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2015年11月18日 (水)

冨田勲先生 国際交流基金受賞記念講演会ー高齢ながら最先端に飽くなき挑戦する真の意味の「クールジャパン」アーチスト

本日は日本のシンセサイザーの先駆的存在の作、編曲家の冨田勲先生が国際交流基金賞を受賞されたということでその記念講演会があるとのことで竹橋まで行ってきました。

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冨田勲先生といえば映画、ドラマ、アニメの音楽の作家として手塚治虫作品のジャングル大帝やリボンの騎士やNHKの「新日本紀行」そして多くの大河ドラマの音楽も担当されていましたが(個人的には大河ドラマの「勝海舟」の音楽がすごく好きでした)、いうまでもなく月の光 ホルストの惑星(プラネッツ) のシンセサイザー編曲でアメリカでグラミーでノミネートされた実績を持っていらっしゃる方です。まだシンセサイザーが単音(^_^)しか出なかった時代にこれだけのサウンドを作るのは気が遠くなる手間だったと思います。どんなお話が聞けるか楽しみでした、

いろんなお話を聞きましたが結論から先いいますと、もの凄く感動した。今日は本当に来てよかった。というのが感想です。

と同時に今の日本のクリエーターの現状を見ると自分を含めて本当に情けない、という気持ちでしたね。

結論からいいまして日本じゅうの殆どのサウンドクリエイターは83歳のお爺さんにクリエイティブな面で完璧に負けているという点。今のクリエイターはどこから上手にパクるとかくっだらないことばっかり考えてますが富田先生はあの年齢でも果敢に新しいことに挑戦しようとしているという点に感心しました。

どう果敢に挑戦したかを説明しましょう

冨田勲先生は1932年に生まれましたが、子供の頃父親の仕事の関係で北京におられたようです。冨田勲先生の音楽家の原点は実は子供の頃に北京市内の天壇公園内にある回音壁(ささやきの壁ー世界遺産)がきっかけで近くの人にささやいているつもりが、音の反射の影響で遠く離れた人にも聞こえてしまうという仕掛けがしてあります。これは>冨田先生の音創りに生涯影響したといわれ、先生が立体音響、サラウンドや多チャンネルスピーカーの再生にこだわる背景はその体験から来ているようです。多チャンネル再生というと電子音楽に詳しい人はシュトックハウゼンを思い出しますが、冨田勲先生はもしかしたらそれより早いかもしれません。

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回音壁

ちなみに通常はLP、つまり2チャンネルの再生なのですが、今日の講演で冨田先生のホルストの惑星から「火星」を前後のLRによる4つのスピーカーの再生のデモンストレーションが行われました。サラウンドということですが、通常のサラウンドは前にL C R 後ろにL Rの5つのスピーカーによる再生ですが>冨田先生の話ですとこの「惑星」は宇宙のシミュレーションなので映画で語りや台詞が載ることの多い前のC (中央)は要らないということで省いたそうです。(なるほど笑) 火星の有名なあのリズムをサラウンドでやるとどうなるか興味深々でしたが、個人的にはシンセの音はともかくリズムの部分までL Rで散らしたのでホルストの火星のあの迫力的にはどうかな、と思わないでもなかったですが、

それにしても>冨田先生のCDは日本のレコード会社から軒並み「どのジャンルに入れていいかわからない」との理由で拒否されたという有名なエピソードがありましたが、結局先ほどの月の光 はRCAレコード経由でグラミー四部門にノミネートされる日本人としては快挙といっていい成果を出ましたが、日本のレコード会社は今も昔も変わらんな、という感じですね。あ、今はもっと酷いか(汗)

これ意外でも冨田先生のドナウ河のイベントやさまざまなコンサートの話を通じて多くの「裏話」も聞くことができ、それも面白かったのですが今日の講演で画期的といえる内容のことが2つありましたのでそれを揚げておきましょう。

講演の内容は

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そう、「シンセサイザーから初音ミクまで」

第一は初音ミクの件

これは北京での初音ミクをフィーチャーした冨田先生のイーハトープ交響曲、そう宮澤賢治の作品をモチーフにしたものです。冨田先生は宮澤賢治の作品を好んでモチーフにされますが、面白いのはこの北京での公演での初音ミクの扱い方、使い方です。

結論からいうと従来の初音ミクと根本的に違うのです

どう違うか分かり易く書くと

従来の初音ミク;  イーハトープ交響曲
あらかじめ音声データ、音データがソフト内にあるので、ライブとかある場合はミュージシャンが初音ミクに合わせる(既存の音楽、音声データに合わせてライブを行う) 今回は初音ミクを指揮者や演奏家に合わせて動きや初音ミクのボーカルを演奏する、そのためにボカロイドや動きを指揮者とオーケストラに合わせる.従来とは逆

初音ミクに関しては当ブログで結局あらかじめソフト内にあるデータを元に曲や演奏をしているため、そのデータが逸脱した音楽の展開が難しいことを指摘しました.、そのためあえて私はオモチャの域を出ない、というやや厳しい評価を行いました。だいぶ初音ミクファンの反発を食らいましたが(笑)

だが今回は違います。

この講演会で本邦初公開のイーハトープ交響曲の演奏の模様を見ましたが、ここでの初音ミクは完全にオーケストラと共演する一人の演奏家として命を吹き込まれていました。そこにはただの音声や音楽データを再生するバーチャルキャラとは明らかに一線を画すものです。

声も動きも臨機応変に変えられる能力を持っていました。プログラムされたゲームキャラではなくまるで本物の生き物のように

このイーハトープ交響曲の北京公演にはクリプトンフューチャーメデイアのチームも同行しこの壮大な実験に参加していました。クリプトンフューチャーメディアの全面協力があったとはいえこれだけの壮大なスケールでバーチャルアーチストとオーケストラが共演した例を私は知りません。正直これを見ただけで初音ミクに対する見方が変わりましたね。

第二;ホログラムと生のダンサーの競演による「コッペリア」

そして冨田先生は既に次のプロジェクトに着手しています。

それは初音ミクの次は、本物のダンサーがホログラムと踊る という試み

リアルとバーチャルの競演。素材はバレエで有名なコッペリア

コッペリアは人形に命を吹き込もうとするいわばマッドサイエンテイストの話、これを素材にホログラムとバレエダンサー、場合によっては初音ミクもからませて壮大なダンス公演を想像する、ということで既に先生は着手されております。

これも少なくとも私が知っている範囲では誰もやっていないこと です

ただ今回もクリプトンフューチャーメデイアが全面協力するとはいえこれだけのプロジェクトには当然資金や支援も必要で、前島氏伊藤氏もそれを呼び掛けていました。

これら一連のプロジェクトに関して本日の講演の司会進行を行った音楽評論家の前島秀国は面白いことを云っていました。

冨田先生はシンセサイザーという「機械の箱」に生命を吹き込んでトミタサウンドを創造した。しかるに日本は古くから人形浄瑠璃、文楽、そして浮世絵からマンガという風に、人形や絵に命をふきこんでいく伝統がある。今回の初音ミクもそうだ。そして次はホログラムだ

こういう日本独自のアプローチで生命を吹き込む表現こそが日本独特の文化なのではないか、

と、  私はこの見解に全面的に賛同します。

冨田先生がイーハトープ交響曲で新たに命を吹き込まれた初音ミクでバーチャルとリアルの競演を、日本人独特の切り口で行っていました。

これこそが本当の意味でのクールジャパンなのではないか、と思うのです。

経産省の役人の表面的かつ中途半端なクールジャパンとは全く違います、

今日はクリエイテイブという面で実に大きな収穫を得た講演でした。無料でこんな貴重なお話を伺えてなんだか申し訳ない気持ちにもなりました。

最後の冨田先生  撮影禁止だったので横顔しか撮れませんでした。

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それにしても普通こういうところには顔見知りが1人くらいいるんですが誰もいませんでした。この講演会の情報をいただいた松武先生がいらっしゃるかどうか、探したのですが見つかりませんでした。ご挨拶したかったんですけどね

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クリプトンの伊藤社長とも名刺交換させていただきました。初音ミクの生みの親ですがこの人やっぱり凄い人ですね。今回のことで芸術と技術を融合させようとしています。何度もいいますがこれこそがクールジャパンです。

それにしても冨田先生はすごい方です。あの年齢でも果敢に新しいことに挑戦しようとしているとは。 あのくらいのじいさんになってもああいう姿勢は持ち続けたいと思いますね。

収穫の多い講演会でした。(^_^)


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