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2015年7月30日 (木)

日本の音楽ビジネスの“ガラパゴス化”とそれに関する私なりの分析

だいぶ前からいわれていることだし、当ブログでもこの件に関して再三再四述べてきたと思う。今回のこの記事に関して簡単な見解を述べたあと、今後アーチスト、プロデユーサーとして考えるべきことをまとめようと思う。

【キース・カフーン不定期連載】日本の音楽ビジネスの“ガラパゴス化”
http://www.barks.jp/news/?id=1000100644

全般的な記事の内容に関しては同意しているが、カフーン氏の論点について個別に私なりの考え方をまとめてみる

1.従業員としてのアーティスト 

全くそのとおり、そもそも日本ではクリエーターが全く尊敬されておらず、「アーティスト”はあくまでもマネジメント会社の従業員という扱いで、音楽の才能よりもルックスが重視される傾向にある」というのも全く正しい。こと音楽に関しては全くクリエイテイビテイというのは尊重されていない。

「リスクを伴う冒険はせずに無難な(つまり予測可能で退屈な)活動をすることを奨励される」

だから毒にも薬にもならん音楽しか日本では出てこないし、だからこそ世界の音楽シーンと比べ日本の音楽は本当に退屈でつまらないものが多い。

2.革新をもたらすインディーズ 

そもそも日本のインデイーズが発展しない大きな理由に「メデイアが全く日本のインデイーズを扱わない」という現実がある。カフーン氏が指摘した「少年ナイフ、バッファロー・ドーター、にせんねんもんだいといった日本発のインディーズ・バンドが殆ど日本メデイアに注目されていない」というのは問題だ。私が懇意にしている名古屋の「ぶどう÷グレープ」も海外では人気あるものの日本の主要メデイアから全く無視されている。

これは日本人が関心を持たないのか、日本のメデイアが伝えないから誰も関心を持たないのか、卵が先が鶏が先かという議論になるが、後で述べるが今の日本の企業体に共通した問題がここには見えてくる

3.いまだにCDが主流 

さて、誤解を恐れずにいえば私はCDがいまだ市場のマーケットグッズの主役であること自体は決して悪いことだとは思わない。アーチストや作曲者、作詞家への印税分配額も音楽配信とは比較にならないほど単価は大きい。そしてカフーン氏も認めているようにライナーノーツやレコーディングの詳細を知りたい熱心なファンにとっては好ましいことである。

多くの論客、とりわけ一部のIT系の論客が主張するようにデジタル時代ではCD等のパッケージはもはや無用の長物であるかのような論調には私は賛同しない。但しCD等のパッケージのありかたはかつての時代と大きく異なっていくのは事実である。要するにCD等のパッケージを「マス」向けに売る時代は終わったのである。CDにしても今復活しているアナログレコードにしても「本当に心の底からアーチストを愛する」人たちのための商品ー具体的にはニッチなアーチストのための商品である。

4..iTunesは王様ではない,  5 ストリーミング 

この2点は大いに共通するのでいっしょに論じるのだが、日本の音楽業界関係者はいまだにインターネットそのものを「自分たちを搾取する敵」とみている向きが強い。音楽配信とて決してまだ積極的とはいえず、どのメーカーも「しぶしぶ」ダウンロード販売をしている、というのが日を見るよりも明らかである。はっきりいってインターネットというメデイアに対してある種怯えている

SpotifyとPandora がいまだに日本でサービス導入できないのも、日本の主要メーカー某数社が「抵抗」を続けているためで、いまだにメドはたっていない。ことデジタルマーケットでは日本は完全にあらゆる意味で立ち遅れているのは事実であり、日本が「ガラパゴス」といわれる最も大きな所以はこの点である。

確かにネットにおける新たなサービスが音楽ビジネスのありかたを大きく変えることは事実であるがそれに恐れてばかりでもダメだ。今音楽業界に一番欠けているのはGoogleやApple等の世界的なITグローバル企業が主導権を握る時代にどういうビジョンを持って対抗していくか、という戦略が全くない点である。今この点ではコンテンツホルダーは完全に後手後手に回っており、その点をきちんと持っていないと、これからどんどん変化していくデジタルコンテンツの時代にアーチストたちやクリエーターたちを守っていくことはできないであろう。

先日の角川歴彦会長の講演などは私は大きなヒントになるのではないか、と思っている。特に特に新しいイノベーションが起きている時に

ユーザ―の使い勝手      クリエーターの権利
(規定を緩やかにすることを希望)               (権利ロイヤルテイ強化を希望)

という全く相反する両者の折り合いをどうつけるか、という点を真剣に議論すべきだと角川会長は述べられていたが、インターネットの新しいイノベーションやサービスにただ怯えるのではなく積極的にコンテンツプロバイダーが連携してクリエーターやアーチストの権利を守るためにどのようなことをすべきか、積極的に議論する姿勢が必要だと思う。

6.国際化 9..ジャパンオンリー 

今の日本人の最大の問題がこれである。インターネットというメデイアで世界中がつながっている関係で今や情報やコンテンツは国境に無関係に広がっていく。

しかしこれは音楽に限ったことではないのだが日本のコンテンツはいまだに日本市場以外全く見ようとしていないのだ。

そもそも多くの日本人はグローバリズムとかいうものを誤解している。主にIT系論客がいう「世界中が金太郎飴のように全部同じシステムになる=グローバリズム」などという勘違いが大手を振ってまかり通っている、そこにはあらゆるローカライズそのものを否定するという本来のグローバリズムの主旨とは異なる見解があたかも正論であるかのようにいわれている。だがIT系の事業者も関係者もそもそも文化に対してきちんと理解している人間などほとんどいない。ローカライズならではの特徴など彼らの理解の範囲を超えた議論である。そのためにIT系の連中のいうグローバリズム論ほどあてにならないものはない。

確かにグローバリズムによって共通するシステムも多々あるが、最後その国独自の表現語法、ローカルキャラクタライズされた独自のプロダクトがあってこそグローバルな世界で生き残れるのだ。

まあ音楽の場合、日本語の歌など海外では売れないという話も確かにあるのだが(というかそもそも全体的なレベルが酷過ぎる)しかし音楽市場が全体的にニッチになっている現状では音楽で大成功を収めるには、アーティストは複数の市場で人気を獲得する必要がある。それは日本のミュージシャンも音楽事務所も海外で成功するという点にあまりにも力を入れてこなかった点が大きい。カフーン氏も指摘しているように「今後、きゃりーぱみゅぱみゅ、Perfume、布袋寅泰、ももいろクローバーZがこのトレンドを変えてくれることを期待したい。」というのも日本独自のコンテンツを世界に対して打ち出すことによって新たなビジネスチャンスを創出する必要性は間違いなくある

そして日本人の最近の音楽の嗜好が最大の問題かもしれない。今の若い人は洋楽を全く聞かない、歌詞が日本語じゃない、というだけで聴かない、オリンピックが5年後に予定され世界中の人が日本に来るという時代にヘイトスピーチが横行し放置され、日本ユニバース代表の宮本エリアナさんが「ハーフ(これ自体日本独特の表現であることをご存じか?)」といってバッシングが行われる、そんな国にそもそもオリンピックなど開催する資格があることさえ疑問だ。つまり日本人自身の意識革命をまず行わなければならない

音楽事務所はアイドルだけに力を入れ良質な音楽コンテンツ開発を怠るようでは明日の市場に生き残っていけないだろう。いい加減「ジャパンオンリー」という観点を捨てなければならない

7.入手困難な状況 

何せ日本は海外に売る、などという発想がハナからない。まして昔の名曲など皆無だろう。前項の内容に共通する

8..テレビ・映画・アニメは埋もれた宝の山

私が最近映画劇伴音楽の制作を中心にシフトしている理由は、私自身がそういう音楽制作に適性があったという面もあるが(劇伴音楽制作は誰にでもできる仕事ではない、適性ー向いている人と向いていない人がいる) 1つ大きな理由として、音楽はなかなか映像なしには広がって行かない、という現実もあるからである。そして何よりも日本のアニメ、ゲームは海外ではものすごい人気がある。

先日の角川歴彦会長の講演でネットフリックスの話が出たがNetflix代表取締役社長グレッグ・ピーターズ氏は日本のアニメコンテンツの世界への配信に対して期待を表明していた。例のクールジャパン、関係も含め今後何らかの動きはあるだろうと思われる。

10..レッツ・ダンス! 〇

例の悪名高い風営法が改正されたが、まだ日本では「踊る」という事に対する偏見や制限が多すぎるのは事実。クラブが次々に閉鎖、に追い込まれる旧風営法からは一歩前進だが、まだ課題は多い。

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これらを総括してみると最近の日本社会、日本企業の中である特徴をみることができる。それは明らかに今の日本という国そのものを閉塞状態にもたらしている諸悪の根源といってもいい傾向であり、悪しき慣習である。

それらは以下の点

1、冒険、リスクを負わない、無難なことしかやろうとしない

2、新市場開拓等の新しいことにチャレンジしない

3.いまだに内向き、真の意味でのグローバルな広い視野を持とうとしない

これは音楽業界に限ったことではないかもしれない。コンテンツだけでなく日本の企業社会全般についていえることかもしれない。経営者が皆サラリーマン経営者となり、自分の任期だけ問題なく無事に終わればいい、としか考えていない経営者が多すぎる。

インターネット時代に入り音楽コンテンツのビジネスの在り方が大きく変わったことは事実である。しかしそれに対してただ怯えて、忌避するのではなくコンテンツプロバイダーが連携し、新しいビジョンを持ってそれに対抗していくことを考えなければならない

アーチストやクリエーターの権利を尊重した上で新たな市場開拓や良質なコンテンツ制作を行う、それがあってこそのクールジャパンだが、どうも経産省の役人を始めその辺りをきちんと理解しているように見えないのが問題だ。


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コメント

はじめまして。最近発見して、楽しみに拝見しています。
私は若者が洋楽を全く聞かないとは思いませんが、それ以外の点につきましては、大変共感を持って読ませていただきました。
因みに私はおっさんですw
後半のアニメ関係の議論もそうだと感じています。そしてその動きの一環として、是非、トウキョーオタクモードもウォッチされてはと感じました。もしこ存じであればすみませんが。
では、これからも楽しみにしております。

投稿: Soul Science Lab | 2015年8月 5日 (水) 23時35分

コメントありがとうございます。日本が現在コンテンツにおいて世界に通用するのは今の所アニメとゲームくらいですが、これをもっと広げたいですね。

クールジャパンに関してはとりしきっている経産省の役人自体が文化というものをまったくわかってない連中で、またとんちんかんな政策をやるのではないかと心配です

投稿: kyoji | 2015年8月 6日 (木) 19時20分

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