大野リリース作品リスト

ストリーミングページ

2024年7月13日 (土)

数百年に一度の大変革時に日本の文化プレゼンスを上げるにはー日本人全員の意識改革が何よりも重要

映画関係の話だが私がかねてから主張してきたことがようやく実現の方向に動いています。まだまだ道半ばですが...

■日本映画製作者協会、日本映像職能連合、a4cが包括的な振興機関の設置に関する要望書を提出
https://natalie.mu/eiga/news/581357

この日本版CNCは是枝監督、舩橋監督、そして深田監督等が中心になって映像表現にかかる業界の実態の調査及び研究並びに提言等を通じて、業界全体の適正化及び国際競争力向上のための活動等を所管する統括機関(フランスにおけるCentre national du cinéma et de l'image animée(国立映画映像センター。略称:CNC)に相当する機関)を設立するべく、業界団体及び関係各省庁に対する働きかけを行っており、上記の要望書もその活動の一環なのだが、少し前ならこういう活動は「旧勢力」によって潰されていたかもしれない。日本の「芸能界」というのは基本自分たちの「ムラ社会」を守ることが優先されるため、その「ムラ社会」に変化をもたらすあらゆるものを忌み嫌うからである。

しかし当ブログでも何度も書いているように映画や音楽もインターネットの出現で国境に関係なく拡散され、鑑賞される時代。制作においてもグローバルに制作されることがもはや当たり前に近くなっている。

しかし肝心の日本の受け皿ができておらず、昨年末、アジア映画のグローバルな発展のために共同制作、共同出資、技術交流、人材育成などを目指す7カ国の連携協定AFAN(Asian Film Alliance Network)に国際国際協定の窓口となりえる公的機関が日本に存在しなかったため日本の参加が不可能になった。

■「アジアで取り残される」日本映画が直面する現実
https://toyokeizai.net/articles/-/716369?display=b

また私も自分のFacebookグループでこの関係の記事を投稿しても関心が一部の人にとどまっており、「映画や音楽がグローバルになっている」という点についていまだ実感をもたれていない、という印象がある。

特に私が心配しているのは次の時代を担うはずの若い世代の間でこの問題に関する関心が今一つな点である。

これは今いる環境から背伸びしない、一歩踏み出して日本の外で今何がおきているのか、を全くみようとしない。やっているのは周囲から「浮かない」ように目立たないように行動すること。そのため「日本の外で活躍したい」「ハリウッドで活動したい」と心の中では思ってもそれに対して思い切った行動ができない、ということもあるのだろうと思う。

日本人は古代から「ムラ社会」を作りやすくその「ムラの中」での同調圧力が強い社会だといわれる。基本的に内向きの見方をするように訓練されているために、なかなか視点がグローバルの方にいかない。

また「浮く」ことに極端に躊躇するのは日本の教育も影響している。「浮く」ことによって発生する「いじめ」その「いじめ」を見て見ぬふりする教師、いろんな要素が影響しているだろう。内田樹氏はバブル以降の「失われた30年」で日本人の没個性化、規格化が過剰なまでに進行した点を指摘、それが日本社会の閉塞化、国家としての存在感を下げていると述べている

■「30年で貧乏になった日本」で若者に起こった変化
-気がついたら日本のプレゼンスも低下していた

https://toyokeizai.net/articles/-/773979

日本の映画や音楽の産業は従来通りの内向きの視点に固執していると、人口の現象が始まっている現代の日本(「パイが縮んでくる」)ではその縮んでいるー「パイの分配」の取り合いになる。それが映画でも音楽の世界で今起きていること。

その分配は業界を支配するトップが自分たちに都合のいいように「格付け」を作り、「生産性」とか「社会的有用性」とか「所得」とかあるいは端的に「成功」を数値化して、それを基準に格付けすることにした。そこで業界では金や権力を持っている人間にハイスコアを与え、貧しい人に罰を与えるような傾斜配分することで格差を拡大させた。そして分けるパイは毎年小さくなっていき、最下層の人たちはそれで食べていくことが不可能になっていく。毎年僅かな収入しか得られなくなってしまう。

よって日本の「芸能界」というのはフェアな取引ではなく、金や権力を持っている人間、あるいはそれに近い人間だけがいい思いをするようにできている。そこに世界のビジネスルールである「フェアトレード」が存在する余地はない。

しかし世界が共通するビジネスルールであるグローバルスタンダードによる社会では「フェアトレード」以外ありえない。まだ業界の一部の」選ばれた会社が権益を支配する。そういう状況では世界と仕事をすることはできないのだ。だからこそ国際協定の窓口となりえる公的機関が必要であり、海外のフィルムメーカーと取引する際の受け皿も必要なのだ。

幸いにして日本はマンガ、アニメが世界に大きな影響を与えるコンテンツをもっている。だから全世界共通のビジネスルールで仕事できる体制さえ整えればたちまち有利な立ち位置にたつことすらできる。

何よりもこれを実現するにはプロデューサーだけでなく役者、クルー全員の意識改革が必要になるだろう。これが一番難しいかもしれない

 

 

7月 13, 2024 経済・政治・国際映画テレビ18- | | コメント (0)

2024年6月23日 (日)

Mrs. GREEN APPLEのMV炎上事件から昨今のキャンセルカルチャー/コールアウト・カルチャー 化の風潮に一石を投じる

この件は私は基本的には部外者なのだが、この事件はSNS時代の表現のありかたに関係するのであえて記事を投稿する。

初めにお断りしておく、私は世界的に定着しつつある多様性(diversity)を認め、人種、ジェンダー、身体障害、その他いかなることが原因による差別に明確に反対するものである。世界的に多様性(diversity)の流れが定着し、あらゆる差別がなくなることを非常に望ましい動きであると考え称賛する。

 しかし問題はその多様性(diversity)の動きの運用方法である。

先日炎上したMrs. GREEN APPLEの「コロンブス」のミュージックビデオが、歴史や文化的な背景への理解に欠ける表現が含まれていたことで炎上したのは記憶に新しい。これはヨーロッパの歴史上の有名人に扮したメンバーが類人猿にピアノを教えたり等、「植民地主義を肯定した人種差別的表現」と受け取る表現があったことが問題視された。

Mrs. GREEN APPLEのメンバーには悪気はないように見える。それだけに事態が深刻なのだが要は日本人が歴史認識の点でさまざまな問題があることを世界に示してしまった例となった。今はこのミュージックビデオは公開されなくなったようだが、こういう特定の人物・団体の反社会的言動を人々が問題視し、追放運動や不買運動などを起こす可能性のあるキャンセルカルチャーの問題となってきている。

最近の多様性(diversity)の問題を含め、以前とは違って社会的に受け入れられない言動を批判されたり、説明を求められたりすることが多くなってきている。その関係でMrs. GREEN APPLEの「コロンブス」のミュージックビデオの公開禁止はある意味当然の結果として受け止められている。逆に同グループの追放運動や不買運動にまで発展しなかっただけ傷口は浅いのでまだマシである。

だがここでこのキャンセルカルチャーの扱いを間違えると逆に危険な事態に発展するのではないかと危惧する。

昨今の「キャンセルカルチャー / Cancel culture」の流れを受けて、ミステリーの女王と呼ばれるアガサ・クリスティの小説において「現在 不適切」と判断された表現が2023年に改訂されたという。また映画「風と共に去りぬ / Gone with the Wind」がストリーミングサービス「HBO Max」の配信ラインナップから削除されたり、世界的バンド ザ・ローリング・ストーンズ / The Rolling Stones が、彼ら自身の曲「ブラウン・シュガー / BROWN SUGAR」をステージでは演奏しないと宣言すると言った事も起きている。

むろん「風と共に去りぬ / Gone with the Wind」は人種差別が当たり前のように存在する南部アメリカを舞台とした映画であり、ストーンズの「ブラウン・シュガー / BROWN SUGAR」は奴隷制に言及する部分があるのも事実である。多様性(diversity)を推進する立場から問題視されるのはある意味当然のことである。
だがここであえて問題を提起したい。歴史上かつてイギリスからアメリカで奴隷制度が存在していたのは史実であるし、その奴隷制度を推進したアメリカ南部(のちにこれが南北戦争の原因になる)の人種差別的体質が根強くあり現代でも決してなくなってはいない、という事実をとらえる時、映画や音楽でその「奴隷制度や人種差別を描いた部分」を「不適切な表現」として全て削除するのは果たして正しい選択なのだろうか?、という点だ。

史実は史実として伝えることも映画や音楽の責務ではないか、とも思うのだ。

例えば「シンドラーのリスト」や「戦場のピアニスト」ではナチスがユダヤ人を差別し侮辱する表現が多く出ている。これらを全て「不適切表現」としてしまうとこの2つの映画は上映不可能になる。だがこのナチスの行った卑劣で残虐な行為を映画やドラマで表現することも重要だと考える。その場合いちいち「不適切な表現」として削除を要求するのはいかがなものかと考える

戦争責任がある我が国でもそうだが、過去の行った犯罪を史実として認めようとしない勢力は日本にもドイツにも存在する。実際「アウシュビッツは事実ではない」と主張するドイツ人もいるし、我が国では「南京大虐殺」や関東大震災での朝鮮人虐殺、太平洋戦争時の朝鮮人強制連行を史実として認めることを頑なに拒否する勢力が存在する。日本の場合困ったことにそのような勢力が自民党を中心とする権力機構に少なからず存在するのも事実である。

そうした人間がこの「キャンセルカルチャー / Cancel culture」の風潮を利用して過去の「不都合な史実」を不適切と判断される事象/言動/物として削除や廃除を要求するようになったらどうだろう?実際トランプ元大統領で現在共和党の大統領候補が奴隷を所有していたことで建国の父祖founding fathersとよばれる合衆国建国時の政治リーダーたちの像の撤去を求める運動の時に「暴徒たちの行為はアメリカの文化を否定する“キャンセルカルチャー”だ」となじった。

トランプがこの言葉を発した時私は背筋が寒くなったことを覚えている。この男は気に入らない表現、本人にとって不都合な史実を全て「キャンセルカルチャー / Cancel culture」として排除を要求する可能性がある。(実際2021年の議会乱入事件など「不適切な事実」として葬ろうと思えば可能だ)そうなるとトランプの独裁制が完成することになる。
ついでにいえば3年前のアメリカ議会乱入を煽動したのは間違いなくトランプであり、民主主義を破壊する行為を平気で行う人物をまた大統領候補に選ぶ、という暴挙をアメリカ人は行おうとしている。この意味をもう少し考えるべきだ。トランプこそ民主主義の「キャンセルカルチャー / Cancel culture」として排除すべきである。

ネットには暇人が洋の東西を問わず多く、何か話題の表現が出てくると重箱の隅をつつくように「不適切な表現」を捜そうとする。そして彼らがそれらしい表現を見つけたらまるで鬼の首を取ったかのように拡散する。だが本当の意味の「キャンセルカルチャー / Cancel culture」は慎重に議論をした上で認定すべきである。何よりも例え結果として差別表現や不都合な史実が出てきても、それが実際にあった史実であればそれは伝えるべきである。

でないと史実を知らないまま無邪気に「不適切表現」をしてしまうMrs. GREEN APPLEと同じ失敗を犯すことになるだろう。

 

 

6月 23, 2024 経済・政治・国際音楽 | | コメント (0)

2024年6月21日 (金)

募金着服しても「24時間テレビ」の再開することについて

昨年11月に「24時間テレビ」の募金が日本テレビ系列の「日本海テレビ」は、経営戦略局の局長が「24時間テレビ」への寄付金などを10年にわたって着服していたことが報道された。

■「24時間テレビ」寄付金など着服 局長を懲戒解雇 日本海テレビ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231128/k10014271361000.html

このニュースを聞いたとき、正直そんなに驚かなかった。そういうことが起きても仕方がないような雰囲気がそもそもあった

「24時間テレビ」が偽善であり、そこで放送されている「感動物語」も全てがやらせであることは明らかであり、最近は寧ろ「24時間テレビ=偽善」という見方に対し、寧ろ開き直っている感すらあった。

で、昨年明らかになった募金の着服事件をみて、もう「24時間テレビ」は事実上終了するだろう、と私も思っていたし業界関係者を含めそういう見方が支配的だったとも思う
だからその「24時間テレビ」を再開する、というニュースを聞いたときは流石に驚いた

■日テレ、今年の『24時間テレビ』開催日決定
https://www.oricon.co.jp/news/2328858/full/

■日テレ『24時間テレビ』番組テーマを初変更 「愛は地球を救う」→「愛は地球を救うのか?」
https://www.oricon.co.jp/news/2332563/

この着服事件があったにも関わらずどうやら本気で24時間テレビやるつもりらしい

今までだってタレントに高額なギャラ払って「チャリテイ」とは到底いえない内容なのにどの面下げてまた始めるのだろうか?そもそも寄付金を「二度と着服しない」という保証などできるのか?

それに対して日本テレビが発表した再発防止策はこうらしい

■日テレ『24時間テレビ』寄付金の着服受け再発防止策発表 監視カメラ設置&不正通報窓口の開設など【再発防止策詳細あり】
https://www.oricon.co.jp/news/2312855/full/

こういうお金を扱うプロジェクトが可能な限り「ガラス張り」でなくてはならない。今回一応日テレの身内だけで固めるのではなく、外部の業者(たぶん警備会社)に募金を移動させ、全体の管理を外部の弁護士に委託する等、一応「ガラス張り」にしようとする姿勢は見て取れる。だがそれでも100%のセキュリテイなど不可能である。そして何よりも世間の信頼を今回得られるかどうかが最も大きな問題である。

私は元々「24時間テレビ」など見ていない。今回もたぶん見ない可能性が高い。そして今回の一連の記事をSNSで私の見解を含めて投稿しても、世間の「24時間テレビ」の反応は実に冷ややかである。少なくとも私の周囲では日テレを擁護する論調は殆どない。

ゼロからではなくマイナスからのスタートである。それでもやるというのなら余程の覚悟が必要ではある。

しかし「24時間テレビ」」が始まった1978年と現代では視聴者の見方も違う。視聴者がメデイアのいうことを何でも鵜呑みにする初期とは明らかに違うのである。個人的にはいかにも「偽善」といいたくなるような雰囲気を払拭できるのか、が問題と考える

今時あんな嘘くさいやらせに感動する人がそんなにいるとは思えない。そういう人はよほどリテラシーの低い人だと思う。少なくとも日テレ側が「偽善ですが何か?」といった居直りの姿勢を示したらドッチラケになることは明らかである。

いずれにせよ日本テレビは以前「24時間テレビ」で味わったようなオイシイ思いは今回は味わえないと思った方がいいだろう.。

 

 

6月 21, 2024 映画テレビ18- | | コメント (0)

都知事選挙の魑魅魍魎、奇人変人により本来の政治争点がおろそかになり、悪い意味でビジネス化する危惧ー新たな民主主義の破壊方法

東京都在住でない人は興味ないかもしれないが、都知事選が公示された。立候補者が結局史上最多の56人。(!)
前回の都知事選も奇人変人のオンパレードだったが今回はそれを更に上回る。東京都の予算は世界の半数以上の国家予算を上回り、都知事選は「日本の大統領選」と言われるが今回は予想以上に酷い。日本で一番注目度が高く、目立つことができるからだろうが、この状況は大いに懸念すべきである。

448576142_7695671010479949_2360047553930

何のためにこんなに立候補するのか?いわゆる主要候補(3-4人)を除けば殆どは明確な政策を訴えるためのものではない。 

目立つパフォーマンスを行うことによって「撮れ高」をたくさんとってSNSでバズらせることが主目的で、彼らにしてみればこれは政治ではなく「ビジネス」なのである。みんな目立ちたい、SNSでバズりたい、ただそのためだけに立候補する。供託金300万円を払っても目立ちバズることができればおつりがくる、という感じなのか

ひどい場合は今回の都知事選でも立候補している「翼の党」のように明らかな選挙妨害を行い、そのことで注目をあびyou tubeをバズらせることを狙っている「自称政党」である。「政治家ごっこ」「立候補ごっこ」で過激な活動によってバズらせる過激なユーチューバー団体であり、実際つばさの党の幹部は彼らのいう自称「選挙運動」とやらをビジネスにする、とまで公言している。今回も先日の衆議院補選のような過激な選挙妨害を行う可能性が高い

今回もかなり過激な選挙妨害、他の候補者のジャマをする可能性が高い。これは新たな形の政治弾圧といえるかもしれない。とにかく警察は候補者の安全を含め選挙運動が正常に行われるように警戒してもらいたいものである。.

とにかく日本では選挙がおかしな意味でShow timeになってしまっている、それもかなり低レベルの... おそらくは政権放送で笑わそうとする輩もいるだろうが、これは笑えない。

あと今回NHK党が候補者を15人も出していて、何を考えているのかと思ったらこういうことだった

448778706_7715487541831629_2401097479715
448806739_7715454998501550_6512045792985
選挙掲示板ジャックである。政治ポスタ~に広告をいれるというビジネスモデルらしい。

NHK党の代表の立花氏にいわせれば「新たなビジネスの形」ということになるのだろうが、ここまでいくともはや選挙制度そのものの崩壊を狙っているとしか思えない。

実際毎回奇人変人が集まるこの都知事選だが、明らかに日本の民主主義を愚弄するものである。大多数の日本人が政治に無関心なことをいいことに「好き勝手なことができる」という勘違いがはびこっているからかもしれない。今回の目立つための「選挙パフォーマンス」があまりに限度を超えるようだと、立候補に何らかの規制が必要になるかもしれない。民主政治を衆愚政治から引き戻す意味でも

ただ総務省や法務省が直ちに動くかは疑問だ。なぜなら今回「供託金」で膨大な収入が期待できるからである。おそらく主要候補3-4人を除けば全員供託金没収になるだろうから少なく見積もっても1億5000万円を超える金額が国庫に入る。国からしてもいい商売になるのかもしれない。

 だがこれはやはり政治、民主政治にとって危機的な状況だと考える。こういう魑魅魍魎、奇人変人のパフォーマンス(あえていうがアホーマンスといってもいい)本来の政治争点がおろそかになり、悪い意味でビジネス化してしまう危惧を感じる。独裁者が民主主義を破壊するのとは別の方法での民主主義の破壊方法かもしれない。もし誰かがこれを仕掛けているとしたら... 陰謀論には立ちたくないが

 

 

 

6月 21, 2024 経済・政治・国際 | | コメント (0)

2024年6月11日 (火)

「TOKYO VICE」シーズン2で終了で業界の潮目が変わることへの危惧

日本の映画関係者にとって「黒船」になることも期待されたアメリカのストリーミングサービスMax(旧HBO Max)の東京を舞台としたドラマ「東京VICE」

Main_tokyovice

日本で撮影されたハリウッドスタッフによるドラマということで注目をされたわけだが、実は臨時に通訳として参加したことがある。英語が一定限度理解して、なおかつ撮影に関する一定の知識を持っている人間が少ないという点もあった。その日はどうしても人が必要とのことで私が臨時に入った。通訳は私含めて2人いたのだが、あとの一人は撮影や映像について全く理解がない人だったので、私が実質現場を走り回って通訳の活動を行った。

私が参加したのは比較的初期の段階だったが、現場は実際酷い状況だった。何せ撮影クルーで英語がわかる人間は皆無。しかも撮影のやりかたでハリウッド側と日本側で激しい対立があり、正直かなり険悪な雰囲気だった。撮影スタッフは某有名映画会社の機材部でそこのトップの人が「従来の日本のやり方」に固執し、ハリウッド側と激しく対立した

私が担当した日のうちに勿論そんな問題が解決するはずもなく、さらに日本の受け入れ側から二か月丸々この仕事を担当してくれ、という依頼があった。しかしさすがに二か月丸々ーその間他の仕事は一切できなくなるわけで、さすがにそれは辛い、ということでお断りした。しかし正直「この現場」大丈夫か?という懸念は持っていた。

それでもシーズン1を無事終え(シーズン1では何も解決しなかった)シーズン2も何とか撮影を無事配信されたようだが、この「東京VICE」シーズン2で終了することが発表された。

「TOKYO VICE」シーズン2で終了
https://www.cinematoday.jp/news/N0143400?f 

原作者のJake Adelsteinはシーズン3まで用意していたというけど、実は今回のシーズン2の出来上がりが評判良くなかったし、相変わらず現場のトラブルも続いていたようである。残念だけど仕方がない。結局日本側とハリウッドのクルーの対立は最後まで解決しなかったようだし、キャストの方でも参加した役者さんからも不満の声が聞こえてきた。今までガラパゴスが当たり前だった日本の制作現場ーグローバルスタンダードに対応できるようにするにはまだ課題が多い、ということだろう。

そして非常に残念なのはハリウッド側で日本のキャスト、クルーの評価が下がったという情報がはいってきたこと。そうなるとせっかく「日本で撮ろう」という要望が強くなった海外の映画業界の流れが尻すぼみになってしまうのではないかと危惧する。

さてそういうものに対応させようという意図もあるのだろうが、昨年経済産業省がまとめた「映画制作現場の適正化に関する調査 」で

  •  13 時間/日以内(準備・バラし・休憩含む) 開始時間は集合時間を基準 
  •  13 時間を超える場合は、10 時間以上のインターバルもしくは翌日の休日の確保 
  • 就業時間は制作部もしくは電子的な手段等で把握

と規定された。

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/downloadfiles/report/eigaseisakugenbareport2022.pdf

これに関して映画関係者の特にクルー関係のトップから猛反発があったという。 

「できるわけない」「今までの俺たちのやり方を否定するつもりか」etc

そんなこともあって、撮影時間の短縮は一向に進んでいないのが現実で、それも撮影現場のトラブルの一因にはなっているのだろう

いずれにせよ、外国の映画チームと日本のチームが仕事する際に問題が起きないように進めることを考えるべきだろう。海外のフィルムメーカーとのプロジェクトーこれは大きなビジネスチャンスでもあるので、それが成功するように引き続き最大限の努力をすべきである。

 

 

6月 11, 2024 映画テレビ18- | | コメント (0)