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2014年5月30日 (金)

誤解されているスガシカオの「DLよりはCD買って」発言とその真意

私は別にスガシカオとは知り合いでもないし、個人的な義理等も一切ない。

だがそのスガシカオが今ネットで叩かれている。それはスガシカオの以下のツイートがきっかけである。

スガシカオ@FF2014 6/25〜; 5月24日

DLでももちろん嬉しいのですが、ぶっちゃけDLだとほとんど利益がないんだ。おれらみたいにスタジオで徹底的に音楽を追い込むタイプは、制作費が全部赤字になっちゃう。CD買ってもらうと、かなり制作費が補えるので、次の作品が作れるメドが立つんだよね。 CD売れない音楽業界の負の連鎖だ

まあ例によってアホな暇人のネット小僧連中が既に下火になっている音楽配信の実態も知らんでともかく「有名人」をたたいているのかと思いきや、(こいつらネットに関してちょっとでも「否定的な発言」すると過剰反応する奴らだ)、どうもそういうわけでもないようでこのツイートに関してBLOGOSでもこんな記事が出た。

■未だにCDを買ってと嘆く音楽業界の末期症状
http://blogos.com/article/87393/

現在ネットで絶大な支持を得ているこの記事だが、記事の主は私が懇意にしている音楽マーケッターの友人とも旧知の人間らしいのであまりきついことはいいたくないのだが、上記の記事には問題点が多々ある点と、スガシカオの真意が誤って伝わっているように感じるのでここで一筆書かせていただく

私のブログをよく読んでくださっている方なら、上記のBLOGOSの記事を私が全面的に支持するとお思いだろう。

正直上記のツイートの主がスガシカオではなくレコード関係者、レコード会社の幹部あたりが発言したら私も「末期症状」の意見に同調しただろう。

だがスガシカオのツイートをよく読んで、しかも昨今の音楽制作の現場を知っている人間からすると全く違う見解が出てくる。

まず上記の記事でいいこともいっている。まずはそこを引用しよう。

はじめは「地上の星」だけダウンロードで買おうと思ったんだけど、他のアルバム収録曲も素晴らしかったので、CDを購入した。捨て曲がなくどの曲も素晴ら しい音楽だったら、人はアルバムを買うと思う。CD買ってくれないってシングル曲の1~2曲ぐらいしか、いい曲がないからでしょ。CDが売れないのはアーティストの曲に力がないからだ。お金を出してでも聴きたいと思えるほどの曲ではないからだ。制作費にお金と時間をかける前に、いい曲いい歌詞を書くことに全力を尽くすべき。原曲がよければ歌は広まる。

ここは当ブログでも何回か表現は違うものの主張していた内容、この部分は賛同する。

しかし二点ほどこのブログで問題と思う部分がある。まずこの部分

なぜAKBのCDが売れているのか。握手券がついているからでしょ。もはやそういう特典がないとCDを買う意味はない。過去のビジネスモデルにしがみつき、普通にCD売ったんじゃ、売れないことはわかっているから、こうした特典をつけて業界努力をしているわけです。なんかそういう努力や工夫をしているんですかね。

まず、AKBの「握手券」を業界の努力と書いているが、これは明らかに違う。AKBは握手券をつけた時点でもはや音楽を売っていないわけで「こういうやり方こそがこれからのありかただ」と云わんばかりの主張はあまりにも短絡的でものごとを表面からでしか見ていない証拠だ.。この「握手券」「努力を回避するための悪知恵」もしくは「浅知恵」といった方が妥当だ、

まあこの手の記事に得てしてありがちな論法なんだが要はメジャーを始めとする音楽のクオリティの低さがこの状況を作っているのであって、CDはもはや仕掛けをつけないと売れないとか音楽配信がどうのこうのとかシステム論で語ると問題の本質が見えなくなる

詳しくは知らないがマーケッターの友人によるとこの人はメリディアンローグ(現SONALIO)の関係者らしいが、どうも根っからの音楽関係者ではないように見える。なぜならいささか記事の発言に無責任さが感じられるからである

制作費がかかるっていうのもほんとうんざりする。金と時間がないといい作品作れないのか。もちろん金と時間をかければいい作品になる可能性は高い。でも曲自体がダサかったいくらそこに金と時間をかけても売れるわけがない。音楽に限った話ではなく、金と時間がないといい作品は作れないというのは、クリエイターの傲慢にしか過ぎない。そんなに金かかるならパトロンみつけろって話。

はっきりいってこの発言からしてこの記事の著者が音楽制作現場をきちんとわかっている人ではないことがすぐにわかる。そもそもスガシカオの上記のツイートをもう一度よく見ると別の意図が見えてくる。もう一度あの発言をよく見てみよう。キーポイントとなる場所を青文字で書いてみる。

DLでももちろん嬉しいのですが、ぶっちゃけDLだとほとんど利益がないんだ。おれらみたいにスタジオで徹底的に音楽を追い込むタイプは、制作費が全部赤字になっちゃうCD買ってもらうと、かなり制作費が補えるので、次の作品が作れるメドが立つんだよね。 CD売れない音楽業界の負の連鎖だ

つまりこのツイートは一見ダウンロードよりはCDを買ってという発言に見えるが、青文字の部分をよく見ると要は十分なクオリティを作れる制作予算が不足しているので困っているというのが真意である

つまり一概にこの発言は「音楽の過去のビジネスモデルに固執した発言」と決めつけられない部分があるのである。

金と時間がないといい作品作れないのか。もちろん金と時間をかければいい作品になる可能性は高い。でも曲自体がダサかったいくらそこに金と時間をかけても売れるわけがない。音楽に限った話ではなく、金と時間がないといい作品は作れないというのは、クリエイターの傲慢にしか過ぎない。

制作現場というものを少しでも知っていれば「金と時間がないといい作品は作れないというのは、クリエイターの傲慢にしか過ぎない」などという発言は出てこないはずである。この人は制作現場の一体何をどこまで知っているというのか? 音楽制作というものがそんなに簡単にできるものだとでもいうのだろうか?この発言を見ると音楽制作、音楽を作るという工程を非常に軽んじており、現場を知ったかぶりした無責任な発言と言わざるを得ないのである。

参考までに 現在のアルバムの平均制作費はとうとう100-200万のレベルにまで落ち込んでいる。別にバブルの時代がよいというつもりはないが、バブルの1/10以下だ。それと何よりも今メジャーアーチストといわれる人でもレコード会社や事務所からのお金ではとても生活できずアルバイトしながら音楽作っているのが実情である。こんな状況でアーチストが良質の音楽を作ることができるかというとよほどの精神力がある人でないと難しい。

つまり

CDを始めとする音楽が売れない

        

制作費の極端な削減+制作環境の悪化
(今やメジャーでも殆どインデイーズと制作環境は大差ない)

                  

音楽の質やサウンド(音質)の低下

        

音楽が余計に売れない。

という転落スパイラルに音楽業界全体が陥っているのだ。

別にスガシカオを擁護するつもりはないが、スガシカオのこのツイートはこの現状に対する悲鳴だと思う。

勿論時代は変わっているし、音楽(だけでなくコンテンツ全般も)のビジネスモデルは今後大きく変わらざるを得ないのは事実。そして残念ながらいわゆる「メジャー」の制作体制は今後さらに悪くなっていくことは避けられないだろう。スガシカオには悪いがDLだろうが、近々始まるサブスクリブション(ストリーミング)であろうが状況がよくなることはない。

この問題に対する解決方法の1つの可能性として今後アーチストの活動、制作費に対するクラウドファンデイングというのが1つの方法かもしれない。いずれにせよメジャーなどもはや名ばかりの状況であり、また現在のような状況を作ったのもメジャーレコードの体質そのものであることは事実だから、アーチスト、プロデユーサーで今までとは違うシステム(クラウドファンデイングを含めて)を考える必要が出てこよう。

いずれにせよ別にスガシカオには何の義理もないが、スガシカオとは別の意図でこの発言が伝わっているようなので、その誤解を解く意味でこの記事を書いた次第。


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