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2015年7月 9日 (木)

角川歴彦「グーグル、アップルに負けない著作権法」レビュー

先日の角川会長の「クリエーターズEXPO/プロダクションEXPO」での基調講演の時に先着300名に配られた本

幸いなことにその先着300名の中に入ってこの激動のコンテンツの経済環境においてクリエーターとしてコンテンツプロバイダーとしてどのような生き方を考えねばならないか、それに関する啓示的な本を読むことができた。

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まず何よりも出版業界と映像業界に身を置く方とはいえ、70を過ぎた方がITや昨今のコンテンツ業界に関してかくも深く、かつ将来に対して明確なビジョンを持っておられること自体に感心し、驚愕した。

アマゾンやアップルとの交渉に関する経験があるにせよ、ドワンゴとの合併を始め株式会社カドカワの推進するEPUB3を打ち出したり等意欲的にこのコンテンツの激動時代に対応されている角川会長だが、IT技術や業界の理解と同時に著作者への保護、クリエーターへの保護の視点が感じられたこともあり、クリエーターの端くれとしては何か安心して読むことができた。実はIT関係の著作物にはそういった視点で今後のITの動きについて論じている本は私の知る限り殆どないといっていい。

本ではアップルのiCloudや先行するGoogleのクラウドシステムがもたらすITとコンテンツ世界への激変状況に加え、「スマートテレビ」やITに将来的に地上波のテレビが組み込まれることを想定した事態について相当のページを割いている。

実はこの本に関するキーワードは目立たないが「プラットホーム」である

情報化社会では「プラットホーム」を確立した人間が支配をし、コンテンツプロバイダーはその「プラットホーム」の支配者に管理されてしまう、というメカニズム

さらにステイーブジョブスにいたってはその「プラットホーム」をクローズド(閉鎖された)もので1つの生態系(エコシステム)を確立し、ある意味ジョブス(アップル)は独裁者になっているという現実である。

このようなシステムではコンテンツはプレミアムコンテンツ(付加価値のあるコンテンツ)までコモデイテイ(セール品)の扱いとなり、かくしてこのシステムではいかなる商品もいずれは単なる消耗品になってしまうという我々クリエーターにとっては死活問題となる問題を内包している。

この本ではITの4巨人を「ギャング4」という表現をしていることが面白い。いうまでもなくGoogle, Apple, Amazon, そしてMicrosoftのことである。そう彼らは日々厳しい競争にあけくれ生き馬の目を抜くような毎日を送っている。日本にも崇拝者の多いステイーブジョブスだがジョブスを勿論含めこの「ギャング4」の中には聖人など一人もいないということは頭にいれておくべきだろう。

彼らの頭にあるのは音楽、映画、本、そして最終的なテレビ番組を可能な限り安価(安物)として売り、著作権を含めあらゆる権利を全て自分たちの思い通りにコントロールしていきたい、という野望である。「ギャング4」はそれぞれ検索エンジン、革命的な機種販売、EC,とスタート地点は違うが最終的な目標は同じなのだ。

角川会長はそれに対して「エコシステム2.0」を提案する。それはコンテンツ事業者自らがコンテンツプロバイダーとなりアプリ開発とプラットホームを作る構想で、早い話がコンテンツプロバイダーが「ギャング4」と対等にわたりあえるためには、IT技術を装備するしかない、ということでドワンゴ買収もそうした背景があったと思われる。

最後のドワンゴの川上氏やMIT教授の伊藤穣一氏他3名の対談では、クラウド化やプラットホーム化が進む時代の中では現行の著作権がもはや時代遅れになっている点を指摘し、私もそれには同感である。

尚、余談だがこの本ではグローバリゼーションの波についても頻繁に記述が出るが、よく「グローバリズム=世界中が金太郎飴のように同質になること」と受け取れるような言質をよくみるが、その根源は「ギャング4」の関係者、もしくはその崇拝者から出てきている言葉らしいことがわかり、実は妙に納得してしまった。

勿論「ギャング4」にそのような文化の違いを無視した画一化したコンテンツ施策を推進させてはならない。

またコンテンツプロバイダーも我々クリエーターも並居るITによる変化の波にただ怯えるだけではダメだ。コンテンツプロバイダーやクリエーターが連帯して「ギャング4」の権利搾取に対して対決するくらいの強い意志がないとダメだ

今後のデジタル化の波に対して1クリエーターとしてそのような取り組み方が正しいと確信する。特に日本はこれから「クールジャパン」と称して日本のアニメ、ゲームを始めとする日本独自のコンテンツを世界に打ち出していくプロジェクトがある。

しかしそれが「ギャング4」に思うようにやられるようでは成功もおぼつかないことは確かであろう。

この本の最後の文章。たぶん角川会長はこれを一番いいたかったのではないかと思う。

『健全な競争を維持しつつ、モンスター化するクラウドプロバイダーの暴走をいかにして止めるか。警鐘を鳴らして、本書の結論としたい」

コンテンツプロバイダーやクリエーターの方には是非一読をお勧めしたい

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