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2013年1月24日 (木)

ミュージックソムリエ協会主催「音楽ファンの未来、音楽放送の未来~音楽の新しい楽しみ方~」(かなりの長文です)

青山スパイラル地下のCAYでのミュージックソムリエ協会主催のイベントに行ってきました。

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ご存じピーター・バラカン氏(現在はInter FMの執行役員)、とゲストで音楽ライターの榎本幹郎氏のトークショーで現在欧米を中心に展開されている新しいストリーミングサービス、SpotifyPandora が音楽の聴き方を変えようとしている点を紹介。いずれも日本ではまだ導入されていないサービスですが、 このイベントはSpotifyPandora とはどういうものか? なぜ日本で導入されないのか? これが音楽の産業をどう変えるのか、についてかなり詳細に解説され、これが)今後の音楽ビジネスのありかたを大きく変える可能性のある内容であることが示されました。

感想を最初に云ってしまいますと、いやー久々に有意義な時間を過ごさせてもらいました。と同時に業界関係者が大きな関心を持っていることがわかります。会場は立ち見が出るほど盛況でした。

正直いってこういう内容のイベントを一年前に開催したらはっきりいって業界で袋叩きにあったでしょうね。しかしレコード協会、各レコード会社もSpotifyPandora との提携を前向きに考え始めており、Spotify今年の秋頃には日本でサービスが開始されるようです。Pandora はレコード会社で意見の集約(とりわけ音源使用料の面で)ができていないのでもう少し時間がかかるかもしれません。いずれにせよあれほど変わることを頑ななまでに拒否してきた音楽業界がようやく本当に遅まきながら変化に対する重い腰を上げ始めたといっていいでしょう。

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私自身はSpotifyCD babyを通じて知ってはいて音源も供給していますが、Pandora は日本のIPだとはじかれ、アカウントすら取れない状況で非常に悶悶とした思いでいました。

なぜこの二つがこんなにも注目されているかを説明する前に、レクチャーの中で現在の音楽の購入層に関するNHKのデータが紹介され1995年2010年で音楽に使う金額を世代別に記したデータで20代は大幅減、10代は半減というデータが示されたことを最初に書かなければなりません。つまり若い層を中心に「音楽離れ」が深刻になっている。という傾向がデータからも明らかになりました。

音楽離れが深刻なのは音楽にお金を使わないという現状もさることながら、10代ー20代は殆どラジオを聴かないという深刻なラジオの状況もあります。このトークイベントではその主原因を

1.「プロモーション」と称してレコード会社が指定する回数音楽をオンエアするーつまりリスナーの趣向と関係なくたとえばAKBの曲なら一定期間内にAKBの曲を何百回オンエアしないといけない(その代わりにウン百万ラジオ局に入るーいわゆる編成買い)という営業のやりかたをしたためにリスナー離れが起きていること

(どのラジオ局も同じような曲しか流さないし、「誰も知らないけどいい曲」などといった新鮮な発見をラジオで行うことはできない。またパーソナリテイ―がいくら「知られていないけどいい曲」をオンエアしたくてもできないケースが多い。そのためラジオ局のおすすめ、」といっても嘘くさてリスナーに相手にされない)

2.(バラカンさんの話で私もそのとおりだと思いますのは)日本のFM局には真の意味のDJが育たずまた現場のデイレクターも番組に対する情熱を持てない環境にあり、それがリスナーを引き付けない番組作りになってしまっていること

アメリカのラジオはクリアチャンネル等を除いてはこうした「音楽のプロモーション」機能を維持しており、そのため「ラジオ大国」であり続けられている、という点がありますが、日本のラジオは残念ながら殆ど機能していない状況にありそれが「真の意味での音楽プロモーション」が日本では難しくなっている原因の1つとなっております、

バラカンさんは現在Inter FMの編成の執行役員となっており、こうした編成買いを基本的にはなくす方向で検討しているようですが、抵抗勢力もなかなか強く苦慮されているようです。

ところがアメリカでもヨーロッパでもPandoraSpotify の影響でその傾向が変わりつつあるとの話でした、つまりSpotifyPandora は現在の音楽産業の諸問題の解決策になる可能性が高いという期待を持たれているからです。

さて、まずPandoraSpotify について知らない方も多いでしょうからこのサービスについてご説明しましょう。トークショーでも詳細な説明が行われました。


・Pandora   
http://www.pandora.com/   
(残念ながら日本からはアクセスできません(2013年1月現在))

Pandora はひとことでいえばインターネットラジオです。しかしただのインターネットラジオではありません。
いわゆる普通のインターネットラジオと決定的に違うのは、個人の音楽の趣味に合わせた「あなただけのラジオ局」ができるシステムです。

具体的にどうしてそうなるか、といいますとたとえばあなたがステイービーワンダーが好きだったとします。するとPandora の画面ではすぐにステイービーワンダーの曲が流れますが、同時に同様な趣味趣向の音楽も紹介されます。しかし大事なポイントはここなんですが、これはamazonのような「売れセン」の商品とか、同ジャンルの音楽が表示されるわけではありません。Pandora の画面には同じようなリズムとか、音創りの傾向が似ているとか、Pandora 独自の検索エンジンで音楽を選び「推薦」できる機能があり、それによって「新たな音楽」をリスナー自体が発見できるシステムとなっております。それにより「リスナー独自のパーソナルなラジオ選曲」が可能になり、自分の複数の好みに合わせた「自分だけのパーソナルなラジオ局」を作ることができます。(但し「ラジオ」なので必ず広告が入ります)現在Pandora には16億局のパーソナルなラジオステーションが存在しており、これがアメリカの音楽プロモーションの主チャンネルになりつつあります。

Pandora からは各レコード会社に膨大な金額の音楽使用料が支払わており今やCDや音楽配信と同じくらいレコード会社の重要な収入源になりつつあります。Pandora は日本のJASRACに近いアメリカのBMIやASCAPを経由しませんが、おそらく日本もそのような形になると思われます。

現在各レコード会社と協議中だそうですが、支払いの内容について各レコード会社の中で合意ができておらず、日本国内での導入にはまだ少し時間がかかりそうです。

Spotify   
http://www.spotify.com/   
(こちらはアクセス可能ですがまだサービスは利用できません(2013年1月現在))

SpotifyPandora と違いフリーミアムモデルの音楽サービスです。つまり基本は無料音楽聴き放題。しかし10時間以上は有料(定額制)の音楽サービスです。現在全世界で2000万人の会員がいてうち500万人(4人に1人)が有料会員となっております。Spotify が従来の音楽サービスと違うのはレコード会社による出資によって成立した音楽サービスで、Pandora がアメリカ中心のサービスであるのに対しSpotify はヨーロッパで成長している音楽サービスです。定額利用料でイギリスで年間10ポンド、ヨーロッパでも10ユーロ、日本では秋にサービス開始の予定で年間¥1480の予定だそうです。

もう1つの傾向の差としてSpotifyは基本的にメジャーレコード中心(いわゆるインデイースはイギリスの一部中心)のプログラムであるのに対しPandora はインデイース中心の曲になっているという点でしょうか。

Spotify の大きな特徴の1つとして自分の好きな曲の編成を他人と「共有」できるというソーシャルネット機能も備えているという点でこれがなかなか好評のようです。やはり人間の心理として自分の選曲を他人に見せて認めてもらう、ということに喜びを見出す人が多いようです。

PandoraSpotify もクリックして瞬時に音楽を聴くことができますのでダウンロード時の待ち時間のような煩わしさもありません。つまりPandoraSpotify もダウンロードせずに音楽を楽しめ、しかも自分の「パーソナル」なラジオや編成を他人と共有できるという点で違法ダウンロード自体の必然性もなくすことができるサービスとして注目を浴びています。

つまりPandoraSpotify によって「違法ダウンロード」の問題「音楽産業」の収入確保という2つの問題がクリアできることになり、現在の音楽業界の諸問題の解決策になりうる。という期待がかかっています。

ここで大事なポイントとして従来の音楽のビジネスモデルが変わっている点を揚げたいと思います。それは従来はひたすら「音楽を売る」というビジネスモデルであったのに対し、今回のPandoraSpotify を中心としたビジネスモデルはたくさんの曲をたくさんの人に聞いてもらう」ことによって音楽の対価を回収する、という点で従来とは全く違うビジネスモデルだということを押さえておかねばなりません。

またPandoraSpotify はアメリカのラジオ局をかえって元気にしているというデータもあります。つまりこの両サービスによって音楽を聴くようになり、結果的にはラジオのリスナーも7%増えるというデータもあります。もっともアメリカのラジオ局事情と日本のラジオ局事情は違いますので単純な比較はできません。日本の場合はPandoraSpotify のサービスとともにラジオ局も最初から作り直さないといけないと思います。

尚、当ブログにて以前「i-tunesのシェアはわずか一割」という記事を書きましたが、実はヨーロッパにおいてもi-tunesのシェアは落ちており(とりわけシングルのーただしアルバムは堅調)その意味ではダウンロードというコンテンツビジネスのプラットホーム自体が古くなりつつあるかもしれません。但しアメリカにおいてはまだi-tunesのシェアは伸びており、その原因として、Pandora を聴いてi-tunesで買うという図式になっているようです。

この両サービスによってCD(デジタルに対してPhysical CDという呼び方をされます)の売り上げも下げ止まりアーチストによっては大きく伸びているというデータもあります。デジタルアルバムに至っては売上が倍になっているようです。

いずれにせよあれほど新しいことをすることを極端に嫌っていた日本の音楽業界も今年は大きく変化することになりそうです。音楽業界再生のためにもPandoraSpotify の早期の日本国内でのサービス開始を熱望してやみません。

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