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2022年3月14日 (月)

週刊文春の映画界のセクシャルハラスメント報道ー映画界として再発防止を真剣に議論すべき

ご存じの方も多いと思うが映画「蜜月」の監督が出演女優に性行為を強要したセクシャルハラスメント事件が発生し、その関係で映画の25日に公開予定だった映画「蜜月」の上映中止が決定した。

おおもとの情報源はこれらしい

「性被害」映画監督による性加害を女優が告発 脚本家からも疑問の声
https://bunshun.jp/articles/-/52554

まず私も映画の世界に関わっているが、まず私自身はこの問題となっている監督とは面識はない。しかし今回の事件に関してコメントを発表した撮影監督の早坂伸氏とは面識があるし、その他この問題の監督と面識がある多くの映画関係者からの情報も入ってきている。

撮影監督の早坂氏のコメント
https://shin1973.hatenablog.com/entry/2022/03/10/025155

だが最近ネットによる多情報化社会にあって「人から聞いた話」を安易にシェア拡散することは経験上、事態を良い方向に導かないと考える。そのためそれについてはあえて語らない。全ての情報が間違ってはいないかもしれないが、100%正しい情報とも限らないからである。だからこの件にもし警察その他の捜査の手が入ればその結果をまつのが適当だと考える。

その一方で私の耳にはこの問題の監督に関してかなりの量の悪評も入ってきており、火のない所に煙はない。いざ仕事をするということを考えるとやはりこの人物は忌避すべき人物であると考える。少なくとも私はこの人物の名前がメインに入ったプロジェクトで仕事することは未来永劫ないだろう。

さて今回の例の「文春砲」によって困ったことはせっかく濱口監督の「ドライブ・マイ・カー」のオスカーノミネートというグッドニュースが入ってきたのにこの事件でまた映画の世界に悪いイメージが世間一般に広がってしまったことである。やはりこれに対しては映画産業全体として襟を正さないとダメだろう。そのためには今回の事件の背景について考えなければならない。

実は映画でもドラマでも「売れっ子」の俳優は別として、大多数の役者は「選ばれる立場」にある。つまり監督や制作会社、プロダクションからみても「弱い立場」にある。そして中にはその役者(特に女優)が弱い立場にあることを悪用する輩がいることも事実なのだ。そのため「枕営業」なるよからぬ用語まで蔓延っている。

それらは勿論日本に限った話ではない。お隣の韓国では映画監督のキムキドクの性暴力事件、そしてハリウッドで"Me too"運動のきっかけとなったハービーワインシュタインの例もある。「弱い立場」であることを悪用する不埒な輩は洋の東西いる、というのが悲しいかな。事実である。

セクシャルハラスメントの再発防止をどうするか

映画界として今回の件の再発防止対策を明確に打ち出す必要がある。今回は映画監督やプロデューサーが自分の立場を悪用して起きた。それを背景にセクシャルハラスメントだけでなくパワーハラスメントも昔から起きているのも事実である。これらの行為に対する社会的制裁が必要になる。
前述の性暴力事件のキムキドクは業界から永久追放、ハーヴェイ・ワインスタインは強姦罪などで有罪の判決が下り、3月11日に禁固23年の刑が言い渡され事実上の永久追放となった。今回のこの監督も4人の女優への性行為の強要の被害が事実だと証明されれば永久追放されてしかるべきだろう。

では再発防止をどうするか?これは簡単な問題ではない。あえて言えば「日本の芸能界のタブー」にまで入り込まないといけない。

1. 日本にもアメリカのSAGのような役者の労働組合を作る

これをみて「お前こんなこといって大丈夫か?」という人も多いはず。はい、過去多くの役者がこれをやろうとして音〇協を始め芸能プロの圧力でつぶされた経緯があります。(立ち上げようとした役者は業界から追放) 「日本の芸能界のタブー」にまで入り込むというのはそういう意味だが、「選ばれる立場の役者」だけで結成しても過去の例のようにつぶされるのは火を見るよりも明らかである。
  但し実現性はともかく以下のやりかたならば可能性はある

 (1) SAG(アメリカの役者組合)の日本支部のようなものを作り、SAGの力を借りる。

   いくら音〇協でもアメリカの組織が出てくればつぶすことは不可能である。

 (2) (1) は無理の場合エンタテインメントロイヤーやエージェント(いずれも弁護士)と相談の上法的な手順を踏む

   アメリカでもユニオンにはエンタテインメントロイヤーが顧問として活動を支援しており、MLBのMLBPAではアメリカの有力なエージェント(i.e. スコットボラス, CAA等)のバックアップがあるため機能している。日本にエンタテインメントロイヤーやエージェントをやっている人は決して多くはないが、不可能ではない。いずれにせよ役者だけでは難しいから法曹関係者のバックアップが必要である。

話がずれたが、SAGはワインシュタインの問題が起きた時に"Me too"を積極的にサポートしており、それが映画会社やプロデューサーに対するある意味「無言の圧力」として機能していた。その意味でも役者の日本でのユニオン結成は今回の問題の再発防止対策として有効と考える。

2. 映画監督、プロデューサーで権力を振りかざすのではなく自制心をもつ意識改革を行う

日本は正直いっていまだ男尊女卑社会である。ジェンダー平等,LGBT,多様性というものを容認しない風土が根強くあり、それが既存の日本の「芸能界」の価値観を支配しているのは残念ながらまぎれもない事実である。やはりプロデューサー、監督及びスタッフクルーに至るまで全員が意識改革をしていかないとダメである。

しかし残念ながらこれが一番難しいことも事実である。日本社会の体質のため日本はデイバーシテイの面で世界から大きく後れをとり、意識もおそらく世界でも最低レベルであろう。しかしまずはそこから変えていかないといけない。簡単なことではないが..

監督やプロデューサーのように「選ぶ立場」の人はそれを自認した上でそれを悪用しないように自制心を持って取り組むべきだろう。

最後に「映画鍋」の主要メンバーでセクハラをテーマとした「ある職場」の監督の船橋淳氏の声明をはりつけさせていただく。自戒の意味もあってこういう決意は必要であろう。

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