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2013年4月28日 (日)

マザーグースとグローバルな音楽教材

昨年からある大手楽器メーカーの海外向けの音楽教材の制作に携わっていますが、海外の音楽教室の導入開始を目前に現地の宗教的、文化的な観点から歌詞の差し替えという作業が必要になる等、追い込みに入っております。

同時進行で音楽教材の続編に入っており今回はマザーグースの曲が多いですね。このマザーグース、実はなかなかの曲者です。

もうだいぶ前の記事ですが、マザーグースというのはただの「童謡」では片づけられないほど深いものであることを述べました。

「マザーグースと紙芝居」
http://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2008/03/mixi6_02d2.html

マザーグースというのは英語圏に住んでいる人では知らない人はいないだけに扱いはとってもやっかいです。しかし先日の記事 コンテンツと文化ーグローバリズムとローカライズのバランス」でも書きましたが、グローバルな世界に向けて商品を制作するときは国ごとのローカルマーケットの国ごとの事情ローカリゼーションーを考慮しなければならない、と述べました。この点を理解するIT系やエコノミストが意外に少ないのが私にとって驚きですが、ローカリゼーション抜きのグローバル化というのはありえない、というのが今回の海外向けの音楽教材で実感したことです。

例えば今回もイスラム国家であるインドネシアで販売するためにイスラム教的価値観に対する配慮というのも行い、原曲の題名に「キス」とあったものを変更する等の作業を行いました。それ以外にイスラム教的価値観ではOKでもキリスト教的価値観だとNGのものがあるほど、やはりグローバルにコンテンツを出す場合にいろんな考えもしなかった問題が発生することが判明しました。少なくとも一部のグローバリストが主張するように「世界中が金太郎飴のように同じなる=グローバリズム」という考えで進めると絶対に失敗すると私は断言することができます。

しかし実はそれだけではありません。時代背景や現代の価値観に対する配慮も必要な点があります。

例えばマザーグースの"Little Polly Flinders"(かわいいポリーフリンダース)についてこういう問題が発生しました。

"Little Polly Flinders"の歌詞です。

Little Polly Flinders
Sat among the cinders
Warming her pretty little toes;
mother came and caught her,
Whipped her little daughter
For spoiling her nice new clothes

英語が苦手な方のために訳します。

かわいいポリーフリンダースが
暖炉の炭の近くにすわっていた。
足の爪先を温めるために

母親がそれを見て
服がよごれるからといって
彼女をムチでぶった

もうお気づきだと思いますが、赤文字の"Whipped=ムチでぶった"というのが現代の風潮に合わない、下手すりゃDVー幼児虐待、ととらえられかねない、ということでこの赤文字の部分"Whipped=ムチでぶった""Scolded=叱った"に変更しました。実際その変更で出しているマザーグース関係の本もあります。

まあアカデミズム系の人の中には「いかなる理由があっても原典を変えるべきではない」と考える人もいるようですが、やはり製品を作る。という観点からしますとこういうことは配慮せざるを得ないわけですね。(ちなみに指導用のマニュアルには原典通りの詞が入っています)

とにかくグローバルにコンテンツを考えるにしてもそういう時代背景、文化、宗教、あらゆることを配慮しながた制作進行をしなければならない、という事情があります。何となくコンテンツというものが簡単にできるというイメージを持っている(皆さん「そうは思っていない」と口ではおっしゃいますが実際にその扱い方を見ますと、コンテンツというものを無意識のうちに軽く考えていらっしゃる方がとても多いように思います)人が少なくないように思いますが、そんなに簡単な話ではない、ということがご理解いただければ、と思います。

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