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2020年1月25日 (土)

今インデペンデント映画が面白い! アンシユル・チョウハン監督の「東京不穏詩ーBad Poetry」に映画新時代の可能性を見る

もう先週の話になるが友人の俳優が出演していた映画「東京不穏詩ーBad poetry Tokyo」を見に行った。

この映画は海外の映画祭で多くの受賞をした作品であることは知っていた。監督のアンシユル・チョウハンの評判も以前から聞いていた。だから劇場公開された時は見に行こうと思っていた。

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公式サイトに記されているようにこれだけの映画祭で受賞している。

最優秀賞 – ブリュッセル・インディペンデント映画祭
最優秀女優賞 - 大阪アジアン映画祭
最優秀女優賞 - スレマニ国際映画祭
オフィシャルセレクション - レインダンス映画祭
最優秀女優賞 - 熱海国際映画祭
最優秀撮影賞 - 熱海国際映画祭
最優秀作品賞 - ヴェネチア・フィルムウィーク
最優秀作品ノミネート - マドリード国際映画祭
最優秀女優ノミネート - マドリード国際映画祭
最優秀作品ノミネート - ストックホルム・インディペンデント映画祭
最優秀作品ノミネート - ウィンチェスター・インディペンデント映画祭

インド出身のアンシュール チョウハン監督は外国人とは思えないほどの今の日本の底辺の現実をリアルに描いた作品に仕上げている。それは外国人監督が日本を描く時にありがちな「オリエンタリズム」ではなくまさしく今の日本の現実を現代の日本人に全く違和感なく描いていたからである。しかし映画の切り口、描き方は日本人だとなかなか気づかない点は確かにあったかもしれない。現代日本を実に鋭い眼光で描いている印象だった。社会のダークな部分と人間の精神のダークな部分を描いているが作品にあまり重さを感じない。これは役者さんの自由度を監督がだいぶ許しているからではないかと思う。実際出演する役者さんはのびのびと役柄を演じている印象があり、重くて悲劇的な内容の映画なのに見ていてそういう印象を受けない。

そして上記のこの映画の受賞歴をみてもわかるようになんといってもこの映画は主役の「ジュン」を演じた飯島珠奈さんの日本人離れした演技が光る。この映画を見た誰もが驚いたと思う。主役の「ジュン」が絶望的な状況に陥りつつも必死に戦う様を全身全霊を込めて演じきり圧倒された。これほど凄まじい演技をする日本人女優は初めて見たと言っていい。日本国内だけでなく全世界の人に是非見てもらいたいと思う作品。世界レベルの女優の登場である。

映画はインド出身のチョウハン監督、撮影監督はエストニア出身、役者はアメリカ人、日本人、私の知り合いのロシア人の女優も出演しており、キャストもクルーもインターナショナルな顔触れ。これだけインターナショナルな顔触れの制作陣でありながらこの映画はまぎれもない日本映画である。そこに私は新時代の到来を感じる。ちょうど私が一昨年中国ドラマでミュージシャン役で出演した時を思い出した。その時も日本語、英語、広東語、北京語が飛び交う現場、これが新しい時代の制作現場のありかたなのだ。

■東京不穏詩 Bad Poetry Tokyo 【1月18日から2月7日まで上映予定)
http://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/3126/

そしてそれは「メジャー」映画よりもインデペンデント映画で顕著になっているところが面白い 

昨年の「カメラを止めるな」の成功はまだ記憶に新しいと思う、ここでも私は新時代の到来の可能性について論じていた。

■インデイー映画「カメラを止めるな」大ブレークにみる映画界の新時代到来の可能性
http://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2018/07/post-fa09.html

日本のアカデミー賞で作品賞、監督賞にノミネートされている「新聞記者」はインデペンデント映画である。(正確には「メジャー」に拒否されてインデペンデントにならざるを得なかったのだが)韓国人女優のシム・ウンギョンさんが主演女優賞にノミネートされている

■映画新聞記者公式サイト
https://shimbunkisha.jp/

「ごっこ」はグローバルな制作環境ではなかったが、インデペンデント映画として高い評価を得た作品。このブログでも何回か紹介した。(なぜかなりゆきで宣伝に協力する羽目になったが..)

Gokko

そしてこれもだいぶ前にご紹介したことがあるが、犬堂一利監督の「つむぐもの」 感動のヒューマンドラマである。日本映画で久々に泣いた作品だ。石倉三郎さんとキム・コッピの演技が光る映画

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つむぐもの

これらの作品に共通する点はなんだろうか、と思うと

1.現代社会の問題に焦点をあてたり、問題を起したタレントが出演する等、その点がとかく「事なかれ主義」に傾倒するメジャーに嫌がられている

2.制作者、監督によって「自由な発想」で作られている (だから面白い)

一昨年の「カメ止め」「ごっこ」だけでなく昨年は「新聞記者」「あみこ」そしてこの「東京不穏詩」とインデペンデント映画が今面白い。面白いだけでなく日本のエンタテイメントの世界そのものを変える可能性がでてきている。資金力を始め問題は多々あるが日本のエンタテイメントの将来に期待できるムーヴメントが確実に動きつつあることを感じる。

別に不思議なことではない。音楽も映画も「メジャー」が落ち目になるとインデペンデントから次の「メジャー」に取って変わる。エンタテイメントはその歴史の繰り返しである。今では想像できないがスターウォーズだって最初のエピソード4「新たなる希望」はマイナーなB級映画に過ぎなかったのだから

だが「カメラを止めるな」の興行的大成功にも日本映画界の新たな問題点が浮かび上がった。「カメラを止めるな」はたった300万の予算だったがそれをもって一部のメジャー映画製作会社が「300万でシネコンの映画ができる」という企画にとびついたのである。この点はいずれ改めて書きたいが、今の日本の映画やドラマ、番組制作は「いいものを作る」のではなく「安く作る」ことを最優先としていて、実際「こんな低予算で作った」なんてことを自慢するというとんでもない勘違いが横行している。これは日本の映画、や映像コンテンツのレベルを自ら下げるようなものである、このことは今後大きく問題点として取り上げようと思う

とはいえ、マスメデイアで流れている情報しかおいかけない皆さん、「最近見たい映画がない」などといっている皆さん。SNS等でいいインデペンデント映画の情報は拡散されていますので是非ご覧になって下さい。ある記事によると映画を映画館で見るのは健康にもいいそうです。皆さん。是非!

■映画館で映画をみるのは「軽い運動」と同じくらい健康にいいことが判明
https://front-row.jp/_ct/17334644?

 

 

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