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2006年3月 7日 (火)

{コラム]なぜ私は「現代音楽」をやめたか

皆さんは「現代音楽」なる音楽のジャンルがあることをご存じだろうか
知らなくても決して恥にはならないし、この音楽を一生知らなくても損することは何もない

「現代音楽」とはアバンギャルドの流れ、もしくはクラシック音楽の近代以降の流れを踏襲している。音楽で、一応建前上は「最先端の感覚、時代の先を行く音楽」のことをいう。実はあの坂本龍一氏や久石譲氏もかつてはこの音楽をやっていたことは意外に知られていない。
私はクリエイテイヴに生きるということというコラムでも書いたが私自身作曲家、音楽家として生きようと決心した時にとにかく「クリエイテイブ」な人間ー音楽のクリエーターでありたいという思いは強かった。今でも基本的にはそれは変わっていない。
その「クリエイテイブ」な人間でありたいという思いが、もう20年も前の話になるが私に「現代音楽」なるものに向かわせた原因でもある。

しかし私ももうやめてしまった。そしておそらく二度と戻ることはないだろう

なぜ、やめたか? いろんな理由がある。こんな音楽をやっていたら「食えない」というのも勿論理由の1つでないとはいわない。しかし最も大きな理由は「現代音楽」というものが本当に「最先端の感覚、時代の先を行く音楽」なのかという点である。

はっきりいおう。「現代音楽」というやつは何やらすごく高度なことをやっているように見えても、とにかく大半の曲は聴いていてつまらない、聴くこと自体が苦痛ではっきりいって一度聴いたら二度と聴きたくない曲が殆ど。なかにはジョンケージといった人のさるまねでとても音楽とはいえないものもあった。(ちなみにジョンケージは私にいわせれば「音の思想家」であって「音楽家」ではない)何よりも「現代音楽」という名前でも殆ど聴いていて少しも現代を感じない、寧ろ古臭いものすら感じたのがすぐに離れてしまった理由である。

勿論収穫が全くなかったわけではない。音楽の視野が広がったし私が関わっている環境音楽などは間接的にミニマリズムの影響を受けている。実際ステイーヴライヒ、テリーライリーといった"ミニマル音楽"はいわゆる「現代音楽」というものの枠を超えて様々な音楽に影響を与えている。例えばクラブミュージックのトランス系等はミニマリズムをクラブ音楽風に料理したに過ぎない。またアンビエント、環境音楽はミニマリズムの変形という見方もできる。

また先ほど話が出たジョンケージのコンセプトも気がつかないうちに我々は影響を受けている自然音を音楽に取りいれたり、空き缶や新聞紙をパーカッションで使う(子供音楽の楽団によくあるやつーこれってなんて云ったっけ?)等はジョンケージが始めたことである

しかしそれも今から30-40年前の話、実はそれ以降本当の意味で新しいものは生まれていないのだ。またクラシック系の「現代音楽」についていえばアカデミズムが入り込んで「現代音楽」という1つの形になってしまった。こうなるともう音楽の表現は死んでしまう。
一方でアバンギャルド系はアバンギャルド系で「わからん奴らはバカだ」といったひとりよがりな態度をあらわにしている人間が多く、こちらも幻滅してしまう。いずれにせよこれを自分の生涯の仕事にするのは馬鹿馬鹿しいというのが私の結論である。

一方でそれじゃ今のいわゆる大衆音楽(私はこの言葉が大嫌いだーだって音楽って大衆のものでしょ?)や商業音楽の現状を肯定しているかというとそれはまた別の話だ。こちらの方も大きな問題を抱えている。音楽業界が1998年から現在に至るまで8年連続前年割れという市場の状況が全てを物語っている。その問題について話すととても紙面では足りないのでまた別の機会にしよう

最後に私が理想としている状態は何か?
それはコマーシャリズムと芸術性がバランスよく保たれ、ある特定の音楽を聞きたい人に音楽が自由に届く状況商業的にも芸術的にも成功している作品のことである1960-70年代のロック音楽や1980年代のニューウエーブ、テクノといった音楽の時代にはそうした時期が確かにあった。またクラシック音楽で今、古典となっている音楽の多くは一部の例外を除き彼らが存命時代に商業的にも成功している音楽である

そうした状態に戻すにはどうすればよいか。それが今の私たちの課題である。
ネットを中心とした社会がそうした時代を復活させてくれることを私は期待している

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