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2008年2月17日 (日)

ヨーロッパで演奏家の権利保護機関が延長を提案

欧州委員、ミュージシャンの著作権保護延長を提案

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0802/15/news036.html

意味がわからない人のために解説しますと「実演家」という表現は、クラシック音楽などは一応「再生芸術」といわれ、同じ楽譜でも「演奏家の個性」を芸術表現と考え、それに関する権利を「実演家の権利」といい「著作権」と同じ扱いをするものです。同じようにジャズでもジャズ演奏家によって同じ曲でも全く違う演奏(特にアドリブ部分等を入れると殆ど全く別の曲になります)になることからそれを「著作物」と認識し「実演家の権利」として規定している、いわば演奏家の持っている著作権のことをいう。基本的にはクラシックやジャズの演奏家を念頭においており、それ以外の音楽のジャンルでは作曲家=演奏家というケースが少なくないのでポップス関係ではあまりなじみがないかもしれない。

(注:これは原版権利者と原版権とは別のものです。よく「原版権」と「著作権」を混同する人がいますが「原版権」は音源に関する権利、「著作権」は著作者や演奏家といった「個人」の権利です。業界人でも結構混同する人間が多いのは困ったものですが..)

私自身も一応ピアノをはじめとする演奏家でもあり、そして勿論本職は作曲であるので理論上は2つの権利を持っているわけで、一応建前上は保護期間延長には基本的に賛成なのだが、実はこの提案を手放しでは喜べない部分がある。

私は音楽業界の現状云々とか、ネットプロモーションを強化すべきだと等の見解を述べていたが、勿論コンテンツの基本は権利ビジネスであり、権利保護には勿論賛成である。しかしだからといってただひたすら「保護する」「守る」という部分に過剰にこだわり、音楽コンテンツを広める行為に障害を起きるとしたら問題だ、というのが私の基本的な考え方である。(決して音楽の権利保護に否定的な見解を持っているわけではない、ここのところを一部の人がどうも誤解しているようである

しかし子供でも「過保護」に育てる、つまり甘やかされるとロクな人格の人間にならないのと同じで、過剰な保護は産業の体質をかえって弱体化し、新たなビジネスチャンスをみすみす逃してしまう結果になる。確かにネットの世界には「コンテンツの権利」に敬意を示したり尊重するという考えを微塵も持っていない輩は少なくないことは確かである。しかし本当にそういう連中の権利を踏みにじる行為(違法コピー等)を根本から絶つには寧ろネットの世界に積極的に打って出て、違法コピーの根をたつことをすべきであろう。音楽業界は洋の東西を問わずそれを怠ってきたのだ。

今回の「実演家の権利延長」は95年でこれはいわゆるSP盤の録音のクラシックの名盤の殆どが入ってしまう。これが実現すればクラシック音楽がいくら作曲家の著作権が消滅している曲でも演奏家の著作権が生きていればネットでの放送、ストリーミングは事実上不可能になるだろう。

しかし現実問題としてただでさえラジオのプロモーション能力が落ちてきている現状に加え、地上波のテレビはNHKは別として積極的にクラシックや昔のジャズの名盤をプロモーションするとは考えにくい。従って自由にクラシックのCDをプロモーションするメデイアというとネットしかないのが現状だ。この提案が決定されれば(たぶんされるだろう)クラシックのCDのプロモーション方法が、少なくとも音源を実際に聴く機会は殆どなくなる可能性がある。

何度も云うが権利保護は勿論重要である。しかし、子供を過保護にするのはかえって「惨い」育て方であるのと同様、「守る意識」が過剰になるとかえって自分の首を絞める結果になると思う。それが最近の音楽業界の停滞の原因の一つになっていると私は考える。

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