Kyoji "metanature"
i-tunesでも好評配信中!!
i-tuneページを表示するにはお客様のPCにi-tunesとquicktimeがインストールされている必要があります。 i-tunes及びquicktimeのダウンロードはこちら





« 7年ぶりの化粧品メーカー向けの環境音楽制作に見る利益率の高いニッチマーケテイングのありかた | トップページ | クリエーターやコンテンツ業者から支持されないクールジャパン推進会議の「官製」ポップパワー発信策 »

2013年4月11日 (木)

コンテンツと文化ーグローバリズムとローカライズのバランス

このブログを読んでいただいている人は私は音楽や電子書籍を始めるコンテンツのデジタル配信を否定しているわけではないのはおわかりいただいているとは思いますが...

この2つの記事に関連して1つ述べたいと思います。

■日本の読者たちの保守主義は、保護システム?
http://japanese.ruvr.ru/2013_02_28/106408208/

ロシアでは2012年、2011年比で2倍の200万台以上の電子書籍が販売された。この事実は、読書スタイルが変わっただけで、ロシアが今も世界有数の読書率が高い国であることを証明している。トルストイの長編小説「戦争と平和」は、バックの中でたくさんの場所を占めることはなくなった。地下鉄、飛行機の機内、待合室では、従来の紙の書籍に代わって、電子書籍を読む人の数が増えている。

<中略>

一方で、インターネット普及率の高い日本では、ロシアと違って決して電子書籍の需要が高いわけではない。日本の電子書籍の使用率は、先進国の中で最も低い という。米国の企業R.R. Bowkerが実施した世論調査によると、日本人の72パーセントが電子書籍を利用しようとしたこともなく、今後も利用しないと考えており、一度でも電子書籍をダウンロードし、お金を支払ったことがあるのは8パーセントの回答者のみだった。日本のソニーは、電子書籍市場へいち早く参入したが、電子書籍端末の販売台数は、7年間で50万台にすぎなかった。

<中略>

こういう類の記事が出るといわゆるITギーグ、ITジャーナリストもしくはそういう類の人たちから「だから日本は遅れている」かのような見解が必ず出ますし、実際そういう内容の記事、書き込みがあちこちに見受けられました

一方次のような記事

■音楽ソフト 日本が米国を抜く 12年世界最大市場に

国際レコード産業連盟(IFPI、本部・ロンドン)は8日、CDやダウンロードを合わせた音楽ソフトの売上高で、日本が2012年に初めて米国を抜き、世界最大市場になったと発表した。
同日公表された12年の世界音楽産業統計によると、日本の音楽ソフトの売上高は約43億ドル(約4200億円)で、約41億ドルの米国を上回った。
日米逆転は1973年の統計開始以来、初めて。

映画やCMでの使用料など、音楽ソフト以外の売り上げも含めた全体の市場規模では米国が引き続き最大だった。

 昨年世界で最も売れたアルバムのランキングでは、ミスターチルドレンのベスト盤が約130万枚で日本勢トップの29位に入った。

 

米国や英国など、音楽市場の規模で上位5カ国に入った日本以外の国の売り上げがいずれも縮小したのに対し、日本は前年比4・0%増で、4年ぶりに拡大に転じた。(共同)

一見この記事は無関係なようですが日本のソフトが米国の売り上げ規模を追い抜いたのはアメリカはもはや音楽配信が完全に音楽の売り上げの主役(最近はサブスクリブションの収入が増えていますが、まだまだ小規模です)であるのに対し、日本はまだCD(海外では「フィジカルCD」といいます)の売り上げがかなりの割合を占めているからであり、「フィジカルCD」は当然ながら配信と比べますと一桁価格があがりますから「フィジカルCD」の売り上げが一定量占めればそれだけ売上もあがるわけです。つまりこの傾向は日本ではまだ電子出版同様、音楽配信の売り上げが伸び悩んでいることを示しているわけです。

つまりこの両方の記事は例によってIT系の人からは「だから日本は遅れている」かのような見解が出るような内容ですが、この件に関して最初の記事■日本の読者たちの保守主義は、保護システム? の中でロシア国立人文大学の教授を務める高名な日本研究者のアレクサンドル・メシェリャコフ氏は次のように述べています。

「日本で電子書籍が受け入れられないことには、いくつかの心理的な要因が関係している。紙の書籍は、自分の歴史が刻まれた品物だ。なぜなら日本には、欧州よりもずっと古い紙の文化がある。そして日本では未だに書籍が大きな権威を持っている。日本人には、本に印をつける習慣がある。だが、電子書籍に印をつけるのは難しい。加えて、電子書籍に表示される文字は、美しくない。これは、とても重要だ。心と指で愛着を感じている漢字は、全く違うものに感じられる。電子書籍に対する感覚は保守的なものだが、日本人は、自分たちにとって価値のある品物や過去の思い出を保存しているのだ。」

私はこのネットの時代では確かにコンテンツも情報も国境に関係なく伝わることは日常の業務でも実感していますが、しか欧米と違う=日本は遅れている、といった論調には違和感を感じます。グローバリズムとはいっても世界中が金太郎飴のようにアメリカと同じなることではありません。どうも海外留学したIT系やグローバリスト派のエコノミストの論調をみますとそのように考えているとしか思えない時があります。

たとえばこれは実際に私の業務であったことで現在もその作業をしていますが、私が海外向けの音楽教材を作っているうちにあることが起きました。その教材はアジア、ことに東南アジア向けに作っているのですが、「アリさんのキッス」なる曲があったのですがこの曲は東南アジアのイスラム圏の国からNGをくらいました。つまり「キッス」というものがイスラム圏の価値観にそぐわないということになり、結局歌詞と題名を変えて作り直すことになったわけですがこのことをもってキッスNG=欧米と違う=イスラム教は遅れているということにはならないと思います。

どんな国にもその国の文化的バックグランドがあり、どんなに情報やコンテンツが国境に関係なく動く時代でもその個別の文化、文明バックグラウンドを全く考慮しない状態でのグローバリズムというのはありえない、と思います。この国別の文化、文明バックグラウンドを反映させることをローカライズといいますが、要はこれからはグローバリズムとローカライズとの間のバランスをいかにとるか、というのがマーケットを始めとする展開でのキーポイントとなります。

TPPの交渉でもこのグローバリズムとローカライズとの間のバランスというのが重要なポイントになりますが、どうも推進派のエコノミストたちの見解にここの部分の視点が欠けているような気がして仕方ありません。ここの部分を考慮しないで進めたら大変なことになります。そのことを非常に懸念します。

どうも最近のマスコミやさまざまな人の論客の論調をみますと右でなければ左白でなければ黒という短絡した論調が目立つような気がします。日本人はもともとグレーゾーンに対する理解があるはずなんですが、そういう単純な論調でないと理解できないほど日本人のIQは落ちてきたんでしょうか?

いずれにせよデジタルとアナログ、グローバリズムとローカライズのバランスというのが重要ですし、音楽業界に関して言えばCDでなければ音楽配信しかない、ということではなく「フィジカルCD」音楽配信というバランスをとりながらの市場というありかたはあってもいいと思います。

|

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。