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2011年1月16日 (日)

音楽プロモーションに関する「机上の空論」廃棄のすすめ

とりあえず企画関係がメドが立ったので先日の記事が結構アクセスがあったのでその関係でもうひとこと書かせていただく。

音楽業界が低迷してもう12年以上になり、これは日本だけではないが世界的に音楽の文化が危機的な状況にある。昨年のJ-popの年間チャートを見れば純粋な意味でのミュージシャンは1-2人しかベスト20にいなかったし、「世界のロックの都」といわれるイギリスでも純粋にロック系のアーチストが年間チャートベスト10に入ったのがわずか3人というありさま。音楽文化が危機的な状況にあるのは日本だけではない。

またそうした背景とともにインターネットの普及に伴い従来とは違う新しいプロモーション方法ができるのでは? という議論がネット草創期から沸騰し一時は音楽業界が低迷しているのはインターネットをうまく活用していないからだ、などという言説がまことしやかに流れた。
それで私自身もだいたい10年前くらいからインターネットを利用したさまざまなプロモーション方法、いわゆるロングテールな観点からの音楽のマーケテイング、アーチストのインキュベーションなどあらゆることにおいてさまざまな試行錯誤を行なった。

しかし前にも書いたがうまくいったものはほとんどなかった。

先日Twitter関係で津田大介氏と議論した時にやはり予想通り議論がかみあわなかったが、津田氏の著書自体には私自身異論がある部分もあるが、まあ他のITジャーナリストと比較の上ではまだバランスが取れている方だと思う。

ただ、津田氏が著書の中で音楽を無料にすることによってブレークした「成功例」を揚げ、だからこそ無料化も有効だ、というのはやはり違和感を感じる。津田氏の「成功例」を大きく分けると二種類あると思う。

1.ビッグアーチストが「戦略的」に無料公開してファンを弾き付けるプロモーション戦略、

2.新人アーチストが大規模なライブに、youtube等にたまたま露出して(その中には偶然中継があった等良い偶然がいくつも重なった)ブレークした例。

1.は云ってみればデパートやスーパーがよくやるお客を呼び寄せるための「出血大サービス」と本質的に同じである。そのことによってコンサートやグッズ販売をする戦略(先日の坂本龍一の無料USTも基本的には同じ)と、そして2の例は私にいわせれば「たまたま偶然」が重なって「たまたま無料戦略が成功した例」である。つまりいずれも私にいわせれば「特殊な例」ーたまたま成功した例ーの範囲を超えているとは思えない。

先日の記事でインターネットでいまだにまことしやかに伝わっている多くの議論はこの「成功例」によって誤った認識、誤ったイメージを結果的に広めてしまったことを問題視した。そして私はそれは大きな間違いである、と書いた。つまり下記のような認識である。

1, インターネットでコンテンツを無料でコピーし放題にすれのが最良のプロモーション方法である。

2.CDが売れなくてもライブで稼げばいい。それでミュージシャンはやっていけるはずだ。

3.インターネットは低価格でプロモーションでき、そのうちマスメデイアを凌駕する影響力を持つはずだ。

まだまだあるがこうした私に言わせれば極論、暴論がインターネットではあたかも正論であるかのように伝わっている実際津田氏の支持者の中でも上記の3つの項目を正しいと信じている人間が多いように思う。ネットにそういう雰囲気があるからこそ先日の記事メリデイアンローグが無料化システムを打ち出しアーチストに参加を呼びかけた。メリデイアンローグには悪いが成功するとは到底思えないし参加するアーチストもそれほど多くないであろう。特に最近は数年前と違って「ネット万能論」「ネット礼賛論」を真に受ける人間はネットのみかけとは裏腹にそんなに多くない。(というかいまだにそんな妄言を信じ込んでいる人間がいること自体が驚きだが..)

厄介なことに上記の3項目はあたかも正論であるかのように伝わっているために、一見頭の上ー机上やPC上では充分可能なことであるかのように思われやすい。しかしはっきりいわせてもらうが上記の3項目は全て机上の空論である。たまたま「特殊な例」が成功したからこれが正論であるのように主張するのはおかしい。もういい加減上記3項目のような机上の空論を廃し、もっと現場の現実的な観点から現在の音楽業界をどう立て直すかといった議論の仕方をすべきである。何どでもいうが私は上記の3項目のようなことを5年前からやってことごとく失敗している。そして今冷静に考えていかに自分が非現実的であったかについて恥じている。

インターネットが完全にマスメデイアに完全にとって変わるなどというのは戯言に過ぎない。だいたいそんなことを主張すること自体インターネットというメデイアの本質を理解していない証拠だ。なぜならインターネットはその本質からして「パーソナル」なメデイアであって「マスメデイア」ではない。だからインターネットとマスメデイアを比較すること自体本来おかしいのである。

ただ、津田氏が著書の中でTwitterがらみでのインターネットで非常に当たっていることを云っているのでそれは引用しよう。この言質は私は評価する。

Twitterはマスメデイアの情報を補完するものである」

インターネットの本質はまさにそれである。便利なツール、マスメデイアにない情報を補完するツール。そしてそれ以上でも以下でもない。音楽のプロモーションについても全く同じである。だから過剰な期待をするのはおかしいのである。

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