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2020年2月26日 (水)

独立映画鍋-「映画の公益性って何?」-出演者不祥事による助成金不交付の問題::芸術や映画に対する日本人の民度を問う

昨年は「愛知トリエンナーレ」を始め表現の自由の危機が叫ばれた年でした。そして映画「宮本から君へ」が文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会(以下芸文振)」より2019年3月に助成金の交付内定がされていたにもかかわらず、2019年7月に「公益性の観点」により不交付決定がなされました。原因は出演者であるピエール瀧さんが麻薬取締法違反で逮捕された点にあります。

 しかしこれを機会に芸文振の助成金に関する要項等が突然書き換えられ、しかもそれが「公益性に反する」というよくわからない、どのようにも受け取れる基準で助成金を不交付にできる、ということになりました。これは昨年の「愛知トリエンナーレ」に関しても、安倍政権にとって「気に入らない表現作品があった」ということで一部の人から「公益性に反する」といって大会運営が危機的な状況になったことがありましたが、ではその「公益性」とは一体何なのか?ということについて語るトークイベントを映画のNPO法人の「独立映画鍋」が主催していましたので行ってきました。

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折しも「新型肺炎ーコロナウイルス」の感染拡大が急速に進んでいるので登壇者はマスクをしながらスピーチという異例のものでしたし、その「コロナウイルス」の関係で通常は有料の「トークイベント」という形で進むのですが、今回はZoomというアプリを使った配信をメインに行いました。私はまだ正式に「独立映画鍋」に参加していませんでしたのでその辺りの情報が来ていなかったみたいです。(汗)

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                今回の司会の舩橋監督と四宮隆史弁護士

今回の大まかな経緯が書かれていますのでここで写真を投稿しますが、

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ご覧になっておわかりのように「宮本から君へ」の助成金の内定通知はピエール瀧氏が逮捕された後に来ていることが分かります。そしてご存じの通りネットやSNSを中心にピエール瀧氏への激しいバッシングを始め大河ドラマを始めテレビドラマ、映画の中の出演カットが立て続けに世間で行われます。
その後4月に芸文振から映画の再編集を行う意思があるかの打診があったものの、制作のスターサンズは拒否

6月にピエール瀧氏が有罪判決をうけると6月下旬に芸文振から助成金を不交付にすると最初、口頭、7月になって「公益性」の観点から不交付が決定された、というのが経緯です。

そして現在芸文振に対して助成金不交付という処分の取り消しを求めた訴訟が行われまして、今回のゲストスピーカーはその主任弁護士の四宮隆史弁護士です。

 ここでのやりとりで、いくつかの問題を四宮弁護士は指摘しておりました。

1.映画の内容、編集キャステイングに対する介入

映画の表現の根幹に関わる編集、キャステイングへの介入はまさに表現への自由そのものへの介入であり、これは芸文振の裁量権の逸脱にあたると指摘されております。

さらに今回は深刻な問題があります。

2.今回の不交付決定後に突然の要項の変更

今回のトークイベントの論点である「公益性」というきちんと定義もされていない文言を要項に追加しました。まるで降ってわいたような文言ではあり、あまりにも曖昧な言葉であり、どうにでも取れる、ことから逆にこれから助成金を申請するクリエイターが委縮する原因にもなりうることを問題にしています。

実際昨年の「愛知トリエンナーレ」のように「権力にとって不都合な表現」というものを「公益性に反する」などと取られる可能性が十分にありこれは表現の委縮、可能性を削ぐものであるといわざるを得ない、ということができます。

ちなみに「独立映画鍋」には代表の深田監督を始めとする日本を代表する映画監督が大勢参加しており、(「万引家族」「真実」の是枝監督も参加されております)深田監督はフランスから助成金をもらって映画制作をした経験もありますので、今回の日本の助成金不交付とその理由に関する事情をフランスの助成金の団体に説明すると失笑された らしいです。

勿論フランス、イギリスその他ヨーロッパにも芸文振のような団体(しかも日本と比べても政府から独立した団体)はあり、助成金を不交付のケースはありますが、日本のような「公益性」というわけのわからない理由ではなく、もっとビジネスの面で、例えば資金の面で事実とは違う内容を記述したこと、とか提出資料の中に虚偽の内容を記した、といった場合に限られます。

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欧米はビジネス、契約社会なので非常にドライではありますが、はっきりしています。

現在株式会社スターサンズさんと芸文振との間で訴訟が行われていますが、一部誤解している向きがありますが、今回の訴訟の目的は助成金の1000万円を芸文振から取ることではありません。
助成金不交付の処分を撤回してもらう、という点だけです。これは必ずしも1000万を取るという意味ではありません。実は「宮本から君へ」はすでにヒット作品になっていますので、今更そんなお金はいらないのです。

但しこの「公益性に反する」などという訳のわからない理由で助成金不交付を受け入れてしまうという前例を作ってしまうと他の映画の申請に悪影響を与えてしまう、しいては文化のありかたに悪影響を与えてしまいます。それを阻止するための訴訟だとお考えください

そのため裁判費用を捻出するためのクラウドファンデイングを現在実施しています。あと2日で終了してしまいますが、日本の文化を守るという観点から皆さんにもご協力いただければ幸いです

・映画制作の未来を問う。出演者不祥事による助成金不交付の違憲性

(クラウドファンデイング)

https://readyfor.jp/projects/jyoseikinsosho

尚、昨年と今回のトークショーで「独立映画鍋」及び「クラウドファンデイングサイト」等で目立ったのが「税金を使って映画など作るな」とか「税金を芸術に使ってほしくない」という声がかなりの数に登ったという点です。

ヨーロッパでは芸術は「人間が文化的生活をする上で必要なもの」という意識を持っているのに対し、日本人は「芸術などなくてもいいもの」「税金で芸術などとんでもない」「形のないものに価値などあるはずがない」などと考える向きが強いようです。

これに関してはあえていわせてもらいます。

日本人は芸術に対する民度があまりに低すぎます。

文化、表現に対する無理解、無関心という傾向が強く、特に日本人にこの傾向が強いのですが好きなもの=いいもの、嫌いなもの=悪という風に短絡する向きが非常に強いという点です。

日本という国はここ5-6年でITやAIの技術を始め、ビジネスや会社の生産性の低さで実質後進国に堕ちてしまいました。そして文化、芸術に関しては残念ながら世界最後進国といっていいと思います。そして既に世界からそのように見られてしまっています。

そこから先進国に復帰するにはどうすればいいか。私は日本人の意識改革しかないと考えます。その意識改革は文化的な礎があって初めてなしうるものです。

「税金を芸術に使ってほしくない」なんていうようでは世界から文化のすぐれた国とは到底おもってもらえません。日本にいるとわからないでしょうが、世界に行くと本当にそれがよくわかります。

その意味でもこの問題、皆さんでお考えいただければ幸いです

 

 

 

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