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2011年1月 7日 (金)

新春音楽コラム2-音楽配信のクラウド化とDRM入りデジタルCD規格化の提言ー音楽業界を救うために(またまた長文)

実は昨年のAmazonがDRMフリーによる配信サービス開始に伴い以下の記事を書いたが

■音楽配信に関する一考ーDRMフリーのAmazon配信開始に鑑み
http://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2010/11/drmamazon-1ea0.html

そもそもAppleのジョブスがDRMの廃止が理想的 という発言を発端に世界的に音楽産業でDRMを廃止する動きが加速したのだが、ここで誤解してはならないのはジョブスがアーチストや著作権の管理を放棄せよ、という意味で発言したわけではないということである。

■:著作権管理にはメリットなし!? 欧米で広がるDRMフリーの音楽配信

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070921/282670/

最近私もさまざまな調査でようやくわかってきたのだが、実はそもそもDRMがネット内での権利保護のツールとして殆ど機能していない、という実態がある。どういうことかというとネットスラングで以下のような言葉が若者の間で流行っておりすっかり定着しているという。

つまり”情報弱者”ー通称”情弱(じょうじゃく)”という言葉だ

尚、この記事のため参考文献として以下のブログからかなりの引用をさせていただいた。著者には感謝の意を述べさせていただく

なぜデジタルコンテンツが売れないか?DRMがダメか

http://d.hatena.ne.jp/kawango/20101220


正直私も一瞬目まいを覚えたのだが、コンテンツ産業関係者が聞いたら卒倒する実態があるという。つまり

「コンテンツをきちんとお金を払ってダウンロードしてくれるお客様のことをネットでは情報弱者と呼んでいる。お金を払わずに違法コピーを探してきてダウン ロードするユーザは、ちゃんとネットの利用方法を知っている賢いひとたちを情報強者という。」

つまりわざわざお金を払ってダウンロードするひとはネットの利用 方法をしらない頭の悪いひとたちだから情報弱者、つまり馬鹿ということだ。コンテンツ産業はお客がお金を払ったら、まわりの友達とかに馬鹿呼ばわりされるような商品を一生懸命に売ろうとしているわけだというのだ。

なぜ、お金を払うと馬鹿呼ばわりされるか?それほどまで最近の若者はモラルがないのか?

実はそういう単純な話ではないようである。ここに今のネット内でのコンテンツビジネスの本質的な問題がある。

つまりどういうことかというと根本的な問題は、無料でダウンロードすると品質のいいものが手に入り、お金を払うと品質の悪いものをつかまされるというネットの現状にあるつまり違法、無料のダウンロードはCDをコピーしたものーwav, aiffであり、有料配信はmp3ファイルのDRM付き、当然ながら違法コピーの方が音質がいい。

もう1つの問題は有料配信で購入しても現状の販売方法だとユーザの所有欲を満たすことができないことだ。例えば従来のCDパッケージだとクルマの中で聴くにしても、ウオークマン等で歩きながら聴くにしても、MDに自分だけのプレイリストを編集するにしても、CDを1枚買ってパッケージコンテンツはCDのようにお金を払うとコンテンツが自分のものになるという感覚を与えられるが、配信になると携帯で着うたフルを購入しても携帯を機種変更するともう使えなくなる。パソコンでダウンロードする場合は別に買わないとダメ。パソコンを2台もっているひとは両方のパソコンで音楽を聴くためには別々に買わなければいけない。等などユーザーがコンテンツを「所有する」という実感が配信にはない。それなら例え違法コピーでも友人から無料でダウンロードさせてもらった方がいい、

こういった事情で違法コピー 無料ダウンロードが後を絶たないのだ。これらは著作権法の改正で摘発を仮に受けても実質罰則もないし、抑止効果は殆どないといっていい。

そして何よりもDRMは局所的にコピーを不可能にしているだけで、DRMのかかっていない違法データが流通している状態では、正規ユーザをかえって虐めているだけで、違法ユーザにはなんの意味もないという点である。そしてPCとネットというデータを自由に加工流通できる装置がこの世の中に存在する以上、それを制御しようとすれば世の中のすべてのPCとOSにコンテンツの保護機能をつけるのを義務づけて、そうでないPCからはインターネットへ接続できないようにするぐらいしないとダメである。

ジョブスが云っていたのはまさにこの実態であり、DRMは全く権利保護のツールとして機能していない、ということを云いたかったのである。つまりお金を払った人を満足させる仕組みをつくらないとそもそもコンテンツビジネスは真に機能しない。そのためには現行の音楽ビジネスのプラットホームを根本から考え直さないといけない、ということである。

ではその対策は? 

皮肉なことに音楽産業がいまだにこだわっているCDパッケージがそもそも違法コピー、違法ダウンロードの温床になっているという実態がある。そのためそれらを根絶するには現行のCDのありかたそのものを根本から考え直さなければならない。そのためにはまずCDパッケージについて重大な決断をしなければならない。考えられる選択肢は次の3つである。

選択肢1.CD、パッケージの販売そのものを断念する。

これはおそらく殆どの音楽産業関係者は反対するだろう。そして私も条件付ながら反対である。なぜならアーチストのファンというのはそのアーチストの「モノ」というものを欲しがるものなのである。つまりファンを維持するにはファンの「所有欲」を満たさないといけないのだ。よく音楽配信が出たためにもはやパッケージは無用の長物などと主張する人がいるが、そういう人たちの殆どはおそらく特定のアーチストのファンになった経験がない人たちであろう。少しでもそういう経験があればそういう発想にはならない。
但し、何が何でもCDを売らなくてはならない、という時代は終わったと思う。CDもアーチストの数ある商品の中の1つに過ぎなくなったことは確かである。そのためかつてのようにミリオンセラー連発なんてことはないだろう。

選択肢2.DRMを埋め込んだ音楽ファイルによる新しいCDプラットホームの作成

根本的な問題として現行のCDが簡単にPCの中にDRMもつかないまま入り、そしてネットに好き勝手に広がってしまう点が問題である。それを阻止するにはCDのwav aiffDRMを組み込んだファイル変換をあらかじめするしかない。簡単にいえば現行のDRM入りのi-tunesのようなものをCDのプラットホームにすればいいのである。i-tunesならばmp3だけでなく wav aiffmpeg4形式に変換しそこにDRMも組み込める。新しいプラットホームというだけで二の足を踏む人もいるだろうが、殆ど既存の技術で簡単にできるものなのでそれほど開発コストもかからないだろう。DRMがユーザーの利便性を損ね、「所有欲」を損ねるのならば3-4回はコピー可能な緩めのDRMでもいいかもしれない。またDRMは仮にネットで拡散してもトラッキング可能なので誰が違法ダウンロードしたかもすぐにわかる。筆者としてはこの方法論を勧めたい。

尚、これを機会に音質を16ビット、44.1KHZという仕様から音質を上げるために最低でも24ビット 48KHZの高音質仕様に変換してもいいかもしれない。CDのデジタル仕様はデジタル草創期のものであり既に時代遅れになりつつある。現在殆どの録音現場では24ビット 48KHZ以上の音質でレコーデイングされているのでこの仕様に変換すればいい。これはまたパッケージとして売る場合にも付加価値がつくであろう。24ビット 48KHZの高音質をダウンロードするのは現行のネット環境では時間がかかるからである。筆者としてはこの点も勧めたい。

選択肢3.CCCDを復活させる

正直、自分で書いて笑ってしまった。これが消費者の反発をまねきそれにこだわった某レコードメーカーに対しては不買運動まで起きた。そのため一番非現実的な方法なのでこれ以上は触れない

このブログでも何回も論じているが、多くのIT関係者やITギーグが主張する「コンテンツをコピーし放題にすればプロモーションになる」などというのは大嘘である。それが大嘘であるという根拠は日本の既存の携帯のコンテンツビジネスを見ればわかる。いわゆるITジャーナリスト等が「日本の携帯は遅れている、日本の携帯市場はひどい」とかいっているが実は市場規模だけでみると音楽配信(着うたフル)、電子書籍ともに日本の収益率は世界最大かつ、ぶっちぎりナンバーワンであることを彼らは知っているのだろうか。そしてそれはコピーがPCの世界よりも難しい携帯コンテンツでほとんどの売上が発生しているのだ。それを考えてもコピー防止はコンテンツビジネスにとって重要だということは明らかだ。

但しその携帯も昨今のもスマートフォン化によりPCの世界と融合していっており、実はこのことによって既存の携帯コンテンツも打撃を蒙る可能性が高い。なぜならデジタルコンテンツでお金を稼ぐのが難しいPCのモデルが携帯側に流入するからである。だからそれを防ぐにはPCでのデジタルコンテンツの権利の管理方法を根本から考え直す必要がある。

そのためにはやはり現在のやりかたでのDRMを使わずにコンテンツがコピーされないような方法を考えるしかない。それには1つだけ有力な方法がある。それはテンツのクラウド化だ。コンテンツをサーバ側においてユーザには利用権を販売する方法だ。

デジタル社会の特徴として本物そっくりのコピーをいとも簡単にできてしまう、という点にある。そのため情報漏えいや情報管理が逆にかえって懸念材料になるわけだが、こういう時代ではデータのコピーに対してお金をとるという考え方を根本的に変える必要がある。サービスを利用する権利でお金をとる方式に変えなければいけない。そしてサービスを利用する権利をサーバ側に保存するという考えが大事だ。

クラウド化の最大のメリットはデータそのものはコピーできても、サーバ上に保存してあるサービスを利用する権利はコピーできないことだ。つまり仮に違法コピーしてもその違法コピーの「利用する権利」を購入しない限りそのファイルを開くことができなくなる。これはすでにモバゲーを始めとする携帯のゲームで採用されている。サーバ側に置いたサービス利用権そのものをコピーすることはほぼ原理的に不可能である。そのことによって権利者の権利も保護できるし、ユーザーの利便性も確保できる。たぶんこれに文句をいう人は「違法ダウンロードしたい」人たちだけだろう。 

これも全て既存の技術で充分対応できる。コスト的にはDRMをいちいちファイルに組み込むのと、クラウド化するのとどれだけの差があるのかは私は専門家ではないのでわからないが、そう極端にコストが違うとは思えない。(たぶんクラウド化の方が安いのではないか)

音楽産業としては「形」にこだわる輩が多いため「利用権を販売する」という発想が理解できないかもしれない。しかしコンテンツビジネスを発展させるためにはその発想に転換するしかない。

勿論これで全ての違法コピーが防げるとは限らない、残念ながら100%のセキュリテイなど存在しない。しかしこのことによって大幅に違法コピーが防げるだろうし、さきほどの”情報弱者”などという概念を確実になくすことが可能になる。

それにしてもコンテンツビジネスにおいてCDとのパッケージのビジネスと配信のビジネスが相反する関係になっていたというのは残念な事実である。そして皮肉にもパッケージが違法ダウンロードの温床であり、またデジタルで何でもコピーできてしまう環境がコンテンツビジネスの発展を妨げてきたことも悲しい現実である。

このブログは決して影響力のあるブログではないし、だいたい私の主張は音楽業界関係者からことごとく無視されてきたので今回の提言が真面目に受け取られるかどうかわからないが、誰かがこれを云わないと音楽コンテンツビジネスは良い方向に行かないのではないかと思い、新春早々長文を書いてしまった。

音楽業界が低迷して長い。今年こそ流れが変わってほしいことを願ってやまない。




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コメント

このネタの引用元のブログのURLは書いといた方がいいと思いますよ。

はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記

あのブログ、かなり有名なブログです。

投稿: 佐藤アツコ | 2011年1月 7日 (金) 02時21分

佐藤アツコ さん はじめまして

おっしゃるとおり引用先の記事のリンクを表示するのを忘れていました。

ご指摘ありがとうございました。

投稿: Kyoji | 2011年1月 7日 (金) 09時16分

kyojiさん初めまして。いつも記事を読んで勉強させていただいています。「新春音楽コラム1」の方にコメントを書き込めなかったのでこちらに投稿しました。

「演歌のほうが文化として定着している」とありましたが、具体的にどのような形で定着しているのでしょうか?参考となるHPなどがあれば教えていただけると嬉しいです。

自分もJ-Popというジャンルで音楽活動をしたいと思っているのですが、演歌のほうが根付いていると聞いて、自分の音楽の方向性をもっと掘り下げて考えてみようと思いました。ありがとうございました。

投稿: 位高 優 | 2011年1月 8日 (土) 23時59分

位高 優さん

はじめまして

まず演歌が「根付いている」というのはHPの情報ではなく、実際に私が仕事の現場で見た光景での実感です。

まず基本的に音楽文化の面で都市の部分と地方都市にはかなりのギャップがあるという点をおさえる必要があります。

演歌は都市部分では全く駄目のように見えますが、地方に行くと演歌歌手の支援組織の広がりが都市の人間から見れば想像つかないほど強力です。例えばある地方都市出身の演歌歌手ですとその年の商工会、商店街等が「後援会」のようなものを作りその歌手を支えます。いわゆる「タニマチ」のような組織です。そしてその土地のお祭り、盆踊り大会その他には必ず呼ばれ、歌手活動をします。そうした関係で出演機会も増え、しかもギャラも出てなおかつCDも売れるという構図ができあがります。 

また演歌の世界は演歌の作曲家、作詞家もそれなりに政治や地元での力を持っている人が多く、その関係での活動もあります。そうした関係が広がり演歌系の歌手はCDも下手なメジャーより枚数が出て、何よりもその活動で充分食べていける活動をすることができます。私はあるイベントの仕事でそれを目の当たりにし、それにひきかえJ-popの活動の貧弱さを考え愕然としました。東京のような大都市だと想像がつきませんが、それが演歌の世界の実態です。

つまり演歌は地方組織、後援会等の体制が整っているためはっきりいってレコード会社が全部つぶれたって充分に彼らだけでやっていける体勢があります。

一方J-popはメジャーはたくさん売れているようにみえますが、昨今はメジャーアーチストでさえアルバイトしないとやっていけない状況です。あまりにも違いすぎます。これはJ-popの世界が華やかに見えても実際には文化として全く定着していない証拠といわざるを得ません。繰り返しますが大半の演歌歌手は「食えている」のですから...

「演歌のほうが文化として定着している」という意味はそういうことです。

尚、最近私も思うようになりましたがウエブ等で簡単に手に入る情報は意外にたいしたことない情報であることが多いです。本当の実態は自分で足で現場をみて実感するのが一番だと思います

投稿: Kyoji | 2011年1月 9日 (日) 00時40分

あけまして、おめでとうございます。
数年前に、コメント入れさせていただきました小幡です。
音楽業界にいつも真摯にむかわれてる大野さんに尊敬の念を持っております。
今月、音楽系の会社を設立することになりました。
その昔、日本で初めて、本格的な試聴型のダウンロードサイトの立上げをお手伝いしましたが、その後音楽とは全く畑違いの仕事をしておりました。が、縁あって、自分でも音楽の会社をレコード業界の方達と作ることにしました。
私は、デジタルシネマコンプレックスの予約システムを4年前に企画開発したのですが、そのとき現金や電子マネーで決済できる仕組みを作りました。現在予約していただくお客様の半数以上の方が、ご予約に現金決済をご利用いただいております。
私は、このノウハウと実績を活かした、楽曲を現金でダウンロードができる仕組みを提供したいと考えています。
映画のときも、物凄い数というよりほとんど全員に反対されましたが、今度もきっと最初はバカにされることは、承知です。
音楽は、人間だけが享受できるとても貴重なものです。歌う犬もいますが・・・
世の中に、一番流通している決済インフラである現金を使えない今の音楽サイトが、おかしいと疑問に思うべきです。アーティストのサイトで音楽が流れないなんて変です。
中学生や高校生が、100円玉で好きな音楽を買えるそんなシステムを提供したいと思っています。そして、ドライブの途中の大人が、今聴いた歌手のアルバムを車のオーディオ機器にそのままDLできる、そんなシステムです。
クラウドって、そんなに大げさなものではありません。今の日本には、ホンモノのクラウド型DCなんてないのにビックリですが、そんな中、安くて安心なサービスを提供してくれる良心的な若者達もいます。DRMだってそんなに悲観的なものではありません。
インターネットは、もっと身近で人間のためにどんどん利用されるもので、コンテンツ販売だけに利用されるのが、インターネットではないんです。
大野さん、私達のように、これからの世代に向けてお金儲けのためだけではなく、音楽をもう一度若者の手に取り戻すお手伝いをしたい人間がいることも知って、元気出してください。
そして、ジャズ世代の大人にも、もう一度本格的な音楽を、もっとかんたんに楽しめるお手伝いができないものかと、いろいろな仕組みを寝ないで考えてもいる人間もいること知って、今年も頑張ってください。

投稿: 小幡晶代 | 2011年1月10日 (月) 20時10分

小幡晶代さん 

あけましておめでとうございます。そしてお久しぶりです

その節はありがとうございました。

そうですか。音楽の新会社を立ち上げられたのですね。おめでとうございます。

今回の記事は音楽配信が世に出てからもうすぐ10年になるにもかかわらずまだきちんとした事業ベースに行っていない理由は何なのか、ということを調査していくうちにこの考え方に行きつきました。

いずれにせよ違法コピーの件を始めとした状況(特に今の若者の中にある「情弱」の件)を解決しないと本格的にビジネスとして定着しないのでは、と思います。勿論この記事で提示されている内容が絶対的な解決法だとは思いません。逆にその辺はもっと現実的で効果的な対策があれば小幡さんのような方から是非お知恵を拝借したいです。所詮IT関係は私の専門外ですので..

小幡さんの新会社の決済システムを含めそれが新たな音楽ビジネスの発展になればとお祈りしています。特に日本は実質i-tunesの1人勝ち状態が続いていますのでそこの風穴を日本人が空けてくれると面白いとも思います。

よろしければその音楽配信サイトのurlをご教示下さい。

小幡さんの新会社に対する熱意にも感動いたしました。是非とも新会社のご発展と成功を心よりお祈り申しあげます。

本然も引き続きよろしくお願い申し上げます

投稿: Kyoji | 2011年1月10日 (月) 20時51分

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