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2012年2月23日 (木)

ウエブマーケテイングの落とし穴とマス広告

私はかつてネットプロモーション、ウエブマーケテイングとやらに一度かなり傾倒した時期がありましたが、昨年あたりから従来のマス広告中心に戻っています。そんな中でImpress Business MediaでテレビCMとネットマーケテイングの意識の落差について端的に表した記事があったのでリンクを貼らせていただく。

■“あのTVCMの成果だってよ、うはははは”と代理店の人は言った

http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2012/02/21/12179

あのTVCMの成果だってよ、うははははは。
 成果ですか、まいったな、編集長さまは!

そう言って乾いた笑いを発したのは、ある広告代理店の人。

4~5年ほど前だったでしょうか。マス広告に強く、デジタル広告も手がける広告代理店さんの忘年会に伺ったときのことです。

あのスゴいTVCMを手がけた男ですよ、こいつはとクリエイターさんを紹介されたときに、私がなるほど、して、その効果はどうだったんですか?と聞いたことに対する反応でした。

まだ若かった私は「やっぱりマス広告の人たちは成果とか気にしてないんだな」と思って話題を変えましたが、後になって、そのやりとりを思い出しては恥ずかしくなったものです。

というのも、その反応を私は「成果とか、そんなに意識してなかったから、そこを指摘されると厳しい」という意味だと思ったのですが、おそらく彼らは「直接の売上みたいな成果を目的にやる案件じゃないよ、そんな近視眼的な話をされても困る」という反応だったのだろうな、と。

当時はWeb担当者Forumを立ち上げたころで、リスティング広告やSEOに夢中になっていた私の意識はやはり「費用対効果」というところにあり ました。しかし、企業のマーケティング活動は最後の刈り取り部分だけ見ていてもまわりません。制作にも枠にも大々的に予算をかけて継続的にマス広告を出し ていくような業種では、なおさらです。

<中略>

世の中の多くの人の態度変容を「成果」として細かくとるのは、不可能だとは言いませんが、アクセス解析ほどの回転速度でPDCAをまわして行うべきものだとは言えません。

そうした態度変容を期待されるぐらいの案件を任されている人にドヤ顔で「で、成果は?」なんて聞けば、そりゃバカにされても仕方ないでしょう。

同様のことは、ウェブでも起きています。

ネットでのマーケティング活動というと、すぐに刈り取り系の費用対効果の話題になることが多いものです。もちろん昔からあるジャンルの商材ならば刈 り取り命の部分も否定できませんが、新しいジャンルの商材ならば市場創製や認知を目的に行う施策は必要です。また、大量のデータをもとに子細に調べなけれ ば見えてこないビュースルーによる認知効果もあります。さまざまな技術的制約から本当のユーザー行動が見えなくなってしまう部分もあります。

費用対効果が見えやすいネット広告の世界にどっぷり浸かっている人にのなかには、「データでとれない効果は効果じゃない」という意見もあります。でも、本当にそうでしょうか。

もっと大きな目で、自社と顧客の関係、顧客がどういったモチベーションやニーズでどんなパターンで行動するのか、そうしたことを改めて見直すことで、見えやすい数値データ以外の本当に大切なものが見えてくることもあるのではないでしょうか。

ここにウエブの世界にどっぷりつかっている人、ウエブマーケテイングをやっている人の大きな落とし穴が提示されているように思うので私の見解を以下に述べさせていただく

そもそもウエブマーケテイングやインターネットプロモーションをやっている人の中には全員ではないにしろ、ウエブマーケテイングこそが新時代のマーケテイング手法であってマスマーケテイングという旧態依然のマーケテイングはそのうち無用の長物になる、などと考える傾向があるように思います。私も音楽で自社のアーチストのプロモーションにそのウエブマーケテイングの手法を導入しようと考えていた時期がありました。

しかしそのうちにその手法があまりにも偏りすぎているような印象を持ち始めました。具体的にはーこれはウエブやITの世界にどっぷりつかっている人ほどこの傾向が強いのですがー彼らの分析があまりにも「データ偏重、数字偏重」であり、データや数字こそが全てで、社会や世の中の現象で数字やデータさえあれば全て理解できるといわんばかりの分析内容であることに気づきました。その結果ちょっと考えれば的外れであるとわかるようなものでも「数字上は」この分析で正しいということで提案されているものもいくつかありました。

しかし世の中のことはデスクトップ上の数字で全てが起きているわけではありません。そこには生身の人間が動いているリアルな現場があるのです。しかしウエブマーケテイングにどっぷりつかっている人ほどそこの部分を見ない傾向があるばかりか、人間を見ていないなどという見解を言おうものならバカにするマーケテイング担当者もいるくらいです。

しかしそこにこそウエブマーケテイングの落とし穴があります。端的にいえばウエブやITにどっぷりつかっている人の中に数字やデータで頭でっかちになっている人間が多すぎるのです。
ウエブマーケテイングの人全てがそうだとは思いませんが、どうしても文明=効率の追求のみで論じる傾向の人が多く、ウエブマーケテイングの人に新自由主義者や市場原理主義者が多いのもそういう背景があるようです。しかしマーケテイングでもコンテンツでも数字では表現しきれないことがあり、特にマスメデイアを通しての広告戦略についてはそれが顕著だと思います。

上記引用の文の筆者はそのことに気がついているからまだマシですが、私がみるところウエブマーケテイングでガチガチになっている人の大半はこのことを理解できないように思います。申し訳ないですが私がウエブマーケテイング系の人を今ひとつ信用しない理由はまさにこの点にあります。

あともう1点、ウエブマーケテイングとマス広告に関してですが、マスメデイアとウエブを対立軸で考える人がいまだに多いようです。しかしもしマーケテイングやプロモーションを職業にしている人で両者を対立関係で考えている人がいればその人はもはや時代遅れの人です。

ウエブには「ネットが他のメデイアより優れている」とか「インターネットがマスメデイアを凌駕する」といった類の言質を添えないと納得しない人がいまだに多いですが、ウエブは寧ろマスメデイアを補完するメデイアと考えるのが現実的です。確かに費用対効果で考えるとマスメデイアのみのプロモーションではもはや充分な効果が得られなくなっているのは事実ですが、かといってネットプロモーション、ウエブマーケテイングさえあれば企業の全てのプロモーション戦略を満たすことができるなどという考えは極めて非現実的であり、単なる幻想でしかありません。

今や電通でも博報堂でもマスメデイアの広告とウエブマーケテイング(ソーシャルネットも含めて)の両者をいかに効果的に連動するか、という戦略が中心的になっておりそのためにTVCMのマス広告とソーシャルネット、携帯、スマートフォン、twitter等をいかに効果的に使うかというプラニングを行なっています。この観点がない企業プレゼンはもうありえないですね。

ですから上記の記事のようにこれからはマスとウエブと両方を見据えたプロモーション、マーケテイング戦略が重要になっているのです。いつまでも両者を対立関係で見ているようでは時代に取り残されてしまいますね。

ネット草創期にはウエブというメデイアが現れ、これでマスというものが意味がなくなる、などという言質がまことしやかに流れました。しかし日本ではかつての影響力はないにせよマスメデイアというのは厳然と存在しますし、多くのIT系の関係者が「模範(お手本)」と考えるアメリカですら実はマスというのはなくなっていません。それは日本以上にネットの影響力があるといわれながらもアメリカの三大ネットワーク(NBC ABC CBS)はまだ健在だからです。アメリカにマスが存在していなかったら三大ネットワークなどとうの昔に消滅していたでしょう。

その意味でも上記の記事、ウエブマーケテイングの観点からもマスマーケテイングの観点からでも示唆に富んだ記事だと考えます。

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