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2008年3月26日 (水)

IT業界はコンテンツを無料で騙し取っていないか--著作権問題の奥にあるもの

IT業界はコンテンツを無料で騙し取っていないか--著作権問題の奥にあるものhttp://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20370105,00.htm

ネットの世界では特にそうだが「嫌われ者」のJASRACの中で興味深いシンポジウムが昨日行われたようである。

出席者は

菅原瑞夫氏 (JASRAC常務理事)

砂川浩慶氏 (立教大学社会学部メディア社会学科准教授-元日本放送連)

岸博幸氏 (慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)

堀義貴氏 (ホリプロ代表取締役社長CEO)

川上量生氏 (ドワンゴ株代表取締役社長)

まだ他にもいたかもしれませんが、発言が引用されたのは以上の人たちです

確かにコンテンツホルダーの世界もIT業界の世界もともに魑魅魍魎の世界であることは事実だ。芸能や音楽は体質的にかなり「ヤクザ」な世界だし、IT業界は「IT革命家きどり」したマスメデイア関係者なみの傲慢な輩が少なくない。

このような真剣な議論のシンポジウムがJASRACというところで開催されただけでも意味がある。ネットそのものに否定的な「既存の業界」、一方で「コンテンツ」を望みながらもその価値を真剣に理解しようとしないIT業界、私は両方の言い分がわかるが今後のITを含めたメデイアの中でのコンテンツの扱い、特に権利についての扱いについて「落としどころ」を模索するきっかけになればと思う。

以下記事のポイントとなる部分を引用し、私見を述べさせていただく

1.悪者探しから未来は生まれない

 ネットを新しいコンテンツ流通プラットフォームとして育てていく上で、よく指摘されるのテレビ番組をはじめとした既存のコンテンツがなかなかネット配信されない問題だ。岸氏は「なぜコンテンツが増えないのか。著作権法を変えればコンテンツが流通するというわけではない。むしろ、契約を変えるとか、著作権者が受け取る報酬を増やすといったことで変えられる部分がある。にもかかわらず『著作権が悪い』といったように、すぐ議論が曲がってしまうことを懸念している」(岸氏)として、著作権法が槍玉にあげられる現状に意義を唱える。

確かに何でも現行の著作権法をやり玉にあげるのはどうかと思うが、例えば「44秒以上は音楽配信」とか、IPマルチキャストでのストリーミングは音楽配信とみなす、とか問題がある点は多々ある。よって著作権法に全く問題がないわけではない。一方で現行の著作権法も運用次第では、ネットでかなりのプロモーションが可能である。要は配信に対する「運用に対する考え方」をどうするかという問題になる。

2.ネットでコンテンツホルダーは儲からない

 コンテンツホルダーの立場からは、ホリプロ代表取締役社長COOの堀義貴氏が発言し、そもそもコンテンツがネットに流通すればすべてうまくいくという議論自体がおかしいとした。

 「コンテンツが死蔵していて、流通しないのは悪いという理論がある。しかし、流通業界を見ても大量に良いものを仕入れて売れば儲かるという時代ではなく、プライベートブランドを作って自分たちで安くて良いものを作ろうという小売中心の考えになっている。そういった時代に、『コンテンツが流通すればみんな儲かる』という幻想を抱かせているのは問題だ」(堀氏)

今の音楽配信の状況を見れば明らかですね。私も「ネットでやれば全てうまくいく」というIT業者のお決まりの言葉には今までの経験論を含めて極めて懐疑的であります。実際いまどきそんなセールストークを持ってこられても鵜呑みにする人は少ないと思いますが...

「過去、(BS放送やCS放送など)色々なコンテンツ流通プラットフォームが登場し、その度に『これでクリエイターは仕事がたくさん増えて引く手あまたになる』と言われたが、実際にそんなことは一回もなかった。むしろ設備投資が増えてコストがかさみ、コンテンツは横並びの似たものばかりになっている。広告主は数字を求めるので、難しいものがなくなる。完全なデフレスパイラルに陥り、制作してすぐ流すという中で制作会社は疲弊し、コンテンツを作る人間がどんどん減っている。こんな夢のない世界はない」(原氏)

まさにその通り。私の以下のブログにも同じことを書いています。
コラムーデジタル技術は「コンテンツ制作現場」を理想的にしたか?

http://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2008/01/post_a5f7.html

「コンテンツはフリーであるべき、という空気があり、それを理由にIT業界がコンテンツを無料で騙し取ろうとしている雰囲気がある」(川上氏)

これも先日のmixi関連の記事で書きましたが正直IT関係の人たちに権利に対する意識がきちんと浸透しているとは正直とても言いがたい、というのが事実ですね。実際川上氏の指摘するような雰囲気は残念ながら間違いなくあります。それがJASRACやレコ協や日本放送連盟のような「既存のコンテンツホルダー(某IT業者の言葉を借りれば)」から不信感を抱かせているのは事実でしょう。
参考までにmixiの著作権、人格権の規約改訂に伴う騒動にふれ、
http://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/2008/03/mixi_31d2.html

しかしそれをただいがみ合っているだけでは何の問題の解決になりません。コンテンツホルダーとIT業者の間でのきちんとした協議が必要です

3.コンテンツホルダーは魅力ある提案を待っている

JASRAC常務理事の菅原瑞夫氏は、「ライセンスという面では、マスメディアでもネットでも変わらない。ただ、経済的規模は圧倒的に違う。着メロの市場を考えてみると、登場から3年で市場規模は20倍になったが、その後4分の1にまで縮小した。単価が小さいビジネスで、(著作権者と配信事業者が)どう合意を取るかが問題だ。そこのビジネス提案があれば実験ができるが、そこが今、あまりない」と不満の意を示す。

私的にはこういう受身的な態度が問題なような気がします。IT業者はそもそも「コンテンツ」を0から作った経験のない人たちばかりなので、「どういう提案をしてよいのか」そもそもわからない、というのが実態なのではないでしょうか? 逆に我々コンテンツメーカーが積極的に「こうして欲しい」という要望をたたき台として出し、それに対してIT業者がどうするか、という形で進めたほうが話しが早い気がします。

ネットならではのコンテンツを

 ネットにはネットならではの特性があり、古いテレビ向けのコンテンツをネットに流すよりも、ネットの特性に合ったものを作り出すべき、というのが登壇者の一致した見解だ。岸氏は「マスメディアは、広くコンテンツを流すもの。これに対して、デジタルメディアではコミュニティを作る部分が大事になる。オンラインビデオはテレビ局しか作れないのかといえば違う。たとえば米国では、地方新聞ほどカメラマンを教育して動画を撮影できるようにし、独自の動画を流している」と紹介。

つまるところそうでしょうね。「他のメデイアで見れるコンテンツ」のみをネットで配信しても意味がないということです。だからこそ今「ネット放送」に対して規制しようというおかしな動きがあるけれども、それは「ネットならではのコンテンツ」を作ろうとするコンテンツメーカーにとっては寧ろ自殺行為であると思います。何よりもネットといえでも多くあるメデイアの一つに過ぎない、ということ。ラジオはラジオならではのコンテンツがあるように、ネットはネットならではのコンテンツを作る必要があります。

 但し「ネットはネットならではのコンテンツ」とは一体何か、これが大きな問題ですね。私もネット放送をやっていますが、まだその答えを見つけられないでいます。これは私自身の課題だと思っております。

最後に次の言葉はコンテンツホルダー、IT業者ともに肝に銘じておくべき発言だと思います

「欧米を見ても、ネットだけで儲けているところはほとんどない。将来的には儲かるだろうから、いまのうちに実験をして儲かる方法を見つけるんだ、と考えている。研究開発投資に近い。これまでサービス産業は研究開発投資に縁がなかったが、技術の進化が早くて、しかもサービスの質に影響する以上、今のうちに実験をしておかなくてはいけないと考えている。今、何もしなかったら、ユーザーの変化に追いつけない」(岸氏)

「著作権がネックになっていると言われてる問題でも、実際そうであることはあまりない。確かに、著作権は分かりにくく、著作権者の世界は魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)する怖い世界だというイメージがある。しかし、人間と人間が話をすれば落としどころは必ずある。冷静に問題点を摘出した上で議論をすべきだ。悪者探しをしていても、議論は前に進まない」(砂川氏)

この部分は全く同感です。まさに今のコンテンツホルダーとIT関係業者の状況を表しています。

この議論でコンテンツホルダーとIT業者の間にはかなりまだ認識の面で距離があることが浮き彫りになったと思います。しかし次の時代に生き残る意味でも「落としどころ」を真剣に考える必要があるし、また一般のユーザーに対しても啓蒙が必要でしょう。しかし大事なことは今回のような議論を通じて具体的な解決策を模索することがコンテンツホルダーやIT業者双方にメリットがあるということです。


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