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2021年4月18日 (日)

「上級国民」と一般庶民の女性を主人公とした映画「あのこは貴族」レビュー

複数の映画関係者から「この映画は見ておいた方がいい」と勧められたこともあって、東京も急速な第四波と思われる感染拡大の中昨日、見に行った。ワクチン接種も遅々として進まない現状では、このままいけばGWにまた「緊急事態宣言」は避けられないと思われる。いずれにせよ事態は深刻な状況であることに変わりはない。

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門脇麦と水原希子という演技力のある両女優の主演で片や東京の高級住宅地で育った筋金入りのお嬢様ともう一方は地方出身で実家が豊かでないが必死に這い上がろうとしている一見水と油の女性の両者の主人公が心ふれあいをしていき、自らの生き方を見直すきっかけになる映画。今時の女性の生き方を原作者も監督も女性であることから、女性ならではの観点から描いている。

「あのこは貴族」というが、実際日本社会のここ10年の様々なできごとを見ても「日本社会はイギリスと違い階級などない社会である」ということが大嘘であることがみんなわかってきている。

かくして皮肉たっぷりの意味をこめて「上級国民」なる言葉がネットでも当たり前のように使われるようになったが、実際その「上級国民」の存在はデマでも噂でもフィクションでもなく確実に日本社会に存在する。彼らは昔からある一族の権益、資産を守ることを至上命題としていて、実際本人の意思に関係なく人生のレールがあらかじめ決まっており、そこから外れることが許されない。(それこそ封建時代から存在する「家」制度と本質的に同じ-「一般庶民」の感覚からすれば時代錯誤といってもいい世界だ)そのようなことがこの現代においても公然と行われていることが驚きである。勿論この層はここ10年くらいに日本の外で劇的に変化したジェンダー問題、LTBG ダイバーシテイーといった問題など理解できるはずもない。それはオリンピック関係での某森発言をみてもそれは明らかである。

問題はそういう「上級国民」層が政治家は勿論のこと財界、官僚の世界を事実上支配し、現在の政権与党を始め日本社会を仕切っているという現実があるためだ。映画で主人公の夫となる人物は日本人なら誰でも知っている某有名大学の出身だが、私事だが私の大学はその大学の滑り止めのような大学で構造は本質的に同じである。(まずいことに前首相の出身大学でもあるため、余計にイメージが悪くなった)そしてその大学にも「上級国民」といわれる人間は少なからず存在した。

実はその中の一人に誘われてその「上級国民」の集まりに参加したこともある。同じゼミにいた人間に某ゼネコンの御曹司と某大手自動車メーカーの創業者の孫とかいたためだが、(もっともこの2人はそんなに「上級国民」風を吹かせていないので現在でもつきあいはあるのだが..)彼らに誘われた会だったがせっかくながら、30分ー1時間もしないうちに耐えられず会場から抜け出した。明らかに自分とは場違いなところにいたと感じ、実に息苦しい思いをしたことを記憶している。

その日本の実質的な支配階級になっている「上級国民」の存在が今の日本社会を大きく蝕んでいることも事実。それは今の政権与党をみれば明らかだろう。ここ10年で日本人の多くが貧乏になり、平均所得はもはや先進国と呼べるレベルではない。いまだに認めたがらない輩が多いがここ10年で日本は完全な後進国に転落したのだ。そしてそれは「上級国民」が自らの権益や権力維持のために一般庶民の生活が犠牲になっているのである。これを変えるには政権交代しかないのだが、今の日本人の大多数は無関心と思考停止の癖をつけられすっかり「飼いならされ」てしまっている。早く自分が単なる「上級国民」の飼い犬に過ぎないことに気づいて、政権与党の自民党や公明党を下野させないと、このままでは日本は滅びてしまう。

映画では経済的に困窮した地方出身のもう一人の主人公と対比して「ハイソな上級国民」の世界もリアルに描いている。正直後者は息がつまりそうな世界、そう例の私が「上級国民」の集まりに参加した時のあの息苦しさそのものである。日本社会の両極化した社会を対比しているところに映画のあるべき姿である「現実を描く」ことを見事にやってのけている。

 

(以下ネタバレあり)

 

さて映画関係者が「この映画は見ておいた方がいい:という意味が見ていてわかった。この映画のストーリーの描き方には驚かされた。実はストーリー上当然描くだろうという部分をあえてカットー飛ばしているのだ。例えばエリート弁護士と結婚した「お嬢様」は結局離婚するのだが、その離婚のプロセスは一切描かれていない。唐突に離婚の場面に移って「あれ?」と思った。また水原希子演じる地方出身のもう一人の主人公も大学中退からいつのまにか友人と起業に参加すると、プロセスがわざと飛んでいる。

原作と読んでいないのでおそらくそこの編集は意図的だと思われるが、そうするとエンデイングもおそらく原作ではあの続きがあったにも関わらず、あえてその前で終わらせたという想像もしてしまう。

まさしくタランテイーノを彷彿させる編集の妙かもしれないが、しかしそんな編集でも映画を観終わっても不思議に違和感を感じない。そこがとっても不思議だ。女性の生き方を描いた映画ではあるが、男性も(特に映画好き)は一見の価値がある映画といえる.

あのこは貴族 公式サイト
https://anokohakizoku-movie.com/

 

 

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