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2010年12月 1日 (水)

KAT-TUNのボーカロイド曲盗作騒動に見る制作体制の御粗末ぶり

KAT-TUNのオリコン1位の新曲がボーカロイド曲を盗作疑惑? 作者「うわっ…そっくりだ。ショックすぎる…」

http://getnews.jp/archives/87223

さて、有名曲の盗作騒動、というのは今に始まったことではない。しかし今までの多くは「メロデイのどこの部分とどこの部分が似ている」という程度のものであり、人の主観によって「何となく似ている、といえなくもない」というレベルだった。それで古くは服部克久氏と小林亜星氏の訴訟等もあった。(もっともこの泥仕合はJASRAC内部や作曲家団体の勢力争いという日本の音楽界のドロドロとした部分もからんでいたのは事実だーだから私は「作曲家協会」とか「作曲家評議会」とかの面倒くさいものには参加していない)

また「パクリ」という言葉がある。これはあるメロデイの「おいしいところ」を取り他のメロデイの「おいしいところ」と組み合わせる、ということでこれは正直よく行なわれている。賛否両論がある手法だが、この「コラージュ力」にはそれなりの創意工夫もある場合がある。名前はいえないがある大御所的作曲家は「自分の曲は「パクリ」の芸術だ」といってはばからない人もいる。

しかし次の例はそのいずれにもあてはまらない。正直ここまでひどい例は私もちょっと記憶がない。

まず、「盗作された」と主張している巡音ルカオリジナル DYEをお聴きいただこう

次にKAT-TUN NEVER x OVER ~「-」 IS YOUR PART~をお聴きいただこう

わざわざ説明の必要はないと思う。

勿論実際巡音ルカオリジナル DYEの作者が告訴しないと「盗作」と法的には認定されない。またそのため作者は膨大な資料も用意しなくてはならないというハードルはあるが、それにしても制作の担当者がイントロまでほぼ同じ曲が存在している点を把握していないだけでそれはおおいに問題である。要はデイレクター連中が全然音楽を聴いていない、制作作業も他人任せ、という最近の業界の体質がこれを生んだ。

実はKAT-TUNのようなアーチストの曲は殆ど無数の作曲家のコンペから成り立っている。だいたいのケースは数百曲くらい集めるが、だいたいそんなに集めてまともに曲を聴いているか疑問だし、どういう基準で選んでいるのかもいつも不明確である。私は先日ある都合でやむを得ずコンペに曲を提出したが普通は原則としてコンペには参加しない。これはゴーストを強要される、という現実もあるし、何よりもそれを作るために作業的に無駄になる可能性の方が高い。

まあ普段はサラリーマンやっていて自分の曲が有名アーチストに採用されてヒットする、などという夢を追いかけたい人はそれでいいけど、我々みたいに仕事でやっている人間はそんなことをやっていた効率が悪すぎてとてもやっていけない。(なかには最初から「採用者」がいないコンペすら存在する)

何よりもこちらの曲を本当にきちんと聴いているか疑問だし、最後はスタッフ連中の単なる趣味で終わるケースの方が多い。何となく自分の曲が「弄ばれている」感じがするから私はコンペに参加しないのだ。今回はうちのアーチストのプロモーションの目的のためにあえて参加したが、結果は期待していないし、こういう特別な事情がない限り二度とやらない。

いずれにせよ何度も云うがここまでひどい例は私もちょっと記憶がない。「メジャー」の制作体勢の質はここまで落ちたか、といわざるを得ない。今「メジャー」の世界から優秀な人材、プロがどんどんいなくなっている。そのうちその辺りのシロウトよりひどくなるかもしれない。


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