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2016年12月30日 (金)

「PPAP」「前前前世」にみる「音楽業界ヒットの方程式」崩壊の様相がみえる興味深い傾向

やっと仕事納めができ、ブログ、音楽関係の記事を書く精神的余裕ができた。昨今はイベントやライブ、その他の業務の関係で忙殺され、わざわざブログ記事を書くパワーが著しく衰えている。別記事にも書いたがもはやブロガーを続けることが正直困難になりつつある。

また日本のJ-popや歌謡曲とかにもかなり前から興味を失っているので、本日のレコ大など正直どうでもいいと思っている。
しかしそれでも今年はある意味、少し面白い変化が起きていると感じている。

それは既存のメジャーのレコード会社や大手プロダクションが仕掛ける「タイアップ→メジャーでヒット」という方式が崩壊の体を示しているからである。

その際たるものがピコ太郎の「PPAP」だ。 内容に関しては今更いうまでもないがこのヒットのプロセスを見ると従来の日本のJ-popのパターンとは根底から違う

1.きっかけがyou tubeであること。勿論いわゆる地上波テレビのタイアップなど一切ない

2.そしてそもそものきっかけが海外ージャステインビーバーのtwitterがきっかけだったこと

3.SpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービス主導で広がって行ったこと

この中では既存のメジャーレコードや日本の音事協が信じて疑わなかった「ヒット曲の方程式」など微塵もない、単にこの「パイナッポーペン、アッポーペン」という特に意味がない(だからこそ面白い)パフォーマンスが受けたためである、

私見ではこの「パイナッポーペン、アッポーペン」という詞は「英語が苦手な日本人」を逆手に取ったことが功を奏したと考えている。この歌詞自体は英語を自国の言語にしている人間からは絶対に出てこない発想であり、だからこそジャステインビーバーを始め外国で受けたのだ。
変な話ピコ太郎が英語が堪能な人間だったら逆に受けなかっただろう。
これらはレコード会社からは「予想もつかない」ヒットのパターンだろうし、結果的に海外やサブスクリブション(ストリーミング)であれだけヒットしたという数字がなかったら日本のレコード会社など絶対にアルバム等を扱わなかっただろう。

私も経験があるが、レコード会社は「確実にヒットするという『保障』」を要求することが多い

だがそんなものそもそもあるわけなどない。長い間の低迷もあってレコード会社は「100%ヒットするという確証がない限りやらない」という体質になってしまっており、そういうメンタリテイの連中からすれば今回の「PPAP」がヒットしたことなどは到底受け入れられない現実となるだろう。

おそらく「PPAP」がヒットしたということで、このピコ太郎の亜流、パクリで曲を作れ、などといううバカげた動きが業界から出てくることが十分に予想できる。日本の音楽産業はそうやって柳の下に二匹目、三匹目のどじょうがいることを期待して「エセコピー曲」を量産してきた。ここ数十年、そういうやりかたしかやってこなかったし、他のやりかたを教わっていないのだ。ヒット曲をパくったり、真似っこすることが「マーケテイング」という大勘違いを業界を通してやってきたのが日本の音楽業界だ

勿論このヒットは偶発的なものである。言ってみれば「たまたまヒットした」というレベルに過ぎないのだが、1ついえることは「これは面白い」と思う曲、映像があればアーチストは躊躇せずyou tubeにアップすべきであるということ。受ける受けないかはネットのオーデイエンス次第だが、やって損にはならない、ということはできる。今後の音楽のプロモーションの1つの形であろう。但しよほどインパクトのある映像でないと「PPAP」のような現象にはならないが

また「君の名は」の主題歌だった『前前前世』も実は従来のタイアップとは根本的に違う

なぜならこの曲は完全にこのアニメ作品「君の名は」のために作られた曲であり、そのため映画のテーマとなっている「過去の書き換え」と「縁を結ぶ」というモチーフが重要な鍵となっている。だからこそこの曲は効果的なのであり、アニメ作品を見た多くの人の心をとらえたのだ。

映画、アニメ等の内容に関係なく、大手プロやレコード会社が「金で買った」タイアップ枠で曲を押し込んだパターンとは根本的に違うのだ。それはこのアニメ作品の制作スタッフ、監督と直結した部分で主題歌を制作している。実はこれには大きな仕掛けがある
これは主題歌『前前前世』』演奏のRADWIMPSの野田洋次郎は俳優でもあり、自主映画まで作っている経歴の持ち主。今回の「君の名は」の背景音楽の大半は野田洋次郎が作曲していると思われる。

そうこれでおわかりの方も多いだろう。RADWIMPSの野田洋次郎は映像制作のプロセスにも精通しており、だからこそ新海監督とのコミュニケーションもスムーズに行き、アニメのテーマ、イメージにぴったり合った主題歌を作ることができたのだ。

つまりこれにはノウハウが必要なのだ。タイアップの枠を金で買う事しか知らない大手プロに到底できることではない。

私も映画、いわゆる劇伴音楽をやっているが、まさにこういう状況で主題歌を作ることも1つの目標としているし、Facebookグループ「音楽家&映像関係者キャステイング」の管理人でやろうとしていることは、まさにミュージシャンにこうした機会を沢山作ることによって第二、第三の『前前前世』が生まれるチャンスができればいいと思っている

昔ドラマのタイアップが効果的だったのはその主題歌が映画やドラマのシチュエーション、イメージにぴったりだった場合はそのことによって映像の演出も効果的になるし、そのシチュエーションで鳴っていた音楽自身もドラマ、映画の視聴者に愛されるきっかけを作るのである。

だが最近その原則を忘れ、ただひたすら金でタイアップ枠を買い、映画やドラマに全く合わない音楽を押し込んでいるパターンが多すぎた、そのために「いかにもタイアップ」というのが視聴者にダメだしをくらったのである。

これらをかなり的確に分析した記事がある。ご興味のある方は読まれることをお勧めする

■2016年は“誰も予想していなかった”ヒット曲が生まれた? 「前前前世」「恋」「PPAP」から考察
http://realsound.jp/2016/12/post-10784_2.html

「今年のJ-POPシーンはとても面白かったと思います。5年前は『音楽が売れない』『アーティストはどうやって生き残るか』などのようなネガティブなことばかりが言われ、シーンに閉塞感があった。しかし、今年のムードはそうではなかったと思います。一年を通して、何が起こるか予測のつかないワクワク感があった。『ヒットの方程式』みたいな言葉もありますが、そもそも何が“当たる”のかが方程式のように事前にわかったら面白くない。今はヒットが“当たるも八卦、当たらぬも八卦”の世界に戻ってきたような気がしています。『PPAP』はその象徴ですし、『前前前世』と『恋』も、これほどの社会現象になるとは予想していなかった。つまり、“誰も思っていなかった”ことが起きたことが、今年のヒット曲のキーワードだったと思います」

 音楽、映画、ドラマ、お笑い、テレビ、ネット。それぞれが垣根を超え、クロスオーバーすることでヒット曲が生まれた2016年。さて、来る2017年はどうだろうか。予想できるものでは決してないが、今年を上回る勢いで様々なところで音楽が話題にのぼり、音楽やそれを取り囲むカルチャーが多くの人々をエンターテインさせてくれる、そんな一年であってほしいと思う。

「PPAP」にしても『前前前世』にしてもこれらの曲が事前にヒットする、などと予想することはほぼ不可能だったといっていい。レコード会社や大手プロが極端に嫌うパターンだ。予想がつかないからこそ面白いのだが、「売れセンで曲を作る」やりかたで、しかもなまじっか音楽バブル時代に成功体験があるものだから、いまだに日本のレコード会社、大手プロはそのやりかたに固執している。

だがそもそもエンタテインメントは「予想できない」から面白いのではないだろうか?こういう面が表面化しつつある現在、長らくつまらなかった音楽の世界が少し面白くなり始めているかな、という風に思う

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