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2018年7月27日 (金)

インデイー映画「カメラを止めるな」大ブレークにみる映画界の新時代到来の可能性

日本映画、とりわけインデイース映画はご存じの通り長い間低迷時期にあった。かくいう私も劇場公開とはいえ多くのインデペンデント映画の音楽を担当してきた。しかしそんな中でも「俺たちの世界」(中島良監督)のように海外で高く評価された作品もあったのだが、しかし低迷の状態は明らかだった。ちなみに私の映画音楽作品でもっとも多くの劇場で公開されたドキュメンタリー映画「涙の数だけ笑おうよ」(竹藤恵一郎監督)は11劇場で公開されたものの興行収入はたいしたものではなかった。

しかし私はFacebookグループ「エンタテインメント業界キャステイング」の管理人をやっていて一昨年あたりからある種の変化を感じ始めた。以前なら日本で海外映画に関わるのであればたいてい大手の芸能プロか広告代理店を通さねばならず、役者も思ったような役を得られなかったりというのが普通だった。日本人の俳優、アーチスト、ミュージシャンの海外へのかかわりは閉ざされたものであり、よほどのコネクションがないと無理だった。それが一昨年の初めからFacebookグループで普通に海外映画のオーデイション情報が入ってくるようになり、いわゆる日本での「有名俳優」や大手プロでなくても普通にハリウッド映画に出演する例が出てきたのである。今では「エンタテインメント業界キャステイング」はハリウッドのキャステイングデイレクターがハリウッドのキャステイング案件を普通に投稿する等、数年前だったら考えられなかったことが普通に起きている。インターネットとSNSが芸能界、映画界の既存のプラットホームを壊しつつあるのだ。

そして今年300万という低予算のインデペンデント映画が「日本の常識」をやぶる快挙を達成した。ご存じの方も多いだろうが当初はたった2館のみで上映された本作が、7月25日、TOHOシネマズ新宿などをはじめとする上映劇場が100館を突破したという映画「カメラを止めるな」である。どこの劇場でも満員でチケットがなかなか取れない状態が続いていた。かくいう私もなかなか観にいけず、今週の初めようやく見に行けることができた

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オンラインチケットで買ったのだけどオンラインチケットの発行ですらこの長蛇の列

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会場は立ち見客も大勢いた。この映画がなぜ連日満席、立ち見続出なのかは映画を見てよくわかった。

この映画は日本のメジャー映画の「常識」である以下の2つがない

1. 有名俳優や女優のキャステイング
2. ヒットしたマンガ、小説、等の「原作」がない

これだけで既に日本のメジャー映画の「常識」を根底からくつがえしている

映画の内容だがネタバレになるので映画の中身は触れない。しかしひとことで言えばこの映画はアイデアの勝利ーいやこういうと誤解を呼ぶかもしれないーでも言ってみればタランティーノの「パルプフィクション」を思わせる脚本のひねり、アイデアの勝利だと思う。(「この映画は二度始まる」がミソ。前半を見たから後半思い切り笑える)しかもここが大事だけど(映画愛に溢れた)アイデアだと思う。

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その意味では上田慎一郎という名前の日本のタランティーノが出現したと言っていいかもしれない。私はこの「社会現象化」したこの映画の様子をみて「日本の映画の新時代」を感じずにはいられなかった。

つまり1) 映画製作のグローバル化による国境を越えた制作体制と2) 日本映画での海外での公開例の増加、と3) メジャー連中のいう「映画ヒットの方程式」の崩壊、そして4) 新たな映像クリエイターの台頭による新時代到来

それらすべてが起きている。ということだ

特に映画制作のグローバル化は私のようなものでさえ、昨年の夏に香港映画や今年の春に中国ドラマに出演する例がある等、とくにネットフリックスやアマゾンプライムのように映像を全世界に同時配信が当たり前になっている時代では、もはや日本国内しか通用しない「常識」など全くの無意味である。

日本ではなかなか既存の常識をやぶるような作品や芸術ムーブメントが起きにくい。それは例えばこんなケースが少なくないからである

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私自身も何回こういうケースに出くわしたことかという感じでまさに日本の「典型的な」ケース。縮図といってもいい。そもそも「今までにない斬新なアイデア」が前例のあるものであるはずがない
こんな簡単なロジックすら今の日本人は理解できなくなっているともいえるが、要はおそらくこういうことである。

今までにもあったけど、みんなが忘れている、大胆かつ安全で予算内で収まり、最大の効果を上げる、斬新なアイディア」を求めているのです。

あえていうが、実に虫のいいことを期待しているわけだ

その「虫がいい」ことを期待する輩が多いから、「カメラを止めるな」の成功は素晴らしいことだが、これで逆におかしな誤解や勘違いが蔓延することも一方では危惧する。

つまり「映画は300万でできるんだ。では300万で「カメラを止めるな」と同じ興行成績出せるよね?」 などといいかねない人間が日本には大勢いる、ということ

300万でこれだけの興行成績をだしたのはクリエイター側が誇ることで、製作側は寧ろ恥じるべきことだが、そこを理解できない人間が多い。実際海外でも評価が高い園子温監督が「日本の映画予算は少なすぎる」という発言をしたら、映画制作現場なんか知りもしないくせに知ったかぶったネットのアホなヒマ人に叩かれる、という事態が発生したが、実際カメラを止めるな」の成功例が逆に「300万でできない監督は才能がないからだ」なんていう「正論」(に見えるもの)を誘発しかねないほどバカがネットには大勢いるのも事実

いずれにせよクリエイターの芽を摘むような事態は日本では本当に簡単に起きてしまうのが懸念材料だ。


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