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2010年11月 9日 (火)

音楽配信に関する一考ーDRMフリーのAmazon配信開始に鑑み

既にご存じの通りAmazonがDRMフリーによる配信サービスを本日開始した。

Amazon MP3、日本版スタート DRMフリーで音楽配信
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1011/09/news030.html


欧米ではすでにDRMフリーの流れが主流になりつつあるがこれに関しては以前私は懸念の意味も込めて記事にしている。

DRMフリーの流れとデジタルミュージックの将来
http://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji//2010/09/drm-eeb9.html

DRMをなくすというのは権利者から見れば殆ど権利放棄に近い。しかし一方ではユーザーから見れば消費者がそれをいつでも自分の好きな機器で再生できない」DRMはユーザーにとって不便であり廃止すべきだ。という考え方もわかる。欧米では消費者の声が日本より強いため「他社製プレーヤに乗り換えた際も,今まで購入した楽曲を容易に持ち越せるようにすべきだ。」という観点からDRMをはずすメーカーが欧米では多い。そのため欧米のメーカーでは音楽配信よりも自社サイトのアフィリエイトやその他の広告で収益を得ようなどという動きがあるようだがこれはいくらなんでも非現実的である。メーカー、権利者が権利を放棄し権利管理を諦めてはもはや自殺行為である。

そんな中津田大介氏の「DRM音楽フリーの今」での発言をいくつか引用してDRMフリー後の音楽配信のありかたについて一考したい。

「コピーし放題」でも儲かる!? DRMフリー音楽の今

http://ascii.jp/elem/000/000/071/71759/

ポイントは2点ある

まずはDRMフリーによって大幅に増えることが予想される違法コピーについて

DRMはコピー回数を把握するために使うべき

── DRMは、インターネットで楽曲ファイルを違法にやりとりすることを防ぐために導入されたものですよね。結局、DRMを使わなければ、不正コピーは減らせないんでしょうか?

津田 そんなことはありません。例えば、iTunes Plusの楽曲はDRMフリーですが、ファイルには購入者の情報が埋め込まれているため、仮にインターネットに流出しても誰が流したのかはある程度の範囲で分かります。

 現状のDRMのように複雑な制限をかけなくても、ファイルの身元が分かるというだけで、違法コピーに対する抑止力は作り出せるでしょう。

 そもそもインターネットを検索すれば、不正にアップロードされたMP3ファイルはいくらでも見つかります。不正コピーを減らすなら、まずそうしたウェブサイトを減らす対策を取るべきではないでしょうか。

この点に関しては津田氏の主張内容は正しい。誤解している人が多いがDRMフリーになったからといっても、やりたい放題できるわけではない。iTunes Plusでは「誰が違法コピーさせたかわかるようになっている」ため、DRMフリーになったからといって「これでネットに自由に流し放題、コピーさせ放題」なんてうかれているとあとで大変なことになる可能性がある。だからDRMフリーになったからといってあまりはしゃがないほうがいい。

次のポイントは

── 「理想のDRM」は、どんなものになりますか?

津田 DRMは、コピーを制限するのではなく、権利者に著作権使用料を分配する目的で、コピーされた回数などをきちんと把握するために使うのが理想だと思います。

音楽業界は、コピーを無闇に禁止するのではなく、「プロモーションにもなる」とポジティブな面も認めて、その上でビジネスにつなげていくべきでしょ う。例えば、「普通は210円だけど、420円で買うとポッドキャストにも使える」みたいな新しいライセンス体系を用意して、2次配信権込みで楽曲を売る なんて方法もありだと思います。  現状のようにDRMを単に取り払って売るのも悪いとは思いませんが、「デジタルコピーをどうビジネスに生かすか」という次の一手は考えておくべきです。

さて、これに関して二点ほど疑問点がある。

津田氏の主張は確かに一理はあるのだが少し非現実的な部分がある。ここから先は津田氏と著しく意見が違う。

1.ネット内のコピーし放題はプロモーションにならない。

まず、私のようにネットラジオの運営、音楽のネットプロモーションを実際に現場でやってきた人間の実感として「ネットでコピーし放題にさせればプロモーションになる」というのは実は大嘘である、というのが実感である。実は4-5年前は私もそう思っていた。そしてそれを実際にやってみた。

しかし結果は惨憺たるものだった。

はっきりいおう。実はネットユーザーの殆どは「タダだから聴く、タダだから見る」というユーザーである。実際そのあと少しでも「有料」である部分を見せただけで9割のユーザーがその瞬間に退いてしまう。これは何回もいろんなことを試してみたがほぼ全てのケースで真実であり実感として感じたことである。

したがって仮にコピーし放題にしても、そのアーチストを支持したり、応援したり配信その他の購買に結びつく行動について考える(検討する)のは全体でも一割いない、というのが現実だ。つまり9割の人はコピーし放題にしたら「持ってけドロボー」状態になる。これはほぼ全てのケースにあてはまる。残念ながらそれが現実だ。ユーザーとしてアーチストに対して配慮をしてくれる人がネットの大多数ならいいが、9割以上の人は「あ、タダでダウンロードできた、ラッキー♪」以上には考えないのである。津田氏はおそらく認めたくないだろうがそれが現実である。

つまり音楽をコピーし放題にしたら大きなプロモーションになる、というのは幻想なのだ。認めたくない人もいるだろうがそれが現実だ。

したがってコピーし放題にするのはプロモーション用に作った「非商材コンテンツ(あるいは宣伝用コンテンツ)に限定すべきである。

2.コピー回数を把握して配信の2次使用で課金、なんてことが現実にできるのか。

アイデアとしては面白い。しかし技術的には可能かもしれないが、今のユーザーの体質を考えるとこれは現実的にどうだろうか?まず懸念されるのは

1.ユーザー、消費者からの反発が起きる可能性?
 -ただでさえ知財に課金することに抵抗している風土があるのに逆に反対運動が起きないか?これなら逆にDRMをつけたほうがよくないか?二重取りだ、などと騒ぐ輩が必ず出ると思われる

2.二次使用の場合の課金方法は?
これが最大の問題だ。二次使用を把握してアカウントから「追加料金」という風にでもするのだろうか? あと購買のあと二次使用の把握がどの程度の精度でできるのかも疑問である。(必ず抜け道を作る輩が出てくると思われる)

  Amazonに関してはこの「ウオーターマーキング」がどの程度の精度になっているのかもう少し詳しい内容を見てから判断しようと思っている。実は私の音源も奥津恵の音源もAmazonから配信する話はあるが、どうするかはまだ検討中である。

私は、基本的にDRMをはずすことに関しては反対だ。

ただユーザーの使い勝手を考えて、少し緩めのDRMにすればよいのではないか、と思う。要は複数のプレーヤーで再生可能な状態にすればDRMの縛りはそんなに気にならなくなるのではないか、と考えている。しかし違法コピーのことを考えれば「やりたい放題にやられない」ような制限はやはりもうけるべきだと考える。その面ではAppleのiTunesの著作権管理(DRM):FairPlay(フェアプレイ) というのも1つの方法かもしれない。

津田氏のいう「理想のDRM」が単に技術的な面だけでなく、社会環境的に運営可能になればそれはそれで面白いが、やはり現実的なアプローチを考えたい。

しかし絶対に忘れてはならないのは音楽は知財であり、権利ビジネスである。という点である。そこが物品販売などとは大きく違う点である。そこの部分は絶対に変えてはならない。変えてしまったらもはやビジネスが成立しない。その点は声を大にしていいたい。


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