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2012年2月27日 (月)

少しずつだがCDショップ大賞で変わりはじめているCDショップと音楽業界

一部の方は既にご存じの通り本日「第4回CDショップ大賞2012授賞式」が行なわれました。受賞者は以下のとおり

大賞   : ももいろクローバーZ 「バトル アンド ロマンス」

準大賞  :  星野源   「エピソード」

地方賞

●北海道ブロック賞
サノトモミ『ミッドナイト エクスプローラー』

●東北ブロック賞
熊谷育美『その先の青へ』

●関東ブロック賞
玲里『KISS AND FLY』

●甲信越ブロック賞
Negicco『GET IT ON!』

●東海ブロック賞
cinema staff『cinema staff』

●関西ブロック賞
N’夙川BOYS『PLANET MAGIC』

●中国四国ブロック賞
宇宙人『お部屋でミステリーサークル』

●九州ブロック賞
mahos『icicles』

まだご存じない人もいると思うので書きますが、CDショップ大賞とは全国のCDショップ店員の投票のみで各賞が選ばれる賞で、『本屋大賞の音楽版』ともいわれています。「この国には、過小評価されている音楽が多すぎる。」という問題意識の下、CDショップ店員が勧める音楽や客に聴いてもらいたいという観点からおすすめのCDを選んでもらう、というユニークな発想の賞です。これは「NPO法人ミュージックソムリエ協会」が事実上運営しています。この大賞の仕掛け人は私とは旧知の仲ですが私自身はこのコンセプトに大いに賛同し、影ながら応援しておりました

しかし新しいことをするのを極端に嫌う音楽業界の体質、当然仕掛け人S氏への風当たりは強かったわけですし、CDショップ大賞への批判の代表的記事として以下の記事があります。

需要拡大と言うけれど…CDショップ店員の単なる自己満足でしかない?「CDショップ大賞 (芸能評論家 渡辺裕二氏)

http://022.holidayblog.jp/?p=5072

おそらくこの人はCDショップ大賞の受賞者にAKBとか嵐とか入っていれば満足したのかもしれませんが、そもそも今の音楽業界が本当に音楽愛好家を対象としたマーケットをほぼ完全に網羅していると本気で考えているのでしょうか? 今やタイアップとかやったって売れない時代です。そもそもCDが売れなくなったのは音楽配信が出たから、とかそんな単純な理由で音楽業界が十五年以上の長きにわたって低迷していると本気で考えているのでしょうか?ちょっとこの方の見識を疑わざるを得ません。

まあ突っ込みところは限りなくありますが,おそらくは世の中にはメジャーでなくともよい音楽がたくさんあるということが理解できない方のようで、既存の音楽産業のものさしでしか物事を見れない人にはCDショップ大賞のコンセプトなど永久に理解できないと思います。

しかし残念ながらこのような人物の見解が音楽業界での多数派であることも事実です。

少し考えて欲しいのは単なる自己満足であれば、協力協賛しているCDショップがこんなにも増えているのはなぜか、という点です。確実にこのCDショップ大賞で売上が上がっているからですし実際上がらなければこんなに増えるはずがありません。しかも「第4回CDショップ大賞2012授賞式」では地上波のテレビの取材が多数かけつけました。私もプロモーションの仕事に関ったことがあるからわかりますが、単なる自己満足であればいくら呼んだって地上波のテレビは絶対に来ません。彼らが来たのはこのCDショップ大賞がもはや無視できない動きになりつつあるからで、民放各局が取材にかけつけたのは何よりの証拠です。

日本はもはやCDの販売数は世界一だそうです。この事実を主にIT系やネットマーケテイングを行なっている人たちの殆どは否定的にとらえ「情けない」「だから日本は遅れている」といって批判をします。

しかし本当にそうでしょうか?

音楽配信はいまやすっかり業界には定着していますが、実はこの普及で音楽業界が回復のきざしを見せているか、というと残念ながら、です。なぜならインターネットというものは情報やコンテンツ、あらゆるものをフラットにし、結果的には情報もコンテンツも供給過剰の状態にしてしまいます。給過剰というのは必然的に価値、価格が下がっていくという意味です。(中学生でもわかる経済理論です) つまりインターネットのみでブランデイングや付加価値をつけるのは不可能、ネット経由で販売されるものは最終的にはデフレスパイラルに巻き込まれるのは避けられない。ということがいえます、つまり大方の見方とは裏腹に音楽配信音楽業界の救世主になるということは残念ながらありえないということです。

勿論音楽配信は便利で手軽でしかも安価な販売チャンネルですからなくなることはありません。しかし音楽業界としては音楽配信を事業の柱に位置づけるというのは客観的にみて非常に危険です。

だからこそ私たちはCDを始めとする音楽配信以外の新たな市場を開拓するしか生き残る道がないのです。そのためには既存の音楽や芸能のマーケテイングが本当に音楽のニーズを完全に満たしてきたのか? 日本人は本当にアイドルやアキバ系しか好きじゃないのか?

私は答えは明らかにNOだと思います。音楽業界がここまで衰退したのは音楽を100均の商品のごとく消耗品的に売ってきたこと、そしてリスナーの音楽のニーズを短絡的にとらえすぎていたこと、の方が大きいと考えます。

CDショップにしてもどこのお店にいっても同じ品揃え、どこのショップにも同じような音楽しか鳴っていない。店員にある商品を探しても何かやる気なさそうで、殆ど親身になって対応してくれない(捜そうとすらしてくれない)。これが今までのCD店の姿です。

こんなショップに行って楽しいですか? 楽しいわけありませんよね。だから誰もお店に行かなくなったのです。それだったらアマゾンで充分ということですね。

だからこそこういうCDショップ大賞のようなものがこれから必要なのです。見逃してきた音楽が多くないだろうか? 実は音楽業界人が気がつかない市場があるのではないか?もう一度振り返って詳細に検証する意味でも

授賞式のあとのシンポジウムでお店やレコード会社の関係者がいろいろと発言していましたが、このCDショップ大賞のおかげで、さまざまないい影響が出始めています。それはCDショップ自身がさまざまな努力をし始めている、という点です。「どこのショップにいっても同じ」という状況が少しずつ変わりつつありますし、メーカーがただ「売れセン」だけを流すのではなく、レコードショップとのコミュニケーションの強化することによって状況を改善する可能性も出てきました。ちょっと前にこんなことを提案しようものなら嘲笑されていました。これはCDショップ大賞の良い影響といっていいと思います。

まああくまで既存の音楽の市場観にこだわり、店員の自己満足といいはる業界人など無視していいと思うんですが、しかしながら少しずつではありますがいい面で変わりつつある印象はあります。とはいえ、まだまだ望ましい状況になるには時間が必要でしょうね。それまで音楽業界自体が存続できるか、という問題もありますが,,

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