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2012年6月17日 (日)

あるプロデユーサーの発言2『音楽家が音楽を諦める時』について

反響がものすごかったので既にご存じの方も多いだろう。
音楽プロデユーサー佐久間正英さんのブログのこの記事である。詳細の内容は実際に佐久間さんのブログを読んでいただければいいのだが、最近はそのクリック1つすら惜しむ人が多くなっているので、音楽制作とは何たるかをより多くの方に知っていただきたいという意味で文章の一部を抜粋して引用させていただく。

■音楽家が音楽を諦める時
http://masahidesakuma.net/2012/06/post-5.html

ここしばらく「そろそろ音楽を止める潮時かな」と漠然と考えている。

ここで言う音楽とは自分の職業としての音楽のこと。趣味に近いたまにやるライブであったりバンド活動だったり毎晩作っている”おやすみ音楽”だったりのことでは無く、職業演奏家・作曲家・編曲家・レコードプロデューサーとしての音楽との関わりのことだ。

音楽制作の現場においていつの頃からかその制作費の締め付けが厳しいモノへと変わって来た。それは当然だ。単純に作った商品が売れなくなってしまったからだ。売れなくなった理由・考察はこの場では割愛するが、現実としてそういう状況だと。
すると単純に今までやって来た(培ってきた)技術・方法は使えなくなって来る。どんな形であれ音楽制作には経費が派生する。その経費は”音の作り方・クオリティそのもの”に正比例する。

僕らはよりよい音楽(音)を作ろうと日々努力する。そういう仕事だから当たり前のことだ。
よりよい環境(スタジオ等)を求め、よりよい機材で、よりよいやり方を試行錯誤し。知らない方から見れば「何でそんなことに?」と思える様な些細な部分にも注視し努力を続けて来た。
ところがあるボ−ダーラインを越えてしまうとその努力もやりようが無くなってくる。

例えば10年ほど前まで一枚のアルバムを作るには1200~1500万の予算がかかった。今の世代の方からは「バブル!」と一蹴されるかも知れないがそれは違う。
ちゃんと真面目に音楽を作るにはそういう金額がかかるのだ。僕らのギャラが高かった訳でもスタジオが法外に利益をむさぼった訳でも無駄な時間をかけた訳で もない。録音作品を真面目に作るとはそういう事なのだ。(ちなみにプロデューサーとしては印税契約だったので僕のギャラはその制作費には入っていない)も ちろんこの予算にアーティストの取り分も含まれていない。純粋に録音物の制作にかかる費用だ。
<中略>

そんな風に良い音を録るため、それを商品にするには先に述べた様に色々な部分に大きなコストがかかる。

近興味と楽しみのためにインディーズ(と言ってもほぼ自主制作)のレコーディングのプロデュースをしたりしている。
アルバム制作費で言えば例えば60万程だったりする。彼らにとっての60万は大金だ。ライブ会場で1500円で販売して400枚売ってやっとリクープだ。それでも僕に依頼して来るのは大変な決意・熱意なのだと思う。
こちらも長年の経験があるプロなのでその予算でと言われれば不可能では無い方策で関わる。
何枚かやってみて、どれも到底所謂インディーズレベルでは無い良い作品に仕上がっていると思える。予算が1500万でも60万でも僕に出来ること・やるべきことに違いは無いのだから。

ただ確かに良い作品は作れるが、その”良さ”には限界がある。
僕らはもっともっと”良い音楽”を作って行かなければならないと思うからだ。それには60万の予算はあまりに制約が多すぎる。

 

今音楽は急速に無料化に向かっていると感じる。その波そのものには僕自身も賛同する部分もあり、毎晩無料で自分の作品をネットにアップしている。自分で自分の首を絞める様なことばかりやり続けているのだが…

<中略>

これだけ長い時間を真剣に音楽に掛けて『伝承しようの無い』様なことしか出来なかったのかと思うと甚だ情けないし残念だ。

しかもこれは日本固有の状況に思える。
もしこのまま、より良い音楽制作に挑めないのなら僕が音楽を続ける必然はあまり見あたらないと思えてしまう。 そんな風にして今音楽家は音楽を捨てるべきかの岐路に立たされている

反響がものすごかったこともあり、佐久間さんは次の日にこのような補足をされている。

■昨夜の投稿の追加文
http://masahidesakuma.net/2012/06/post-6.html

深夜にだらだらと書いた文章がFB、twitter上でもとても大きな反響を浴びていて正直びっくりしている。
本人としてはそんな大それた事を書いた意図も無く、日常的に感じていたことをごく簡単に述べてみただけだったのだが。タイトルに付けた『音楽家が音楽を諦める時』の言葉が無駄にインパクトを与えてしまったのだろうか。

<中略>

”音楽を諦める”も同様に「いい録音物の制作を諦める?」と言うニュアンスで、音楽そのものや制作を放棄する、あるいは新しい音楽スタイルの模索や思考や指向を諦めるとかの意味では無いです。
はじめのところにも書いた様に僕自身は音楽をやめるつもりは毛頭なく、自分のバンド活動等含めこんな時代になったことを実は案外前向きにかつ興味深く捉えています。時代に対してポジティブであるからこそ「おやすみ音楽」の様なアプローチも続けていられるのかと思います。

ただ現実を鑑みるとプロとしてある部分を”諦めて”前に進むしか無い残念な状況ではある、と言う話しです。

<中略>

僕個人はとてもデジタル好きな人間で、上記の様な人間臭いアナログな方法論はさっさと捨てて一人ディスプレィに向かい粛々と音楽を作りたい欲求をいつも抱えています。
でも音楽制作人(プロデューサー)としての自分の仕事は上記の人間クサイ面倒な道を歩まなければなりません。そうしなければ自分にもそのアーティストにとっても”いい音楽”には出会えないからです。
が、そういう音楽の作り方をする為の最低限の土壌がこの国にはもうあまり残っていないこと。その事によって日本の音楽の質もビジネスとしてもガラパゴス化し遅れを取ってしまっていること等を憂えたのが昨夜の文章の真意です。

佐久間さんの記事の反響もあり、もうここで書いてしまっていいかもしれないが当ブログのこの記事は実は佐久間さんの発言である。

ネットでは音楽の制作現場に関してよく知りもしないくせにいろんなことをいう輩が多いが、音楽制作の現場はさまざまな創意工夫を行ないながら可能な限り高いコストパフォーマンスでの制作に励んでおり、当ブログのこの記事のように一人何役をこなしながら制作進行を行なっている。だがそれは打ち込みで殆どのオケを作り殆どボーカルのみを録る類のレコーデイングだから可能なのである。
だがエレクトリックなサウンドを作る場合はそれで問題ないが、アコーステイックなサウンドにするのであればこれは生音を録ったほうがいい音になるに決まっている。
ソフトシンセがどんなに発展しようがこの事実は変わらない。なぜなら当たり前だがソフトシンセは便利でコストダウンにはなるが所詮はフェイクの域を出ないかならである。

ところが昨今の予算ではそんな良い生音を録る予算など殆ど出ない。

そしてそもそも佐久間さんもおっしゃっていたように、今の日本の音楽業界人はきちんと音楽というものに取り組んでいない。
実際私は「音楽を文化として」などと発言してレコード会社の人間から罵倒と嘲笑を実際に浴びた経験がある。また弊社の奥津恵の音源を放送局や放送局系の音楽出版社に持っていった時の担当者との話をしながら思ったのは「こういう奴らが日本の音楽を駄目にしたんだな」という絶望に近い感覚だ。最近私がほぼ確信しているのは「日本の音楽業界の常識という奴にとらわれたらまともな音楽などできない」ということである、

いい音楽をいい音で録る、 
そんなプロフェッショナルとして当たり前のことがもはや日本ではできないのである。

佐久間さんのおっしゃりたいことはまさにそのこと。

さらにどうしようもないのは、そういう状況に疑問すら持っておらずレコード会社の人間は毎夜飲み歩いていたりする。この状況で逼迫している音楽家の生活のことなど考えもしない。
音楽業界のこの状況に危機感のかけらもない。

ミリオンセラーがちゃんと出たじゃないか。
まだAKBも音楽も死んでいないぞ
韓流アーチストが売れているじゃないか、どこが悪いんだ
バブル時代より今の音楽状況の方が 遥かに健全だ

上記いずれの言葉もレコード会社のデイレクターの口から実際に出た言葉である。また先日のAKBのCD廃棄事件で私の当ブログの記事「音楽はゴミ同然となった」という発言を暴言として非難した業界関係者が複数いることがわかっている。その関係者が例のAKBのレコード会社の人間かどうかはわからない。仮にそうでなかっとしてももし自分が世の中に出した商品があのような扱いを受けても私の発言を非難した人間は何とも思わないのだろうか? 

私は秋元康氏のAKBの戦略、コンセプトはかなり評価しているつもりだ。だが秋元氏とて自分の作品、自分の名前で世に出た作品(あるいは製品)が大量にゴミとして捨てられる事態は晴天の霹靂だったに違いない。クリエーターとしての意識と良心とプライドがあればあの画像を見て平静でいられるはずがない。

私の発言を暴言と非難した人物はたぶんそんなことも理解できないだろう。結局「ミリオンセラーが出ているし、AKBの戦略は機能しているどこが悪いんだ

そう考えているとしか思えない。実際にそういう発言が本当に業界関係者から出ても私は驚かないが...

<追記>

佐久間正英さんは2014年の1月15日にスキルス胃癌で永眠されました。最後まで音楽業界の現状に対して警鐘を鳴らされていた方で音楽界の数少ない「良心」が逝ってしまいました。心よりご冥福をお祈り申し上げます

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コメント

音楽の著作関連について調べておりたまたまここへ来ました。それに関しての記事は大変参考になりました。
他にもいくつか記事を読みましてなかなか的を得た意見も多く勉強になりましたが

ところどころ尖がった(笑)発言をされていて痛い方だなと思いました。

投稿: 名無し | 2012年6月18日 (月) 01時34分

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