸命探しますが、日本人は自分が探している情報が「すぐに」みつからないとすぐに諦めてしまう傾向が強いそうです。例えて云えば欧米の人は情報を「見つけられる」ページを探し、日本人は情報を「与えてくれる」ページを探す傾向があるようです。従って「よいホームページ」という概念には日本と欧米で明確な違いがあり、欧米は「情報がふんだんにある」ページがよいとされるのに対し、日本は「情報がすぐにわかる」ページがよく、あまりテキストの文字数が多いホームページは日本ではよいとされていません。

実際私もホームページを運営していてこれはすごく強く感じます。料金表(CDプレスとかマスタリングとかの)とかを入れても殆どのお客様からは「わからない」という答えが帰ってきます。どこがわからないかというと「たくさん書いてあってどれが自分にあてはまるのかわからない」ということでした。つまり日本人に対してはテキスト文字数が多すぎるとかえって「わかり辛い」と感じる人が多いようです。実はここに深刻な問題があります。またうちのホームページにはさまざまなクリック可能な場所がありますが、せっかくある検索キーワードでホームページに来ても、全然関係ないページをクリックして結局は他のページに飛んでいってしまう、そんな人が非常に多いことも感じています。つまり選択肢が多いという状況で「パニック」を起してしまい、どこをクリックしていいのかわからない、というのが実情のようです。要は自分で多くの選択肢の中から選択する、ということに慣れていない人が多いようなんですね。つまり情報に対して考えるという習慣を持っていない人があまりに多い点にあります。

これらは文化の状況にとって非常に深刻な事態をもたらしていると思います。私見では情報が現代はあまりに多くなってしまい。情報に対していちいち調べる、考えるということができなくなってしまう、面倒くさくなってしまうという点もあるようです。

 これは日本において情報のリテラシー教育というものが殆ど行われていなかったことに起因しており、その点においても残念ながら日本は欧米社会に比べても非常に遅れているといわざるを得ません。経済産業省が日本を本当にコンテンツの先進国にしたいのであれば、この情報やメデイアのリテラシー教育を早急に確立するように提言したいと思います。系統だった情報に対するリテラシー教育のカリキュラムを早急に確立し、これからますます顕著になる情報過多社会への対策を取るべきでしょう。

 このブログでは音楽業界の主に業界のありかたについて述べてきましたが、業界のシステムは遅かれ早かれ変わっていかざるを得ないでしょう。しかし私は音楽業界の本当の変革は業界のシステムのありかた云々よりも一般の人ー特に若者への「音楽文化の啓蒙」こそが急務であるように思います。せっかくすばらしい音楽を創っているのに「テレビに出てない」というだけで聞こうとすらしない若者たち、まずはここから変革しないと音楽業界そのものの再生はない、そう思うようになりました

 このブログは最近かなり多くの若い人たち、学生さんに読んでいただいているのがわかっています。(ac.jp とかがたくさんアクセスしていますので.)中には音楽業界で働きたいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。まずはそういう人たちに理解していただくために、これから「音楽の成り立ち、その歴史」についてこのブログでシリーズ化して書こうと思っています。そうすることによって皆さん、特に若い人たちに「テレビに出ているもの ≠ 本物」ということを理解していただき、本物の音楽というものを尊重し文化として大事にする、ということを理解していただける人が一人でも多く出てきていただければ幸いです。

11月 8, 2008 音楽04-10 |

2008年10月 2日 (木)

ソニーミュージック、BMG JAPANを完全子会社化

■ソニーミュージック、BMG JAPANを完全子会社化
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/02/news081.html

このBMGという会社、かつてはビクターグループだったり、ユニバーサルにいったりとあちこち転々と親会社が変わって行ったけど、今度はソニーグループか。今度は事実上の吸収合併といっていいでしょう。

ちなみにEMIも新CEOの足立正人氏が就任したが、この足立氏M&Aや人員整理屋としても知られるそうで、EMIも一波乱あるかもしれない。実はEMIは僕が始めて「メジャー」の仕事をした記念すべきレコード会社だったのだが...

今年じゅうにあと何社のいわゆる「メジャーレコード」会社がなくなるだろうか。私がつきあいのあるビクターやコロンビアミュージック(なぜか老舗ばっかりだ(~~::)!!)も今後どうなるかわからない。

既に「メジャーレコード」なんてものは有名無実になりつつあるんだが、実は肝心の業界人でそのことを理解できない人間がまだ業界の大多数なんだからいかに世の中が見えていない業界人が多いかだね。

まだまだ音楽業界の激動は続く

10月 2, 2008 音楽04-10 |

2008年9月16日 (火)

訃報:Pフロイドのリックライト死去

リック・ライト、65歳で死去 
  http://www.barks.jp/news/?id=1000043397

スタジオで作業中にこの訃報を知りました。
僕がシンセ小僧になったのはピンクフロイドの「おせっかい」でそれからシンセサイザーというものに入り込んだ。エマーソンでもウェークマンでもないんですね。そのシンセパートを担当していたのがリックライトでした。
そしてその後のあの名盤"The Dark side of the moon"は今でも僕の教科書になっています。

DギルモアやRウオータースに比べて目立たなかったですが、ピンクフロイドのあのサウンドはリックライトによるところが大きいです。

なんとも言葉が出ません。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

9月 16, 2008 音楽04-10 |

2008年9月 3日 (水)

QueenがPaul Rodgersで十三年ぶりにアルバム

■Queen + Paul Rodgers "The Cosmo Rock"発売

http://www.emimusic.jp/queen/special/special_020.htm

フレデイもすでになく、ジョンデイーコンも引退ということで、これをQueenといえるかどうかは議論が分かれると思うが、とにもかくにも十三年ぶりにアルバムを出すらしい。

生前フレデイとポールロジャースはあまり仲が良くなかったなどという情報もあるけど、天国でフレデイはどんな思いでこのアルバムを見ているのだろう。

一応Queenの熱烈なファンでもある私としてはかなり複雑な思いでこのアルバムを見ている。

欲しいような、欲しくないような


9月 3, 2008 音楽04-10 |

2008年6月18日 (水)

最新マスタリング事情

さて、先日のレコーデイング終了を受けてCDを作るためのマスタリング作業を開始、今回は事情によりCDを2種類作ります。というわけで二枚のCDのマスタリングを行います。

ご存じない方のためにマスタリングとはどういう作業か、簡単にご説明しますと録音、TDiし終えた音の素材をCDという製品にするための作業でいわばここで作る音の作業、ここでの音質調整作業が最終的に製品の音となる、CDを作る上では最も重要な工程のひとつです。これはパソコンのCDライターで単にまとめる作業とは違い、曲をより迫力を持たせたり、曲間の調整、音質のその他の調整を行うもので、業界ではマスタリングエンジニアという人たちがいて、いわば音楽をCD上でいかによい音で聴かせるか、はこの人たちの腕しだいで決まってしまいます。料理等に例えて云えば食材や料理をいかにおいしい状態でお客さんに出すか、いかに「おいしく」見せるかという料理の最終工程に当たります。その作業のためのスタジオをマスタリングスタジオといいます。

このマスタリングスタジオは長い間”Sonic Solutions"というMACOSのソフトで作られるのが業界ではもっとも一般的で、今でも業界のスタジオの6割がこの”Sonic"を使っています。一部のスタジオではWindowsのWave labなるアプリケーションを使っているようですが、正直それほど”Sonic"と比べて飛びぬけてよい音だったという印象はありませんでした。しかし最近

Pm20with20tft

MERGING Pyramix 6.0(写真)が急激に注目されているようです。これはWindowsベースで動くソフトでマスタリングにもレコーデイングやシーケンスソフトも内臓しているいわばpro toolsに近いソフトですが、マスタリング用としてプロの現場で急激に普及しているようです。仕様は32bitでPCM44.1kHz~384kHz,DXDおよびDSD(1-bit 2.8MHz) まで対応可能というかなり驚異的なスペックといっていいです。音を聴きましたが本当に実在感、空気感がはっきりしています。アコーステイックな音をマスタリングしたりするのにはとてもいいでしょう。

このMERGINGなる会社はスイスの会社のようで「クラシック音楽」をよりよい音で録りたいという開発者の思想がこのアプリケーションソフトに反映されているようです。既にV社やS社のメーカーのマスタリングスタジオで導入されているようで、これが業界標準になる可能性があります。もしそうなれば32bitのマスタリングが業界標準になるかもしれません。まあCDにするには16bitに下げられるのですが、それでも元の音が違うと作られた音の印象がかなり違います。

ちなみにこのMERGING Pyramix 6.0で作った音の空気感、音の広がりはmp3ではきちんと再生されないでしょうね。まあ音楽配信やネットでの音楽戦略については追々このブログで書きますが、音楽配信がmp3で行われる限りは、ネットで本当の音楽の価値は伝わらないのではと最近考えるようになりました。例えは悪いですがこのマスタリングスタジオの音を一流レストランの料理だとすれば、mp3はやはりジャンクフードのレベルにしかならないと思います。まあインターネットのスピードが現行のFTTHより更に10倍以上早くなり、aiffかwavが配信で当たり前のように扱われるようになれば話は別ですが、mp3のレベルの音中心だと、音楽配信が本当にCDにとって変わるという考え方には私はどうしても懐疑的になってしまいます。

最後にこのソフトを使っているマスタリングエンジニアが私に言ったことがとても共感します。本当のよい音を作って世の中に出す、その使命を忘れてはならない」 最近いわゆるメジャーレベルからもメジャーとは名ばかりの音のクオリテイでCDを発売しているところが少なくありません。ですから確かに音楽のクオリテイの低下が叫ばれているのはわかりますが、こういう考え方を持っている人間がまだ音楽業界にいる、ということはもう少し多くの方に理解していただきたいです。私自身もそういうことを心がけて仕事をしていきたいと思います。

ちなみにもうひとつお勧めのマスタリングソフトですがMAGIX社のsequoiaです、コストパフォーマンス重視ならこちらでしょうね。これもWindows仕様でなかなかいい音です。いずれにせよマスタリングに関してはMAC OS中心からWindowsに移行しそうです。もともとOSX用の”Sonic Solutions"があまり評判良くなかったこともマスタリングの世界でのMAC離れが始まったのですが...

http://www.samplitude.com/eng/seq/uebersicht.html

ちなみにpro toolsiに関してはMACもWindowsも可能ですが、やはりWIndowsを使うとあまりよい音にはなぜかなりません。それにWindowsでpro toolsを使うとすぐにフリーズやクラッシュすることが多いようで、その関係で私もMACを引き続き使っています。一応MAC暦20年なので...

弊社のマスタリングにご興味のある方はこちら

http://homepage1.nifty.com/hyb-music/mastering.htm

6月 18, 2008 音楽04-10 |

2008年6月15日 (日)

レコーデイング終了

ここ数日スタジオでしたが、昨夜未明というか今朝早く(終了朝の3時, 帰宅は朝の4時ーもう空は明るくなってました(^^;))レコーデイング無事終了しました、例のpro toolsのオケの件は無事解決、その後は滞りなく作業が進みました。それにしてもなかなか予定通りには進まないものですね。結局当初予想した以上の時間がかかってしまいました。まあなんでも簡単にものはできない、ということでしょう。 関係者及びスタッフの皆さん、そしてリリーズのお二人、お疲れ様でした。

ところでスタジオに入る前の昨日東北地方で大変な地震があったようです。親しい人間の何人かは東北に住んでおられるので心配でしたが皆さん無事でなによりでした。今回の地震で多くの方が亡くなられたようですね。謹んでご冥福をお祈りしますと同時に、被害や怪我をされた方には心からお見舞い申し上げます。

情報によると今回の東北地震、揺れの加速度は観測史上3度目だそうです。震度6強というと大人でも立っていられないほどの揺れといいますから、本当にすごかったんでしょうね。

揺れの加速度、観測史上3番目 (毎日新聞)http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20080615k0000m040059000c.html

 

これだけの揺れが東京に来たらどうなるか、と考えるだに恐ろしいですね。自然の力というのは恐ろしいものです。

改めて被害に遭われた方にお見舞い申し上げます

 

6月 15, 2008 音楽04-10 |

2008年6月12日 (木)

pro toolsのクロックソース

今日はちょっと技術的な話です。

昨日レコーデイングを行ったのですが一つ問題が起こり、3曲録る予定が2曲しか録れませんでした。

原因はpro toolsデータのエラーによるもので、オケの音源が正しく再生されずスタジオ内で対応しようとしましたが結局、再度データを作り直すしかなく無念にもその曲のダビングを断念せざるを得ませんでした。

実はうちのスタジオはpro toolsとO2Rの組み合わせなのですがクロックソースをpro toolsのdigi002のa-datの方にしています。基本的にはそれで問題ないはずなのですがたまに設定でO2Rとpro toolsのサンプリング周波数が違うと今回のようなことが起きるようです。

例えば02Rがinternal clockの44.1KHZでpro tools内での録音の設定が48KHZだと、クロックソースのエラーで音源も正しく録音できず、テンポも不正確になってしまいます。時々いくつかの業務の都合上、48KHZでpro toolsを設定する場合があるとO2Rとのクロックソースが気がつかない時にずれてしまうことがあるんですね。今回もそれが原因のようです。

始末が悪いことに自分のスタジオで作業している時はなかなか気づかないものなんですね。外のスタジオで作業して初めてわかるという状況になります。しかし一方で事前のデモで事務所側から「テンポが遅い」という情報もあり変だなとは思っていたのですが原因はそれだったんですね。非常にうかつではありました。pro toolsとデジタルミキサーを組み合わせる場合気をつけないとこういうことが起きるんですね。

あとの2曲は2年前のリメークということもあり、順調に進んだのですがこれからあと一曲、やや強行スケジュールで望まなければなりません。まあ原因がわかり昨日帰りに設定に気をつけたら正常に動作したのが確認できましたので今度は大丈夫だと思います。

最近pro toolsはへたすりゃ96KHZなんていうサンプリング周波数もありますからね、ダビング作業を行う前に必ずそこを確認するクセをつけた方がよさそうです。

ということで今日はお恥ずかしい失敗談でした。

6月 12, 2008 音楽04-10 |

2008年5月29日 (木)

CMのMA

本日八丁堀にある某マルチメデイアスタジオにてMA作業を行いました。

知らない人のため、MAとはMulti-Audio作業といいまして、映像のサウンドをまとめるのにマルチトラックレコーダーを使って最後はトラックダウンする作業です、昔はオープンリールのマルチテープを使っていた時代を私は知っていますが今は勿論、Pro toolsです。

こういう作業は昔からやっているんですが、音楽関係者でMAまで立ち会うというのは話によると私くらいだという話を聞きました。日本の名だたるアレンジャーや劇版音楽作家の大半はMAには来ないそうですね。

個人的にはレコーデイングにしろ、MAにしろ「スタジオ」という場所が私は好きなので、結構立会いも楽しいんですけどね。

そして本日、完成しました。明日納品だそうです。
6月にはオンエア開始だそうですので、その時には公開しようと
思います。一応ネット等で公開していい、という話を聞きましたので..

ちなみに音楽はもろにクラシック調です。ちょっとハイドンの某有名交響曲をパクリました。

地方CMとはいえ、なかなかよくできているんじゃないかなと自負しています。解禁になり次第発表します。

これで一段落しました。これでリリーズ関係と、それと奥津恵の新曲のレコーデイングも来月行おうと思います。しばらくその2件に全力投球します。

 

 

5月 29, 2008 音楽04-10 | | コメント (0)

2008年5月24日 (土)

CM音楽完成

例の保険関係のCM音楽 ほぼOKをもらいました。

あとはMA作業を待つばかりです。

今回は結局「クラシック音楽」のパターンになりました。
たぶんCMを見た人はオリジナル音楽ではなく、普通のクラシック音楽ーそれもハイドン、モーツアルトといったロココ風ーだと思うでしょう

15秒の中でいかに説得力ある表現にするか、ですが実はCM音楽って
実質14秒がMAXなのです。規定により頭0.5秒と終わりの0.5秒を無音に
しないといけないからです。
だから秒単位、フレーム単位の作業が非常にシビアになります。
久々のCMの仕事なんで結構忘れていたこともあったりして...
ご迷惑をおかけしました。

でも結果的にはすごくよくまとまったものになると思います。
たぶんクライアントの受けもいいでしょう。

今月中に納品、たぶんオンエアは(中国、四国地方限定ですが)来月
でしょう。

5月 24, 2008 音楽04-10 | | コメント (0)

2008年5月23日 (金)

直るかどうかわからないけど、診るだけで二万円-

昨日の話の続き、クリエイテイブジャパンにエミュの昔のハードの修理する会社があるというのでEmulator IIIの修理が可能かどうか電話してみたらそういう答えが返ってきた。

そして仮に直る可能性があるにせよ、費用は天井知らず、いくらかかるか想像もつかない、という。

確かにそもそも部品自体が存在しない可能性が高いし、昔の仕様(特に基盤関係)なので今の部品が代用品になる可能性も低いという。特にハードデイスクがやられていたらもうお手上げとのこと。

まあ何せ二十年前に発売されたハードなんで、そういうことだろうと予想はしていたが、それでも取り合えず診るだけみてみようかと思っている。このサンプリングマシンは私のここ二十年近い業務キャリアとともにあったものだけに他の機材と比べても思い入れが深い。1%でも直る見込みがあるのならかけてみてもいいと思っている。

たとえが悪いけど直る保証のない末期がん患者に手術を受けさせるようなものかもしれない。

今月はドタバタしているから月あけに考えようか。
2万円はポケットマネーから出して僅かな可能性にかけることにしよう。

5月 23, 2008 音楽04-10 | | コメント (0)

2008年5月22日 (木)

Emuの名器、E III 昇天

さて、音楽制作作業中に突然愛用のサンプリングマシン、Emulator IIIがエラーを起し、ハードデイスクが読めない状況になった。

何回も電源を付け直したりしたが、Operating Systemやサンプリングのデータを読まない、ついに昇天してしまうのか?

このEmulator III 今から18年前に購入した愛用の機器でこれまで私の数多くのレコーデイングやイベント、作品に参加してきた。自分用のオリジナルプリセットもあり、うちの機材でも重要な位置を占め続けてきた。それだけに、ダウンしてしまったのは精神的なダメージも大きい。
またよりによって、重要な仕事をしている最中に

実は私は自分だけのオリジナルサンプルのプリセットをかなり作る習慣がある。だたプリセット音源だけを鳴らしているのではないのだ。当然そこにはこのEmuでしかない音がたくさんある。

この機械を私は十八年の長きにわたって使ってきた。私の絶好調な時代、まだ羽振りが良かった時代に5年ローンで買った当時最高級(といってもフェアライトやシンクラビアには譲るが)のサンプリングマシンだった。

しかしソフトシンセ全盛の現代、実はもうEmuのハードをサポートしている会社はない、ということが判明、関連のPCインターフェースやソフトシンセをクリエイテイブジャパンなるものが代理店となっているが、果たして修理できるか、そもそも部品自体がない可能性も高く、仮にあっても取り寄せになるのでかなり経費がかかる。その見込みも低いといわざるを得ない。明日一応クリエイテイブジャパンに連絡はしてみるが、期待は薄い。

ふーむ。ちょっと精神的ダメージが大きい。泣き顔
なんでこういう時にこういうことが起きるかなあ

5月 22, 2008 音楽04-10 |

CM音楽制作開始

中国、四国地方限定オンエアですがある保険関係のCMの音楽制作開始です。

まあCMといっても地方CMなので予算はないですが、久々にオンエアもののオリジナル音楽を作るということで、気合を入れて作業を開始しています。

今のところ2パターン考えていますが、一つはクラシックオーケストラのパターン、もう一つはクラブミュージック風のリズムにデイストーションギターを鳴らすパターンです。どちらがはまるかはやってみないとわかりません。たぶんインパクトでは前者の方が圧倒的にありますが、「おおげさ過ぎる」などという人もいるかもしれないので、「無難な」パターンも用意しておきます。

デイレクターは「俺たちの世界」にも出演している俳優のMさん。 ドラマや映画なので活躍中ですが、映画や演劇のデイレクションも行っている人で今回CMは初挑戦だそうです。

日本ではなかなか映画監督だけでは食えない、というのもあるので こういう仕事もこなすことになるんですが、まあMさんは結構テレビ ドラマにもたくさん出ている人ですからまだいいですけどね。柱に なるものがありますから、 でもMさんは多才な人だと思います。私といっしょでアメリカ生活も長いという共通点もありますし ....

取り合えず作業開始です。

 

 

 

 

 

5月 22, 2008 音楽04-10 | | コメント (0)

2008年3月29日 (土)

パイプオルガン録音

うちの会社は音楽制作全般を行っておりますので、通常のポップスからクラシック系のホール録音まで「音の制作」と名のつくものは全てやっております。今回はネット経由の問080329_091602 い合わせで、東京都町田市のO大学で新しいチャペル、ホールが竣工しその記念式典ならびに同チャペルに設置されたパイプオルガンの奉献コンサートの録音ということで録音スタッフとともに早朝よりセッテイングを行いました。

パイプオルガンはスイス・フェルスべルグ社製のもので確かに低音の響きとかすごかったですね。式典で前半は大学の合唱団とともに讃美歌等を歌ったり、学校のおえらいさんの挨拶等で後半はプロのパイプオルガンの演奏会という内容でした。一応依頼の内容はパイプオルガンの録音ということになってはいますが、式典の中なので本来ならチャペルの通路中央にマイクを置けば理想的なのですが式典なのでそれもかなわず、やむを得ずチャペルの2階の上にゼンハイザーの志向性のマイクを使用しました。(写真下)

080329_095501_2

パイプオルガンは考えようによっては古いシンセのようなもので、使用するパイプによって「フルート系」「トランペット系」という風に違った音色を出せるわけですね。余談ですがロック草創期に「キーボード」ではなく、よく「オルガン」(主にハモンドですけどね)が使われていたのもこうした特性があったからでしょうか?

このクラスのパイプオルガンはメンテするだけで大変でしょうね。一年中空調を聞かせて温度を一定に保って、なんてことをしなければならない。まあめったにない機会ではあったので楽しかったですが...

できれば次回は理想的なマイクの置き方で録音したいですけどね

弊社のホール録音のページでこのオルガンの音を聴くことができます。ホール録音のお問い合わせはこちら

http://homepage1.nifty.com/hyb-music/hall.htm

3月 29, 2008 音楽04-10 | | コメント (0)

2008年3月16日 (日)

いわゆる「癒し系」音楽というものについて

私は音楽業界の中では「癒し系」音楽の作曲家というイメージがある。これは私にとって必ずしも本意ではないのだが確かにヒーリングものとかたくさん出しているのでそういう風に見られるのはある程度仕方のないことかもしれない。そんななりゆきもあってご存じの通り現在「癒しの音楽チャンネル」なるネット放送もやっている。
しかし最近私の考える「癒し系」と世間一般に考えられている「癒し系」にはかなりずれがあるのではと感じている。

勿論いわゆるヒーリング音楽、ニューエージ音楽、アンビエントといったもののみが「癒し系」というつもりはない。音楽のジャンル、形式のみで区別するというのはナンセンスである。しかし一般には私が今述べた音楽よりはクラシック音楽や「バラード系」の方を「癒し系」というくくりかたをしていることの方が多いだろう、 しかしどうもそれだけではない、それも少し違うようである。

これは某広告代理店にプレゼンしたときの本当の話。今からもう2年ほど前の話だが、広告代理店から「癒し系」の音楽でノベルテイ企画があるのでプレゼンして欲しいといわれ音源も含め資料を提出したら「違う、自分だちの求めているのはこれじゃない」といわれた。後で聞いたらどうも夏川りみ、と中島美加(!!!)を考えていたらしいが、おいちょっと待ってくれよ。夏川はともかく中島のどこが「癒し系」なんだー と叫びたくなった(^^;;;)

どうも「癒し系」というものを単なるファッション、流行という観点しかとらえておらずうわべだけのスタイルだけで論じている傾向があるようである。

実際私はネットショップもやっているのだが「なぜOrange Rangeの「花」がないんですか?」なる問い合わせがきて困ったことがある。要はダンス系以外を全て「癒し系」といっているに過ぎないようだ。

うちのネットショップはGoogleで「癒し系音楽」とかヒーリングCDと検索すると上位に表示される。結構SEOも独学だがやっているしAdwords広告もやっているのである程度の売り上げがないと正直しんどい。おかげさんでアクセス数も多い時は100を越すし、平均60-70アクセスは毎日ある。しかしその割に正直いって売り上げは少ない。やはり今の商材では限界があるのかもしれない。「癒し系」といったものを今のような捉え方をしている風潮がある以上、やむをえないかも...

でも「夏川りみ」など扱うつもりはないが、たまたまうちでつきあいのある事務所はいわゆるバラード系、アコーステイック系をメインに出している所が多いので条件さえ折り合えばうちのショップで取り扱うことも考えようかと思っている。あとクラシック系の人ともつきあいがあるので一応その商品も考えようか。とにかくやり続けるためには売り上げをもっと揚げなきゃいかんから... そんなわけでうちのネットショップで扱って欲しいと思う方はご連絡下さい。但し一応店の性格上、以下の範疇に入るものに限らせていただきます。

1. 基本的に静かな音楽、ただしジャンルは問いません
 アコーステイックな音源を歓迎

2. 心が洗われる、泣かせる、精神が安定する、落ち着くetc
等の効果があると思われる音楽


当ネットショップのurl
http://www.healingcd.net
尚、「癒しの音楽チャンネル」でもオンエア曲を随時募集しています。当ネットラジオでオンエアし、うちのネットショップでも販売、ということが可能ですとすばらしいですが,
(但し癒しの音楽チャンネル」のオンエア曲はJASRAC信託曲でないものをお願いします)

3月 16, 2008 音楽04-10 | | コメント (0)

2008年2月17日 (日)

ヨーロッパで演奏家の権利保護機関が延長を提案

欧州委員、ミュージシャンの著作権保護延長を提案

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0802/15/news036.html

意味がわからない人のために解説しますと「実演家」という表現は、クラシック音楽などは一応「再生芸術」といわれ、同じ楽譜でも「演奏家の個性」を芸術表現と考え、それに関する権利を「実演家の権利」といい「著作権」と同じ扱いをするものです。同じようにジャズでもジャズ演奏家によって同じ曲でも全く違う演奏(特にアドリブ部分等を入れると殆ど全く別の曲になります)になることからそれを「著作物」と認識し「実演家の権利」として規定している、いわば演奏家の持っている著作権のことをいう。基本的にはクラシックやジャズの演奏家を念頭においており、それ以外の音楽のジャンルでは作曲家=演奏家というケースが少なくないのでポップス関係ではあまりなじみがないかもしれない。

(注:これは原版権利者と原版権とは別のものです。よく「原版権」と「著作権」を混同する人がいますが「原版権」は音源に関する権利、「著作権」は著作者や演奏家といった「個人」の権利です。業界人でも結構混同する人間が多いのは困ったものですが..)

私自身も一応ピアノをはじめとする演奏家でもあり、そして勿論本職は作曲であるので理論上は2つの権利を持っているわけで、一応建前上は保護期間延長には基本的に賛成なのだが、実はこの提案を手放しでは喜べない部分がある。

私は音楽業界の現状云々とか、ネットプロモーションを強化すべきだと等の見解を述べていたが、勿論コンテンツの基本は権利ビジネスであり、権利保護には勿論賛成である。しかしだからといってただひたすら「保護する」「守る」という部分に過剰にこだわり、音楽コンテンツを広める行為に障害を起きるとしたら問題だ、というのが私の基本的な考え方である。(決して音楽の権利保護に否定的な見解を持っているわけではない、ここのところを一部の人がどうも誤解しているようである

しかし子供でも「過保護」に育てる、つまり甘やかされるとロクな人格の人間にならないのと同じで、過剰な保護は産業の体質をかえって弱体化し、新たなビジネスチャンスをみすみす逃してしまう結果になる。確かにネットの世界には「コンテンツの権利」に敬意を示したり尊重するという考えを微塵も持っていない輩は少なくないことは確かである。しかし本当にそういう連中の権利を踏みにじる行為(違法コピー等)を根本から絶つには寧ろネットの世界に積極的に打って出て、違法コピーの根をたつことをすべきであろう。音楽業界は洋の東西を問わずそれを怠ってきたのだ。

今回の「実演家の権利延長」は95年でこれはいわゆるSP盤の録音のクラシックの名盤の殆どが入ってしまう。これが実現すればクラシック音楽がいくら作曲家の著作権が消滅している曲でも演奏家の著作権が生きていればネットでの放送、ストリーミングは事実上不可能になるだろう。

しかし現実問題としてただでさえラジオのプロモーション能力が落ちてきている現状に加え、地上波のテレビはNHKは別として積極的にクラシックや昔のジャズの名盤をプロモーションするとは考えにくい。従って自由にクラシックのCDをプロモーションするメデイアというとネットしかないのが現状だ。この提案が決定されれば(たぶんされるだろう)クラシックのCDのプロモーション方法が、少なくとも音源を実際に聴く機会は殆どなくなる可能性がある。

何度も云うが権利保護は勿論重要である。しかし、子供を過保護にするのはかえって「惨い」育て方であるのと同様、「守る意識」が過剰になるとかえって自分の首を絞める結果になると思う。それが最近の音楽業界の停滞の原因の一つになっていると私は考える。

2月 17, 2008 音楽04-10 | | コメント (0)

2008年2月11日 (月)

2008年 グラミー受賞結果とその雑感(ネタばれ)

今年は50回目のグラミー、そうグラミー賞がもうけられてもう半世紀なのだ。まさにポピュラー音楽歴史そのものだ。グラミーは受賞可能な部門数だけでゆうに100を超えるので主だった賞の今年の受賞者は以下の通り

・最優秀アルバム 
River: The Joni Letters & Herbie Hancock

・最優秀レコード
Rehab:Amy Winehouse

・ソングオブザイヤー
Rehab:Amy Winehouse

・新人賞
Amy Winehouse

・最優秀女性ヴォーカリスト
Amy Winehouse

・最優秀男性ヴォーカリスト
Justin Timberlake

・最優秀グループ
Maroon 5

詳しくは(英語です)
http://www.grammy.com/GRAMMY_Awards/50th_show/list.aspx

尚、ちなみにグラミーはどんなマイナーな分野でも"CD"である以上受賞のカテゴリーをもうけていて、今年は大統領選のさなかで何と民主党のオバマ候補がナレーションの入っているCDを対象にした "Best Spoken Word Album" でグラミーを受賞している。グラミーの分野の深さ、裾野の広さを示しているといえよう。

それにしてもエミーワインハウス、露出狂とかかなり頭ヤバイんじゃないかとかいろいろいわれたけど、これだけ受賞できてよかったね。しかしグラミーでのパフォーマンスを見てもかなり「キテル」感じがした。数年前のジャネットジャクソンのような「オッ○イポロリ」はなかったけどね...

グラミーを見て面白いのはアーチストのパフォーマンスだ。全部あげるとキリがないが、私のブログにも書いたが昨年はガーシュウインの没後70周年ということでハービーハンコックとラン・ランとオーケストラの共演による「ラプソデイーインブルー」の演奏。全曲演奏すると17分にもなるので、勿論一部をはし折って(実際には全曲の2/3近くをカットしている)の演奏だが、アメリカが出した最も偉大な作曲家に対する敬意を忘れていないパフォーマンスだった。
 そしてジョンフォアガテイ、ジェリーリールイス、そしてリトルリチャードといったロック音楽の草創期に活躍したアーチストも出演。「古典的」なロックンロールだが、これが基本なんですよ。ここをきちんと把握していないとポピュラーミュージックの基礎を理解したことにはならない。それにしてもリトルリチャードは75歳(!!)というのにまだまだ結構歌える、まあ全盛期と比べりゃ声量は落ちているだろうけど...

ちなみにあくまで噂でマ○ケル○クソンがサプライズ出演するというのがあったが、結局出てこなかった。

まあお祭りなんで楽しくやろう、でいいのだがここからは真面目な話
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今まで何度も深刻な音楽業界の状況について述べてきたがアメリカもヨーロッパも基本的な部分は変わらない。ある意味ではアメリカの音楽産業は日本以上にロコツにネットメデイアとかをつぶそうとしている。それはCRBという著作権の管理徴収団体がインターネットラジオ局に対して 直接著作権使用料の徴収を2006年1月からに遡って行うという内容でしかも、この法案はすでに可決されており、各ネットラジオ局やYahoo!など多数の団体からの異議申し立てについても、それを認めない決定を同年の4月17日に行っている。これは事実上メジャーアーチストの曲をネットラジオでオンエアするのを事実上不可能にする法律である。

日本は既にJASRACの規定によって事実上JASRAC信託曲はネットラジオで流せない体制が続いている。私の「癒しの音楽チャンネル」もそのためJASRAC信託曲はネットで流すことができない。(著作権消滅曲は別だが)

またラジオ業界も深刻だ。日本のラジオ業界はもともと駄目だが、アメリカのラジオ産業もイラク戦争以来、崩壊している。はっきりいえばネオコンとそれを支持する人たちが事実上アメリカのラジオの公正さ、音楽のプロモーション機能を事実上崩壊させてしまった。アメリカの音楽文化を支えていたメデイアがその機能を果たせなくなったのだ。

そんな状況でアメリカの音楽産業もかなり深刻な状況ではある。日本人は文化の面では海外なら何でも日本よりいいだろうと考えがちだが音楽業界人のメンタリテイは日本もアメリカもヨーロッパもそう大差ない。

しかし決定的に日本と違う点がある。しかもその違いは日本の音楽産業にとってある意味致命的だ。

それはアメリカもヨーロッパも日常生活に音楽が根付いているところだ。アメリカの白人はカントリー、黒人はR&B ソウルが基本、そして勿論その両者の音楽的要素が往来し、白人がソウルやラップをやることも珍しくなくなった。いずれにせよ「生活」の中に音楽がしっかり入っている。

日本は残念ながらそうではない。着メロ?カラオケ?それがあるから日本でも生活に音楽が入っているじゃないか。と思っている人がいたらそれは生活の中に音楽文化があるというのはどういうことか理解していない人だ。特にJ-popしか聴かない人に顕著だが日本の場合音楽は単なる、友人や職場のコミュニケーションツールに過ぎない。実際そういう人たちが音楽のルーツのゴスペルやブルース、ロックンロールといった「自分たちのルーツの音楽」についてきちんと理解している人たちはどれだけいるだろうか?日本という国できちんとそういったバックグラウンドを持って、日常や生活の中に音楽を文化として持っているのは私の知る限り沖縄県の人たちくらいである。

要は日本では「音楽文化」といっても「作られた」ものだ。日常生活にはゴスペルもなければロックンロールもない、いわんやジャズもクラシックもない。ただ「流行っている」からそれをコミュニケーションの道具として考えているに過ぎない。カラオケBOXにいってレパートリーがないと恥ずかしいから、というものでしか存在理由がない。はっきりいってまだ演歌の方が田舎にいけばまだ生活に根付いているだろう。あとはみんな表面上のできごとに過ぎない。

つまり残念ながらせっかくあれだけ多くの音楽の情報が流れ込んでいながら結局、どれ一つとして本当の意味で「音楽文化」として根付いていないのだ。アメリカにもヨーロッパにもそれがあるだけ日本よりははるかにましである。

勿論音楽クリエーターの端くれとしてそれを作って来なかった、作れなかった私自身にも忸怩たる思いがある。今状況が深刻だけにグラミーを見ても寧ろ憂鬱な気分になってしまうのであった

2月 11, 2008 音楽04-10 | | コメント (0)

2007年12月25日 (火)

また偉大なアーチストの訃報ーオスカー・ピーターソン

今年は本当に偉大なアーチストの訃報が相次ぎます。しかしクリスマスの日の朝にこのような訃報を聞くことになろうとは...

この人はジャズピアノの歴史そのものでした。
今年の訃報の中でも個人的には最もショックです

日本好きでも知られ3年前の日本公演、一昨年の80歳の記念アルバムでも演奏に衰えは見えませんでした。脳梗塞から奇跡のカムバックをした人としても知られています

□ジャズ・ピアニストの最高峰 オスカー・ピーターソン氏死去
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/071225/tnr0712250848002-n1.htm

先日ヤマハに買収されたベーゼンドルファーの愛好家としても知られ、私もこの人の演奏法をお手本として勉強させていただきました。

心からご冥福をお祈り申し上げます。
この偉大な芸術家の名前が忘れられることはないでしょう

 

 

 

 

 

 


 

12月 25, 2007 音楽04-10 | | コメント (0)

2007年12月12日 (水)

レッドツェッペリン復活,ジミーページ白髪でロックンロール

すみません、今日はロックおやじのノリです(^^;;) 既に皆さん、ご存じでしょうが、 70年代最高のロックバンドのレッドツェッペリン復活です。「アーメット・アーティガン追悼コンサート」が10日、ロンドンのO2アリーナで行われました。20年ぶりの復活です。チケットは100ポンド以上、日本円にして二万円以上したようですが会場は全ヨーロッパからファンが集まり勿論満員だったようです。社会現象としてBBCもニュースとして大々的に取り上げました

イギリスのBBCニュース
http://www.youtube.com/watch?v=BXGlVGS6iTo&feature=related

http://www.youtube.com/watch?v=cH0T5yAtJZc&NR=1

それにしてもジミーページが全部白髪(!!) ギックリ腰というか、椎間板ヘルニアをやってさらに骨粗しょう症の噂もあり体はもうボロボロ、そしてこんなに老けてしまったのかと思わず感慨が。

ロバートプラントは髭いらない、って髭はやしているお前が云うなって? 私の好きなジョンポールジョーンズは相変わらずかっこいいですね。

ドラマーのジェイソン、ボーナム、故ジョンボーナムの息子(オヤジと違って髪の毛が全然ない!!)、かつて下手くそとか、オヤジの鬼子とかボロクソにいわれましたが、特訓した甲斐あってまあ及第点といってよさそうです。

友人にセットリストを教えていただきました。ちなみに彼は日本のジミーページで「地味な」ページとみんなから呼ばれるギターの迷手(?)です。(じみいさんありがとうございました)

<セットリスト>
1. グッド・タイムズ・バッド・タイムズ
2. ランブル・オン
3. ブラック・ドッグ
4. 死にかけて
5. フォー・ユア・ライフ
6. トランプルド・アンダー・フット
7. 俺の罪
8. ノー・クォーター
9. 貴方を愛しつづけて
10. 幻惑されて
11. 天国への階段
12. 永遠の詩
13. ミスティ・マウンテン・ホップ
14. カシミール
アンコール①
15. 胸いっぱいの愛を
アンコール②
16. ロックン・ロール

アンコールでロックンロールですか。盛り上がったでしょうね
天国の階段を入れてくれたのもうれしいですね

DVDが出るという話です。私も買ってしまうと思います

 

 

 

 


 


 

12月 12, 2007 音楽04-10 | | コメント (0)

2007年12月 8日 (土)

訃報 カールハインツ シュトックハウゼン

カールハインズ シュトックハウゼン(1928-2007)

私は一時的だが「現代音楽」なるジャンルの音楽に関わってきた。もう現代音楽から離れてしまった人間だが、まだ「電子音楽(今や半ば死語だが)」というものが珍しかった時代からエレクトロニックミュージックの可能性を追求したパイオニア的作曲家だった。

訃報:シュトックハウゼンさん79歳=作曲家
http://mainichi.jp/select/person/news/20071208k0000e040011000c.html

 

ちなみになぜ現代音楽というものから私が離れていったか興味ある人はこちらを読んでください。

武満徹とともにポピュラー音楽にも影響を与えた作曲家だ。マルチスピーカーを使った電子音による不思議な空間音楽は今も印象に残っている

ドイツのシンセサイザーユニットのタンジェリンドリームのエドガーフローザを始めクラフトワークといったテクノにも影響を与えた。

また巨星が逝った。建前ではなく心からご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

12月 8, 2007 音楽04-10 |

2007年11月28日 (水)

続ーベーゼンドルファー買収について

10日ほど前の世界三大ピアノメーカー(御三家ともいう)「ベーゼンドルファー」の買収の話の続報です

YAMAHAが全株式を獲得すべく優先交渉権を獲得したようです

ここでおさらい。
世界的な高級ピアノのブランドとして「世界御三家」と呼ばれるピアノに米スタインウェイ、独ベヒシュタインそしてオーストリアのベーゼンドルファーがあります。
日本では高級ピアノ=スタインウェイというイメージが強いですが、べーゼン独特の深みのあるやわらかい音質はこの会社しか出せないといっていいです。あと不思議なのはヨーロッパでは一番メジャーなベヒシュタインがなぜか日本では殆ど知られていないというのが私には理解できません。なぜなんでしょう?

まあそれはさておき、YAMAHAがベーゼンドルファーを傘下に収めるのはほぼ確実な様子です

ヤマハ、ピアノ名門ベーゼンドルファー買収へ
http://www.asahi.com/business/update/1128/TKY200711280298.html

海外のリンク
http://business.timesonline.co.uk/tol/business/industry_sectors/consumer_goods/article2943387.ece

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/entertainment/classical_music/?1196164729

まあどちらかというと「一般市民用」のピアノというイメージが強く、はっきりいって音質はベーゼンとは水と油の部分もあるんですが、YAMAHAとしては販売力を生かして「高級ピアノ」の市場を開拓するのが目的らしいです

ベーゼンのファンとしてはあのやわらかいベーゼンならでは音質をくれぐれも崩さないで欲しいと願うばかりです

それにしてもYAMAHAは先日Steinberg(レコーデイングソグトのCubaseのメーカー)を買収したばかり。そんなに買って大丈夫か? という気もしなくはないんだけど...



全部共倒れ、なんてことにならないで欲しいですけどね




11月 28, 2007 音楽04-10 |

2007年11月18日 (日)

ベーゼンドルファー売却へ

先日楽器フェアでなぜかベーゼンドルファーが見つからないので変だなと思ったらこういうことになっていたのか。

□ピアノ名門ベーゼンドルファー売却へ=ヤマハも有力候補-オーストリア
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2007111800097

はっきりいおう。私はスタインウエイなんかよりベーゼンドルファーの音色の方が好きだ。特に日本の調律師がやたらに「通る音にするために」スタインウエイの高音部を変にキンキンした音で調律したりするのを聞くと思わず耳をふさぎたくなる。おまえら、ピアノの本当の美しい音を理解しとるんか、とどなりたくなる。

私の敬愛するドナルドフェイゲンさん始め、バーンスタイン、オスカーピータソン、カウントベーシーなどはベーゼンドルファーの愛用者である。かくいう私もかなりのファンで金と置く場所さえあればベヒシュタイン、ザウターと共に欲しいと思っているピアノである。そのベーゼンドルファーが経営難に陥っていたとは..

それにしても ショック、誰かの言葉を借りるとが現代は「良いものが存続し辛い世の中なのかもしれない、何でもビジネスの論理が優先されすぎるのも問題かも

ヤマハが売却先として有力だそうだが、どこが買収するにしてもあのベーゼンならではのやわらかくて暖かい音色を堅持してもらいたい。ベーゼンドルファーというブランドに傷をつけることだけは避けてもらいたい




11月 18, 2007 音楽04-10 |

2007年10月12日 (金)

MADONNAがワーナー・ミュージックと決別ー音楽業界の体制崩壊になるか?

マドンナがレコードメーカーではなくイベント会社と契約、いよいよ本格的に業界の崩壊が始まったなというのが率直の印象 。

日本と違い欧米は契約社会、なにごとにもビジネスライクに考えるのであっさりこういう動きが加速すると思うが、普通に考えれば今の音楽産業の構造の中でもはやちゃんとした「プロモーション能力もない、実質的に何もしない、そのくせマージンだけはわんさか取っていくレコード会社」なんていらない、という発想に行くのは極めて自然なことである。

日本の音楽産業でさえ、レコード会社はもはや単なるデイストリビューター以外の何者でもない、それゆえ日本もいずれ超メジャーアーチストがレコード会社と決別する動きが出てくると面白いが、問題は日本人は欧米人と違い「ブランド志向」が強い点である。これはアーチストのファンがブランド志向があるのではない、音楽業界及びその関連業界の人間がいまだにそういった旧態依然の思考回路で考える人間が大半なため、仮に日本のアーチストでマドンナのようなことをしようとしても事務所の方でそれを許さない可能性がある。

例えば以前もそうだったし今だにそうだが、その辺のメジャーより売れているインデイースのアーチストでも、テレビ局の連中などは「インデイース」という理由だけで一般人と同じような扱いをする。一方でたいしたアーチストでなくても「メジャー」というだけでVIP扱い、なんて体質はいまだに根強くある。いわゆる多くの業界人の思考回路がいまだに旧態依然としている人が多い。私の周囲の業界関係者は音楽業界の現状をよく認識している人たちが多いが残念ながら実はまだまだ業界ではそういう人たちは少数派なのだ。

それでもこの流れをもはや誰も変えることはできないだろう。
CDはアーチストの1マーチャンダイスのグッズに過ぎず、CD以外のいろんなマーチャンダイスを考える必要があるのだ。そしてもうひとつ、これからのアーチストは魅力的なライブを行えるアーチストでないと生き残れない。「ライブをやらないアーチスト」というのはもはや駄目だろう。CDを売るのではなくアーチストを売るのだ

日本にこういういい意味でのビッグバン、旧体制の崩壊が早く来たほうがかえってよいと思うが、日本はアメリカなどと違い守旧派の力が強いからなあ。日本の政治の「構造改革」を見てもわかる。結局守旧派の根元は温存され、結局末端の庶民にしわよせがいっている、そして「それこそが改革だ」などといっている。音楽業界もそうならないで欲しいが..

MADONNAがワーナー・ミュージックと決別、ライヴ・ネイションと契約を交わす見込み
http://www.bounce.com/news/daily.php/11798/headlineclick

10月 12, 2007 音楽04-10 | | コメント (0)

2007年7月11日 (水)

今日は何の日?-ジョージガーシュウィン没後70回目の命日

今日がアメリカが生んだ最も偉大な作曲家 ジョージガーシュインの命日と答えられた人がいたらその人はよほどのジャズ通だろう。アメリカのジャズクラブでは結構ガーシュインナイトのような催しはあるようだが、日本ではこれといった記念イベントが開催されているという情報はない。クラシック関係にいたっては皆無といってよい。昨年のモーアルトの生誕250周年でクラシック界での大騒ぎぶりに比べればまさに雲泥の差である。わずかにユニバーサルミュージックがガーシュインの記念商品を発売しているくらいである

ジョージ・ガーシュウィン (George Gershwin, 1898年9月26日 - 1937年7月11日) は『ラプソディ・イン・ブルー』(題名でわからなければドラマ「のだめカンタービレ」のエンデイングテーマとなった曲といえばわかる人も多いだろう)を代表作とするシンフォニックジャズと呼ばれる音楽の作曲家であり、同時に「スワニー」「アイゴットリズム」といったポピュラーソングのヒット曲の作家としても知られる。私的には20世紀最高の作曲家の一人だと考えているが同時にその功績に比べて不当なほど評価が低い(英語でいうmost underrated)作曲家だと考えている。アメリカでは「アメリカ音楽の父」という評価があるのと対照的にイギリスなどを除くヨーロッパ諸国、特に音楽史家からの評価はまだそれほどでもない(日本も似たようなもの)というのが実情である。

なぜだろうか? これはおそらく音楽史家、といわれる人の大半がいまだにクラシック音楽中心の音楽観しかもっておらず、いまだに「ヨーロッパ音楽の伝統」という狭い枠でしか音楽を論じない人が多いからだろうと思われる。実際ガーシュウィンのシンフォニックジャズを大半の音楽史家は「ジャズとクラシックを融合させた音楽」とか「クラシック音楽にジャズの語法を導入した」という程度の認識しか持ってない。その観点からガーシュウィンの音楽をー特にガーシュウィンの傑作の一つでヨーロッパの古典的な形式をふまえたピアノコンチェルトヘ調を題材に上げー「ジャズ」なのか「クラシック」なのかというくだらない論争を続けていることからも彼らの音楽史観がいかに狭いかがわかる。

ガーシュウィンの音楽がジャズなのか、クラシックなのかーはっきりいってそんなことはどうでもいいことである。大事なことはガーシュウィンの音楽がジャズという新しいイデイオムによって新しい芸術の流れを作ったことである。彼が後のジャズ音楽には計り知れない影響を与えているし、オペラ『ポーギーとベス』はミュージカルの流れに大きな影響を与えた。ガーシュウィンがいなければオスカーピーターソンもロイドウエーバーもいなかっただろう。映画音楽のジョンウイリアムスもガーシュインの影響を認めている一人である。

またガーシュウィンは同時代の新しい音楽表現を模索していた作曲家からも一目置かれていた。「あなたはすでに一流のガーシュウィン」と評価していたラベルをはじめ、バルトークもジャズやガーシュウィンの作品に大きな関心を持っていた。バルトークなどは「クラリネットとピアノのためのラプソデイー」で明らかにジャズの語法を取り入れようとしていた(初演は何とあのベニーグッドマンである)。

但し面白いことに同時代の作曲家たちの評価は真っ二つだった。前述のラベルやバルトークは評価していたし、ストラビンスキーもガーシュウィンが天才であることは認めていた(但し自分より数倍収入の多いガーシュウィンをねたんでいたといわれる)一方ではプロコフィエフやシェーンベルクなどはガーシュウィンの音楽を毛嫌いしていたという。ちなみに意外だがガーシュウィンは十二音技法にも関心があったといわれている。とても面白い話である。惜しむらくはあまりにも早死にだったこと、1937年7月11日、脳腫瘍のため、ハリウッドにて急逝した。まだ38歳9ヶ月の若さであった。この後十二音や無調とジャズや他の語法と組み合わせた新しい音楽をもっと作っていれば彼は今日のような偏った不当ともいえる評価に甘んじなかったかもしれないと思うと残念である。

いずれにせよガーシュウィンの音楽がその後クラシック系の音楽よりジャズをはじめとするポピュラー系の音楽に対する影響が後世に強かったことがガーシュウィンという作曲家を音楽史家が正当に評価することを妨げたということができる。それがガーシュウィンは「アメリカ音楽」の作曲家という評価にしてしまったが、実際ポピュラーソングもジャズももはやアメリカのみのものでないことは明らかである。(ちなみにミュージカルをアメリカの文化と考えている人がいるようだが、現在の大ヒットしているミュージカルの台本も音楽も実は大半はイギリスで書かれている。一概にアメリカのものとはいえない)

そしてこれだけはわかってもらいたいのだが、ガーシュウィンはポップソングのヒットメーカーとしての功績(当時は今のようなチャートはなかったが、「スワニー」などは間違いなくヒットチャート一位になっていた曲と思われる)と『ラプソディ・イン・ブルー』、『パリのアメリカ人』といった芸術音楽の分野での功績両方の分野で功績を残した歴史上殆ど唯一の作曲家である。ガーシュウィン自身それを最初から目指していたし、彼は通称『完璧な音楽家』といわれていた。

この「完璧」とはどういう意味だろうか? それは彼の功績を見れば明らかである。ポップソングライターとしての功績ー興業ビジネスとしての成功、と高い芸術性を持った音楽作品ー芸術家としての成功。両方を手にするということである。

ガーシュウィンはそれが可能であることを身をもって示してくれた作曲家である。
また芸術音楽家として黒人音楽の価値を世に知らしめた功績も大きい。ガーシュウィンがいなければジャズのここまでの発展はおそらくなかったであろうし、ジャズから生まれたR&B ソウル、ファンクなどといった音楽もここまでメジャーになっていたかどうか。ちなみにガーシュウィンの葬儀には黒人白人関係なく彼の死を悼む人の列が絶えなかったという。まだ人種差別が根強くあった時代の話である。

だからもっと彼の作品を聴いて、ガーシュウィンの本当の価値を理解して欲しいと願うばかりである。
ちなみに私は今 バーンシュタインのピアノ・指揮ニューヨークフィルの演奏でラプソディ・イン・ブルーを聴いている

 

7月 11, 2007 音楽04-10 | | コメント (0)

2007年2月12日 (月)

アメリカの良心はまだ生きていた!!今年のグラミー(長文注意)

今回のグラミーはデイクシーチックスが主要部門を制覇した。彼女たちの基本ジャンルがカントリーだけに日本人にはいまひとつ馴染みがないし、私自身も正直カントリーにはそんなに興味があるわけではない。しかし彼女たちが受賞したのはとてもうれしい気持ちである

実はこのディクシー・チックス3年前にブッシュを批判して全米で彼女たちのCDの不買運動が起こり、ラジオでも放送禁止を食らった。それだけでなく彼女たちは生命の危機にも立たされた

具体的にどういうことがあったかというと

実はカントリーシンガーの殆どは寧ろ戦争支持の歌を発表しており(ブッシュの支持者は田舎の方が圧倒的に多い)このことにより多くのカントリーのラジオ局でプレイリストから外された。またブッシュの息がかかった、というよりは’98年にテキサスレンジャーズを、当時のオーナー だった現ブッシュ大統領から購入しブッシュが州知事時代からブッシュ一家とビジネスの関係にある全米1200のラジオ局を傘下に持つクリアチャンネルの副会長トム・ヒックス(ブッシュの広告塔の役ーこの人物は現代のゲッペルスと呼ばれている)はチックスをプレ イリストから外す命令を出した。 「我々の街とリスナー、そしてアメリカ軍兵士へ敬意を示すため、ディクシーチックスをプレイリストから外しました。」
(フロリダ州ジャクソンビルの二つのカントリーラジオ局でプログラミングディレクターを務めるゲイル・オースティン)

さらにCD潰し集会ルイジアナ州のカントリーラジオ局KRMDでは「ディクシーチックス廃棄デー」を開催。”元”ファンから集めたCDなどをトラクターで潰したあと、集まった人たちが踏みつけた。メンバーのエミリーは自宅玄関を壊される。24時間警護が必要になった。右翼系紙のコメンテイターは彼女たちを裏切り者と批判し、”ディキシーの尻軽”、”サダムズ・エンジェル”と呼んだ。

実はカントリーは白人の音楽だ。全部が全部とは言えないにしても、保守&右派が中心というのは否めない。

しかし彼女たちも負けてはいなかった。カントリー肌と"離婚"してロック系の人たちと協力した。またリーダーのナタリー・メインズが歓声とブーイングの入り交じる中、一通り感謝の言葉と言論の自由について話したあと次のような発言をしているのが印象的だった

「最後に、私のことを嫌いな人にお礼を言います。あなた達のおかげで、私は強くなれたし、色んなことに関心を持ったし、誇りを持つようもになった。あと、いい知らせも。来週、新しいCDとDVDが出るの。よかったね。あなたたちまた、焼いたり踏んづけたりできるわよ」

アメリカ国内でもこの頃から、戦争終結後も治安が収まらず米兵の犠牲者が増え続けるイラクと、依然見つからない大量破壊兵器の件もあり戦争疑問視の声も取り上げられるようになっていた。そうした中ロック系のミュージシャンとともにポリティカルバンドの仲間入りを果たし、2004年の大統領選挙には反ブッシュキャンペーンをR.E.Mやパールジャムとともに活動、そしてふだん政治の場には現れないブルース・スプリングスティーンまでこの運動に参加した。結果的にはアメリカ南部や地方の保守層を切り崩すことができずブッシュ再選を阻止は出来なかったが..

しかしイラクでの戦況が泥沼化し、結局大量破壊兵器がみあたらなかったことがわかると「ナタリーは正しかった」という雰囲気が増加してきた。

さらに2005年に入ると政界から強力な支持も出てきた。グループのマネージャーでイギリス出身のサイモン・レンショウが、アメリカ議会委員会を前にラジオ産業の今後について証言してからだ。 彼は所属事務所が死の脅迫を受けたことを明らかにし、右翼団体がそういった運動を指揮している証拠も示した。そしてグループの合衆国憲法修正第一条(言論の自由)に基づいた権利が侵害されていることを非難し、芸術の自由と文明開化、そして政治議論の自由が侵されていると主張した。
多くの人が賛同した。委員会のメンバーの一人、カリフォルニア州選出の民主党上院議員バーバラ・ボクサーは、今回の組織的なラジオからの締め出しをナチスドイツや50年代のマッカーシズムにたとえ、”人々の口をつぐませるための、ぞっとするようなメッセージ”と呼んだ。

これがターニングポイントだったかもしれない。それが今回の、「テイキング・ザ・ロング・ウェイ」の最優秀アルバム受賞、「ノット・レディ・トゥ・メイク・ナイス」の最優秀ソング受賞につながった。グラミーの会場はいずれも彼女たちに対して暖かく、彼女たちも今までの苦境を驚くほど明るく語っていた。受賞時にナタリーはおどけながら「この受賞を聞いてチャンネルを回した人もいるでしょうけど..」と発言。会場の笑いを誘った

アメリカというのはとにかく極端な方向に流れることがよくある。今回の911以降のアメリカの行動はそうだ。しかし反ブッシュとして槍玉に上がっていた彼女たちをこういう形で評価し賞を受賞するというのは、まだアメリカの良心が残っている、まだ社会として健全な部分が残っていることを感じている。

この「ネオコン」-私は新しい形のファシズムとすら呼んでいるが、後の時代からマッカーシズムと並ぶくらい否定の対象になってほしいとも思う。ちなみに先ほどのクリアチャンネル、現在経営難で身売りしている。ざまあみろといいたい。

女性3人組バンド グラミー5冠
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007021200160

私はアメリカ生活が長いので平均的アメリカ人の考えがわかるがアメリカ人は基本的に外国に興味がない。海外で大規模なデモの様子もあまり報道されたことがないし、イラクやアフガニスタンでテロリストよりも一般市民の方が多く殺されているなどということもアメリカのメデイアは全くといっていいほど報道しない。それだけにアメリカという国が世界にどれだけ迷惑をかけているかについて殆どのアメリカ人は知らないし、関心もない。しかしネットがこれだけ普及しているこの時代に本当にそれでいいのかということは声を大にしていいたい。(アメリカ人は日本人よりメデイアリテラシーがあるというのは大嘘である)

長文になってしまいました。とにかくディクシーチックスには心からおめでとうといいたい。

2月 12, 2007 音楽04-10 |

2007年2月 7日 (水)

CDマスタリング

私の会社の業務でCDプレス+マスタリングの仕事を受注したので久々にマスタリングスタジオに出かける。クライアントもうちの会社に3年ぶりに発注をくれたのだが、こちらのことをよく覚えておいてくれた。期待に答えてよいクオリテイのものにしなくてはならない。

さて、マスタリングとはご存じCDのプレスマスターを作るための作業で実は録音と同じくらいCDを作るときは重要な作業となる。いつも使う東京築地のマスタリングスタジオのエンジニアはもう20年以上のつきあい、お互いペーペーの頃からよく知っている仲なので仕事はしやすい。(よく録音の作業と混同する人がいるが全く別の作業である)

ところで最近のCDマスタリング、業界的にはSteinberg社の"WaveLab"が現在主流になりつつあるが、やはり音的にはMacのSonic Solutionの方が音がいいように感じる。Sonic SolutionはOSX用は一時はもう出ないのではと思われたが今年中には発売するらしい。

そこでやはり時節柄こういう話が出た。今後CDはどうなるのかという話、私もそのエンジニアもCDが完全になくなるとは思っていない。しかしこれからはCDに焼く作業は減り、ファイル納品というのは増えてくるだろうという認識では一致した。とはいえmp3のレベルでは知れている。しかし「よい音」を追求する動きはなくならないと思うし、なくしてはならないとも思う。そのためにマスタリングという作業はやはり必要であり続けると思う。 とにかく最高の音で商品にするための最終段階だからだ。

今私が進めているコンテンツプロジェクト、「音の出る商品」の状況もふまえ、やはり現場としては「音の職人」というのは大事にしていかないと業界自体に未来がないだろう。

これは音楽業界に限らないが最近の会社は「技術のある」人間ーテクノクラートを切って事務屋ばかり残している傾向がある。やることが逆だ。これからの会社はノウハウをどれだけ持つか、ノウハウを持った人間のネットワークをどう作るかが大事なのだ。それを理解できない会社はいずれ滅びるだろう

弊社のマスタリングにご興味のある方はこちら

http://homepage1.nifty.com/hyb-music/mastering.htm

2月 7, 2007 音楽04-10 | | コメント (0)

2007年1月31日 (水)

70年代ロック的サウンド復権?

どうも癒し系音楽とかリリーズとかやっているので一部の方から私はあまりロックが好きでないかのように受け取られているようだが、私はロックサウンドとのオーケストラとの融合イベントもやっているのでそうではないことはおわかりいただけると思う。
https://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2006/02/-0st_99e3.html

そう実は本当は無類のロック、それもブリテイッシュ系のサウンドやプログレが好きなのである。ただ最近そういう音楽をやる機会がない、それだけのことである。

さて既に洋楽ロックが好きな人には今更と思う話だが。、昨年当りから気になっていたアーチストMIKA,今日改めてFMで聴くと明らかにQueenを意識した音創りだ。歌い方もFreddyそっくり

http://www.mikasounds.com/us/

フルトラック聴くとギターのフレーズも何かブライアンメイっぽく聴こえてしまうのは私だけ?

それにしても最近ヨーロッパは70年代ロックに回帰している動きがある。マイミクのTAKさんからも教えてもらったアイルランドのThe Answer 正当派のブリテイッシュという感じ。
(アイルランドのバンドだが..)
http://www.theanswer.ie/

ロックおやじ世代の私としてはうれしい限りだが
やはりまるで合成量甘味料たっぷりの飲料のような表面的な甘美なポップメロデイが全世界的に飽きられてきて音にパワーがこもっているサウンドに傾倒しているということだろうか? 
私自身そういう音にそろそろうんざりーFed upーしている頃なのでだとしたらとても良い傾向だと思うのだが...

1月 31, 2007 音楽04-10 | | コメント (0)

2006年11月14日 (火)

映画音楽できましたー

本日中島監督が来室、 音楽の最終確認作業を行いました

 

監督にとっても足掛け3年かけた作品、それがいよいよ完成に
近づきます。1時間44分通してみていただいて一部時間軸と動かす等の作業を行ったが、ようやく最終的にできあがった

 

映像の最終編集やCGのポストプロダクション作業もほぼ終わりこれで作品がほぼできあがった。

 

できあがりは、
 
私がいうのもなんですが本当にすばらしいできの映画になりました。今までいくつかフィルムの仕事をやりましたが今回は非常に充実感があります。

 

この映画の特徴をいうと

 

1.まずいわゆる「日本映画」的な要素がない。これはスタッフ全員がほぼ一致した考えなのだがおそらく日本よりも海外で評価されるような作品。

 

2.(私がいうのもなんですが)映像と音楽がものすごくマッチしています。特に「母の教え給えし歌」のカタルシス や
ヴィッターリのシャコンヌのシーンは圧巻です。中島監督独特の世界です。

 

3.現代社会、若者の心の病巣をするどくえぐった作品。
前にもいったがキューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」の世界を継承する作品です

 

まあ日本の映画というだけで見る気がしない人もいらっしゃるでしょうがこの作品は普通の日本映画とは明らかに違うということはできます。(確かに好みに合わない人はいるかもしれませんが...

 

クリエイテイブな映画、最近面白い映画がないとぼやいている人に是非見てもらいたい作品です。決して見に行って後悔しない映画だということはできます。

 

今の所、来年の3月に試写会を予定しています。またスタッフや関係者だけで忘年会兼上映会も予定しています。その時は俳優さんも集まる予定です

 

来年7月に公開予定ですが、そんなわけで海外のいくつかのフィルムフェステイバルに提出予定です監督はそのためにこれから字幕作成の作業を行います。
できるだけ安く行いたいのでもし字幕作成の経験者の方がいらっしゃいましたらご連絡していただければ幸いです。何せ年内に字幕までやってしまいたいので..(一応私も折を見て手伝うつもりですが...)

 

監督の戦いはまだ続く...

11月 14, 2006 音楽04-10 | | コメント (0)

2006年10月28日 (土)

Kurzweil K1200復帰

今月の18日に鍵盤部分の故障で修理に出したKurzweilが戻ってきました、何と10日ぶりの復帰。

故障の原因はやはり鍵盤と音源部分のワイヤーが断線、それと鍵盤の基盤のラバー(鍵盤を弾くときにベロシテイを感じる部分、ピアノタッチの部分)がいくつか断線のために交換で、修理費用、締めて2万円、これに自分の車で持ち込みー引取りでガソリン代、高速代とかかかり結構な出費になってしまった。

しかしこのKurzweil K1200ーもう15年も愛用しているマスターキーボードでやはりKurzweil ならではのピアノ音源を始め私が頻繁に使う多くの音源があり、私自身の音楽制作の核をなすものだけに私にとっては必需品ではある。一応無事電源を入れて動作を確認したので安心した。

これで中断していた映画「俺たちの世界」の修正(編集に伴う修正)等の作業に入れる。

K1200のマスターキーボードがないときは何か仕事場に大きな穴があいている感じだったがようやく10日ぶりに復旧した。まずは一安心

10月 28, 2006 音楽04-10 | | コメント (2)

2006年10月19日 (木)

「俺たちの世界」映画音楽クラシック曲レコーデイング

 

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本日スタジオにて映画「俺たちの世界」に使用するクラシック音楽のレコーデイングが行われました

 

 

 

バイオリンとピアノの曲が2曲とピアノのみ2曲、特に大きなトラブルもなく終了しました。監督はナツメさんのバイオリンにとても喜んでいました

 

以前と重複するとは思いますが、録音した曲は以下の通り
1. 母の教え給えし歌(ピアノ&バイオリン)ドヴォルザーク作曲
2. シャコンヌ  ヴィッターリ作曲
3. ピアノソナタ「月光」第一楽章 ベートーヴェン*
4. ピアノシナタ「悲愴」第二楽章 ベートーヴェン

 

*蛇足「月光」とは後の人がつけた名前で正式は「幻想風のソナタ」というのが実は正式名称

 

とにかくこれで「俺たちの世界」の音楽制作はいよいよ仕上げに入ります。ちなみに最後のトラックダウン時には演奏家の皆さんはみんな帰ってしまいましたが、最後にはこの映画の主演の谷口吉彦さんが顔を出してくれました。谷口さんも企画段階からこの映画に関わり今回の作品のできに喜んでいるようでした

 

取りあえず関係者の皆様お疲れ様でした

 

 

最新映画、話題作を観るならワーナー・マイカルで!

 

 

 

10月 19, 2006 音楽04-10 | | コメント (0)

KURZWEIL故障

一昨日、愛用のK-1200が故障した。

鍵盤部分のラバー洗浄作業中に、鍵盤のある区域の音が完全に
出なくなり、鍵盤のインターフェース部分と音の発信部分が
断線もしく基盤はがれの可能性があると思われるため

Kurzweil ジャパン(ハーモニクス)はK2000以降しかサポートしていないようだが基盤はがれや断線くらいなら対処して くれるとの話なので昨日、同社に持っていった。k1200となるともう部品がなくサービス担当者も少ないため1週間はかかるという。でも修理対応はしてくれるというので持っていった。
本来なら土曜日に京王閣(おそらくこれが最後)に使う予定だったが間に合いそうにない。仕方なくS330とDX7でやるしかないと思われる。

Kurzweilの音は自分のサウンドに重要な役割を果たしているのでなくてはならない音源である。この間急な仕事が来ても対処できないかも

引き取りはリリーズのライブの後になりそう
幸いリリーズライブはKBDではなく生ピアノなので当分は使わない。

10月 19, 2006 音楽04-10 | | コメント (0)

2006年10月15日 (日)

レビュー Sting"Songs from the Labyrinth"

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僕は休日の朝にバロック音楽やルネッサンス音楽が無性に聴きたくなるときがある。15-17世紀の音楽を聞きながらコーヒーを飲んでリラックスする。あわただしい毎日を忘れさせてくれる一時である。

そうした中Stingがイギリスのルネッサンスの曲を歌ったアルバムがあったので聞いてみた。主にジョンダウランド(1563-1626)の作品を歌ったものだが紹介には17世紀の作曲家となっているが、実際にはダウランドは16世紀にはかなりの作品を発表している。

実はダウランドやトマスモーリー等イギリスの古い音楽を聞くとわかるが、今のポップミュージック的なエッセンスをたぶんに含んでいる。ダウランドなどはその代表でこの時代の人間には珍しく宗教曲は殆ど書いていない。音楽史研究家はダウランドのような作曲家の曲を世俗楽曲(宗教曲と区別するためだが)などという実に厭な呼び方をされているが、リュート奏者兼吟遊詩人というのはまさしく現代でいえばシンガーソングライターそのものである。イギリスが現代のポップミュージックにこれだけの実績を作れたのもやはりこういう下地があったからではないだろうか。

実際ルネッサンスの曲をStingが歌っているという予備知識がなければこれらの曲はStingのオリジナルだと思ってしまうだろう。歌詞も一部を除けば口語調なので現代の英語とあまり変わらない

そういえばグリーンスリーブスをS&Gが歌っていたのを思い出した。よく知っている曲なのにあたかもS&Gのオリジナルに聞こえた。

またキングスシンガースがビートルズナンバーをルネッサンス風に編曲したのも聞いたことがある。全く違和感がなかった。S&Gもビートルズも結局はイギリスの音楽の伝統の延長上にいたということができる。

聴いていて実に心地よい一時を過ごしたがこういうアルバムを安易に「癒し系」などとは呼びたくない。最近はダンス系かハードロック系以外、静かな曲はみんな安直に「癒し系」とカテゴライズされてしまうが、このアルバムは純粋にアコーステイックにルネッサンス時代の昔のポップミュージックを楽しむという聞き方をしたい。

興味ある方はこちら,

Sting"Songs from the Labyrinth"

10月 15, 2006 音楽04-10 | | コメント (0)

2006年9月11日 (月)

Vocoder-ヴォコーダー

PFFの映画「俺たちの世界」の音楽制作ーだいたいメドがたちいよいよ作業も佳境に入っている。

今回はいろいろクラシック音楽を使うが、1曲だけ悩んでいる問題がある。それは監督のイメージで「時計仕掛けのオレンジ」に使用されているウエンデイカルロスのベートーベン第九をかなりウエンデイカルロスの原曲に近い形でアレンジしようと思っているのだが監督は、この曲のVocoderの合唱のサウンドをすごく気に入っている。しかしこの音はVocoderでないと出せない音なのだ。一応サンプリング等でそれっぽい音は出せるのだがやはり何か違う。

ご存じの通りVocoderを製造した会社はもう存在しない。楽器の中古屋を探したってそう簡単にみつかるものではない。

これだけが難問だ。それ以外の音楽は全て何とかなるメドがたっているのだが...
Vocoderをどこかで借りれるといいのだが..

9月 11, 2006 音楽04-10 | | コメント (0)

2006年8月24日 (木)

太陽系はホルストの「惑星」とおりに8個に

冥王星が惑星でなくなることが確実に

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060825k0000m040111000c.html

オーケストラの組曲でホルストというイギリス人の作曲家「惑星」という曲があるのをご存じだろう。身近な話でいえば平原綾香の「ジュピター」はこの「惑星」からの「木星」の中のメロデイーをJ-pop化したものだ。このホルストの「惑星」には冥王星がない。冥王星が発見されたのは1930年だがこの「惑星」組曲は1916年に書かれたためにこうなったのだ。

この会議まではこの冥王星がないため、結局ホルストの作品は何となく「何かが欠けている」ような感じだったがこれでようやくホルストの作品ー20世紀初頭の太陽系に戻ったことになる

それにしてもアメリカの科学者の駄々っ子ぶりは何だ。アメリカ人は何でも自分たちの意思をごり押せると思っているようだがこの科学的定義よりも自分たちの主張を押し通そうとしている行為ははっきりいって"Childish"といわれても仕方がない。日頃アメリカが日本を始め世界中に無理難題を押し付け「アメリカ一国だけの利益が守られればよい」という態度が世界中から反発を食らっている1つの証左かもしれない

それにしても冥王星が小惑星セレスと同等の扱いで「矮(わい)惑星」に降格されてしまったのは、少し寂しさは覚えるけどね (まだセレスは矮(わい)惑星ではないー従来通り小惑星になる可能性の方が高い)

まあしかし地球の月より小さいらしいから確かに惑星と呼ぶには何となく無理はあるかもしれない..




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8月 24, 2006 音楽04-10 | | コメント (0)

2006年8月 2日 (水)

映画音楽作業開始

 

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PFF(ぴあフィルムフェステイバル)の
応募作品の音楽を担当することになりました。 タイトルは「俺たちの世界」

 

 

作品は現代の若者の心の病んだ部分をタランテイーノ風の編集とキューブリックの「時計しかけのオレンジ」風の演出で料理したとてもユニークな作品。DVDを見せてもらったが類まれなセンスを持っている監督です。まだ弱冠22才。

 

このフェステイバルでかなり注目されること受けあいだと思います
こういう映画を作る人間は日本にはいないと思いますね

 

そのDVD資料が届いたので作業を開始

 

 

 

今回はかなりセックス&バイオレンス性が強い作品で、考えてみればこういう映画の音楽を手がけるのは始めてかもしれない
おたく系アニメ、とかホラーとか恋愛ドラマとかありますけどね..

 

しかも音楽が普通のドラマの音楽の使い方といろんな意味で違うのでかなり考えながらやらなくてはならない。結構苦戦するかもしれない。何せキューブリック的な音楽の使い方だから..
キューブリックの作品をご存じの方はわかるだろうが、2001年宇宙の旅、シャイニング、時計じかけのオレンジ、どれをとっても普通の音楽の使い方はしていない。

 

まあどんな映画音楽でも実際作った音の1/3も使われないものだが今回もそうなるだろう。かなり細かくこちらなりに「音の演出」を考えるがおそらく大半は使われることはないだろう

 

ちなみにイメージ映像を見ると何とかなくゲイっぽく見えますがそういう映画ではありません。(裸踊りのシーンはありますけどね)

 

ということで新たな情報が入り次第また報告します

8月 2, 2006 音楽04-10 |

2006年7月 9日 (日)

久々にLTJ ブケムを聴く

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自分でもなぜかわからないが急に無性にある音楽が聴きたくなるということがある。というわけでレビューにも書いたがLTJブケムの"Earth Vol1&2"をCDの棚から出して聴いた。

癒し系とかアコーステイックなイメージが強い私だが実はこういう音楽も結構好きなのである。反対にエレクトロニカ系が好きな人はアコーステイックを聴かないなどという俗説を唱える人がいるが全くのナンセンスである。その逆も同じ。それに元々私はYMOはじめBイーノやローデリウス等のエレクトリック系もよく聴いていたからこういうのを僕が好んで聴いても少しも不思議ではない

ちなみに少々ポップすぎているかもしれないが僕自身も自主制作ながらエレクトロニカのアルバムを出している

http://homepage1.nifty.com/hyb-music/metanature.htm
理由あってわざとJASRAC登録していない音源である。
興味ある人は聴いてみてください

このLTJブケムの"Earth Vol1&2"、いわゆるドラムンベースが 注目浴び始めた頃のアルバムで既に発表から8年もたっている。しかしドラムンベースというよりは寧ろアンビエントに近い。Vol1が動としたらVol2は静になるだろう。8年前に作られたアルバムだが今聞いても新鮮である。クラブ系お勧めのアルバム。Earthシリーズの原点がここにある。
時々テクノでありながらジャズ的なエッセンスが多分に入っているのがさすがアメリカ人のユニットだ。ヨーロッパのテクノユニットとは明らかにテクスチュアが違う

ちなみにうちの小学生一年の娘は結構これを聞いてノリノリだった。こいつ大きくなったらクラバーにでもなるのかな? ちょっと困るかも..(^^:)

興味ある方はこちら
LTJ ブケム Earth, Vol. 1

7月 9, 2006 音楽04-10 |

2006年6月30日 (金)

PUFFYのアメリカでの人気について

PUFFYがアメリカで脚光を浴びているという。
まあ世界というよりアメリカで人気が出ているのはだいぶ前から伝えられているのでなぜ今更という気がしないでもない

記事にもあったがあの「いい加減さ」がアメリカ人に身近に感じられるのだろうと思っている。正直言って歌はお世辞にもうまいとはいえないが確かに由美、亜美のようなキャラクターはアメリカにはないだけにそれが当たったのだろう。

一方で彼女たちの存在でとかくステレオタイプ的になりがちなアメリカ人のアジア系に対するイメージを変えてくれたという点では評価できる。(イチローの影響もあるだろうが)

私が少年時代を過ごしたアメリカでは殆どの人が中国と日本をごっちゃにしていたし、東洋系はほぼ全員カラテかカンフーをやると本気で思っていた人間が多かった。笑い話のようだが本当の話である。その証拠につい10年くらいまでのハリウッド映画には日本人が出ると決まってカンフーアクションがあった。それがないと納得しないアメリカ人が多かったのである。 (最近は忍者だ)が

まあ何はともあれ日本人アーチストが世界に出てくるのは悪い話ではないけど、あの歌唱力が日本人の歌唱力と思われるのはちょっとまずいなあ

その意味で「世界が認めた!!」というのはちょっと..  (^^;)
実はヨーロッパではそうでもないんだから

(元mixi日記掲載)

6月 30, 2006 音楽04-10 | | コメント (0)

2006年6月16日 (金)

修正要求で多忙極限ーマーフィーの法則ーもう開き直るしかない

25日のライブ用の楽譜第一陣を辛うじて本日送付
しかしまだ弦関係の楽譜が残っているが明日、何とか送らなくては

しかしそんな作業の合間に先月から制作中の某化粧品メーカーのサロン用ヒーリング音楽、
今日の打ち合わせは形式的なものだろうと思っていたら何と修正要求(!!)
しかも前回の打ち合わせで「これいいですね」という曲を頭に持ってきたのだがなんとその曲を差し替えてくれ
というころになった。2週間前の試聴会は一体なんだったんだ?

こういうことって時々あるんだが、まあ修正するということで修正をするけれど本当に納得がいかない

まあそう修正するか、どういう曲に差し替えるのかだいたい見えているのでそれでいくけど
本当に困ったものだ

そんなわけで明日弦カルの4人に送る楽譜もあるし、今晩いつ寝れるか(^^;)

ちなみに明日はライブだが寝不足のままライブをやらなくてはならないかも
テンション的に結構ハイになってしまうが案外その方がよい演奏できるかな?

明日は僕のピアノソロナンバーとアドリブ中心にやります
ゲストも出ますが、実はゲストの方が心配だったりして..

それにしても忙しい時に余計忙しくなる、仕事を終えようとするとなかなか終われなくなるー
まさしくマーフィーの法則
それは自分の潜在意識を信じていないからだという。要は何かまだ雑念が入っているのかもしれない
もうこうなったら開き直るしかない

6月 16, 2006 音楽04-10 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年6月 8日 (木)

止まらない音楽業界リストラの動き

東芝EMIが従業員の4割を削減
レコード大手の東芝EMI(東京都港区)が7日、自社ビル2棟(本社ビル、永田町ビル)とその土地(約1700平方メートル)を売却、全社員520人の約37%にあたる190人程度を今月末にも削減するリストラを実施することが分かった。

http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200606080034a.nwc

まあ正直だいぶ前から噂というかそういう話があったので今更という感じもしないでもない。東芝EMIも他の経営不振のレコード会社同様、制作部を削り事実上ただのデイストリビューターになる見通し。制作部という名は残るかもしれないが事実上制作機能は停止でしょう、
スタジオもなくす方向らしい。

1998年をピークに売り上げ右肩下がりの傾向が止まらない音楽業界、しかもこういう状況にもかかわらず業界を改革しようという動きが事実上ないに等しい。現状打開のパワーもない状況ではいたしかたないことでしょう。ちなみに本体の東芝はもうかなり前から東芝EMIを売却したがっているが買い手がみつからない状況。当然だろう

これだけに止まらない。今年中には「え?ここが?」というレコードメーカーがなくなる可能性もある。

私事で恐縮だが私が始めてメジャーレコードでCDを出したのは 東芝EMIだったこと、そして現在21年ぶりに復帰を目指しているリリーズも元々はこの東芝EMI所属,、また私が生まれて初めてメジャーレコーデイングしたのも東芝EMIの裏の本社スタジオである等(もう20年も前ー古い話ですみません) と東芝EMIと私は浅からぬ縁がある。それだけに心境は複雑ではあります

でも業界を改革しようという動きは業界内には起こらない
絶望的な状況だ。ついつい愚痴が出てしまう

6月 8, 2006 音楽04-10 | | コメント (0)

2006年6月 5日 (月)

レインボータウンFM収録を終えて...

えーまず皆さんにお詫びをしなくてはなりません

私の勘違いでネットのストリーミングで音楽を聴けるという風に書いてしまいましたが実際にストリーミングで聴けるのはブース内のみの会話のみでした。期待された方、大変申し訳ありませんでした。謹んでお詫び申し上げます。m(_ _)m

リリーズの新譜は公式サイトの方でお聞き下さい

まあJASRAC音源の場合1曲1000円という規定があるのですがコミュニテイですものね。いちいちそんなことできるわけがない。少し考えが浅かったと反省しています

というわけで収録の様子です

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スタジオ内で大野久々のソロライブや最近の作品についての話をしました。パーソナリテイの新崎ももさん(写真右)は私と同年代ですがもう成人された息子さんがいらっしゃいます。DJと作家という2つの顔を持っていらっしゃいます。今回のお話の中で何と今年3月サロンオーケストラといっしょにやった"Patio"が新崎ももさんの番組のオープニングテーマになりました。というわけで受信区域にお住まいの方は毎週私の"Patio"を聴けます。
またいろいろ不手際があったにもかかわらず番組にメールを下さったたくさんの方、ありがとうございました。

江東区木場は滅多に行かない場所ですが今回をきっかけに何度かお邪魔することになりそうです

というわけで新崎さん、関係者の皆さん お疲れ様でした

6月 5, 2006 音楽04-10 |

2006年5月25日 (木)

夢の中にピンクフロイドの"Us and them"

が鳴っていた。おそらく夢の中でいっしょに歌っていたと思う

その勢いからか、朝っぱらからピンクフロイドの"meddle"を
聴いている。僕をロックに引き込んだアルバム、レコード盤も
いまだに残っているがもう盤は傷だらけ..
"One of these days"を聴いただけでラリる(やば!!)
今日もリリーズのレコーデイング
そのせいかやはりテンションが高くなっている
レコーデイングの時はいつもこうだ。根っからレコーデイング
スタジオの作業というのがすきなのだろう

Karingaのオケを一部差し替え、それから歌詞も一部
変更になった。ラフミックスは何回も聞いたが、ニューエージ
ポップスといった方がいいのだろうか。日本のアーチストで
他にこういう曲を作っている記憶はない。

やはりフロイドの"Us and them"が思い浮かんだのは何と
なくイメージ的にリンクしているからか。(曲は全然似て
いないけど..) この曲も環境音楽ぽいからね

泣いても笑ってても今日で完成する
のちほどまたレポートします

5月 25, 2006 音楽04-10 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年4月20日 (木)

私のもう1つの面(秘密暴露)

実は今まで公開するのをはばかってきたが
私のもう1つの面をお見せしよう

勿論これは仕事ではなく純粋に遊びで作ったものである
題して「シモネタ童謡替え歌」
ちなみに女性の方は聴かないで下さい。お下劣なので(^^+)

尚、以下の曲はいずれもJASRACの信託期間が終了したもの、つまり著作権が消滅したものです
従って違法にはなりません。念のため

<>
原曲名 大きな栗の木の下で
試聴 「sampleketsu.mp3」をダウンロード 「samplechinpo.mp3」をダウンロード 「sampleohkina.mp3」をダウンロード

ただの冗談です

笑ってやってください

ちなみにこういうことをやっていい場合は以下の場合に限られます

1. 原作者である作曲家及び作詞者が没してから50年を経過した曲であること。(但し欧米の一部の国では”戦時加算”によって没後65-70年過ぎないと消滅しないものもあります)

2.作曲者及び作詞者不祥、つまり誰が書いたのかわからない曲

この2つのいずれかに概当するものは著作権が消滅、つまり著作権が存在しないことになります。いわゆる文部省唱歌、民謡、マザーグースの歌等の殆どは上記2の場合に概当し、今回のような替え歌を作ることが可能になるのです。今回の「月」「鳩」「大きな栗の木の下で」はいずれも作曲者及び作詞者不祥に概当するので替え歌にしても著作権上全く問題になりません。
ご存じでしたか?

尚、蛇足になりますがこれらの曲に著作権がないからといって、レコード会社から発売されているこうした童謡を自由にコピーしたり転売できるわけではありません。というのは現在発売されているCD、レコードには原盤権というものが存在するからです。これは音源そのものに関する権利で音源を制作した会社なり個人が持っている権利です。よくこの原盤権と著作権を混同する人がいますが両者は全く違う権利であることを覚えておいて下さい。

ついてに申しますと当サイトの替え歌の原曲には確かに著作権はありませんが、替え歌にした曲、つまりこのサイトで流している音源には著作権が存在します。これは過去の曲を編曲、変更することによって新たな著作物にするというもので、これは「編曲著作物」としてJASRACにも明確に規定されているものです。これは権利上、通常の著作物と全く同じ扱いを受けます。当サイトの替え歌は全て「編曲著作物」に概当いたします。

と、ながながと講釈を垂れて堅い話になってしまいましたが、要はこの行為は著作権の侵害をしているわけじゃありませんよということがいいたかっただけなのです。

とにかく堅いことをいわずに替え歌を聴いて大笑いしていただければそれで結構です。
楽しんでいって下さいネ。(^^)

4月 20, 2006 音楽04-10 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年4月 9日 (日)

廃盤なのにいまだに問い合わせが来る曲

もう15年前の仕事になるのだが私はNHKの元歌のおにいさん
の田中星児のために曲を書いたことがある。
その中で実はラップで九九を覚えるという「ラップ九九」
なる曲を書いた
ファミコンっぽい音とややヒップホップ風のリズムで
九九を楽しく覚えるという曲で、小学館とのタイアップで
シングルも出たことがある

ご興味がある方は聴いてみてください(JASRAC登録曲ですが
44秒以上聴かしています)
ちなみにバックコーラスは後の売れっ子声優の岩男潤子さんです

ラップ九九         

ご興味ある方は大野のCDページへ


実はもう廃盤になって長いのだがいまだに問い合わせが
よく来るのだ。そのためここだけの話、個人的に安く
お客様に直接お分けしているのが実情である

問題はこの原盤は発売元のビクターエンタテインメントが
持っていて私の自由にならない点である。従ってリバイバル
発売ということも考えてなくはないのだが現状では難しい
しかしいくら問い合わせが来るといっても今のV社が
原盤復活に動くとは思えない。非常に難しいところだ

何か名案はないものだろうか?

4月 9, 2006 音楽04-10 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年2月 9日 (木)

グラミー2005最優秀アルバム

WOWOWでグラミーをやっていたのでついつい見てしまった

マライヤキャリーの復活とかいろいろ話題が挙がったが いろいろ話題はあるにせよやはり注目は最優秀アルバム。
最近の傾向としてベテランに花をもたらす(?)感じが 多いが今年はU2"Dismantle the atomic bomb"が 受賞。

最優秀プロデユーサーにステイーブリリホワイトが受賞 したのでもしかして、と思ったらやはりU2だった。

U2にせよ、数年前受賞したステイーリーダンにせよ アルバムに「思想」がある。明確なメッセージと力強い 表現。まだまだ若いもんには、という気概が伺える

個人的にもU2だけでなくステイーブリリホワイトは好きな プロデユーサーなのですごくうれしい

ちなみに今回のグラミーアーチスト、受賞したのは全て I-tunes,で一位になったアーチスト、i-podのCMにも 出演したアーチストということで、やはりここにも 時代の流れが見える。音楽配信の先進国ならではの 傾向だが日本はまだこういった面では残念ながら遅れて いるが、果たしてどうか

まあ「日本レコード大賞」とやらの体質を考えると何か そういった傾向にならなそうな雰囲気があるが...

2月 9, 2006 音楽04-10 | | コメント (0)

「ゴジラ」のテーマ作曲家、伊福部昭先生 死去

作曲家の伊福部昭先生がご逝去されました。 91歳

http://www.asahi.com/culture/update/0209/001.html

私が映画音楽作家としてとても尊敬する先生です。

名前を聞いてわからなくても「ゴジラ」シリーズのテーマ音楽 の作曲家といえばわかると思います4。300本以上の映画音楽を 担当した日本の映画音楽作家の大家です。特に「ゴジラ」の テーマは誰でも一度は耳にしたはず.. 早坂文雄、武満徹と ともに日本の映画音楽の黄金期を支えた人物です。

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東京音大の学長も勤めた人。普通音大の先生というと アカデミズムがちがちの人が多いですが、伊福部氏は職業音楽家 としての生き方も重視した教育を行った日本で数少ない音大関係者の一人 でもありました。 特に東京音大にポピュラーの音楽語法のコースを四年生の音大で初めて導入したという画期的なことを行った方です。<.p>

心からご冥福をお祈りいたしますと同時に伊福部先生の多大な功績にたいして最大限の敬意を表させて頂きます

2月 9, 2006 音楽04-10 | | コメント (0)

2005年11月20日 (日)

クラシックアレンジ終了

サロンオーケストラジャパンの公演用のアレンジの最後に
当たるクラシックのアレンジ、バッハのシャコンヌのアレンジ
がつい先ほどようやく終わった。

 

とにかく大曲である。打ち込みでやって演奏時間は13分半
アレンジもいろいろ内容を検討しているうちに時間がかかってしまった。結構大変な作業だった。
編成はサロンオーケストラジャパンのいつものフルート、クラリネット、弦(ビオラなし、チェロ、コントラバス各1)ピアノ。
それ以外にエレキギターとドラム、ギターはデイストーションがギンギンにかかっている場所がある。(ソロあり)

 

大曲だけど、私自身が好きな曲なので長いという感じはしない。前にもいたが本当にいい曲である。ちなみに昔メニューインが生きていた頃、この曲の演奏を聴いた時は泣いた。

 

果たして私のアレンジが人を泣かせることができるか
この公演は来年の3月28不(火)19:00より 新宿の全労災スペースゼロにて予定している。

 

それ以前にリハやプロモライブがどこかであるかも,,
詳細は決まったらここでお知らせ予定

 

 

 

 

11月 20, 2005 音楽04-10 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年10月29日 (土)

バロック・オン・ザROCK

さて、先日のロックものアレンジシリーズの一環としてサロンオーケストラジャパン用に考えていたクラシック用のアレンジのアイデアがようやく固まった。

要は素材の曲をどれにしようかというのでかなり迷った。
モーツアルトやベートーベンの曲も考えたがどうもいまいちしっくり来ない。いろいろああでもないこうでもないと考えているうちに結局バッハの曲にいきついてしまった。

ご存じの方も多いだろうがバッハのコード進行は実にポピュラー的である。なんたってメジャーセブン、マイナーセブンが出てくるのだ。他のバロック作曲家ではこんなものは出ない。もっと専門的にいえば和声の禁止事項(平行5度、平行8度)などバッハはおかまいなし。デイミニッシュッまで出てくる

その最たるものが平均律クラービアの第一集のハ長調前奏曲、事実この曲は多くのジャズミュージシャンが素材として使っている。実際そのまま流してもジャズになる曲だ。バッハにはこういう曲がたくさんある。だからアレンジしやすい。しかしこの前奏曲では芸がない。(既に僕のピアノソロのナンバーに既にあるし..)
トッカータとフーガも考えたが実はこれもかなりのミュージシャンによって既にやられている。彼らのマネといわれるのが嫌なので却下。

いろいろ考えた末、ニ短調のシャコンヌにした。この曲は私の好きなクラシック曲のベスト3に入る曲で一台のバイオリンでオーケストラに勝る表現をしている曲。やられていそうであまりやられていない。

というわけでこれからアレンジに取り掛かる。エレキギターとドラムを交えたアレンジにするつもりだ。この曲、結構長い曲なのでクラシックアレンジを2曲と当初考えていたがこの曲だけで今回は勘弁してもらおう。この曲のアレンジだけで相当エネルギーを使いそうなので...

これでオリジナル2曲、ロックアレンジもの6曲
クラシックアレンジものー大曲1曲と一応形になると思う。

公演はサロンオーケストラジャパンの代表、小林玄人さんによると年内にプロモーションライブを1回(西新宿三井ビルか東急のセルリアンタワー?)をやり来年3月末か4月初頭くらいに正式ライブという予定らしい。これは小林さんの連絡待ち。

10月 29, 2005 音楽04-10 | | コメント (0) | トラックバック (0)

2005年9月30日 (金)

{コラム] I was born to love you

今、弦楽アンサンブル用のロック名曲アレンジをやっているが、6曲あって最後の曲がこの曲である。いわずと知れたQueenの最期のアルバム"Made in Heaven"に収録されている曲でフレデイマーキュリーの遺作となったアルバムである。日本ではビールか何かのCMに使われたので覚えている人もいるだろう。今から10年前に発売されたアルバムである。

とにかくこの曲は美しい。メロデイが美しいし何ともいえない高揚感を与える。ラヴソングは数多くあれどこれほど人を愛する喜びを見事に表現した曲はそうないだろう。いい音楽を聴くと幸せな気分になるがこの曲はそういう気分にさせてくれる曲である。

しかしこの曲を書いている時、フレデイマーキュリーは既にエイズの病魔に侵されていた。Made in Heavenのレコーデイングの時はフレデイは立っているのがやっとだったといわれる。この時フレデイは既に自分の死期を悟っていたのは明らかで死と絶望が目の前にあったはずである。

にもかかわらずこの"Born to love you"をはじめこの"Made in Heaven"の曲はどれも明るく希望に満ちた曲ばかりなのだ。おそらくQueenのアルバムの中でもっとも明るいイメージの曲がそろっているといっていい。実はこれは前々から気になっていたことだった。なぜだろう?

この曲をアレンジしながらこのことを考えていたが、おそらくそれはフレデイマーキュリーをはじめQueenはみんなロックンローラーだからだと思う。つまり死と絶望が目の前にありながら、いやだからこそ死と絶望に反抗し、あえて希望と明るさに満ちた曲ばかり揃えたのではないだろうか? 死神にすら反抗するというロックンロール魂がこのアルバムを作らせたのでは、と。 そう考えた方が自然な気がするのだ。

クラシック音楽でもベートーヴェンがかの第九交響曲で「喜びの歌」を入れていたが、実はこの曲を書いている時のベートーヴェンの私生活はズタズタだった。最愛の甥や恋人から絶縁状をたたき付けられ、作曲の仕事も断られるなど絶望のどん底の時にこの曲を書いていたのだ。これもフレデイ同様、自らを鼓舞し絶望から這い上がろうとする凄まじいまでの生き様が見えてこないだろうか。ベートーヴェンももし現代に生きていたらロックンローラーになっていただろう。

「苦しいときにこそ明るくふるまいなさい」とは成功哲学のジョセフマーフィーの言葉だ。音楽療法の「同質の原理」と全くあべこべのことを云っているが、それを克服できた人間だけがクリエイトできるパワーというものはすごいと思う。"I was born to love you"をはじめ"Made in heaven"はそのパワーがあると思う。

Queenというと「Night at the Opera」とか「News to the World」といった初期の作品のみを中心に語られがちだが、90年代最高のロックアルバムはと聞かれれば私はこの"Made in Heaven"を躊躇せず入れるだろう。

それにしても今回のアレンジものシリーズ、基本的には70年代ロックを中心にするという話だったがずいぶん最近のものも入ってしまった。なぜ入れたかって? それはこの曲があまりに美しい曲だから...

9月 30, 2005 音楽04-10 | | トラックバック (0)

2005年8月29日 (月)

ロックサウンズ編曲スタート

なかなかてをつけられなかった「サロンオーケストラジャパン」用の曲、
頭の中ではあれこれ考えていたが、ようやく形になった

とりあえず7月にやったオリジナル以外にアレンジもの等で曲数を揃えなくてはいけない

まずロックもののアレンジだが次にあてはまる曲を考えた
1.クラシック系の人があまりやらないけど名曲として語り継がれている曲
2.ストリングス用にあった曲
3. 1,2の条件を満たしながら、なおかつみんながよく知っている曲

実は1.と3.は矛盾する場合があるし、これはあまりやられていないだろうと思われても実はやられている場合があるのでわからない。取り合えず上の3つにあてはまる(と思われる)曲を3曲やっている

どの曲? それは後ほどのお楽しみ。ヒントとしては70年代のロックの名曲、あ、1曲80年代があったか

ちなみに先週の日曜日「題名のない音楽界」で,つんくがモー娘の曲をクラシックオーケストラ風にアレンジしたものをやっていたが、私はたぶんJ-POPはやらないだろう。やはりやるなら確実に次の時代に残る曲でやりたいと思っているから、と思うのはロックおやじのつっぱりだろうか?

 でも誰かこの曲は名曲だからアレンジしてみたらという提案があれば、検討する用意はありますけどね...

ちなみにビートルズとかカーペンターズといったものはやりません。もうやり尽くされているし、いまさらという感じでしょう。

でもクラシック系の作編曲家が、ビートルズやカーペンターズをアレンジしたものを聴いたことがあるけど、みんな聴いていてつまらなかった。
何というか、音大の作曲家卒業生特有の「エクリチュール(作編曲技法ーフランス語で筆致のこと)」という奴にこだわり過ぎて、曲の良さを殺してしまっているアレンジが多い。

ロックおやじの私としてはやはり原曲のイメージは大事にしたいと思っている。

2005年08月29日mixi掲載

8月 29, 2005 音楽04-10 | | コメント (0)

2005年7月29日 (金)

サロンオーケストラジャパンとの曲作りークラシックコンサートにもっとエンタテインメント性を」

先日、西新宿三井ビル(あの三井ビルとは別ものです)でのロビーでのコンサートでそこそこよい感触を得たので今後ではどういうものに作っていくかについて、もう一昨日になるがクロードさんと打ち合わせした

とにかくこの方向性でいくにもまだ曲が2曲しかないので、まず曲のナンバーを増やさなきゃならない。そこでとりあえず年末でのコンサートを目標に曲をそろえることにした。

基本コンセプトとして小林玄人さんとの話で「クラシックコンサートにもっとエンタテインメント性を持たせたい」との話になった。私は現在はポピュラー系や商業音楽の作曲、編曲活動を行っているが音大をまじめに受験しようと思ったことがある(結局やめたけど..)そのため一応クラシック系もポップス系も両方の雰囲気を知っている人間だ。その私が思うにやはりクラシック音楽がなぜ人気がないのかといえば、やはりクラシックコンサートそしてクラシック音楽そのものに「堅苦しい」雰囲気があるためだろう。

クラシック自体は歴史の波を乗り越えて残ってきた名曲ばかりである。しかしそのことが音楽学者とかクラシック系の音楽評論家といった連中よって「堅苦しいー親しみづらい」という雰囲気を作らせエンタテインメント性を寧ろ拒否し。そういったものを蔑視すらしてきた。そのためジャズがデイクシー、ラグタイムといった古いスタイルも含めエンタテインメント性を兼ね備えていったのに対し、クラシック系だけがそれを取り入れようとせず取り残されていったのである。
私は「ロックコンサート」的な雰囲気を持ったクラシックコンサートがあっていいと思うのだが、いかがだろう。いっそのこと武道館でやることを目標にしようか!! (^^;)


そんなわけでロックのアレンジものもやると思うが、クラシックナンバー、メロデイーフレーズを使ったちょっとしたアイデアも浮かんだのでこれから試行錯誤をしようと思っている。でも僕がやるから音大の先生が喜ぶようなクラシックには決してならないことはいうまでもない。

2005年07月29日mixi掲載ーこの後 ロックサウンズウイズサロンオーケストラ(当ブログの二番目の記事ーにつながる)

7月 29, 2005 音楽04-10 | | コメント (0)

2005年6月18日 (土)

マザーグースと紙芝居

週末、女房が実家の野暮用で出かけその関係で娘の子守というか駅前の公民館で紙芝居+人形劇があったので見せにでかけた。週末になると時々こういうことをやらされる。

イギリスのフォークテールをベースにした紙芝居で例によってマザーグースの歌がふんだんに盛り込まれていた。当然子供たちは大喜びであった。

子供がいると童謡とかに触れる機会が多くなるが、その背景でここ数年マザーグースの歌には実はかなりはまっている

実はこの”マザーグースの歌“はただのわらべ歌のひとことでは片付けられない実に深いものであることをご存じだろうか? 
”マザーグースの歌“の中には皆さんがよく知っている曲、あまりにも有名過ぎる歌―例えばメリーさんの羊、キラキラ星etc―もあるし、また単に韻を踏むだけの特に意味のないもの(Simple Simon met a pieman, Hickory Dickory Dock等)もあるが、今日の紙芝居には出てこなかったが実はこんな意味深な歌がある。

 Hey Diddle Diddle (古い英語―今で言えば「ねえ知ってる?」に近い)

Hey Diddle Diddle
The cat and the fiddle
The cow jumped over the moon
The little dog laughed to see such sport
And the dish ran away with the spoon

直訳;ねえ 知っている
   猫とバイオリン弾きがいてさ
   牛が月を越えてジャンプしたら
   それを見た小さい犬が大笑い
   そして皿とスプーンがいっしょに逃げたとさ

これだけじゃ何をいっているのかわからないと思うが実はこれは昔のイギリス人が政治を批判するのにこのわらべ歌を使っていたのだ。実はこの歌はイギリス絶対王政の時代の女王―エリザベス一世がひどい奴だったことを批判した歌。”マザーグースの歌“を始めて体系的に編纂したジョンニューベリーという人(18世紀のイギリス人です)の説明だけにかなり信憑性がある。

 まずこの歌でいう「猫」とは実はエリザベス一世のあだ名で、実はこの女王は意地悪な性格でよく使用人をいじめていたという。映画「エリザベス」ではケートブランシェットが演じていたが、実際のエリザベス一世はデブでブスで性格も悪いという最低の女性だったようだ。まあ女王にならなければ誰も相手にしないよね(^^:)

このエリザベス一世はバイオリンが好きだったのでいつもバイオリン弾きを近くに立たせていたという。それが「猫とバイオリン弾き」の意味
 そして「牛」「月」というのはエリザベスの家来で、おそらく「月」と呼ばれた家来が女王の不興を買う何かをしたのだろう。「牛」命令して「月」をいじめるように仕向けたようです。つまりここの訳は『「牛」が「月」に襲いかかった』いうのが正しい訳のようだ。

 そして「犬」というのはエリザベスの愛人といわれ、宰相も勤めたバーガリー卿といわれ、おそらくエリザベスといっしょになってこの家来をいじめたようである。ここの訳は『それを見た「犬」は大笑い』
 
そして「皿」というのはエリザベスの食卓の給仕係で「スプーン」というのは毒味役のことをいい、「月」がいじめられる様を見て今度は自分かもしれないと思いその場から逃げてしまった、
 
つまり本当の訳は
ねえ 知っている?
あのバイオリン弾きといっしょにいるあの意地悪な女王の所でさ
女王の命令で「月」がいじめられるのを見て
女王の愛人が大笑いしながらいっしょにいじめてたとさ
それを見た給仕と毒味役はこわくなってその場から逃げたとさ

というのがこの歌の歌詞の正しい意味だという。大英帝国の黄金時代を築いた女王だが、ずいぶんとひどい奴、いやな奴だったことを歌によって世間に知らせていたようだ。

 昔は勿論今と違って言論の自由とかないので、表だって政府を批判するということはなかった。そうすれば命がない世の中だったのだが、しかしこういうわらべ歌を使って政府批判を昔の人はしていたようである。ジョンニューベリーの研究を見ていやーマザーグースって深いと思わず唸ってしまった。
mixi2005年06月18日掲載

6月 18, 2005 音楽04-10 | | コメント (0)

2005年5月27日 (金)

違ったタイプの曲を作った方がやりやすい

先週から取り組んでいた2曲、バラード風曲1曲(題名まだ決まらず)と愛犬といっしょに癒される曲"Pet Musicーふれあいのテーマ(仮題)"がとりあえずだいたい書き終え打ち込みも終了、あとは微調整と完全なTDをやり終えれば終わり。木曜日から殆ど突貫工事の感じだった。mixiもお休み状態

それにしても結構同じようなタイプの曲だけに結構やり辛かった。人によっても違うだろうが実は同じような感じの曲を同時進行で作るというのはやりにくいものだ。寧ろ”癒し系”の曲をやりながら"ダンスミュージック"もてがけたり、「悲しい曲」をやりながら「楽しい曲」も作るといった感じの方がかえってやり易い。

実は作曲をする時、全く違う感じの曲を同時に作るということは珍しくはない。古い話ではベートヴェンの「運命」交響曲と「田園」交響曲は全く同時に書かれ、ほぼ同時に完成されている(初演も同じ日)あの苦闘するような、重厚な感じの「運命」と自然にふれあう喜びにみちた「田園」、お互い全く似ても似つかない曲だが、その両曲をベートヴェンは驚くべき早さでほぼ同時に書き終えている。

こういう例は他にもある。モーツアルトの交響曲第40番(モーツアルトには珍しい哀愁を帯びたメロデイー曲名は知らなくてもメロデイは聴いたことがあるはず)と41番(ジュピターと呼ばれる荘厳な交響曲)はほぼ同時に書かれているしブラームスの大学祝典序曲(陽気な学生歌とブラームスには珍しい派手なオーケストレーション)と悲劇的序曲(重く渋い曲)もほぼ同時に書かれている

ロックに目を向けるとQueenのアルバム"News of the World"での"We will Rock you"と"We are the champion",レッドゼッペリン(日本ではツエッペリンというが英語ではゼッペリンという)の"Rock'n Roll" と「天国への階段」などがほぼ同時期に書かれている。

作曲家が全く違ったジャンルの、違った感じの曲を書くのを 不思議に思う人がいるようだが、それは決して珍しいことでは ない。特に映画や劇伴音楽を書いている人などは、全く違う ジャンルやスタイルの曲を仕事ごとに変えるのは珍しいことではないのだ。

たとえば映画音楽の大御所、エンニオモリコーネを見てみよう ご存じ「ニューシネマパラダイス」のノスタルジーあふれる 名曲を作ったかと思えば「遊星からの物体X」のような不気味 で音楽とはいえないようなフィルムスコアも作っている。
いわれないと同じ人が書いたとは思えないだろう。
そういう芸当ができないと映画や劇伴の音楽は書けないので ある。

2005年03月27日掲載

5月 27, 2005 音楽04-10 | | コメント (0)

2005年4月12日 (火)

モーツアルトの幻の交響曲

僕は仕事柄、いろんなジャンルの音楽事務所とのつきあいがあるがそのなかにクラシック系の事務所もある。新東京室内楽オーケストラの常任指揮者前田二生(まえだつぐお)氏の事務所でこことのつきあいはもう10年以上続いている。うちのCD製作事業にもかかわってもらっているし、かなり親密なつきあいが続いているがその中で時々ちょっと変わった仕事をする。

前田氏はウイーン楽友協会の監修のもと大作曲家の「隠れた名曲」や忘れられた作曲家の作品を日本初演する等のユニークな活動を行っている。日本初演どころか、100年以上演奏されていない曲をやるのだから当然レコードも過去の音源もない。誰も実際の音を聞いたことがないのでどんな曲かわからない。そこで僕は楽譜をもらいmidiで打ち込んでいわばシミュレーションの音源を作るのだ。また僕の場合通信カラオケよろしくmidi打ち込みでもSC-88のようなGS音源は、音がショボイので使わない。仕事場にあるemuのサンプラーとpro toolsのプラグインを使う。その方がより本物らしい音になる(それでも「らしい」だけどね)それが好評なのかわからないがほぼ毎年、年に1-2度こういう仕事が来る。この仕事をこなすにはDTMとクラシック音楽の知識、とりわけクラシックのオーケストラの楽譜を読む力が要求される。

今回のコンサートの目玉は昨年ウイーン楽友協会がオークションで落札した「モーツアルトの交響曲」と書いてある曲。今回もその楽譜を打ち込んだ。とはいっても本当にモーツアルトの作品という確証はないし、別の地方の作曲家の作品という説も捨てきれない。コンサートの司会を勤めた音楽評論家の海老沢敏はモーツアルトが書いたとすれば8-9才頃の幼い時、成人の作曲家が書いたのであれば地方の三流作曲家の作品といっていたが、この「幻の交響曲」とやらに興味があったのかNHKのテレビの取材も来て、クラシックコンサートとしては割と注目されたコンサートのようだった。

果たして本当にこれはモーツアルトの作品なのか?詳しい検証は音楽学者とやらに任せるしかないし、まあはっきりいって僕は別にどっちでもよい。

しかし実際にmidi打ち込みをしてみた印象からいうと、僕的には「たぶん」モーツアルトではないような気がする。まずはっきりいって曲としては全然面白くない。それ以外に次のような理由がある。

理由1
たとえ幼い時に書いたとしても、習作だったにしても天才の作品であればどこか「光る」部分ー天性の筆致ーがあると思うのだがこの作品を聞いて正直あまりそれは感じられなかった
理由2:
第二楽章のアンダンテーつまりゆっくりとした楽章はマイナーコード、つまりニ短調の曲だが子供というのはあまり短調を好まない。うちの子供を見てそれは感じる。8-9歳の子が自ら進んで短調の「悲しい感じ」の曲を書くだろうか? 子供が書くにしては不自然である。

そんな理由で僕はこの曲は「モーツアルトではない」と思うが別に当たっても賞金もらえるわけじゃないので、まあどっちでもいいということにしておこう。
2005年04月12日掲載

4月 12, 2005 音楽04-10 | | コメント (0)

2005年3月10日 (木)

なんだ防空

実は本来の作曲,編曲,演奏以外の仕事で僕が経営して いる会社は音コンテンツの制作の仕事をしている。 音コンテンツとは音楽、音響、音声をCGのシミュレーターや ゲームのための音ファイルを制作、CD等ではなくPC用の ファイルとして納品される。(殆どのゲーム音楽はそう やって納品される)

その中で今、東京九段にある「昭和館」の仕事をしている 昭和館は東京都が運営する昭和の時代についての資料館で 展示映像の中に3Dの映像を映写するドーム劇場がある。(現在は別プログラムをやっています)

今回の仕事はいわゆるその「昭和ドーム」の仕事で、その 時代にまつわる生活音や、BG(戦前の音楽のアレンジ)の制作等を行っている

その中で空襲が来た時の訓練のために作られた曲で「なんだ防空」という曲がある。それは空襲をテーマにした曲なのに異様に明るい曲なのだ。♪「警報だー空襲だー」という出だし が異様に明るく元気でまるで空襲を楽しんでいるかのようなイメージで思わず「なんだこれは」と思ってしまう。

 実はこの時代、マイナーコードの曲ー短調の曲は厳しく制限されていたという。暗い曲は士気の低下につながると いうことで禁止されていた。何とも馬鹿馬鹿しいことである。

 この時代の日本はちょうど今の北朝鮮のような社会だったといえる。今我々は北朝鮮の放送のアナウンサーを見て思わず苦笑してしまうが、よく考えたら日本人もついこの間まで 似たような社会だったのだ。あまり笑えない話である

 折りしも今日は「東京大空襲」の60周年、「なんだ防空」 のような異常な曲を作らされる日々が来ないことを祈るばかりだ。

 ちなみにこの昭和館は3人のナレーターを使う。3人が当時の人間になりきって昭和の暗い時代を再現する。

(2005年03月10日掲載)

3月 10, 2005 音楽04-10 | | コメント (0)

2005年2月 8日 (火)

生きた音楽表現

オヤジ的な症状なのかもしれないが、時々無性に昔のロック アルバムが聴きたくなる時がある。ピンクフロイドやレッド ツエッペリン、イエス、ELPといったプログレからモータウン 初期まで幅広いがこの日はステイーリーダンのAjaを聴いた 。

聴いてみると改めてその音楽作品の質の高さに驚かされる 基本的にはR6Bかブルースなのだが、それを構成の面でも リズムの面でもひとひねりもふたひねりもしている。
コード進行も「なんでこんなヴォイシングが思いつくの?」 といいたくなる奇抜な進行り、それでいて全く不自然で はない。やはりドナルドフェイゲンは天才である。 アーテイキュレーションを分析しても今でもよい勉強になる 。

音楽産業で仕事をしていると「今流行の音を作れ」という 不文律の至上命令がある。しかし私の場合それを意識して あまりよい結果になったことがない。当たり前のことだが 自分が「これはいい」と思わない作品が他人が聞いて「いい」 と思うはずがないのだ。しかし音楽業界には愚か者が多いの でそうした表面的なスタイルしか見ない人間が多い。
今、そうした音楽業界の不文律を忘れて自分が本当によい と思ったものだけ出すことにここ数年している。その方が 結果がよい。

ついでにステイーリーダンの最新のアルバム(といっても もう発売されて2-3年たっているが)「ツーアゲインスト ネイチャー」を聴く。基本的な世界はAjaと変わらない。ただ より洗練されている。そこには流行に媚びる態度は微塵も ない。生きた音楽表現とはこういうものだろう。ちなみに このアルバムはグラミーで最優秀アルバムを取っている。

(2005年02月8日掲載)

 

 

 

 

 

 

2月 8, 2005 音楽04-10 | | コメント (0)

2004年9月20日 (月)

ピアノにこだわる理由

私は一昨年からピアニストとしての活動を再開した。実はそれまで十数年も人前で演奏することをあえてしなかった。唯一演奏したのはレコーデイングスタジオにおいてのみ、
以前はラウンジで弾いたりいわゆる「営業」を自分から積極的 に行っていたのを急にやめたのは、作曲や編曲、レコーデイン グの仕事を優先したためではあるが、正直な理由は単に「面倒 くさかった」のが理由である。

実はライブを続けるというのはかなりのエネルギーが 必要である。ライブに人を呼んだり、そのための練習、 リハ、通常の仕事をこなしながらこれを続けるのはー もはや「オヤジ」の年齢になってしまった人間としてはー かなりしんどい。
それでもあえて再開したのはやはりライブをしなかった 十数年、自分は音楽家をやってなかったのではという反省 があったこと、それともう1つレコーデイングをしていて やはり「自分らしさ」を一番出せるのはピアノを弾く時だ ということを発見したためである。

私は一応プロレベルで仕事をしているので、ピアノだけ でなくシンセやオルガンも必要に応じてやる。DTMなどは プロである以上できて当たり前である。そのいずれも私は プロの平均レベル以上できる自信はあるが、「自分にしか 出せない」個性を一番出せるのはやはりピアノである。 もうこの楽器とのつきあいは40年以上になる。

いうまでもないことだが、今、巷ではDTMで作られた曲ー いわゆる打ち込み音楽があふれている。かくいう私も かなりそういうものを作ってきた人間である。しかし それをやっていて私自身、どこか「不完全燃焼」の部分 がありそれがずーっとひっかかっていた。曲の仕上がりは 「まあこんなもんだろう」と思っていても、何かしっくり いかないものがどこかにあった。しかしピアノで自分で 弾くとあまりそういう部分がない。その意味では僕は DTMの世界だけでは満足できないのかもしれない。

というわけで今再びアコーステイック路線に戻っている しかもただアコーステイックというのは芸がない、という ことでピアノの機種にもこだわろうと今考えている。

日本人はブランド好きだからピアノというとすぐ スタインウエイという人が多いが実はスタインウエイは 僕はあまり好きではない。特に日本の調律師で高音部分を やたらキンキン鳴らす調律をする傾向があるがこれは私に いわせれば最低の調律である。(キンキンならして音を通る ようにする調律がいい調律だという勘違いをする調律師が少なくない)

Cbs1401961all150 私の個人的な好みはベヒシュタイン(写真左ー戦場のピアニストの 主人公が愛用したピアノ)かザウター(写真左下ーモーツアルトの時代 からあるピアノー現在のピアノの原形はこの会社が作った) である。実はヨーロッパではスタインウエイなどより、ベヒ
シュタイン、ザウターなどの方が評価が高く有名なのだが、 日本ではなぜかあまり知られていない。でも実際に弾いて 見ると音質の違いは歴然としている。これはピアノにあまり 詳しくない人でも違いはわかる。ちなみにベヒシュタインは チックコリアが愛用している。
一応この輸入業者とは知り合いなので、次回のレコーデイング
には是非使いたいと考えている。

Sauter160traditional130_2

ちなみにこのベヒシュタイン、ザウターを試弾させてくれる ショールームがあるので興味がある人は問い合わせてみた らいかがだろう。
ユーロピアノ株式会社 烏山ショールーム Tel (03)3305-1211(03)3305-1211

(2004年09月20日掲載)

9月 20, 2004 音楽04-10 | | コメント (0)

2004年8月28日 (土)

ヒーリングミュージックについて

私は確かに多くのいわゆるヒーリング音楽と呼ばれる曲を書いて来ました。だからヒーリング音楽の作曲家 と云われる事は否定しません。しかしクリエーターというのはレッテルを張られるのを嫌うものです。 特に日本では一度レッテルを張られるとなかなかとれないので.....

  実のことをいいますと、私は"ヒーリングミュージック"なる言葉は大嫌いなのです。音楽を"癒し"に使うことに疑問を持つ人もいるようですが、実はよい音楽を聴いて心が癒されることは不思議なことでも何でもありません。要はジャンルに関係なく静かで美しい音楽であればどんなものでもヒーリング効果はあります。ですからヒーリング音楽という”特殊”なジャンルがあること自体本来おかしいのです。

  "ヒーリングミュージック"はいわゆる環境音楽(アンビエント)、ニューエージミュージックといった音楽が 主体になっておりますが、いわゆるセミクラシックという音楽から本物のクラシック音楽まであります。いずれも静かなインストルメンタルな音楽をいいますが、こういった物だけがヒーリング効果があると断じるのは必ずしも正しくはありません。何度も云いますがジャンルに関係なくゆったりとした美しい音楽、人々の心をうつものであればヒーリング効果はあるのです。エンヤなどはボーカルですが立派にヒーリング効果はあります。

 音楽でヒーリングを行う行為については実は昔から行われていたことで、例えばクラシックの中の宗教音楽等は一種のヒーリング音楽という捉えかたもできるのです。特に19世紀以前、民衆が権力者たちによって抑圧されていた時代では宗教というのが民衆の心の癒し役であった面は否定できません。そうした中でミサ、カンタータといった宗教音楽が、ヒーリング音楽としての役割を担ったことは確かでしょう。(アフリカ系アメリカ人たちにとってのゴスペルも同じことが言えます)このように音楽が気持ちをリラックスさせる、ヒーリング効果を与えることは不思議なことでも何でもないことがおわかりいただけると思います。

  

  なぜこうなったかというと単純にマーケット性の観点から"ヒーリングミュージック"という風にジャンルを分けておいた方が”売りやすい”という理由、何か有名なお医者さんか何かの名前を使っていかにも”音薬”であるかのような体裁にした方がマーケット性があるという考え方に基づいています。もうひとつは”音楽療法”という言葉から「癒し」(ヒーリング)のための音楽と名打った方がわかりやすいという点です。しかし前記事の”音楽療法について”でも述べますがこの”音楽療法”なる言葉は非常に誤解を呼び正しい理解を阻害している面は否定できません。

  そうしたことを踏まえて申しますが、「音楽歴」の項でも述べましたが私は突き詰めるとプログレの人間です。しかし作品そのものはアンビエントの曲が多いと思っております。但し今までのCDの企画内容によってはニューエージミュージックと受け取れる音楽も随分書いています。しかしそれは単に結果としてそのようなスタイルの音楽のように見えるだけであって、私自身は単に自分の音楽を聴いて気持ち良かった、もう一度聴きたいと思っていただければそれで充分です。私は音楽療法等の知識は一応それなりに持っていますが、あくまでもアンビエントを主体とした曲を作る一作曲家に過ぎません。

  ところで皆さんの中にはアンビエントとニューエージミュージックは同じようなものと思ってる方もいらっしゃると思いますが実は両者は全く違うジャンルの音楽です。確かにどちらも静かなインスト曲という点では同じなんですけど、ニューエージ音楽は結構メロデイがあって、やや乱暴な分け方かもしれませんがどちらかというとイージリスニングに近い所があります。それに対してアンビエントはテクノやミニマリズムの影響があってかなり音楽よりは環境音に近いかもしれません。「音楽歴」の項で述べたようにやはり私はブライアンイーノの影響が強いこともあってニューエージよりはアンビエントを志向しているようです。ちなみに日本で作られているヒーリングCDの殆どはニューエージかセミクラシックに近いものです。そこに私と他のヒーリング音楽を作っている人との音楽的な違いがあるかもしれません。

  改訂前の原稿で私はごく一部のアーチストをのぞき、私は他人の作ったいわゆるヒーリングミュージックにはあまり興味がないと書きました。何故だかわからなかったのですが結局"ヒーリングミュージック"なるくくりで作られた音楽にあまり興味がなかったということでしょう。自分自身そういったくくりのCDを沢山作っているのですごい自己矛盾ではありますが、好きでないものは仕方がない。ただ私のCDの音楽についてはヒーリング的なくくり、切り口のような物で売られてはいますがあくまで自分の音楽のスタイルを貫いているつもりです。他の人もそうなのかもしれませんが、私は"ヒーリングミュージック"ではなく自分の音楽を作っている点は崩していません。確かに多少、CDのコンセプトに合わせている部分はありますが、結局他の人の作る"ヒーリングミュージック"と私の音楽のスタイルの違いから興味がないと感じるのかもしれません。

  もう一つ、ヒーリング音楽を特にスピリチュアルな面を突き詰めようとすると宗教に走ったり、山奥に住んで仙人のような生活をしたりという方向に行きがちです。私の知り合いにも何人かそういう人物がいます。それはそれで人の生きる道だから何もいいませんが、私にはできません。私はあくまで都会人の立場を貫くつもりですし、都市空間の中の環境からインスパイアされるヒーリング音楽があってもいいじゃないかというのが私の考えです。というよりも私の音楽の体質といった方がよいかもしれませんが......

  だがそんなことはどうでもよいかもしれません。私の音楽が他人とどう違うかについては実際に皆さんに聴いて判断していただくしかありません。表面的には確かに同じようなものに見えるかもしれませんが、どこか違うことがわかっていただくと幸いです。
   私は確かに多くのいわゆるヒーリング音楽と呼ばれる曲を書いて来ました。しかし実はしばらくこの方面を休もうと考えております。というのも私の中でヒーリングミュージックについてだいたい音楽的な面でやることはやってしまったという感があるのと、ここ10年この方面に深く関わり過ぎたせいか、何となく狭い枠に閉じこもっている気がしているからです。わたしは結構気が多い方なのでヒーリング音楽だけをやっている訳ではありませんし、それだけに自分の活動を限定したいとも思ってません。これは純粋に音楽家としての問題で、いわゆる先程の音楽療法についての問題とは無関係です。やはり私は基本的には作家で、やはり作曲家としてまだやりたいことがある。いや、実はまだ作曲家、音楽家としてやるべきことを殆どしていないという意識があるのかもしれません。

   ヒーリング音楽にせよ、私がゲーム、映画、ビデオの音楽を核にせよ単に自分の音楽を聴いて気持ち良かった、楽しんでいただいたのであればそれで充分です。これでもう永久にヒーリング音楽をやらないという意味ではありません。また気が向いたらリハビリ音楽の作曲家として活動を再開するかもしれません。先のことは誰にもわからないですか


8月 28, 2004 音楽04-10 | | コメント (0)

2004年5月20日 (木)

私の音楽家としての生き方

音楽家の生き方というと堅苦しいというイメージを持つかもしれません。私は大学生時代に市井三郎という哲学者のゼミに参加したことがありますが、ここではそういう話しをするのではありません。ただ、一人の人間として周囲の雰囲気に流されたりするのではなく、きちんと自分とは何か、どういう人間なのか、どういう音楽家なのかについて見つめるのは必要だと思いましたので自戒も含めてこのページをもうけました。と申しますのはこの情報が溢れている時代に音楽業界人として生きつつ自分の生き方を見失いがちになるからである。

  20世紀の音楽のみならず文化芸術全般についてある歴史家は「大衆文化の花開いた世紀」などと論じるかもしれない。しかし私はそれは違うと思う。第一にこの大衆文化なる言葉は私は大嫌いだ。だって考えてみれば非常におかしな話で元々芸術、文化は大衆というか一般人民のものであり、別に一握りの音楽専門家のためでもないし、いわんやいわゆる特権階級のものではない。確かに表面的には19世紀.まで芸術文化は貴族や特権階級が中心に享受しているように見える。だが映画「アマデウス」でも描かれていたがモーツアルトの音楽を支持して、後世に伝えていたのは貴族や特権階級ではなく一般の市民階級であったことを思い出して欲しい。あるいはシューベルトは死後認められたというけど、当時の多くの人々は彼の愛らしい歌曲のメロデイは知っていた。(ただ作者はシューベルトとは知られてなかったようだが) 昔から良質の音楽は一般市民に支持されて後世に伝わっていたことが多いことを未だに多くの音楽史研究家や音楽評論家という人たちは認めようとしていない。そのためにこのような考えが未だに大手を振ってまかり通っている。

 それを云うなら貴族や特権階級のコントロールから完全に解放された世紀と云った方が私は正しいと思う。(最もヨーロッパ等の一部の国ではいまだに特権階級は存在するが) 一方では資本主義、商業主義の発展という別の面もあるが、とにかくいわゆるポピュラーミュージックが花開き、20世紀の音楽の発展に大きく寄与したことには誰も異論はないだろう。一方ではこれは19世紀以前から続いた伝統的な西洋音楽の事実上の終焉をも意味していると思う。

  前者には異論はなくても後者に異論を持つ人は多いかもしれない。特にいわゆるクラシック系の音楽をやっている人たちにとっては。では21世紀に入った現在、20世紀の伝統的な西洋音楽家で現在大きな影響を与えている人はどれくらいいるだろうか?

  まず20世紀の前半だけにしぼって見れば私が本当にすごい作曲家だと思うのは3人しかいない。ジョージ・ガーシュウィン、ベーラ・バルトーク、そしてデユーク・エリントンである。この他アービン・バーリン は多くの名曲を残したし、スコット・ジョップリン(20世紀の人とは言えないかもしれないが)の多くのラグタイムの名曲もあるが、この3人が作った音楽の質、後世への影響、という面でずば抜けている。この3人の中でいわゆるクラシック系の人はバルトークだけである。(ちなみにここではドビュッシー、ラベル、サテイは19世紀の作家と定義している)
  ではストラヴィンスキーは? 彼が本当に面白かったのは「春の祭典」や「ペトルーシュカ」を書いていた初期の頃だけで、「新古典派」以降の音楽は実に退屈だ。
       シェーンベルク?ウイーン楽派?  12音技法なんて実にくだらない。いわゆる芸術音楽をおかしな方向に持っていったA級戦犯といっていい。あれだけ音を無機的にして芸術でござい、なんてふざけるなといいたい。
      ジョンケージ?  私は彼を音楽家ではなく思想家として見ている。彼は「どんな曲を書いた」というより、「どんなことをしたか」で記憶されるだろう。彼の思想が現在私が取り組んでいる環境音楽に間接的にせよ影響を与えているのは事実である。今では当たり前になっている自然音の音楽への導入や、日用品を打楽器にする等、当時としては革命的な概念といえよう。そうした面は確かに認めるが、それらはあくまで芸術思想の面で革命的なのであって、そういった点でも彼は音楽家ではなく思想家と考えた方が自然である。(同じようにマルセル・デユシャンも美術家というよりは思想家である)

  20世紀の後半は50年代から特に80年代初頭くらいのロック音楽が黄金時代を築いたのは今さらいうまでもあるまい。特筆すべきアーチストが多すぎてこのページでは到底足りないのでここでは割愛する。ひとくちにロックといってもヘビメタからAORと多岐に渡り過ぎるし、更に80年代以降からジャンルの多様化が押し進められ、テクノミュージック等に進化したりしている等、それら全てについてここで論じるのは不可能である。ただ20世紀後半の音楽はこうした多くのアーチストの様々な試行錯誤に支えられて発展してきたのは事実である。

  いわゆる芸術音楽という方面に目を向けると特筆すべきは70年代中頃から出てきたミニマリズムが揚げられる。このミニマリズムはいわゆる現代音楽に事実上最後の花を裂かせたといってよい。ステイーヴ・ライヒやテリーライリーの名前を揚げるまでもあるまい。このミニマリズムはブライアンイーノを始め私がやっている環境音楽にも多大な影響を与えたし、近年ではクラブミュージックにも大きな影響を与えているのは周知の事実である。

  20世紀の後半はこのミニマリズムとロック音楽を初めとするポピュラー音楽を中心に発展してきたが、ここ10-20年だけで見ると実は本当の意味で新しいものは出ていない。つい先日までアンダーグラウンドで盛り上がっていたDrum'n Bass とかトランス系、アンビエント系といったクラブミュージックも結局はミニマリズムをクラブ風に料理したに過ぎない。いろんなアーチストが様々な音楽スタイルをコラージュして様々な試行錯誤を繰り返しているが、残念ながら本当に新しいものは出ていない。その意味で20世紀末は音楽史的には停滞した時期だといえるだろう。

  ポピュラー音楽もだいたい90年くらいから商業主義の部分がやたら強固になりアーチストの活動もその範囲内に制限されている。その商業主義のシステムは強固でアーチストは徹底的に管理されており、その様子を見ると下手すれば19世紀以前より自由がないのではと思うくらいである。こうした状況の中アーチストはある選択を迫られている。つまりメジャーレコードにお世話になって必ずしも自分がやりたくない音楽をやるか、自分で制作からCD販売まで全てやって自分のやりたい音楽にこだわるか。それはアーチストの生き方しだいだが決して簡単な選択ではない。別貢のクリエイテイヴに生きるということでも述べているように現代はクリエイテイヴに生きるのは簡単ではない。

   何よりも問題なのはここ20年、本当の意味で新しいものが生まれていないという点だろう。これは必ずしも"アバンギャルド"云々ということではなく、感覚的にも音楽語法的な面でも。これは一方では映像、特にILMのようなSFX制作会社から革命的な映像表現が発表されているのと比べると対極にある。

   私が本当に新しいものを生み出せるかどうかはわからない。しかしチャレンジだけはしてみたいと思っている。何よりも絶えず新しい試みをする精神だけは大事にしたい。それを失ったらもはやクリエータとはいえないと思うからである。そうした中でもしかしたら新しいものが生まれるかもしれない。

   
 

5月 20, 2004 音楽04-10 | | コメント (0)

2004年4月15日 (木)

音楽業界の現状を憂う

先日、といってももう何ヶ月か前だが厚生労働省がショッキングなデータを発表した。今回のデータで若者の「フリーター」についても調査をしたのだが何と16才から29才までの「若者」の中の5人に1人が「フリーター」であることが判明した。つまり16才から29才に関しては定職を持たない、実質的な失業率は20%に達しているのだ。実はこの16才から29才といった年齢層は私が関わっているレコード業界、音楽業界がメインターゲットとしている年齢層なのである。

今、レコード業界は未遭有の不況の中にある。1996年をピークとしてCD、レコード業界は売り上げが右肩下がりで落ち込み、今もその傾向は止まる気配はない。音楽業界はこの原因をCDコピーのせいにしている。勿論、間接的にはそれも全くないわけではない。しかし原因はそれだけでない、もっと根本的な所にあることは明らかである。

CD、レコード業界がメインターゲットとしている16才から29才までの実質失業率が20%という現状、つまりこの年齢層は基本的に金がない。定収入がないくせに携帯には何万円も使う、そもそもCDを買う金などあるわけないのだ。よく考えれば全く当たり前のことのように思える。しかしなぜか今CD、レコード業界の人間でそんな簡単なことに気づいている人間が少ないように見える。

つまりCD、レコード業界は今までのメインターゲット、方針を転換しようとする素振りは全く見られない。つい最近現在一番お金を持っていそうな30-40代向けの「大人のポップス」の提案を某レコード会社にしたが、全く「何云っているんだ」という感じでまともに検討すらされなかった。今までのやりかたでうまくいっていないのに、従来の発想を変えようという姿勢が全く持ってみられないのである。まったくどうしようもない。 

私は経営コンサルタント、マーケテイングコンサルタントに多数の知り合いがいるが、今もうかる新商品を開発するのに10代や20代前半をターゲットとするものを考えるのは愚の骨頂だというのがコンサルタント連中のおおかたの見方だ。となると、CD、レコード業界はその愚の骨頂を業界を上げてやっていることになる。

   勿論、私は若者向けの音楽を作るなといっているのではない。かつては確かに若者ターゲットにしたCDが売れに売れた時代はあった。しかしそれは10年前までの話、あの時と今では根本的に時代が違う。もっとお金があって、リッチなライフスタイルを追求する層がいるにもかかわらず、なぜかそういうマーケットに対してはこの業界は見向きもしない、私はその姿勢を問題視しているのである。既にファッション業界などは、あきらかに10年前と大きな方針転換をして、大人、アダルトやミドルをメインターゲットとした商品、マーケテイングを展開し始めているが、CD、レコード業界はそういう動きを全くみせていない。

よく考えて欲しい。今音楽業界はこの金がない層の中で少ないパイを奪い合っているだけなのだ。そしてこれからは少子高齢化社会、このパイはこれから少なくなることはあっても増えることはない。奇跡が起きてベビーブームでも起きない限りこの傾向はずーっと続くのだ。こんな簡単なことがどうしてわからないのだろう。ハッキリいわせてもらうがこの業界、どうしてこんなに頭が悪い人たちが多いのだろうと思ってしまう。

 これというのも、レコード会社の人間は「大人(特に男性)は30を超えたらレコード店に行かない。」という風に思い込んでいるためだ。既に中島みゆきや綾小路きみまろのCDを買っている40代、50代のオジサン、オバサン(金を持っている!!)がたくさんいるという前例があるにもかかわらず、だ。(ちなみに去年一番売れたアルバムが綾小路きみまろのCDというのは音楽業界としてあまりに情けない、と思うのはわたしだけであろうか?)
  更に悪いことに昨今のレコード不況でどこの会社もリストラを敢行し、どの会社も制作部門を大幅に縮小した。いわゆるメジャーレコード会社の多くは実質的に制作機能をなくして、ただのデイストリビューターになってしまった所が多い。辛うじて制作部らしい部署を残した所でも企画制作能力はかなり弱体化してしまったのも事実である。これでは時代に適応したソフト、コンテンツ開発などままならない。今かつてタレント事務所、音楽事務所だった所がレコード会社化しているのもこうした背景にある。そのため一流のレコード会社といわれている所でも制作機能がないに等しい。

今の私には音楽業界は新しい時代に適応した会社に変ぼうを遂げるどころか、既得権益のみを守ろうとしているように見える。典型的な斜陽産業の動きである。事実、音楽配信やインターネットでの露出でも音楽業界、レコード業界は厳しい制限を加えている。著作権法によればネットで、44秒以内は「試聴」45秒以上は「配信」と定義しているが、日本レコード協会は30秒以下、できれば「試聴させないのが望ましい」などといっている。バカじゃなかろうか。音楽を試聴しなくて一体誰がCDを買うというのだ。普通に考えればそうだが、実際レコード協会は30秒以上試聴できるメジャー関連サイトに対して次々と横やりを入れている。そのため信じられないことだが、メジャーレコード関係のサイトでまともな試聴ができるところは少ない。これはネットでのビジネスチャンスを自ら進んで逃しているとしか思えない。こうした動きにはほとほと呆れている。(ちなみに弊社はそんな決まりなどは無視しているー音楽を試聴できないでCDなど買う訳などない。これは自分で店をやっていてわかることである。)

   このままではいけない。今までの発想を根本的に変えた上で新しい音楽を世に問うということにしないとこのままではこの業界は本当につぶれてしまう。私も音楽プロデユーサーの端くれとして何か考えなければという思いでいっぱいである。

   
 

4月 15, 2004 音楽04-10 | | コメント (0)

2004年1月17日 (土)

私の音楽歴

音楽歴といっても別に自慢するようなことはありません。ただ、人間としての私、音楽家としての私 をわかっていただくにはよいかと思ってこのページを設けました。

ピアノを始めたのは5才から、当時私の親は勿論のこと、私もプロの音楽家になろうとなど考えても いませんでした。10才くらいからいわゆる”作曲遊び”なることを始めましたが子供のやること、 所詮は遊びの域を出ませんでした。

  雲行きが変わったのは中学生のころ、友人が「この音楽カッコいいぜ」といって聴かせてくれたアルバム、 それはあの名曲「エコーズ」が入っているピンクフロイドの「おせっかい」でした。今と違い当時はまだシンセサイザー、電子音というものがまだ珍しい時代で僕はたちまちこの音楽の虜となりました。それ以来、ELP, イエス、キングクリムソンといったいわゆる"プログレッシヴロック"にハマっていき、そうしているうちに シンセサイザーというものをどうしても触りたくなり、楽器屋に通う日々が続いたのです。当時のシンセはまだ手が届かない程高い物だったのです。(店長には迷惑をかけました。m(_ _)m )

  次の転機は大学時代、これまた友人に「面白い音楽」といって聴かせてくれたのはブライアンイーノの アンビエントシリーズ「空港のための音楽」でした。ブライアンイーノ自体は801やロキシーミュージック のキーボーデイストとして知ってはいましたが、脱退してからはその活動を知らなかったのです。この 音楽との出合いは決定的でした。そしてこの頃から音楽家になろうという気持ちが揺るぎない物になりつつ ありました。その友人とは詩人でもあって残念ながら故人となってしまった西野功一君でした。彼には今でも 感謝をしております。彼の作詞と僕の曲で歌を作ろうとしましたが残念ながらついに実現することは ありませんでした。

  その後一度某電気メーカーに就職するも、音楽の道は捨てきれず関連会社でBGMやCMを作っている会社に移籍、そのかたわら、バンドのサポートメンバーになったり自らもバンドメンバーになったりという活動を して来ました。一度「ヒカシュー」の坂出君らと「ダンステリア」なるバンドでデビューするもすぐに解散、 また別頁に書いてありますが、最近では作曲、プロデユーサーとして「ソニア」というプロジェクトを 横浜銀蠅のTakuといっしょにやるも長続きせず、現在はこの分野からは事実上撤退しております。どうも日本のポップス界にはあまり縁がないのか、この分野ではたいした成果をおさめることができませんでした。 まあ、元々音楽体験的にあまり日本の歌謡曲やポップスを聴いている方ではなかったこともあるので仕方ないのかもしれません。

  二番目の会社に3年半在籍した後独立して現在に至ります。私の作品については別項に書いてありますので、ここでは述べませんが、とにかくあらゆる仕事はやってきました。特に映像分野、映画、ビデオ、ゲーム、DVD,CD-ROM、遊技施設のシミュレーターまでとにかくやってない分野はないといっていいです。またヒーリング音楽の分野では30枚以上のアルバム数を出す等、一定の成果をおさめることができました。プロとして17年辛うじてではありますが、何とかこの道で飯を喰うことができています。

  プログレッシヴロックが好きというと日本の、特にメジャーの世界ではいまだに”変わり者”扱いされて しまいますが、私はそれらを60-70年代の真の意味での芸術音楽だっと思っています。青春時代に 聴いた音楽というのは一生体に染みつくものです。やっと最近になって自分はどういう音楽家か、どういう 活動が向いているのかわかってきたような気がします。よく考えたら当たり前の話ですが、やはりプロの 世界は自分の得意な分野で勝負しないとなかなか人には勝てません。それをもう20年近くなって今さら わかってきた今日この頃です。

1月 17, 2004 音楽04-10 | | コメント (0)