今日現在制作中のCGアニメ"Legend" について監督と音楽についてさまざまな意見交換を行なった。とても有意義な時間だった。結果としては最初のサンプルとは全く違うものを作ることにはなるが、その内容については詳細はここでは書けないがこの監督のこの作品に関する思い、だけでなくさらにもう1ひねり、2ひねりも加えた深いコンセプトメーキングの話を行った。その結果私にとっては新たなチャレンジになるプロセスであることがわかったからだ。
こういう打ち合わせはとても楽しい。クリエートする(創造する)というのはこういうことなのだ。このくらいのクリエーター同士のぶつかりあいがないと、世界で闘える作品にはならない。前にも書いたが映画作品はさまざまな分野のクリエーターのコラボレーションである。そのコラボレーションが全員で足し算になればものすごい作品になる。今回のプロセスにはそれがある。だからこそやる気が出る。
先日、とても残念なことだがあるプロジェクトで監督のやりあったため、私自身プロジェクトから脱退した。最初はOK出しておきながらそれを見ず知らずの別の作家(音大系らしい)に見せ私の音楽が「劇伴の基礎、マニュアルに沿っていない」などと評しその一言で態度をガラッと変えた。
音大等で「劇伴の基礎」なるものを教えているカリキュラムがあるのは知っていたが実は私はそんなものをバカにしていた。なぜならそうした「教科書、マニュアル」などを勉強しても実際の制作現場は「教科書、マニュアル」どおりに動くはずなどない。また20数年映像音楽を作った経験を持つ私からいわせれば、もともと作曲や劇伴に教科書的マニュアルなんてないのだ。仮にあってそれを勉強したとしてもそんなのは何の役にもたたない。学校と実際の現場は違うのだ。だからどんな有名な音大でいくら優秀な成績で卒業しても現場では使い物にならないケースが多いのはそのためだ。実際の制作現場なんてそんな甘いもんじゃない。
ところがその監督は私の音楽が「教科書、マニュアル」に沿った作り方をしていないといわれたことがよほど気に食わなかったらしい。腹立たしいのは一度全部自分で聞いてOKを出したくせに、第三者の一言でコロッと変わってしまった点。(というか普通できあがったプロの作品を全然無関係の人間に別に作らせるか? この行為だけで非常識極まりない)これは信頼関係を崩す行為である。映画というコラボレーション芸術はクリエーター同士の信頼関係があって始めて成り立つ。こういう人間とはとてもいっしょに仕事はできない。
残念だが教科書的なものでないと駄目と主張するクリエーターはどんなに才能があろうともあるレベル以上には絶対にいかない。それだけでその人間の限界がわかってしまう。その一連行為でこの人間に幻滅し、失望してしまったのは事実である。
今日"Legend"の監督とも話したがオスカーを始めとする世界的な賞を取りたければそうした「教科書的」なものを超え一ひねりも二ひねりもしないと世界の競争には打ち勝てない。プロの世界ではきれいに「うまく」作る人間などはいて捨てるほどいるからだ。それによってそこそこまとまった作品にはなるがそれ以上のレベルはいかない、ましてオスカーやカンヌのパルムドールなど受賞などそれだけでは無理である。
結局私とやりあったその男はそのことを理解できなかったのだろうと思う。百人が聞いて百人が気に入る音楽などこの世に存在しない。なのに外野の誰かが「教科書的でない」私の音楽のコメント一言でOKをひっくりかえした。それだけでその人間はそれ以上いかないということがわかる。優等生的な作品「教科書的マニュアル」しか受け付けない人間はしょせん「うまい」だけでそれ以上はいかない。何よりも状況が千差万別に変化する現場などに対応などできない。
いずれにせよその監督とは決別してかえってよかったと思っている。いくら才能があっても所詮それ以上はいかない人材だとわかったから。その作品も結局その程度のレベルで終わるだろう。日本国内は闘えても世界では闘えるようにはならない。
”Legend"の監督はクリテイテイブが何たるかをよくわかっている。だからこの監督とはずっと仕事をしていきたい。今日も1つ新たな短編プロジェクトが加わったという。これで”Legend"を含み短編を4つ、長編1つ、この監督と予定している。うち2つは海外がらみでありこの監督のすごいのはいずれも資金を調達している点。とにかく世界で闘える作品を作り、実際に賞を取れば勝ちである。
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