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2019年2月25日 (月)

アカデミー賞ーオスカー授賞式 人種と女性差別、LGBT 外国語映画のオスカー授賞 新たな時代でいい意味に変化している映画界

本日アメリカ映画アカデミー賞ーオスカー授賞式が開催された。受賞者はリンク先をご参照されたい(英語)

https://www.oscar.go.com/winners

今年のアカデミー賞授賞式はいろんな意味でアメリカ映画アカデミーが多様性を受容したことを示す受賞者の顔ぶれだった。例えば

作品賞のグリーンブックはアフリカ系のジャズピアニストと人種差別が現在でも根強く残っているアメリカ南部(トランプの熱烈な支持層でもある)での実話のストーリーをベースにしたものだし、アルフォンソキュアロン監督の"Roma (注:イタリアのローマではなくメキシコシテイー郊外の町名)は全編スペイン語ながら、最優秀外国語映画賞だけでなく、監督賞、撮影賞も受賞し、映画の世界のボーダーレス化が進んでいる傾向を示したものとして注目される。

また映画界の「はみだしもの」であったスパイクリーの「ブラッククランスマン」はアフリカ系アメリカ人が人種差別秘密結社K.K.K.に潜入捜査する話で脚色賞を受賞した。アカデミー賞授賞式には出席しないという方針だったスパイクリーが今回出席したのは映画アカデミーの環境の変化というものを感じ取ったからではないか、と私は考えている。

あと目立たない賞だが短編ドキュメンタリーの"Period. End of Sentence."は女性の月経とそれに伴う偏見と女性に対する恥辱(とりわけインド、イスラム圏における)を扱ったドキュメンタリーであり、受賞者のイラン系アメリカ人監督を始め制作スタッフは全員女性ー「まさか月経を扱ったドキュメンタリーがオスカーを取るとは思わなかった」と喜びを爆発させた。

また短編映画部門の"Skin"も人種差別を扱った映画、トランプ支持層の多数を占めるWhite Supremacist(白豪主義者)がアフリカ系アメリカ人と仲良くする友人を襲うという映画で、人種差別やヘイトが巻き起こっている昨今のアメリカの風潮とそれを事実上容認しているトランプに対する強烈な皮肉となっている。

このように人種と女性差別、LGBT、そして全編スペイン語の外国映画が主要映画賞にノミネート(3部門受賞)と明らかに以前の流れとは大きく違う傾向を示し始めた今年のオスカー。大きく多様性を受容し始めたといっていいだろう。

これはひとことでいえばハリウッド、映画アカデミー全体がより反トランプ大統領色を鮮明にしたといえると思う。史上最悪の大統領の出現がいい意味で映画の世界を大きく変化させて多様性を受容しているといえよう。

これを見て羨ましく思ったのは私だけではないのでは、と思う。

史上最悪の大統領の影響で逆に人種と女性差別、LGBTを始め世界のボーダーレスを推進して様々な面で改善を進めているアメリカ映画アカデミー、それに対し同じく史上最悪の総理大臣の日本は映画業界ばかりでなくマスコミ、企業体まで首相の顔色ばかり伺って変化をしようとしもしない。何かアメリカと日本の民度の違いが帰って際立ってしまったように思うのだ。要は変化に対してポジテイブに反応するアメリカ国民と変化を忌み嫌い変化に対してなにごともネガテイブになる日本、その大きな差が出てしまったということができる

これ以外にも最近のハリウッドで大きな変化を感じたのはネットフリックスの存在だ

最優秀外国語映画賞、監督賞、撮影賞を受賞したRomaはネットフリックスの配信作品だが、かなりキュアロン監督の私小説的な要素もあるため、ハリウッドがお金を出さなかった作品である。そこにキュアロン監督がネットフリックスに企画を持って行って実現した作品なのだが、それ以外にも映画の短編、その他でネットフリックスの配信作品が今回のノミネート作品には多数存在した。これも時代の流れである。ちなみにネットフリックスはアメリカ映画協会に加盟し、既にアメリカのメジャースタジオに肩を並べることができる存在になっている

Netflixがアメリカ映画協会に加盟。6大メジャースタジオと比肩する映画制作スタジオに
https://japanese.engadget.com/2019/01/23/netflix-6/

もはやオスカーに対して大きな影響力をもつようになってきたともいえるネットフリックス
映画のグローバル化、ボーダーレス化を推進しているエンジンの1つともいえるが、今後の動向が注目される

一方、私の「本職」である映画音楽関係についてだが、今年はブラックパンサーの音楽を担当した"Ludwig Goransson (ルドウィグ・ゴランソン)"が受賞した。恥ずかしながら私はこの人をよく知らなかったのだがチャイルディッシュ・ガンビーノのプロジェクトで曲書いていたようで、映画音楽だけでなくポップスの方でも結構実績がある人のようだ。授賞式に一瞬移ったが奥さんはアジア系のようだが、日本人か中国人かは不明。まあそんなことはどうでもいいでしょう。

尚、日本映画は2本とも受賞できなかったけど、まあ業界人の端くれとしてそんなことにめげすにどんどんノミネートされるような映画を作りましょう、といいたい
昨今のグローバル化、ボーダーレス化がどんどん推進される現在では日本の市場だけ見ていればいい、という時代はもうとっくに終わっている。問題はメジャー系の業界人でいまだにそれを理解できない人が多いこと

話は授賞式に戻るが最後の「ボヘミアンラプソデイー」でフレデイマーキュリーを演じたラミ・マレックの一言が印象的だった

Ramimarek

「私はエジプト系アメリカ人です。フレデイもゲイで移民でそして人生を自分らしく生きた人です。私自身のストーリーがいま描かれています。それを光栄に思います」

「ボヘミアンラプソデイー」は広い意味でLGBTの映画である。そして先ほども書いたように、人種と女性差別、LGBT、そして外国語映画のRoma 、そしてキュアロン監督は「メキシコにはまだ大勢の職につけない人たちがいます、その人たちを助けてあげて下さい」とトランプ大統領の神経を逆なでするような発言もした

ちなみに昨年の作品賞はメキシコ人のデルトロ監督、授賞式では同じメキシコ人なのに「この名前は発音できませんww」とおどけてみせた

国境に壁を作ろうとして一時は連邦政府の行政をマヒさせたトランプと次々に従来の壁を取り払うハリウッド
どちらがより建設的かはいうまでもない


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