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2011年2月14日 (月)

日本人は音楽が好きなのではなく音楽をめぐるシチュエーションが好きなだけではないか

まず最初にお断りしておくがこれはあくまで「マス」としての音楽についての話である。個人レベルでは音楽文化をこよなく愛する人間は私の周囲におおぜいいるし、そういう人たちの存在も少なくないことは重々承知している。

しかしあえてこういうタイトルの記事にしたのは、昨年私がNHKに出演した時に話をした昨年のオリコンのシングルの年間ランキングの状況からである。

オリコン記事「AKB48がシングル1、2位独占…TOP10はAKB48と嵐の2組のみ」
http://www.oricon.co.jp/news/rankmusic/83085/full/?from_todaysnews

オリコン年間シングルチャート
http://www.oricon.co.jp/music/special/2010/musicrank1220/index02.html

つまり昨年の年間シングルチャートはこういうことである。

シングルチャート 年間 2010年 ベスト20

1. Beginner                      AKB48

2. ヘビーローテーション              AKB48

3. Troublemaker                  嵐

4.     Monster                                  嵐

5.   ポニーテールとシュシュ                AKB48

6.  果てない空                                  嵐

7.  Lφve Rainbow                             嵐

8.   チャンスの順番                          AKB48 

9.   Dear Snow                                   嵐

10. To be free                                    嵐

一方本日グラミーの発表が行なわれ年間最優秀アルバムにカナダのインデイースグループのArcade Fireが受賞する等のサプライズもあり大変盛り上がると同時に、最近のアメリカやイギリスの音楽状況は何だかんだいわれながらも、まだ音楽のファンダメンタルズがきちんと機能していることを示した。

■第53回グラミー インデイースバンドの最優秀アルバムとB'sの松本孝弘受賞
http://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2011/02/bs-cd6e.html


この両者の状況を比較して1ついえることがある。

それは日本の大衆音楽、ポップス文化終わったということである。

元々J-popというのは一般庶民にとって単なるコミュニケーションツールに過ぎなかった。勿論純粋にアーチストを支持した音楽ファンもいるにはいたがそうではない人たちがJ-popのメインの購買層となった。昔売れていたCD、音楽とはドラマやCMのタイアップ曲だったりカラオケで歌いやすい曲だったりした(ヒット曲がカラオケで歌われるのではなく、カラオケで歌われる曲がヒットした)。特にいわゆるトレンデイドラマ全盛の時は若者であれば「誰もが見るもの」であり、そのため「みんなが聞いているから」というのがCDや音楽を買う理由となっていた。つまり日本人の大多数にとって音楽はそのための単なる道具に過ぎなかった。音楽はコミュニケーションのネタであり、関係性を築くための道具であり職場や学校その他で「孤立しないための」道具に過ぎなかった。

つまりここで見えてくるのは音楽を文化として享受するのではなく、音楽の周囲にあるシチュエーション(ドラマのタイアップ、カラオケetc etc) を享受するためのものに過ぎなかった。もっと平たくいえば音楽を楽しんでいるのではなくシチュエーションを楽しんできたのである。

はっきりいおう。こういう音楽の楽しみ方しか知らない人は本当の意味で音楽が好きなのではない。「音楽が好きか?」と聞かれたら殆どの人が「好き」と答えるだろう。だがそれはコミュニケーションツールがもたらすシチュエーションが好きなだけで本当にその音楽を文化、芸術として愛しているわけではない。アメリカ人のようにカントリーやR&Bによるカルチャーが生活の隅々までいきわたり意識の深いところで音楽のファンダメンタルズを享受しているわけでは断じてない。

アメリカの白人系の音楽にはカントリーファンダメンタルな文化として存在しているし、黒人系にはR&B ソウルファンダメンタルとして存在している。勿論双方の音楽の要素はさまざまな形でミックスはしているが、大地の基礎部分ではまだこのファンダメンタルがきちんと根がはっている。今日のグラミーでも冒頭でアレサフランクリンのトリビュートやカントリーミュージシャンの活躍等、少なくともアメリカでは何だかんだいわれても音楽のファンダメンタルズ健在である。だから今年のグラミーでも純粋に音楽でアーチストは勝負しているのだ。

そして昨年の日本の年間チャートを見て何がいえるか?

それは純粋に音楽だけまじめにやってますというアーチストは日本ではトップアーチストになれないこと。芸能やバラエテイとの接点が多いという点だけがアーチストの重要なファクターになってしまっているという点

つまりここに真の意味での音楽などない

なぜなら日本の音楽文化は残念ながら演歌以降、音楽のファンダメンタルズといったものが一切ないのだ

だから携帯が特に若者のコミュニケーションツールにとって変わってしまうと、音楽はもはやコミュニケーションツールとしての役割を終えた。そして結局芸能、バラエテイと密接にからむものでない限り売れない、というものになってしまったのだ。

つまり「マス」としての日本人は別に音楽を本当に愛しているわけではない。ただ「好きなつもり」になっているだけだ。

なぜなら沖縄人を除く日本人はアメリカの白人(カントリー) 黒人(R&B) ブラジル(サンバ&ボサノバ) イタリア(カンツオーネ) スペイン(フラメンコ) といった生活に根付いた音楽文化を持っていないからである。それらは明治の時に捨て去ってしまった。

だから今の日本人はシチュエーションを楽しむしかないのである。大半の日本人にとって音楽はその道具に過ぎない。

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