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2020年2月10日 (月)

「パラサイト」旋風吹き荒れ「作品賞」始め4部門制覇!! 「革命」が起こった今年のアカデミー賞授賞式 歴史が変わりグローバルな映画新時代が本格到来!!

本日第92回アカデミー賞授賞式がアメリカ、LAのドルビーシアターにて開催された。開催前からデイズニー「アナと雪の女王2」"Frozen2"の主題歌の"into the unknown"で松たか子を始め9か国語でパフォーマンスしたり、メイクアップ賞で「カズ ヒロ」さんの二度目の受賞の話とかあったが、何よりも韓国映画の「パラサイト」が6部門ノミネートといった多くの話題があった。

そして結果は私が予想した以上の内容だった。はっきりいって歴史が変わったのである。

もっといえば

革命が起きたのである。

そもそも英語圏を中心とした映画アカデミーの体質として台詞が英語以外の映画は見ない、という体質があった。そのためわざわざ台詞が英語でない「外国語映画賞」というものを別にもうけていた。

だが昨年もアルフォンソ・キュアロン監督の「ローマ」が外国語映画賞・監督賞・撮影賞の3部門を受賞したが、「ローマ」は台詞がスペイン語である。(キュアロン監督もメキシコ人)そのため昨年からその傾向は崩れ始めてはいたのだが..

それにしてもポン ジュンノ(英語だとボンジュンホ- Bon Jung Ho)監督の作品賞、監督賞、脚本賞、外国語映画賞の4部門受賞は期待はしたがそこまで取るというのはさすがに予想できなかった。これはどこの言語のどこの国の映画作品だろうが質が高く面白い作品であれば世界の映画界の頂点にたつことができる、ということを「パラサイト」の受賞は証明したのである。

アジアの作品が作品賞を取るのは初の快挙、監督賞は2005年の台湾のアン・リー監督 以来二人目(ブロークバック・マウンテン ) 脚本賞もたぶんアジア人で初めてである。

当ブログでも映画制作はボーダーレス、グローバルになっている点を再三再四指摘してきた。だが今回の「パラサイト」4部門受賞はそのボーダーレス、グローバル化はうわべなものではないことを証明してみせた。たとえば2005年監督賞受賞の台湾のアン・リー監督のブロークバック・マウンテン は映画自体はアメリカ映画である。しかし今回の 「パラサイト」は紛れもなく韓国映画であり韓国社会の「格差」による社会のゆがみを描いた作品といっていい。その作品がアカデミー賞で作品賞を取る、というのは意味が全然違うのである。そしてこの「パラサイト」の受賞がフロックでないことはこの作品がカンヌのパルムドール受賞作品であることからもわかる。

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つまり面白い、質の高い作品でさえあれば英語圏でない作品でもオスカーの最高峰である「作品賞」や「監督賞」を取ることができる時代になったのである。私はここが「革命」たるゆえんだと考える。

だがこの快挙は韓国映画界の絶え間ない努力の結果であることは言うまでもない。
大分前から韓国は国策として映画関係者をハリウッドに留学してスキルを学ばせることをしていた。その結果撮影クルー、キャストがハリウッドなみのスキルを身に着けクオリティの高い映画を作ることができる下地をつくってきたのだ。今回の「パラサイト」4部門受賞はその成果といえるだろう。これだけの絶え間ない努力が続いた上でのパルムドール受賞とオスカー受賞。これだけの成果を収めた韓国映画のキャスト&クルーには大いなる敬意を表したい。

一方わが日本はどうか?はっきりいってお寒い限りだ。映画も音楽も「いいもの」を作るのではなく「安く」つくることしか考えず業界同士でお金をかけず低コストを自慢し合う始末。そのため日本の映画界は韓国に到底かなわないほどの低スキルに留まり日本は残念ながら完全な後進国に転落した。映画の制作現場がグローバル化しハリウッドも完全にボーダーレスに作品を評価している時代にいつまでも内向きの発想から脱出できない日本はこのままでは絶望的な状況になる。
しかし今の日本政府に韓国のような映画グローバル化に金を出すことなど望むべくもないし、仮に実現しても政府に昨年のように表現をコントロールされてしまう。だとすれば別の方法で日韓のスキル差を埋める事を考えないとダメだろう。日本の後進国脱却は予想以上に難しい

何にせよ今アジアだろうがどこだろうが映画界の頂点にたてるチャンスがみなぎっている時代に来ているのだ。いつまでも過去のやりかたに固執し、グローバルレベルの制作スキルを身に着けないでいれば日本の映画界も音楽界も滅亡を余儀なくされるだろう。

日本の現状について話すとどうしてもネガテイブな話になってしまうので少しポジテイブな話をすれば

・ブラッドピット 悲願のオスカー獲得

ワンスアポンアタイムにハリウッドで念願の助演男優賞受賞。ようやく無冠を返上できておめでろう!!

・カズ ヒロさん 特殊メイク賞で二度目の受賞

Wowowは(旧名辻一弘)と書いてありましたがアメリカの帰化されたので日本人としての受賞ではありません。だがそんなことはどうでもいいこと。大事なことはカズ ヒロさんに続く日本出身者(あえて「日本人」といいません)がオスカーノミネイションが当たり前の時代になるように願いたいものである。

・映画音楽作曲賞に"Joker"の女流作曲家ヒドゥル・グドナドッティルが受賞

映画音楽作曲賞、女性としては史上4人目だそうだ。ちなみに前回の受賞はアン・ダドリーでThe Whoのロジャーダルトリーの奥さんだそうだ。ヒドゥル・グドナドッティルはチェリストでありながらエレクトロニカの音楽もやっている等ユニークな音楽活動をしている。

ここで映画音楽に関わっている人間として少し血が騒いでしまうのは今回の"Joker"は普通の映画とは逆に音楽を先に作ってそれに合わせているという。正直映画をみている時はあまり気が付かなかったのだが、日本では考えられない作り方だ。しかし日本では音楽もポスプロの一環として何でも作業的に後回しになってしまうが、昨今の世界的な映画の風潮としては海外映画は映像と音楽は同等に扱われている。そのため単に映画のBGMとして作る、というよりは音楽をベースに映画を作る、という試みがもっと行われてもいいのではないだろうか?日本の映画監督さん、どうですか?www

とにかくもう時代は価値観から根本的に変わったのだ、変わったということを認めて新たな時代にチャレンジしようではないか。人種、国籍、言語に関係なく誰もが同等なチャンスを与えられる時代になったのだ。素晴らしい時代が到来したと皆さん思わないだろうか?

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2020年アカデミー賞受賞者リスト(英語)
https://oscar.go.com/winners

 

 

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