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2007年2月12日 (月)

アメリカの良心はまだ生きていた!!今年のグラミー(長文注意)

今回のグラミーはデイクシーチックスが主要部門を制覇した。彼女たちの基本ジャンルがカントリーだけに日本人にはいまひとつ馴染みがないし、私自身も正直カントリーにはそんなに興味があるわけではない。しかし彼女たちが受賞したのはとてもうれしい気持ちである

実はこのディクシー・チックス3年前にブッシュを批判して全米で彼女たちのCDの不買運動が起こり、ラジオでも放送禁止を食らった。それだけでなく彼女たちは生命の危機にも立たされた

具体的にどういうことがあったかというと

実はカントリーシンガーの殆どは寧ろ戦争支持の歌を発表しており(ブッシュの支持者は田舎の方が圧倒的に多い)このことにより多くのカントリーのラジオ局でプレイリストから外された。またブッシュの息がかかった、というよりは’98年にテキサスレンジャーズを、当時のオーナー だった現ブッシュ大統領から購入しブッシュが州知事時代からブッシュ一家とビジネスの関係にある全米1200のラジオ局を傘下に持つクリアチャンネルの副会長トム・ヒックス(ブッシュの広告塔の役ーこの人物は現代のゲッペルスと呼ばれている)はチックスをプレ イリストから外す命令を出した。 「我々の街とリスナー、そしてアメリカ軍兵士へ敬意を示すため、ディクシーチックスをプレイリストから外しました。」
(フロリダ州ジャクソンビルの二つのカントリーラジオ局でプログラミングディレクターを務めるゲイル・オースティン)

さらにCD潰し集会ルイジアナ州のカントリーラジオ局KRMDでは「ディクシーチックス廃棄デー」を開催。”元”ファンから集めたCDなどをトラクターで潰したあと、集まった人たちが踏みつけた。メンバーのエミリーは自宅玄関を壊される。24時間警護が必要になった。右翼系紙のコメンテイターは彼女たちを裏切り者と批判し、”ディキシーの尻軽”、”サダムズ・エンジェル”と呼んだ。

実はカントリーは白人の音楽だ。全部が全部とは言えないにしても、保守&右派が中心というのは否めない。

しかし彼女たちも負けてはいなかった。カントリー肌と"離婚"してロック系の人たちと協力した。またリーダーのナタリー・メインズが歓声とブーイングの入り交じる中、一通り感謝の言葉と言論の自由について話したあと次のような発言をしているのが印象的だった

「最後に、私のことを嫌いな人にお礼を言います。あなた達のおかげで、私は強くなれたし、色んなことに関心を持ったし、誇りを持つようもになった。あと、いい知らせも。来週、新しいCDとDVDが出るの。よかったね。あなたたちまた、焼いたり踏んづけたりできるわよ」

アメリカ国内でもこの頃から、戦争終結後も治安が収まらず米兵の犠牲者が増え続けるイラクと、依然見つからない大量破壊兵器の件もあり戦争疑問視の声も取り上げられるようになっていた。そうした中ロック系のミュージシャンとともにポリティカルバンドの仲間入りを果たし、2004年の大統領選挙には反ブッシュキャンペーンをR.E.Mやパールジャムとともに活動、そしてふだん政治の場には現れないブルース・スプリングスティーンまでこの運動に参加した。結果的にはアメリカ南部や地方の保守層を切り崩すことができずブッシュ再選を阻止は出来なかったが..

しかしイラクでの戦況が泥沼化し、結局大量破壊兵器がみあたらなかったことがわかると「ナタリーは正しかった」という雰囲気が増加してきた。

さらに2005年に入ると政界から強力な支持も出てきた。グループのマネージャーでイギリス出身のサイモン・レンショウが、アメリカ議会委員会を前にラジオ産業の今後について証言してからだ。 彼は所属事務所が死の脅迫を受けたことを明らかにし、右翼団体がそういった運動を指揮している証拠も示した。そしてグループの合衆国憲法修正第一条(言論の自由)に基づいた権利が侵害されていることを非難し、芸術の自由と文明開化、そして政治議論の自由が侵されていると主張した。
多くの人が賛同した。委員会のメンバーの一人、カリフォルニア州選出の民主党上院議員バーバラ・ボクサーは、今回の組織的なラジオからの締め出しをナチスドイツや50年代のマッカーシズムにたとえ、”人々の口をつぐませるための、ぞっとするようなメッセージ”と呼んだ。

これがターニングポイントだったかもしれない。それが今回の、「テイキング・ザ・ロング・ウェイ」の最優秀アルバム受賞、「ノット・レディ・トゥ・メイク・ナイス」の最優秀ソング受賞につながった。グラミーの会場はいずれも彼女たちに対して暖かく、彼女たちも今までの苦境を驚くほど明るく語っていた。受賞時にナタリーはおどけながら「この受賞を聞いてチャンネルを回した人もいるでしょうけど..」と発言。会場の笑いを誘った

アメリカというのはとにかく極端な方向に流れることがよくある。今回の911以降のアメリカの行動はそうだ。しかし反ブッシュとして槍玉に上がっていた彼女たちをこういう形で評価し賞を受賞するというのは、まだアメリカの良心が残っている、まだ社会として健全な部分が残っていることを感じている。

この「ネオコン」-私は新しい形のファシズムとすら呼んでいるが、後の時代からマッカーシズムと並ぶくらい否定の対象になってほしいとも思う。ちなみに先ほどのクリアチャンネル、現在経営難で身売りしている。ざまあみろといいたい。

女性3人組バンド グラミー5冠
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007021200160

私はアメリカ生活が長いので平均的アメリカ人の考えがわかるがアメリカ人は基本的に外国に興味がない。海外で大規模なデモの様子もあまり報道されたことがないし、イラクやアフガニスタンでテロリストよりも一般市民の方が多く殺されているなどということもアメリカのメデイアは全くといっていいほど報道しない。それだけにアメリカという国が世界にどれだけ迷惑をかけているかについて殆どのアメリカ人は知らないし、関心もない。しかしネットがこれだけ普及しているこの時代に本当にそれでいいのかということは声を大にしていいたい。(アメリカ人は日本人よりメデイアリテラシーがあるというのは大嘘である)

長文になってしまいました。とにかくディクシーチックスには心からおめでとうといいたい。

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