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2011年12月 1日 (木)

いわゆる「情報革命」とコンテンツ産業のありかたについて

さて、今年もあと一ヶ月です。

今年は実はインターネットのありかたを始め、音楽配信、その他のことについてさまざまなことが見えてきた年でした。それまでのネット内の「定説」や論調には私には言わせれば「正しくない」面が多々あることが何となく見えてきましたし、私のブログを長く読んでいただいている方は私の論調、主張内容がガラっと変わったことに驚きや戸惑いを覚えている人も少なくないかもしれません。

ネットの中でコンテンツについて語る場合、多くの場合システムにばっかり目が行きコンテンツのありかた、コンテンツの内容について論じることは残念ながらあまりないようです。しかしそれこそが問題の本質であって、システムというのは単なる手段に過ぎず問題の本質的な部分ではありません。正直言ってコンテンツを語る場合システムや「形」しか見ていない議論が多すぎます。

CD等のパッケージはもはや無用の長物で音楽配信こそがこれからの音楽のビジネスモデルだ、などというのはまさにその典型的な論調の例ですが、今年見えてきた私なりの結論をもう一度はっきりいいましょう。認めたくない人が多いでしょうが..

音楽業界の未来は音楽配信にはありません。

音楽配信はいまやすっかり業界には定着していますが、実はこの普及で音楽業界が回復のきざしを見せているか、というと残念ながら、です。

そもそもシングルなら\1500 アルバムなら¥3000に比べ音楽配信は\150 高くても\200なわけですが、価格が一桁下がれば販売数は一桁あがらなければ売上減になってしまいます。(単純なたし算です) つまりダウンロード数一千万というものがでないと音楽配信がビジネスの面でパッケージに完全に取って代わるとはいえませんが、少なくとも有料配信でそんな例が出たというのは国内外でも聞いたことがありません。結局は多くて100万ダウンロード、せいぜい売上は1億5千万程度(実際にはappleを始めとする業者のマージンがありますからレコード会社には1億弱しか入ってきません)前にも書きましたが音楽意配信はもうかるはずだ、などという人がいますが1億弱でタイアップ宣伝費、スタッフの給与、レコーデイング費用その他モロモロをカバーしなくてはなりませんから実際は殆ど何も残ってないというのが現実です。

そして何よりもインターネットの特質というのも見えてきました。結論からいってインターネットのみでブランデイングや付加価値をつけるのは不可能、ネット経由で販売されるものは最終的にはデフレスパイラルに巻き込まれるのは避けられない。という点が見えてきたわけです。つまり音楽配信はいずれ値崩れするのは避けられない。

そして既にその現象がi-tunesにおいておきています。

■使ってみて驚いた! 「iTunes Match」は便利で太っ腹 (1) ジョブズ氏が語った"音楽アップグレード"は本当か?

http://s.news.mynavi.jp/articles/2011/11/18/itunesmatch/

この記事で一部の音楽が事実上タダ同然でダウンロードできるようになるし、何よりも問題なのはi tunes Matchが不法コピーも正当なファイルとして扱える道を開いている点です。事実とすればコンテンツプロバイダーとしてはクラウド化のメリットが全くなくなることになります。 

こうした動きは一度拡散してしまえばもう手がつけられない状態になるのは明らかです。でも所詮これがネットの本質だということが今年になって見えてきました。

かつて私も音楽配信の熱心な推進論者ではありましたが、その点を見るにつけ音楽配信の未来に見切りをつけることになりました。

ではどうすればいいのか、という話になりますが勿論従来のパッケージビジネスの形に戻るべきだ、などというつもりは毛頭ありません。音楽業界はバブルの頃から何も変わっておらず、生き残るには新たなビジネスモデルやコンテンツの内容、ありかたについて再構築する必要があると思います。だがその答えが音楽配信ではない、ということです。

ではどうすればいいのでしょうか、ということを考える際に私は以前このブログでご紹介したP.F.ドラッカーテクノロジストの条件 (はじめて読むドラッカー (技術編)上田惇生編訳、ダイアモンド社)でのドラッカー情報革命に関する記述が何らかのヒントになればと考えています。ここではいわゆる使い古された「IT革命」ではなく情報革命と書いてある点にご注目いただきたい。まあ今時IT革命など本気で信じるおバカさんは少ないと思いますが、ドラッカーさんに言わせれば情報革命はこれから起きるということらしいです。なかなか面白いのは鉄道が登場した10年後あたりから、「蒸気機関とは無縁の新産業が躍動を始めた」と述べています。それは電報や写真、光学機器、農業機械、肥料等で、一連の新技術の登場の後に、郵便や銀行、新聞などが現れ、鉄道が登場した30年後には、近代の産業と社会制度が確立した。ドラッカー氏は来るべき社会にも同じことが繰り返されると主張しています。

 今後20、30年の間に、コンピュータの出現から今日までに見られたよりも大きな技術の変化、そしてそれ以上に大きな産業構造、経済構造、さらには社会構造の変化が見られることになる

 IT革命からいかなる新産業が生まれ、いかなる社会制度、社会機関が生まれるかはわからない。(中略)しかし絶対とまではいかなくとも、かなりの確率をもって予測できることがある。それは今後20年間に、相当数の新産業が生まれることであろうことである。しかもそれらの多くがIT、コンピュータ、インターネット関連ではないであろうことである。

 上記の最後の赤字の部分が非常に面白い。確かに産業革命では鉄道よりもその周辺の事業が大きく発展し、大もうけをしたのは事実であり、情報革命も同じことになるだろう、というのがドラッカー氏の主張です。興味のある方は読んでみることをおススメいたします。少々難解なところがありますが..

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テクノロジストの条件 (はじめて読むドラッカー (技術編))

さて、これをコンテンツ産業にあてはめてみようと思います。ここで注目すべき点として産業革命当時に蒸気機関その他の新技術の導入に伴い、多くのものが「そのまま」蒸気機関のチャンネルで輸送されたのではなく、蒸気機関の出現によってさまざまなものが変質し、新たな産業が起きたという点だと思います。それによって価値観が変質し産業革命と発展したわけです。

もしこれを現代のIT技術にあてはめると、実はまだ何も変わっていないことがわかります。例えばEC{Eコマース)といっても結局まだインターネットを使った通販以上のものではなく、既存の通販と大きく変質したというレベルまでに変化はしていません。私が身をおく音楽業界の音楽配信にしても、コンテンツがデジタル化することによってアップロード、ダウンロードという「販売の形態」は確かに変わりましたが、単に形のみが変わっただけでまだそれに関する価値観が変わったわけではありません。ここをきちんと抑えないと問題の本質が見えてきません。寧ろデジタル化による不法コピーやフラットな情報空間であるインターネットによる影響で配信の価格が今デフレスパイラルに向いつつある、という寧ろ負の影響の方が目立ちます。

だからこそコンテンツビジネスが21世紀後半から22世紀に生き残るためには、コンテンツビジネスそのものを変質させる必要があると思います。音楽業界はバブル以降全く本質的に変わっていません、変わろうとすらしていません。そこが問題なのです。

もしドラッカーさんのおっしゃるように情報革命というものが本当に起きるとしたら、それはネットの中、もしくは世の中に存在するコンテンツが本質的に変質することが必要になると思います。それがどういうものかは、私にはまだわかりませんが少しおぼろげに見えている部分があります。私が現在企画している番組のコーナーはその変質するコンテンツを睨んだ最初のステップということができます。まだまだレギュラー化するところまで行くのは多くのハードルがありますが、情報革命=コンテンツ革命と考え方の元、新たなコンテンツの開発にあてようかと考えます。

でもこれは時間がかかる仕事だし、多くの試行錯誤が必要でしょう。私が生きている間に達成することはできないかもしれません。しかし音楽文化、映像文化を復活させるために残りのクリエーター人生をこれにつぎ込むのも悪くはないかもしれません。

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