生きた音楽表現
オヤジ的な症状なのかもしれないが、時々無性に昔のロック アルバムが聴きたくなる時がある。ピンクフロイドやレッド ツエッペリン、イエス、ELPといったプログレからモータウン 初期まで幅広いがこの日はステイーリーダンのAjaを聴いた 。
聴いてみると改めてその音楽作品の質の高さに驚かされる 基本的にはR6Bかブルースなのだが、それを構成の面でも リズムの面でもひとひねりもふたひねりもしている。
コード進行も「なんでこんなヴォイシングが思いつくの?」 といいたくなる奇抜な進行り、それでいて全く不自然で はない。やはりドナルドフェイゲンは天才である。 アーテイキュレーションを分析しても今でもよい勉強になる 。
音楽産業で仕事をしていると「今流行の音を作れ」という 不文律の至上命令がある。しかし私の場合それを意識して あまりよい結果になったことがない。当たり前のことだが 自分が「これはいい」と思わない作品が他人が聞いて「いい」 と思うはずがないのだ。しかし音楽業界には愚か者が多いの でそうした表面的なスタイルしか見ない人間が多い。
今、そうした音楽業界の不文律を忘れて自分が本当によい と思ったものだけ出すことにここ数年している。その方が 結果がよい。
ついでにステイーリーダンの最新のアルバム(といっても もう発売されて2-3年たっているが)「ツーアゲインスト ネイチャー」を聴く。基本的な世界はAjaと変わらない。ただ より洗練されている。そこには流行に媚びる態度は微塵も ない。生きた音楽表現とはこういうものだろう。ちなみに このアルバムはグラミーで最優秀アルバムを取っている。
(2005年02月8日掲載)
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