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2010年7月11日 (日)

武満徹は現代音楽の作曲家というよりは本質的には映像音楽の作曲家ではないだろうか

さて、今地上波の番組はどの局も参議院選挙の選挙結果、勿論これはそれなりに大事ですが、全ての局が同じ番組だとさすがにげんなりしますね。
まあどうやら衆議院、参議院のねじれ現象は寧ろ拡大する見通しのようですね。個人的には庄野真代さんにはがんばっていただきたいですが....

さて、さすがにずーっと選挙番組ばかり見ていると飽きてきましたので珍しくN響アワーで武満徹の特集をやっていたので見てしまいました。

私は以前「現代音楽」に関わっていた時代が少しあったのですが、そのきっかけを作ったのはこの武満徹さんの音楽でした。はじめて武満の音楽を聴いたのはNHKスペシャルの「未来への遺産」という番組で武満さんが音楽を担当していたんですが、その音楽が今まで聴いたことのない音楽に感じました。響きが古代の雅楽のようでもあり、中近東の音楽のようでもあり、西洋音楽のようでもある。本当に「どこの国の音楽かわからない、今まで聴いたこともない音楽」だったのです。それをきっかけにノベンバーステップスカトレーンといった作品だけでなく、「怪談」(小林正樹監督)や「心中天網島」(篠田正浩監督)などの映画音楽にも惹かれていきました。

この「未来への遺産」は武満さんの作品ではマイナーな作品というか、あまり語られることがないんですが、この作品のおかげで現代音楽からミニマリズムジョンケージブライアンイーノという方向に「道をはずした」わけです。(笑)

まあプロになってから、商業音楽とかやっていてからあまりこうした種類の音楽の影響が影を潜めていましたが、決してこの方向から足を洗ったわけではありません。そんなわけでいつのまにか聞き入ってしまいました。

僕はポピュラー肌の人間だけど武満の音楽は映像や映画音楽から入っていきましたので、結構影響は受けました。映画音楽もやっているので武満の音楽にはかなり参考になります。武満さんの音楽の最大の特徴は弦楽器独特の包み込みようなハーモニー(これをテクスチュアと呼びます)で、これがなんともいえない雰囲気を作りあげます。

武満徹というのは作曲家でありながら殆ど演奏技術を持ち合わせていない人でした。音楽教育自体も殆どまともに受けていません。なのにこれほど複雑でアトナールでありながらどこか調性を感じさせる音のテクスチュア、これは何なんだろう?、と思います。

作品は殆ど基本的にはクラシックベースの「現代音楽」なんですけど、ジャズやポップスもそれなりに研究していたようです。 それが他の「現代音楽」 の作曲家と違うところ。だから音楽は決して親しみやすいとはいえませんが、どこか心地よい響きに聞こえるから不思議ですね。

武満さんの映画音楽、劇伴音楽は単なるBGMに終わっていることは殆どありません。音楽も映像の中で「登場人物」のような役割を果たしています。武満さんの音楽がないとその映画、映像が生きません。しかし決して出しゃばっているわけではありません。

要は武満徹という人は結果的に「現代音楽」の作曲家といわれるけど基本的には映像音楽の作曲家ではないかと思います。僕もVPのような商業音楽からCM,劇伴とやっていた関係でどこか自分でも入って行きやすい部分があるのかもしれません。他の「現代音楽」の作曲家にはなかなかこういうのを感じません。

日本人が世界に誇れる数少ない作曲家の1人ということができます。特に映画音楽では伊福部昭先生とならぶ存在といっていいです。確かに中にはちょっと古い感じのする曲もありますが、映像音楽という観点ではやはり私にとっての「教科書」になりますね。


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