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2016年11月12日 (土)

冨田勲追悼公演「ドクターコッペリウス」のコンサート鑑賞ークリエーターの生き様を作品で教示していただきました

今日は今年の5月に逝去された日本のシンセサイザーの先駆者であり、映画、アニメ音楽の作曲家でもあった冨田勲先生の追悼公演「ドクターコッペリウス」の公演を見に行きました。

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このブログの記事にも投稿していますが昨年の11月に先生の国際交流基金受賞記念講演会にてこの「ドクターコッペリウス」の内容について紹介が行われ、今回晴れてその公演日となったのですが、残念ながら結果的に遺作であり未完の作品となってしまいました。それでも作品は十分に楽しめました。
コンサートでは「初音ミク」とオーケストラの競演ということもあり、多くの人が来場しました。グッズ販売は長蛇の列

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大半の人のお目当ては今回の公演に合わせて手塚プロが書いた「手塚治虫風初音ミク」でしょう。

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これが印刷されたTシャツが販売されていました。でもさすがに私は恥ずかしくて買いませんでした。(^_^;)
長蛇の列でしたがプログラムはゲットしました。(^^)

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本日のプログラムですが

1. イーハトーヴ交響曲
  昨年北京で初演された新バージョンの初音ミク(*)とオーケストラを宮澤賢治の詩や小説をモチーフに使った作品 

2. 惑星 Planets Live Dub Mix
  DJエイドリアンシャーウッドによる冨田勲の「惑星」のリミックス
3 ドクターコッペリウス
  冨田勲先生が昨年の講演の時に概要を話された作品。結果的に未完におわり遺作となってしまった作品、

指揮:渡邊和正
東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:混声合唱団イーハトーヴシンガース
シンフォニーヒルズ少年少女合唱団

システムアーキテクト;ことぶき光
マニュピレーター;漢那拓也、百々政幸、山口慎一
キーボード演奏:氏家克典 高橋ドレミ
ライブダブミックス:エイドリアン・シャーウッド
パーカッション:松本正
ダブストリングス:神田珠美、穴田貴也、大庭美由子、宗村北斗

ヴァーチャルシンガー;初音ミク

ダンサー(バレエ)
コッペリウス役;風間無限
小江役;秋山桃子
博士役:和中和央
ラグランジュの子供達:佐々木三夏バレエアカデミー

*:イーハトーヴ交響曲ならびに「ドクターコッペリウス」の中での「初音ミク」について

本公演での初音ミクは市販されている「初音ミク」とは根本的に違う面があります。

それは

従来の初音ミクはあらかじめ貯蔵されたプリセットのデータ、メロデイのパターン等があり、それをユーザーがコピーペーストするーつまりユーザーや「作曲者」が初音ミクの動きに合わせて曲作りをしていくのに対して、本公演での初音ミクは指揮者や演奏家に合わせて動きや初音ミクのボーカルを演奏するーすなわち ボカロイドや動きを指揮者とオーケストラに合わせて演奏させるという従来とは逆のパターンをクリプトンフューチャーメディア社の全面協力によって実現したもので、これはおそらく私の想像ですが、おそらくは人工知能(AI)を駆使したものと思われます。実際パソコンではなく、サーバーのようなものが使われていたように思います。

クリプトンフューチャーメディアの伊藤社長は昨年の冨田勲j先生の講演の時に名刺交換させていただきました。初音ミクに生命力を与えた今回のバーチャルアイドルの出現はやあり特筆すべきものといえるでしょう。

さてそれらをふまえて今回の演奏会についての感想を述べさせていただきます。おそらくこの記事をアップしている時には全ての公演は終了していると思われますので

1. イーハトーヴ交響曲
  NHKスペシャルにて聴かせていただきましたが、実際生の演奏を聴けてよかったです。やはり宮澤賢治の世界と冨田ワールドは本質的にマッチしていますね。音的にも初音ミクのキャラがよく生きているように思うのですが、唯一ー私は一階席の比較的後ろに座ってましたが初音ミクを移すスクリーンが小さい。オーチャードホールくらいの広さなら有楽町の日本劇場並みのスクリーンが欲しいな、と見ながら思いました。折角の初音ミクが小さいので今一つ引き付けられないものを感じました。

2. 惑星 Planets Live Dub Mix
  プログラムの題名を見ればDJのミックスであることはすぐわかるのですが、このプログラムに先立っての会場アナウンスに失笑

「このステージはオーケストラとは違い、強烈なビートと電子音が鳴ります。そのためこのステージに限って体を動かして聞いてもいいですし、会場の移動を可とします。またご気分が悪くなったら、会場からお出になっても結構です」

といった内容のアナウンスが出たが、まあ確かにオーケストラやアコ―ステイックサウンドの好きな人でエレクトリックサウンドやクラブ系の音が苦手な人がいるのは事実ですが、冨田勲のコンサートに来る人が「純然たるクラシック以外は受け付けない人」であるはずがないと思うのですかね(笑) 実際私は一階席にいたのですが、私が気が付いた範囲では途中で会場を出る人の姿はありませんでした。

ミックスは火星→水星→木星→火星 でビートに随所に冨田先生のトラックが随所に使われていました、DJのビート以外にパーカッション、弦(バイオリン2、チェロ2)が加わりましたが、おそらく大まかな台本があったのだろうと思われます。弦の連中は基本楽譜がないと何もできないはずなのでビートのリミックスはあらかじめフィックスされていたと思われます。木星の時に個人的にはややシンプルな4つ打ちの方がカッコいいんじゃないんかな、などと思われた場所もありました。ちなみに水星は本当に一瞬ですぐに木星に移ってましたね。

なぜ冨田勲の追悼コンサートのステージにこのDJリミックスが入ったかは、プログラムの冒頭で冨田先生の作品について語っていた文章があります。それは

冨田勲はクラシック音楽のリミックスの達人である、 という点

リミックスとは既存の音源のミクシングを変化させて、新たな曲を作りかえてしまうことで、冨田先生の「惑星」「展覧会の絵」「月の光」等は「アレンジ」ではなくシンセサイザーによってつくられた「リミックス」といっていいのです。
だから新しい。ただの「アレンジ」と考えてしまうと冨田サウンドの本質が見えてこなくなります。

それがこのDJのミックスステージの意味だと私は考えています。

3 ドクターコッペリウス
  冨田勲先生が昨年の講演の時に概要を話された作品ですが、この作品はイーハトーヴ交響曲よりさらに一歩進んだコンセプトで作品を作っています

それは

本物のダンサーがホログラムと踊る という試み

会場はサラウンドシステムの音響でシンセサイザーの音響が鳴る。それはいわゆる5.1サラウンドではなく、フロントのLR  リアのLRの4チャンネルのもの。これは映画のサラウンドは前にセンター(C)があるがこれは主に映画のセリフやナレーションを位置させますが、シンセのみのサラウンドにはセンターは必要ない、という概念からです

サラウンドの「シンセサウンドと生のオーケストラの競演、そしてホログラムで踊る初音ミクと本物のバレエダンサー

まさにリアルとバーチャルの競演  それが対立関係ではなく両者が幸福な結合をしています。

これこそがまさに冨田先生の狙いなのだと思います。  

ちなみにイーハトーヴ交響曲の時に初音ミクが小さく、今一つ入っていけなかったーといいましたが、あの大きさにした理由はこのステージでわかりました。

それはダンサーと初音ミクがほぼ同じサイズ(身長)でないとこのステージが成り立たないためです。大きさはたぶん変わらないんでしょうが、ホログラムで初音ミクが出てくるとあまり違和感を感じませんでした。不思議なもんですね

ストーリーは日本の羽衣伝説をベースに冨田先生の友人で日本の宇宙開発の父である糸川英夫博士の生涯にバレエ作品「コッペリア」に出てくる人形のコッペリアやコッペリウス博士のキャラを借用して冨田先生が原案を作ったものです

冨田先生はこの作品の完成をみずに他界されてしまいました。しかし音楽構想の大半は残されていたようで、本日の公演はそれを元に構成されたようです。しかし第一楽章と第二楽章は残念ながら未完のままで本日は上演されませんでした。

それでも作品は素晴らしかったです

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感動しました。久しぶりに

万雷の拍手の中に奥様とご長男の勝氏があいさつにたちました。

さて、この作品で冨田先生は我々にどんなメッセージを残したのか。少し考えてみました。

83歳の高齢となってもまだ新しい表現メデイアが現れるとそれらを躊躇せず取り入れ、果敢に挑戦する。それこそがクリエイターのあるべき生き様であり、その姿を作品によって私たちに作品を通して示していただきました。

それは 

1.クリエイターである以上果敢に新しいものに挑戦しろ

2.決して失敗を恐れるな。 

3.人のやらないことをやろう 人のやったことをやろうなどと考えるな

何か私たちを始めとする現代のクリエイターに対してそう先生が叱られているような気がしました。

昨今の日本の若手サウンドクリエーターは「他人のやったことを真似る、パくる」「売れセンの曲を作る」などということしか考えていない輩が多いですが売れセン=二番煎じ以下という当たり前のことに大半の人間が気付いていないというのは情けない限りです。

今の日本の若いサウンドクリエイターの大半が人のやろうとしたことしかやろうとしていない、そういう風潮に対してそれは違うぞ、というメッセージを送って下さったような気がします。

後に残された私たち、冨田勲の精神を受け継がなければならない、と考えた次第です

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昨年11月での先生の講演会での冨田先生。まさかこれが最後の写真になろうとは

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