Kyoji "metanature"
i-tunesでも好評配信中!!
i-tuneページを表示するにはお客様のPCにi-tunesとquicktimeがインストールされている必要があります。 i-tunes及びquicktimeのダウンロードはこちら





« 修正マスタリング | トップページ | 被害を受けている音楽の権利者がなぜ非難されなければならないのか? »

2009年11月16日 (月)

音楽業界衰退の原因考察

このブログは一応プロで仕事をしている人間の音楽関係の記事だけでなく、業界で仕事をしていながら音楽業界の今日の衰退まさかこの時点で繁栄と呼ぶ人はいないでしょう)の状況について述べてきました。本当はもっとプラス志向のことを書きたいのですが残念ながら今の音楽業界の現状を見ると本当に悲観的な内容しかありませんので、どうしてもそういう書き方になってしまいます。

とはいえ、この状況を分析すればするほどこの原因は単に「違法ダウンロードやコピーがあるからこうなった」とかあるいは「音楽業界が古い体質だから」という単純な原因でこうなったとは考えられません。結論からいってどちらも大きな原因ではありますが、現場にいて状況について分析すればするほど多くの複合的な原因が重なって今日の状況を作っていると思います。

したがってどちらかの観点のみで今日の音楽業界の状況を論じたら必ず短絡的な議論になってしまいます。つまり問題が多すぎてどれから手をつけたらよいのかわからないくらい事態は複雑でしかも深刻です。

あと音楽業界はコンテンツビジネスであり、いってみればソフトの権利ビジネスであります。そうであるがゆえの特殊な事情もあるのですが、総務省や経産省などでもよく出ているように「他の産業の形態がこうだから、音楽業界もこうあるべきだ」的な議論がこのコミュでも時々出てきます。そういう議論で進めるとまた話がおかしな方向に行きますが、残念ながら音楽を始めとするコンテンツ関係と他の業種との話合いの場はほぼ例外なくこういった類の話になってしまいます。 例の録音補償金の問題がいい例ですが、どうもソフトのようなコンテンツもハードと同じように「一度購入したら煮て食おうが焼いて食おうが消費者の勝手だろう」という考えでこの問題を論じています。しかしその考えで権利ビジネスを考えたら必ずおかしな方向に話が行きます。

例えばいくら購入したからといっても自分の持っているCDのコピーを自分が使って楽しむ場合は違法ではありません。しかしながらそのコピーを無償で友達にあげる、これは実は違法な行為です。まずこの点を理解していない人がおそらく世の中の多数派ではないでしょうか? しかしそれはそういった「権利のありかた」に関する啓蒙を怠ってきたコンテンツビジネス側にも勿論責任があります。今はデジタル技術でコピーが簡単にできてしまうだけにそういった啓蒙が以前より重要になっているのは確かです。

また先日の記事にも書きましたが、違法コピーの現状は想像以上のひどいことがデータによって証明されました。ですから違法コピーは音楽業界衰退の原因ではない、というのは神話に過ぎないといっていいと思います。

違法コピーが音楽業界衰退の原因ではないと誰がいったのか?
http://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2009/10/post-4c4f.html

これは例えていえばお店の商品の半分以上が万引きか窃盗にあっているのと同じ状況です。来年施行予定の法律には罰則がありませんから殆ど効果は期待できません。これに関してはゆゆしき事態で早急に対策の必要があると考えます。さらなる対策の強化が望まれると思います。

一方ではいつまでも過去のビジネスモデルにこだわっている音楽業界、芸能界にも今日の状況の原因があるのも事実です。業界関係者の方にも意識改革が必要なのですが残念ながらこれが全く遅遅として進んでいません。

はっきりいえることは今までの業界のやりかたとは根本的に違う発想が必要です。しかしそういった試行錯誤をしている業界関係者は残念ながらまだ今の時点でも少数派です。

しかしまた一方では「音楽業界がパッケージビジネスに固執するから衰退しているんだ」という議論があります。確かに数字上はそのように見えますし、業界の中で「CDのようなパッケージを売る」ビジネスのみが音楽ビジネスの本来のありかたであるかのような議論がいまだに出ているのも事実です。

しかし「配信ビジネス」さえあればそれ以外は無用の長物である、というのはエンタテインメントビジネスを表面的にしか見ていない議論といわざるを得ません。確かに音楽配信はこれからのビジネスであることに異論はありませんが、エンタテインメントビジネスは「配信があればパッケージはいらない」と断じるほど単純なものではありません。

結論からいって私は個人的には「パッケージ」は音楽配信がどんなに普及しようがなくならないと思っています。なぜなら「コンテンツビジネス」や「エンタテインメント」はファンあってのビジネスであり、ファンは「単なるファイルデータ」である配信だけでなく、やはり「モノ」も欲しがるものだからです。「配信以外を語るのは時代遅れである」と論じる人の観点にはこの部分の視点が欠けています。「配信が出てきたからあとはいらない」と主張する人は一度アーチストのファンクラブの集いとか、インストアライブの現場とかご覧になることをお勧めします。これを見ると「配信はあるからパッケージなどは無用の長物である」、と論じることがいかに短絡的な議論であることがわかります。

以上の点を見てもいかに音楽業界の問題が非常に複雑で一筋縄のいかない部分があるかというのがおわかりだと思います。1つの観点から業界の問題を論じても問題の本質は見えてきません。

まあ世の中には何でも白か黒、1か0の単純な図式で語らないと理解できない人もいるのでそういう人たちのためにわかりやすくいいますと、今の音楽業界がこうなったのははっきりいえば「みんなが悪い」といってもいいと思います。

ただ、1つ気になるのは先ほどの違法コピーの実態とかを書きますと、必ず同情されるどころか非難されてしまう場合が非常に多いです。これは正直いって私たちとしては納得がいかないのですが、これについては次の記事で書きます。

|